市川由紀乃さんの輝き:「逢いたいなァあの人に」(島倉千代子)
「逢いたいなァあの人に」(島倉千代子)作詞:石本美由起/作曲:上原げんと1956年に発売された島倉千代子さんの曲で、120万枚の大ヒット曲となり、この曲で始めてNHK紅白歌合戦に出場した、島倉さんにとっても記念的な曲です。この曲を歌う市川由紀乃さんの映像は、八代亜紀さんがMCを務めていたBSのテレビ番組に由紀乃さんがゲスト出演されたときのものだと思われますが、優しく柔らかい歌い出しから始まって一曲を通して、美しい高音であくまでも優しく、あくまでも柔らかく、いたわるよう歌声の歌唱で、そのとろけるような弱音の美しさは他に類を見ないほどのものです。こんなに柔らかく優しくうっとりするような繊細な歌唱の出来る歌手は、歴代・現役を通じて、私は知りません。弱音のコントロールというものは余程難しいものなのだろうと思われますが、市川由紀乃さんの一音一音を歌い分ける繊細で優れた音感の良さと、音の美しさにこだわって歌うための正確な声帯コントロール、そしてそのような歌唱を志す高い音楽性がそれを実現させているのだろうと思われます。ワンコーラスが終わったところで、八代さんが思わず「由紀乃ちゃん、良いよ!」って声を掛け、コロッケさんに「良いよね。」って念を押していますが、あんなに柔らかに歌えることに対するプロ歌手としての偽らない賞賛なのだと思います。何回も言いますが、八代亜紀さんもですが、由紀さおりさん、五木ひろしさん、都はるみさん、森進一さん、小林幸子さん、吉幾三さん・・・、歌謡界の大御所達がこぞって賞賛する市川由紀乃さんの歌手としての才能の高さは、我々素人には、うかがい知れないほどのものなのだろうと思います。<逢いたいなァあの人に 市川由紀乃>