Again
夜中なのにごめんなさいと
洗濯を回して掃除機をかけた
冷蔵庫の中を空にして流しを磨いた
植木鉢をみんな東の窓辺に移して水をあげた
またここに戻ってきたときに
大掃除と洗濯大会から始まったり
賞味期限切れと食器の山に埋もれたり
枯れた植木に嘆かないように
祈りながら
それじゃあドアを閉めるよ
ただいまと言うまで
少しだけ、バイバイだ。
四半世紀
電車に乗って通勤する日の、お楽しみ。
ひたなぼっこする水辺の生き物たちを確認。
遠目に「お、今日もいるいる・・・」と思うだけです。
でも、誰もいないと物足りない気がするのはなぜでしょう?
亀は恒温動物ではないため
甲羅を干さないと、体が冷えすぎて動けなくなってしまいます。
だから夜が明けたら、のそのそ動きだし、
よじよじ岩に登って、ただじっと太陽の熱で甲羅を干します。
ときには仲間の背中に重なっていたりして、和みます。
実にすてきな生き物です。
彼らは自然の時計を持っていて、とても長生きします。
新しい携帯電話が故障?しました。
購入店に持っていかねばなりません。
困った、こまった、コマッタ。
本日の目的地と反対方向なので嫌になります。
竹製の30cmものさしの裏には
卒業した小学校名と、私の名前が書かれています。
母の字は昔からきれいでした。すすけたカバーは手縫い。
母さんが夜なべをして作ってくれました。(たぶん)
だからじゃありませんが、大切にとってあります。
下手すると四半世紀経ってますね、ええ、下手しなくても。
それにしても、5センチの穴に、マジックを突っ込んだのは誰なんだ。
付き添い
耳元をハサミが通る、
シャキシャキと金属が擦れる音。
髪を切っている私の後ろで
少し離れてあなたが座っているのを
ときどき鏡越しに見つめる。
あなたはあなたで、
大きなてるてる坊主になって
高椅子に座らされた私の変身をときどき見ている。
目が合うと照れくさい。
子どもに付き添っているお母さんと並んで
鏡の向こうで見守っている、成人男子が一名。
私たちがとても仲良しなのは間違いないけど
いい歳した大人の組み合わせだと
けれども、ちょっとおかしな風になる二人連れ。
待っている方は退屈かと思いきや
たまに変な顔をして笑わせてくるから愉快。
「髪形を変えたら一番に見せたい」は
もとよりかなっている。
まやかし
舌の奥にできた口内炎がすくすく育ち、喉と耳までヒリつくここ数日。
今度のは場所が悪いけど、ピークは越えた模様です。
昨日と一昨日、自転車に乗ったのでノルマ達成、
(梅雨~真夏は週に2回ジテツーがかなえば合格)
本当は、今朝のように曇天ならば乗りやすいけれど
帰りに雨が降りそうなときは、タイヤが細く泥よけもないし
スリップの危険もあるため乗りません。
そうそう。
思い立って、4年以上使っていた化石携帯から機種変更をし
テレビでまだCMが流れているような最新モデルを手にしました。
信じられない進化ですが、退屈知らずの情報量に
電車に乗るときの友になりそうな予感。
学生時代はまだ、ポケベルなんてものがあったのに、
なんだかすごい、歳もとるわけです。
水曜日、もう月末。
自転車で汗をかくのは非常に健康的なのですが、
当然、身体も“健康的に”睡眠を欲します。
やるぞ~・・・なことを片付けたいのですが
体力不足なのか、やたら眠くて持続しません。
連絡しなくちゃいけない人もいるのに、惰性に負けます。
物事をリスト化しないとすぐに忘れそうです。
どげんかせんと(古)です。
暑さに参って、自販機で買った「レモン水」は
無果汁なのに「天然レモンの・・・」とコピーがついていました。
ちなみに原材料には「レモンエキス(天然)」とありました。
果汁じゃないエキスって、何なのさ?と、細かいことが気になります。
果皮を蒸留でもしたのでしょうか。まあいいか?
でも、言ってしまえば文字の世界のみならず
そういう「グレー」な表現が、ときには必要だったりもするし
大人の事情を、あえて分かりにくく有耶無耶にしたりもします。
シュガーレス、シュガーフリー、ゼロカロリー、でも甘い。
そんなまやかしが、たくさんあります。
寝覚め
ゆうべから明け方にかけて3本の夢を見ました。
そのうち最後のひとつは後味の悪いものでしたが
実際にそういう場面に出くわしたときにどう振る舞うべきか
ケーススタディとして予習できたからよしとします。
玄関先で上着を羽織るかどうか悩み
デスクの引き出しに埃っぽいカーディガンが置きっぱなしなので
寒ければそれを着ようと思い、手荷物を増やしませんでした。
そのかわり左肩のかばんにお弁当と飴玉と小説、右手に赤い傘。
寝覚めの良いような悪いような、1本早い電車に乗り
今日が締め切りの案件を復習しながら
横断歩道の白だけを踏みました。信号は、青です。
サマキャン2011
真っ青な空、レジャー日和の3連休。
日・月曜日を利用して、旧津久井郡に位置するキャンプ場へ
おなじみのメンバーで繰り出しました。
朝8時に出発したものの渋滞で午後に到着。さっそく設営開始です。
大型のテント2つとタープ、テーブルと椅子、ランタンがたくさん。
汗だくになってセッティングが終わる頃、
口々に飛び出す「あービール飲みたい!」はかなり切実です。
グリルと七輪で、お肉だけじゃなく干物も燻製も登場。
まるごとホイルに包んだ野菜も、皮つきのままのトウモロコシも
じっくり調理されて、とても甘くなります。
せせらぎと小滝の音、歓声、夕方にヒグラシ。川で冷えているボトルたち。
ひたすら焼いている人、ひたすら食べている人、赤い顔で寝ている人、
自然に囲まれたら、誰も時計を気にしません。
太陽が傾き、暗くなればキャンドルを灯します。
眠たくなったら転がります。正気の人は翌朝に備えて片付けます。
アドリブで打ち合わせなし。それでも上手に回るもの。
「去年よりグレードアップしてる気がしない?」
確かにそうかもしれません。
分担制にした食材が、一手間かかってかなり贅沢に変身。
食にこだわるだけで、かなり充実度が違ってきます。
皆さん、下ごしらえがバッチリなので、
私のようなビギナーには実践的な勉強になります。
ベテランさんに触発され、いろいろ揃えたくなったりして。
「前より役に立つようになってるじゃん?」と、言われたい。
今年の夏は長そうです。
それにしても、普段見慣れている友人たちのはずなのに
それぞれのパートナーと一緒に戸外に出ているところに密着すると
どの組み合わせにも個性があって面白いものです。
独特な掛け合いや、二人だけのルール、共通の部分が垣間見られますし
息の合ったツーカーだったり、ちょっとした諍いと仲直りがあったり
こういうところをお互いに気に入っているんだろうな、という光景を
少し離れたところで眺めては、なるほどなぁと一人頷き笑います。
キャンプに限らず、非日常的な要素を盛り込んだときに
相手のことを魅力的だと思える発見(その逆も然り)や、
意外な素顔を見せあえることが円満の秘訣なのでしょうか。
「せーの!」でテントを組み上げる、仲良しカップル。
いいなぁと遠い目で見ていたら
「ちょっと、そっち持って!!」とたしなめられました。
ゴメンナサイ(笑)。
少しずつ満ちるもの
金曜日の月夜はとても晴れていました。
約束もないまま、一人二人、三人余人。
ふらり自然と集まり、流れのまま顔を合わせた人たちと
満月に誕生日を迎えた小さな巨人を祝うべく
グラスがなくても、こぶしを上げて乾杯。
子どもの誕生日は、当然「子どもが生まれた日」なのですが
それと同時に母や父の誕生日でもあると思います。
だからこの日は子どもが主役であり、生み出した親もまた主役。
友というは気持ちの良いものです。
実はちょっと久しぶりでしたが、そんなことは関係ありません。
居心地の良い仲間は、いろんなところに散らばっているのに
再会すれば瞬く間にここにいるのが当たり前だったのだと思える。
何と言うか、その「しっくり来る感じ」をシェアするために
理由もなく、ときどきに会いたくなるのです。
何か話したいこと、相談したいことがあるというより、ただ会いたいだけ。
黙っていても大丈夫。無言の対話が落ち着きます。
別れ際にハグをしました、母の匂いがしました。
人は不思議と、自然に良い匂いをまとっています。
人工的な香水とは違う、あたたかなその人なりの匂いがあります。
気配だとか、雰囲気だとかいうものでしょう。
やさしい空気に包まれたいという望みは動物的な感覚で
幼い頃、お気に入りのブランケットで昼寝する幸福が誰にでもあったように
大人になっても、切なくなるほど胸に押し寄せてくるのです。
あまりにも美しい月を見上げ、いろいろなことを思いました。
近くで同じ月を見ている皆のことはもとより、
遠くで、同じ空の下にいる大切な仲間のことを。
生きている、湿った汗の匂いを。
★
プレゼントの包みの中に入っているものは些細なものかもしれません。
けれど、その物を誰かのために選ぶときに、
ああでもない、こうでもないと
相手の喜ぶ顔を見たい一心で吟味しているときの想いこそが
本当に、その人にあげたかった贈り物なのだと思います。
表面的に華やかなものや、見せかけの物事には
それほど興味が湧きませんでした。
自分やパートナーがどれほど富と名声を得ているとか、
どこのブランドの服を着て、どんな車に乗っているとか、
どんな仕事をしているとか、その宝石が幾らするのかよりも
ただ、それが本物であると見抜く審美眼だけあれば十分でしょう。
おみやげに貰った、昔ながらの黒砂糖のお菓子。
「これがおいしいから、ぜひあなたに食べてほしくて」と
お気に入りの味を紹介してくれたことが、嬉しかった。
そういえば、雰囲気が変わったと言われました。
もしかしたら確かにそうかもしれません。
人に言われて気付いたのですが
強い引力で、引っ張り出されてきたようです。
ありがとう、いつもいつも。
見えない壁
ショッピングモールのガラス張りのエントランスに
スズメが一羽入り込んでいました。
ガラス越しに見える空に向かって何度も何度も羽ばたいては
ごつんと鈍い音を立てて、見えない壁にぶつかり、ぽとりと落ちるのです。
見るからに力なく弱っているようで、小さなからだが震えていました。
ときどき人が通ると自動ドアは開くのですが、
すぐに閉まってしまうし、スズメにはそんなこと、分からないのでしょう。
なんとか外に出してあげようと思いました。
自動ドアの真ん中にカートを挟み、スズメに話しかけます。
「おーい、外はこっちだよ。」
チチチと、鳴きまねをしても反応せず(当たり前か。)
こちらは必死だというのに、まだ飛び出してはガラスにぶつかり
床に落ちてはもがきます。もうやめて、と思います。
自動ドア近くまで、ようやく追い込んだにもかかわらず、
今度は開閉に巻き込まれそうになり、ハラハラしました。
野生の生き物にはできるだけ触れないように・・・とも言ってられません。
角で丸まったスズメをつかみました。
観念したのか、あまり抵抗せずに手中におさまったスズメは
きっとまだ飛び方を覚えたばかり。羽の色も淡く、とても華奢でした。
軽くてほのかに骨ばり、やわらかであたたかい繊細な生き物を
外に放ってやりました。
ガラスの中から外の世界を見れば、そこに何の隔たりもないかのよう。
けれども確かに、すんなりと通り抜けられない、見えない壁がありました。
スズメにしてみれば、何故かわからないけれど思うように飛べず
何度も痛い目にあって、自由を奪われ、衰弱していくばかり。
気をつけないと、そういう世界は人の国にはたくさんあるみたい。
見えない壁が、見えない小鳥。
外に出られてよかった。




