市川由紀乃さんの輝き:「好きになった人」(都はるみ)
「好きになった人」(都はるみ)作詞:白鳥朝詠/作曲・編曲:市川昭介1968年に発売された都はるみさんの37枚目のシングルです。100万以上のミリオンセラーを記録するヒット曲となり、都はるみさんの代表曲として、コンサートの最後には観客席に降りて歌われます。1984年に「普通のおばさんに戻りたい」と引退(5年後に復帰)を表明して最後のステージとなったその年のNHK紅白でも大トリ曲の「夫婦坂」歌唱後に、「紅白史上初のアンコール」としてこの曲が歌われました。都はるみさんは、アンコール曲であるこの曲の1コーラス目では、大粒の涙を流したまま声が詰まって全く歌えず、他の歌手たちがはるみさんを囲んで大合唱してましたが、それでも2コーラス目には白組司会の鈴木健二アナウンサーや他の歌手達の催促もあって、最後の力を振り絞るように声を震わせながら歌唱しました。ということで、本当に惜しまれつつ引退しました。その映像を是非見たくて検索したのですが、NHKのチェックが厳しいのか、見つかりませんでした。でも、引退ラストコンサートと紅白前日にTBS系TVで放送されたさよならコンサートの映像があり、ファンのアンコールの声に舞台に出てきて感極まって涙している場面や市川先生を始め演歌界の仲間達の突然の出場に涙する場面があり、それ見ると都はるみさんがどれほど多くの人々に愛されていたのかがよく分かり、こちらまでジーンと来てしまいます。ところで、市川由紀乃さんのこの曲のカバーですが、この人の歌唱力の凄さを思い知らされます。出だしから張りのある力強い歌声で、市川先生直伝の様々な歌唱技法全開の圧倒的な歌唱です。ただ強いだけではなく、木目細やかで多彩な表現を随所に織り込んでいて、非常に高レベルで内容の濃い、他のカバーとは別次元の歌唱となっており、都はるみさんに文字どおり肉迫しています。由紀乃さんは恩師の市川先生の作品を歌うときはギアが一段上がるようで、他の追随を許さない見事な歌唱を見せ付けます。お二人の歌唱を聴くと、市川昭介先生が日本の演歌界に残されていった足跡の大きさをしみじみと感じます。まさに演歌の真髄とも言うべき宝物のような歌唱法です。市川由紀乃さんには、市川演歌の最後の正統な継承者として、是非とも、都はるみさんのトリビュートアルバムをリリースして欲しいと願っているのは、私だけではないでしょう。<「好きになった人」 市川由紀乃>・本人歌唱<「好きになった人」 都はるみ(本人歌唱)初回録音版>この輝くような歌声が日本の津々浦々まで響き渡り、人々を虜にしました。<「好きになった人」 都はるみ(本人歌唱)><「好きになった人」 都はるみ(本人歌唱)再録音版><「好きになった人」 都はるみ(本人歌唱)>引退ラストコンサートでのアンコールシーン<「男が惚れなきゃ女じゃないよ」 都はるみ(本人歌唱)>1984.12.30 TBSテレビ「さようならコンサート」・他カバー歌唱<「好きになった人」 杜このみ><「好きになった人」 伍代夏子+坂本冬美><「好きになった人」 丘みどり><「好きになった人」 森山愛子><「好きになった人」 美月優>