市川由紀乃:雪の煌き「冬隣」(ちあきなおみ)
作詞:吉田旺、作曲:杉本眞人ちあきなおみさんの1988年に発売したアルバム「伝わりますか」に収録された曲です。「冬隣」は冬近し等と同じで、秋でも冬がすぐそこまで来ている晩秋の季語で、私も大好きな季語です。同じように冬の終り、晩冬の季語で「春隣」という美しい季語もあります。秋の終りの夜更けに、焼酎のお湯割を呑みながら、若くして亡くした伴侶、或いは恋人を偲んで、しみじみと歌う歌です。歌詞には叱りにおいでよ来れるならあなたを怨んで呑んでますきれいな笑顔が憎らしい等、怨みつらみの言葉が並びますが、それは恋しさあまりの言葉でしょう。怨みや悲しみよりも少し諦めの気持ちの入った寂しさをしんみりと、そして恋しさを強く歌うのが相応しいのだろうと思います。ちあきさん、由紀さおりさん、由紀乃さんはそのことを踏まえて、しんみりと歌っており、この曲はそういう曲で、それがこの曲の魅力であることをよく理解している歌唱です。夜更けに慣れない酒を呑みながら、パートナーの不在をしみじみ嘆き、恋しがる大人の女性が見えてこなければなりません。お三方は、その光景が目に浮かぶようなしんみりとした、そして共に美しい声で音楽的に完成度の高い歌唱を実現しています。ちあきさんは焼酎、さおりさんはワインで、由紀乃さんはノンアル水割りだったりして・・・wこの歌詞は、旦那さんが亡くなられてから、公に姿を見せないちあきなおみさんのあのエピソードとその後の彼女の今と重なり合って考え勝ちになってしまうことが、とても残念で悲しいことです。<冬隣 市川由紀乃><冬隣 ちあきなおみ(本人歌唱)><冬隣 杉本眞人(本人歌唱)>・他カバー歌唱<冬隣 五十川ゆき><冬隣 中澤卓也><冬隣 大江裕>