<ゆきの「FLOWER・SONGS」>
1:すみれの花咲く頃(宝塚歌劇団)1930年
2:東京の花売り娘(岡晴夫)1946年
3:夜来香(李香蘭/山口淑子)1950年
4:からたち日記(島倉千代子) 1958年
5:アンコ椿は恋の花(都はるみ)1964年
6:白い色は恋人の色(ベッツィ&クリス) 1969年
7:赤いスイートピー(松田聖子) 1982年
8:ハナミズキ(一青窈)2004年
9:マリーゴールド(あいみょん)2018年
10:花 (藤井風)2023年
11:花わずらい(市川由紀乃) 2023年
春爛漫、花の季節となりました。
日本には「花」を歌う歌が数多くあります。
この季節に相応しい、花を題材にした名曲を集めて、市川由紀乃さんの花のように美しい歌声で綴る<ゆきの「FLOWER・SONGS」>という企画はいかがでしょうか?
四季折々に咲く日本の花たちの美しさを、インターネットに乗せて世界中に届けるような、素晴らしい発信になるのではないのかなと思われます。
これもやはり、将来のアルバムリリースを視野に入れつつ、当面はユーチューブでの配信とCD販売を前提としない音楽限定配信の形で、全世界的に、そして国内でも全世代的に普及しているスマホを通じて発信するのがいいのかも知れません。
この企画も「SAKURA・SONGS」と同様、第一興商音源による一発撮り的な録音と、ブルーバックを背にした動画収録で、背景はそれぞれの花の映像、もしくは画像でも良いのかと思われます。
また、世界中の人々に向けて発信するので、歌詞については、ユーチューブでの翻訳機能への対応は非常に重要なものと思われます。
ビジュアル的には少し拘って、出来ればそれぞれの曲を表現するデザインの和装、或いは曲によっては洋装も考えられます。
創作着物のスポンサーさんから提供されている由紀乃さんの優雅な着物姿も、演歌歌手の中でも群を抜いた大きな魅力となっていますが、洋装についても他のアパレルメーカーさん等からのスポンサー的協力ということは考えられないのでしょうか?
徳光アナウンサーが番組の中で由紀乃さんを「演歌界のスーパーモデル」と紹介してましたが、身長170cmでスタイル抜群のモデルのような由紀乃さんは、和服だけでなく洋服の広告塔として大きな魅力を持っているものと思われます。
<ゆきの「FLOWER・SONGS」>
1.「すみれの花咲く頃」(宝塚歌劇団)
作詞:フリッツ・ロッター(ドイツ語原詞)/作曲者:フランツ・デーレ
1928年にベルリンで上演されたレビューの劇中歌「再び白いライラックが咲いたら」として発表されたものであり、当時、渡欧中の宝塚歌劇団の演出家が日本に持ち帰り、1930年(昭和5年)に宝塚歌劇団の劇中歌として使用されました。
当時の宝塚歌劇のレコードとしては異例の大ヒットになり、その後永きに亘って、宝宝塚歌劇団を象徴する歌として定着しました。
なお、スミレは宝塚市の花でもあります。
花の歌というとこの曲を思い起こすほど、不思議な魅力のある曲で、華麗な宝塚のステージが目に浮かぶからなのでしょうか?
すみれ色のドレスで宝塚のスターのように、というのはどうでしょうか?
2.「東京の花売り娘」(岡晴夫)
作詞:佐々詩生/作曲:上原げんと
昭和21年(1946年)に戦前から戦後にかけて活躍した流行歌手で愛称は「オカッパル」と呼ばれた岡晴夫さんの歌唱でヒットした曲です。
岡晴夫さんは太平洋戦争終結後、独特の明るいビブラートのかかった歌声が平和の到来や開放感に充ちた時代とマッチし、「東京の花売娘」「啼くな小鳩よ」「憧れのハワイ航路」など相次いで大ヒットを飛ばし、昭和20年代を代表するスター歌手として、近江俊郎さん・田端義夫さんとともに「戦後三羽烏」と呼ばれました。
岡晴夫さんの明るいビブラートのかかった歌声は由紀乃さんにも共通するような気がします。
3.「夜来香」(李香蘭=山口淑子)
作詞(原詞)・作曲:黎錦光(日本語版意訳詞:佐伯孝夫)
もとは中国の歌謡曲で、1944年に、満洲映画協会のスターであった李香蘭さんの歌唱により上海で中国語版が発売されました。
「夜来香」とは、甘い香りを持つ花をつけるキョウチクトウ科植物の名です。
日本に帰国後、李香蘭から名を改めた山口淑子さんが1950年に日本語版セルフカバーを発表しました。
由紀乃さんの柔らかく澄んだ高音にうっとりするような歌唱です。
4.「からたち日記」
作詞:西沢爽/作曲:遠藤実
1958年に発売された島倉千代子さんの代表曲の一つで、2013年に発売されたラストシングル「からたちの小径」は、「可愛らしい島倉さんのイメージ」が印象に残っていたという南こうせつさんが、この曲からタイトルを付けて楽曲制作をしました。
島倉さんの曲の由紀乃さんのカバーはどれも素晴らしく、後継者と言っていいのではないでしょうか?
5.「アンコ椿は恋の花」
作詞:星野哲郎/作曲:市川昭介
1964年に発売された都はるみさんの3枚目のシングルで、都はるみさんにとって初めてのヒット曲であり、ミリオンセラーとなり、この曲で第6回日本レコード大賞の新人賞を受賞しました。
1990年時点での売上は130万枚と、「演歌」という音楽ジャンルの誕生を象徴する楽曲であると思います。
ちなみに、アンコとは「姉こ」から転じた呼称のようです。
さすがは市川演歌の真の継承者としての由紀乃さんは、美しいコブシを転がすような歌唱で、現代の市川演歌の見本のような歌唱です。
6.「白い色は恋人の色」(ベッツィ&クリス)
作詞:北山修/作曲:加藤和彦
1969年に発売されたアメリカ人女性デュオのベッツィ&クリスよるフォーク曲ですが、作詞・作曲は、ザ・フォーク・クルセダーズのメンバーだった北山修さんと加藤和彦さんが手がけており、ベッツィ&クリスの二人の美しいハーモニーが素晴らしく、累計売上は80万枚の大ヒット曲です。
先日、由紀乃さんがおかゆさんとのデュエットでこの曲を歌うのを見ましたが、あの難しい低音部を非常に美しくハモっており、ハモリの才能を再確認しました。
ビートルズのポール・マッカートニーのハモリは世界的に有名で、ハモリとは主旋律に対して別の旋律を合わせるのですが、相手の旋律を聴きながらその声に響きあうように別の旋律をも歌う、ということは余程の音感と音程の良さに加えてハモリの美しさを維持する音楽性の高さが必要とされるものだと思われ、非常に難しく、高い音楽的能力がないと、実現できない技術だと思われます。
由紀乃さんはそれが得意で、この曲でもそうですが、由紀さおりさんとのデュエットでも披露していましたし、カバーアルバムでの「ブルーライト・ヨコハマ」でも自身の二重録音による美しいハモリを聴くことが出来ます。
由紀乃さんの音楽的才能の高さにはいつも驚かされますが、それがあらゆる曲を非常に高いレベルで歌うことが出来るその歌唱力の秘密なのだと思っています。
この曲も全編を通して自身の二重録音のハモリで収録されれば非常に美しい楽曲になるものと思われます。
7.「赤いスイートピー」(松田聖子)
作詞:松本隆/作曲:呉田軽穂(=松任谷由実)
1982年に松田聖子さんの8作目のシングルとして発売されました。
松任谷由実(ユーミン)さん作曲による聖子ちゃんへの初めての提供作であり、聖子ちゃんの曲の中で特に人気が高い曲ですが、アイドル歌謡としてばかりではなく、日本の歌謡曲を代表する傑作だと思われます。
ユーミンは作曲家としてではなく自分の知名度で選ばれる事を嫌って、作曲者名にペンネームである″呉田軽穂″を使用しており、ユーミンの知名度に頼らずに大ヒットしました。
当時、日本国内において、スイートピーに「赤い」スイートピーは存在しないと思われていて(実際には1800年頃に既に、赤系統の品種は存在していた)、この曲がヒットしてから、鮮やかな赤いスイートピーが品種改良されて、日本国内に流通するようになりました。
素晴らしいメロディもですが、松本隆さんの具体的な言葉を用いた歌詞により、「春色の汽車」を待つ駅のホームの状況が目に浮かぶようで、「心の岸辺に咲いた」赤いスイートピー、などという傑出した比喩には、深く心を動かされます。
聖子ちゃんのミルキーヴォイスに由紀乃さんも挑戦して欲しい一曲です。
8.「ハナミズキ」(一青窈)
作詞:一青窈/作曲:マシコタツロウ
2004年に一青窈さんの歌唱によりリリースされた曲で、「花」を歌う曲としては欠かせないものと思われます。
瑞々しい曲想ながら、その歌詞には明らかにアメリカ同時多発テロ事件や、タイタニック号沈没のエピソードを念頭にした比喩が含まれていると感じていましたが、やはり、「アメリカ同時多発テロ事件発生時、ニューヨークにいた友人からのメールをきっかけに、一週間ほどで書いた詞であった。」ということで、ハナミズキの花の美しいイメージの裏に一青窈さんの深い嘆きの感情が横たわっていて、それがこの曲に深みを与えているのだろうと思われます。
一青窈さんの美しい反戦歌と言っていいのかも知れません。
9.「マリーゴールド」( あいみょん)
作詞・作曲: あいみょん
2018年にメジャー5枚目のシングルとして発売されたあいみょんさんの代表曲です。
この曲は『第69回NHK紅白歌合戦』での歌唱曲でもあり、Billboard JAPAN調べによると、2019年6月の集計時点で、そのストリーミング累計再生回数が1億回を突破し、Billboard JAPANがストリーミング集計を開始して以来、日本国内アーティスト初の達成となり、その後も2020年2月には2億回を突破、同年10月に3億回を突破しました。
現時点では、「マリーゴールド」のYouTubeでの公式ミュージック・ビデオ再生回数は、3.5億回を突破しています。
ただ、この曲のサビのメロディが1997年に発売されたコンピュータゲームのゲームソフトのBGMに酷似しているという指摘がなされており、確かに似ていますが、子供の頃にしたゲームの音楽が記憶されていて、無意識にそれが閃いたのかも知れず、優れた音楽家の音に対する記憶力の高さは凡人には比較にならないものであり、かのモーツァルトが門外不出の教会音楽を一度聴いただけで、帰宅後に正確に楽譜に記録したという逸話があるほどです。
また、モーツァルトの傑作である「レクイエム」の中の有名なある主旋律が、少し前の作曲家の「レクイエム」の旋律に瓜二つというのも有名な話で、それによってモーツァルトや彼の「レクイエム」の評価が下がったなどと聞いた事もなく、重箱の隅を突くような不毛な指摘は控えて、創造を生業とするアーティストに対してはもっと寛容になるべきでしょう。
逆に、見捨てられてた古いコンピュータゲームのBGMが「マリーゴールド」という数億回も再生される曲となって新しい命を吹き込まれたと考えるべきでしょう。
そもそも、創造とはゼロからは生まれず、伝統をその出自に拘らずに異種混淆的に取り入れて再構築することであり、現代のJ‐ポップの先頭を走る音楽家達は全てそのようにして新しい音楽を生み出しているのです。
10.「花」(藤井風)
作詞・作曲:藤井風
2023年に藤井風さんの11作目の配信限定シングルとしてリリースされた曲で、同年10月より放送開始されたテレビドラマ『いちばんすきな花』主題歌となった曲です。
藤井さんの歌詞はいつも、美しい比喩を用いながらも、観念的で哲学的な想いをその中に込めているような気がしますが、この曲も、「花」に喩えているのは自分の心の中にある「理想」や「憧れ」のようなものであり、それを追い求める欲求や挫折、諦め、そして立ち上がる意欲など自分自身の心の中で繰り広げられるドラマを描いているように思えます。
それは人間にとって永遠の命題なのでしょうが、人生の入り口に立つ若い人々にとっては、より切実に感じられるものであり、それが同世代の支持を得ている要因なのではないのかなと想像します。
気だるくかつ、爽やかで、疾走感のあるこの曲もそうですが、藤井さんの微妙に移りゆく音程の揺れるような曲想は由紀乃さんの歌唱に合っているような気がしています。
11.「花わずらい」(市川由紀乃)
作詞:松井五郎/作曲:幸耕平
2023年にリリースされた由紀乃さんの35曲目のシングル曲であり、第65回日本レコード大賞の優秀作品賞を受賞した由紀乃さんのドラマティック演歌を代表する曲で、今現在、公式ユーチューブチャンネルにおける公式ミュージック・ビデオが214万回視聴という演歌の新曲としては群を抜く再生回数を誇っています。
圧倒されるような目くるめく映像美はこの曲のドラマティックな曲想を見事に表現しており、柔らかく艶やかに「花の歌」を歌う同じ歌手とは思えないほどで、由紀乃さんの歌手として、表現者としての幅の広さを強く印象付けています。
<ゆきの「FLOWER・SONGS」>
1:すみれの花咲く頃(宝塚歌劇団)
2:東京の花売り娘(岡晴夫)
3:夜来香(李香蘭/山口淑子)
4:からたち日記(島倉千代子)
5:アンコ椿は恋の花(都はるみ)
6:白い色は恋人の色(ベッツィ&クリス)
7:赤いスイートピー(松田聖子)
8:ハナミズキ(一青窈)
9:マリーゴールド(あいみょん)
10:花 (藤井風)
11:花わずらい(市川由紀乃)