ウェブにおける情報発信の難しさ | 酒井聡の一億総経営者

ウェブにおける情報発信の難しさ

最近ベンチャーナウというメディアで記事を書き始めました。
スタートアップやデザイン、ウェブサービスに関する記事を中心に寄稿を続けていきます。
ウェブサービスを運営していく上で、個人としての情報発信力を強めていくことが目的です。

記事を書き始めてNewsPicksなどで他の著者が書いた記事寄せられるコメントを見る目も変わりました。
そこから感じたのは「ウェブで情報発信することの難しさ」。
僕は以前情報誌の編集の仕事をしていましたが、情報誌のような紙媒体と違って、ウェブ媒体には必ず双方向性がついてきます。
記事を書けばTwitterやNewsPicksで様々な方がその記事についてコメントを付けます。
考えが浅かったり言っていることが間違っていると、当然指摘が入ります。
厄介なのは、十分に推敲された記事でも逆風を受けるケースが多いことです。

そもそも記事というのは方向性を持っています。
記事は大抵の場合、何か特定の事実かメッセージを伝えることを目的としています。
そこに「こういう見方もできるよね」とか、あえて抽象性を高めて書いているのに「個別例を見たらこういうことも起きている」というような、記事のフォーカスからずれたコメントが入る。
そして記事の揚げ足を取ったコメンテーターは何だか賢く見えます。

分かりやすくするために極端な例を挙げますが「企業を大きくする上で採用ではこのようなことに気をつけた方が良い」という主旨の記事に対して「そもそも企業を大きくすることが正しい判断とは限らない」というようなコメントが付けられることは著者として本意ではありませんが、そういうことが現実にかなり起こっています。
記事はあえて視点を絞ることで方向性を持たせて書いているため、そこから視点を広げられるとどうとでも言えてしまうのです。
当然上記の例では「企業を大きくしたいという目的性があること」が前提として記事は書かれています。
コメンテーターはその枠の範囲内でコメントを付けないとフェアとは言えません。
枠を出る場合は、そのことを明記した上で書かないと記事読者全体のミスリードを生みかねません。
(紙媒体の場合は読者はコメントを付けることを念頭に記事を読んだりはしないので、視点を広げたりフォーカスをずらされたりといったリスクはずっと小さいように感じます。)

記事を書く側は、記事の方向性や前提について触れることでミスリードされるリスクを減らす必要があるのだと思います。
メッセージは正しく伝わらないと意味がないため、伝えるための努力は欠かせません。
その難しさを感じつつ、記事のテーマを考えている今日この頃。

ある程度の読者がついた書き手はこの問題に直面して、苦悩して、結果的に主旨の明瞭さ等でより質の高い記事が世の中に増えていくのではないかなと思います。