酒井聡の一億総経営者 -3ページ目

「小銭」の大切さ

法人のスケールで見ると「数万円」というのは小銭のようなものです。
数百万円とか数千万円、企業によっては数億円の予算を入社数年目の人間が動かすことも珍しくありません。
僕も以前はそのような感覚でいました。
新卒2年目でメディアのプロモーションを担当していましたが、10万円の広告枠が「むちゃくちゃ安い」と感じていました。
その感覚は決しておかしなものではなかったと今でも思います。

翻って、スタートアップにとってはこの「小銭のようなもの」がありません。
投資家のためにも自分たちの将来のためにも、
損益分岐点を超えるまでは1円も無駄にできないという思いがあります。

節約するのが悪いことだとは言いませんが、
環境やアウトソーシングの面で不便を甘んじたり、
協力してくれたパートナーの方に十分な対価が支払えなかったり、
「効果がないかもしれないけどやってみたいこと」ができなかったり、
この状態は果たして健全なのだろうかと思うことがあります。

・付加価値の高い仕事に集中すること
・パートナーの方に十分なリターンを用意すること
・チャレンジすること

いずれも事業活動を行っていく上で大切すぎる要素ですが、
「小銭」がないスタートアップではこれがままならないのです。

「これがスタートアップだ」とあきらめるのも一つの方向性かもしれません。
ヒト・モノ・カネがないのが中小ベンチャーだとはよく言われます。
でも僕は何とかしたくて、どうしたら良いかを考えた結果、受託をすることにしました。
デザインやコーディング、コンサルティング、ディレクション等、僕が外部パートナーと協力しつつ一人でできる範囲で、
主にプライベートの時間を削って、先月よりニューロープ受託事業をスタートしております。
数万円、数十万円がスタートアップにおいて果たす役割は本当に大きいのです。
ステークホルダーが気持ちよくニューロープと関わっていけるように、
トップ自ら会社に潤滑油を注いでいければと思います。

そんなわけでお仕事募集しております。
プランニング、デザイン、コーディング、ライティングには自信があります。
スピード面でもクオリティ面でも良いアウトプットを出していきますので、
案件がありましたら是非とも酒井にご用命ください!

起業するタイミングで大事なのは年齢だけではないという話

「2年以内に起業する」というような目標を掲げている方がいらっしゃいます。
僕も「28歳で起業する」という年齢を軸にした目標を持っていました。
今年の1月に僕は起業しましたが、僕は現在27歳で、予定より1年早まっています。

年齢を目安にするのも「目標」という面からは良いかもしれませんが、これには1つの視点が抜けています。
景気です。
ITバブルに湧いていた頃、ITバブルが弾けた頃を今から振り返ると非常に分かりやすいのですが、資金調達のしやすさは景気に大きく左右されます。
景気が悪いと出資も融資も受けにくくなるので、着実に日銭を稼ぐようなビジネスモデルが求められます。
僕の予定が1年早まった理由もここにあります。

長期的なビジョンを持って取り組めるか、日銭を稼ぐために短期的な収益を上げる体制を作るか。
この違いは想像以上のものです。
そもそも手を出せる内容が違います。

資金調達という点で、今の市場はここ数年でかなり恵まれています。
上場企業の数も違うし、様々なVCがシードステージ、アーリーステージのスタートアップの発掘に乗り出しています。

「まだ予定より1年早い」
その計画を市場環境の面からも評価しなおしてみると良いかもしれません。

今ここから何ができるか

うまくいかなかったり、失敗をしたり、人の信用を失ったとき、
ずしんとお腹にくるものがあります。
まるで余分な臓器が一つ増えたみたいに圧迫されます。
余分な臓器は少しずつ根を張って、他の臓器の中に取り込まれていきます。
不安の境界線がぼやけて影響範囲が分からなくなります。

挑戦している人ほど味わうことの多い感覚だと思います。

そうなったときにできることは「今ここから何ができるか」を考えることです。
大抵の場合引き返すことはできないし、後悔することは何もしないとの変わりません。

先週はSTAP細胞関連のニュースを受けて、
メディアや当事者である法人を批判する記事がソーシャルメディア経由でいくつか流れてきました。

僕は「メディアや小保方さんの周囲がどう対応すべきか」ということより、
「自分が小保方さんの立場だったらどうしよう」ということを考えました。
時の人として持ち上げられて、落とされる。
自分がいつかそうならないとは限らないと思ったからです。
想像を絶するストレスだと思います。
自分の家族、親族、友人、恩師、あらゆる知り合いの信頼を一度に失う(少なくとも本人にはそう思える)出来事を直視するのは難しいと思います。

しかし引きこもっていても何も進みません。
どんなに言い訳をしてもバッシングはなくならないでしょう。
状況を良くするためには「今ここから何ができるか」を考えるより他ありません。
それは研究として不十分だった点を検証することかもしれないし、
海外のポスドクにでもなって再出発することかもしれない。

お腹にずしんと来たときに立ち向かう。
取り返すには、そういう強さを持つ必要があると思います。