『僕にとっての』 再生可能循環エネルギー | アリス高崎障がい者就労継続支援

アリス高崎障がい者就労継続支援

群馬県高崎市にある障がい者就労支援施設です。
心の病の方が主に利用しています。
安心感と楽しさと仲間同士のつながりの中での回復を一緒に目指していける、そんな場作りを心がけています。
悩みをゆっくり話せる個人相談の時間も大切にしています

 

 

『僕にとっての』 再生可能型循環エネルギー


アリス高崎
ブログ担当 N です


ある日、1人の男性メンバーが、
みんなのためにと、お昼休みにたくさんのミニケーキを買ってきてくれました。

みんなで喜んでおいしくそのミニケーキをむしゃむしゃと食べました。

 

 

持ってきてもらったケーキには

 

「みんなに少しでも笑顔になってもらいたい」

 

という想いが込められているのがはっきりと伝わってきました。






こうした精神の病や障害を持って通う人たちの施設においては、
皆、それぞれがそれぞれに、
心の重荷を抱えています。


「みんなに喜んでもらいたい」


と思って、


「みんなに少しでも幸せな笑顔になってもらいたい」


と思って、

ケーキを持ってきてくれた人も、

そしてそれを喜んで美味しく食べている人たちも、

それぞれにそれぞれの心の重荷を抱えています。

生きづらさの葛藤や深い悩みを抱えています。


だからみんながそれぞれの心で、
その持ってきてくれたケーキに込められた『想い』を、
それぞれに感じながら、
むしゃむしゃと美味しく食べてくれたんじゃないのかなって、

見ていてそう思いました。



だってみんな嬉しそうな笑顔で

「ありがとね〜」

って言ってたから。



みんなが食べた後、
まだ2つだけケーキが残ってました。

残ったケーキは外箱の段ボールごと冷蔵庫にしまっておきました。


夕方、帰り間際に冷蔵庫の中に入っている段ボールの中のケーキのことを思い出して、

賞味期限を見ると本日まででした。

その日のうちに食べないとだめだから、残った2つのケーキのうち、
一つは僕が食べて、
もう一つは誰か他の職員に食べてもらおうと思いました。

でも…でも…なんといいますか…みんな職員たちもそれなりの年齢の人たちであったり…それなりの体脂肪率であったり……等々のこれまた、それぞれのご事情を抱えてまして、甘いものを食べられないという背景がありました…


と言うことで、
じゃぁ残った2つのケーキとも、僕が1人で食べさせてもらっちゃおうということになりました。



職員もみんな帰った後、誰もいない施設のキッチンで灯りをつけて、
1人で2つのケーキをむしゃむしゃと食べていました。

ケーキを一気に2つ食べるなどという事は、なかなか贅沢なことです。


贅沢なことなんだけど…
この世の中において、たいていの贅沢なことっていうのはあんまり体に良くなかったりするんですよね…

つまり食べ過ぎってことです。


「あれ?…僕は甘いものが好きだし、痩せているから、糖質とか脂肪とかあんまり気にしてないからいいんだけど…
他の人にとって食べ過ぎたら良くないってものは…
それはやっぱり僕にとっても体に良くないものなんじゃないのかなぁ…?…」


そんな思いが頭の中にプカリと浮かんできました。


つまり
夕ご飯前に、1人で2つのケーキをむしゃむしゃと食べているという行為についての疑問です。


でもその次の瞬間にすぐにまたこのように思いました。


「いや!
そうじゃないな!
その食べているものが何であるかということを越えて、
その食べられているものの中に込められている 『意味』 をしっかりと受け止めて、
そこに込められている 『想い』 をしっかりと受け止めて、
 『それを感じて食べた食べ物』 は絶対に自分の体の中でエネルギーになるな!
そこにある大切な想いの意味を受け止めて、
感謝して味わって食べた2つのケーキは、
僕の中で数値を超えて、
数値では表されないような、
僕を生かすエネルギーに還元されていってくれるんだろうな、」


しみじみとそう思い直して、
2つ目のケーキをむしゃむしゃと食べていました。


誰もいない灯りの消えた暗くなった施設の中で、小さく灯されたキッチンの明かりの下で、僕はむしゃむしゃとケーキを食べていました。

1つ目のケーキを食べ終えて、
そして2つ目のケーキをむしゃむしゃ食べていました。

嬉しさと感謝を込めて、
胸の内で見えない手を合わせるようにして、
そんな想いで、
チョコレートケーキと、白クリームのフルーツケーキをむしゃむしゃと食べ終りました。



食べ終わったら、
残ったのは、
たくさんのケーキを包んでくれていた外箱の段ボールでした。


「この段ボール、どうしようかなぁ…?」

と僕は思いました。

「よし!この段ボールは家に持って帰ろう!」

と僕は思いました。

「そして、燃えないゴミの日に我が家から出そう!
1度アリスから我が家に持ち帰って、
自分の手で、
燃えないゴミの日に、不燃物ゴミ置き場の場所に、
『再生エネルギーの一環』
として、この段ボールを出そう!」

そう思いました。


持ってきてもらったケーキ。
そのケーキの中に込められている、

「ケーキを食べて、みんなに喜んでもらって、少しでも笑顔になってもらいたい」

という
『想い』を感じたなら、

そのケーキを包んで囲ってきてくれた、その段ボールの意味もしっかり感じたかったのです。


そしてそのエネルギーを感じて、
そしたら、
その感じたエネルギーは、ちゃんとまた社会に還元して循環させていきたかったのです。


再生可能型循環エネルギーとしたかったのです。


『誰かが誰かの幸せを願う』
という再生可能型循環エネルギーとして社会に戻したかったのです。





こうした障害者の就労支援施設においては、それぞれのエネルギーは『労働』という形で、
社会に循環させていくことが1つの目的でもあります。

でもそれぞれの存在を社会に還元させていくという方法は、必ずしも選択肢は『労働』のみではないと思うのです。


こうしていただいたエネルギーをむしゃむしゃと食べて、
それを自らの体内に取り込み、新しい心のエネルギーにして循環させていくこと。

そして、こうして 『想い』 や 『願い』 を込めて、持ち寄ってきてくれたケーキを包んで来てくれたダンボールの、そのエネルギーを
ちゃんと社会に還元させて循環させていくこと。

こういうことの一つ一つも、
また大切なそれぞれのエネルギーを社会に循環させていることになると思うのです。


見える世界の『労働』という名前の社会循環だけではなく
見えない部分での再生可能循環エネルギーとなっていると思うのです。




今、再生エネルギーが大変な世界的な規模の課題になってますよね。

脱炭素というのが大変な世界的な課題となってますよね。

地球温暖化問題が避けられない切羽詰まった問題になっているからですよね。

だからこないだ世界的な環境会議であるCOP26という会議が開かれたわけですものね。


《世界のラストチャンス!》

そんな言葉が見出しにされてましたね。


開催国であるイギリスの首相は演説で

「世界滅亡まで残された時間はあと1分だ!」

と事態の深刻さを語っていましたね。


COP26で出された成果は、それなりにちゃんと意味があったものだと思うけど、
では 

《世界のラストチャンス》 

という言葉に対して、
ちゃんと応えられるほどの成果があったかというと…おそらくすごくそこには疑問符が残ったんじゃないのかなぁって思うんですよね。

でも疑問符が残ったからと言ったって、
こんなに大きな問題に対して、僕ら一市民が、一人一人としてできることなんて…たいしたことなくて…それをやったからって抜本から世界が変えられるような、別にそんなものないなぁっ…ってのもよくわかっちゃいますよねぇ…

問題の根があまりに大きすぎるから。

でも…でも…だからこそ

 

「自分としてできることっていうのが何なのか?」


ってのをやっぱり僕は僕なりに考えるわけですよね。


そうすると
『僕にとっての』
再生エネルギーってなんだろう?…って考えたり感じたりするわけです。

『僕にとっての』
社会に循環させたいエネルギーってなんだろう?…って考えたり感じたりするわけです。


家に持ち帰って、燃えないゴミの日に出す段ボールの大きさは、縦20センチ、横30センチ位の小さな段ボールです。

その段ボールが燃やされたって、再生されたって、
別に世の中は変わらないってことは知ってます。

でもなぜだかわからないけれども…僕はもう一つ別なことを知っているような気がするんです。

想いを込めて、願いを込めて、やった行為の奥には、
数値化されないような結果が出てくるってことを。


そんなことを…僕は…または我々は…もしくは人間というものは、
なぜだか知らないけど、知っているような気がするのです。



『仲間たちの幸せを願って買ってきたケーキ』

を包んでくれていた段ボール。

そこにはエネルギーがきっとあると思うんです。

そしてそのエネルギーを感じて、
その感じたエネルギーをもう一度社会に循環させたいと強く願って、
そうして不燃物置き場に出されたその段ボールからは

ちゃんと新しい再生エネルギーが放出され、世界に循環されていくと思うのです。

どんなエネルギーが再生されて循環されていくかっていうと

あのケーキに込められていたように

誰かの幸せを願うエネルギー

だと思います。




そこに生まれたエネルギーを、もう一度社会にちゃんと還元させて循環させて、誰かの心と命を再生させていきたい

と、そんな風に願うのです。


それが70億分の1人の一市民としての

『僕にとっての』
この世界に向けられた
再生可能型循環エネルギー


となっていると思うのです