【夕顔399-2】基本の動詞の活用☆
イラスト解釈では
源氏物語イラスト訳で出てきた古文の
入試対応オリジナル問題を掲載しています☆
源氏物語イラスト解釈
【これまでのあらすじ】
天皇(桐壺帝)の御子として産まれ、容姿・才能ともすぐれていた光の君は、幼くして母(桐壺更衣)を亡くし、臣籍に降下、「源氏」姓を賜り、左大臣の娘葵(あおい)の上を正妻にもらいました。一方、帝の後妻である、亡き母によく似た藤壺宮(ふじつぼのみや)への恋慕、そして、中流の女空蝉(うつせみ)との一夜限りの情事、プライドの高い六条御息所(ろくじょうのみやすんどころ)との逢瀬…。光源氏は尽きせぬ恋を重ねていくのでした。
ただ今、「4.夕顔」の巻です。17歳の光源氏は、五条にひっそり住まう夕顔の君に恋をし、彼女を廃院に誘いますが、夕顔は物の怪に襲われ急死してしまいます。失意の中、喪も明け、光源氏はかつて関係のあった人妻の空蝉へ、そして一夜の逢瀬であった軒端荻へと、想いを馳せつつも、夕顔の四十九日を迎えました。
【今回の源氏物語】
かの夕顔の宿りには、いづ方にと思ひ惑へど、そのままにえ尋ねきこえず。右近だに訪れねば、あやしと思ひ嘆きあへり。
↑
―――――――――――――――――――
☆ 古文オリジナル問題~動詞の活用~☆
―――――――――――――――――――
かの夕顔の宿りには、いづ方にと思ひ惑へど、そのままにえA尋ねきこえず。右近だにB訪れねば、あやしと思ひ嘆きCあへり。
問)傍線部ABCの文法説明の組み合わせとして最も適当なものを選べ。
1.A ナ行四段活用動詞の已然形
B ラ行下二段活用動詞の未然形
C ハ行四段活用動詞の已然形
2.A ナ行下二段活用動詞の連用形
B ラ行四段活用動詞の已然形
C ハ行四段活用動詞の已然形
3.A ナ行下二段活用動詞の未然形
B ラ行下二段活用動詞の連用形
C ハ行下二段活用動詞の連用形
4.A ナ行下二段活用動詞の連用形
B ラ行下二段活用動詞の未然形
C ハ行四段活用活用動詞の已然形
5.A ナ行下二段活用動詞の連用形
B ラ行下二段活用動詞の連用形
C ハ行下二段活用動詞の已然形
古文読解は、
次の3つを定着させることが大前提です。
■古文単語
■古典文法
■古文常識
今回は、基本の「古典文法」でございます。
古典文法のなかでも
動詞の活用は、高校1年生のしょっぱなに学習しますよね。
…古文嫌いの多くの受験生は
ここで、挫折してしまうんですよね~;;
ただ、
動詞の活用をなんとかして覚えないと
あとの助動詞や古語の識別ができないぉ!
実際の入試問題で
上のような基本の動詞の活用が出ることは
めったにないけれど…
それでも、
動詞の活用は、何とかして覚えてしまいましょうね。
えA尋ねきこえず。
Aの「尋ね」という動詞の直後に
「きこえ(きこゆ)」という謙譲の補助動詞があります。
用言(動詞・形容詞・形容動詞)に接続しているので
Aの「尋ね」は連用形です。
連用形が「e」なので、
これは、四段ではなく、下二段活用ですね。
えA尋ねきこえず。
1.A ナ行四段活用動詞の已然形
2.A ナ行下二段活用動詞の連用形
3.A ナ行下二段活用動詞の未然形
4.A ナ行下二段活用動詞の連用形
5.A ナ行下二段活用動詞の連用形
右近だにB訪れねば、
Bの「訪れ」は
現代語にもありますよね。
【おとづる(音づる・訪る)】
【自動詞:ラ行下二段活用】
①音や声を立てる。
②訪問する。人を訪ねる
③手紙で様子を尋ねる。便りをする
*『全訳古語例解辞典(小学館)』より
注意してほしいのは、
直後の助動詞「ね」の識別です。
「―ねば」となっており
已然形or未然形+「ば」という接続から
この「ね」は、打消の助動詞「ず」の已然形だと分かります。
ならば…
助動詞「ず」の接続から
「訪れ」は、下二段動詞の未然形となります。
右近だにB訪れねば、
1.B ラ行下二段活用動詞の未然形
2.B ラ行四段活用動詞の已然形
3.B ラ行下二段活用動詞の連用形
4.B ラ行下二段活用動詞の未然形
5.B ラ行下二段活用動詞の連用形
あやしと思ひ嘆きCあへり。
これは、直後の助動詞「り」の接続がポイント☆
「さみしい・リカちゃん」ですね!
つまり、Cの「あへ」は
下二段じゃなく、四段の已然形ってことです。
あやしと思ひ嘆きCあへり。
1.C ハ行四段活用動詞の已然形
2.C ハ行四段活用動詞の已然形
3.C ハ行下二段活用動詞の連用形
4.C ハ行四段活用動詞の已然形
5.C ハ行下二段活用動詞の已然形
ほら、ね。
基本の動詞の活用は
たんに覚えるだけじゃなく
助動詞や古語にも深くからんでいるのですよ!
偏差値を上げるためには
この基本事項の定着は必須ってコトです。
【答え】…4