【夕顔273-2】基本の敬語☆偏差値52☆
長期にわたって受け継がれてきた古典は、
読む価値のあるものが多いです。
特に、世界でも受け入れられている『源氏物語』は
ゼッタイ外せませんね!
源氏物語イラスト解釈
【これまでのあらすじ】
天皇(桐壺帝)の御子として産まれ、容姿・才能ともすぐれていた光の君は、幼くして母(桐壺更衣)を亡くし、臣籍に降下、「源氏」姓を名のり、左大臣の娘葵(あおい)の上を正妻にもらいました。一方、帝の後妻である、亡き母によく似た藤壺宮(ふじつぼのみや)への恋慕、そして、中流の女空蝉(うつせみ)との一夜限りの情事、プライドの高い六条御息所(ろくじょうのみやすんどころ)との逢瀬…。光源氏は尽きせぬ恋を重ねていくのでした。
ただ今、「4.夕顔」の巻です。17歳の光源氏は、五条にひっそり住まう夕顔の君に恋をし、彼女を廃院に誘いますが、夕顔は急死してしまいます。部下の惟光(これみつ)に後始末をさせ、光源氏は茫然自失のまま二条院へ戻ります。宮中からの使者などが見舞いにやって来るなか、光源氏は頭中将を簾越しに呼び、参内できない理由を伝えます。
【今回の源氏物語】
日暮れて、惟光参れり。かかる穢らひありとのたまひて、参る人びとも、皆立ちながらまかづれば、人しげからず。
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☆ 古文オリジナル問題~偏差値レベル52 ☆
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日暮れて、惟光A参れり。かかる穢らひありとBのたまひて、参る人びとも、皆立ちながらCまかづれば、人しげからず。
問)傍線部の説明として最も適当なものを、次の中から1つ選べ。
1.A 尊敬語 光源氏への敬意
B 謙譲語 惟光への敬意
C 謙譲語 人びとへの敬意
2.A 謙譲語 光源氏への敬意
B 謙譲語 惟光への敬意
C 謙譲語 帝への敬意
3.A 尊敬語 光源氏への敬意
B 尊敬語 光源氏への敬意
C 尊敬語 光源氏への敬意
4.A 謙譲語 人びとへの敬意
B 尊敬語 光源氏への敬意
C 謙譲語 帝への敬意
5.A 謙譲語 光源氏への敬意
B 尊敬語 光源氏への敬意
C 謙譲語 光源氏への敬意
敬語の組み合わせ問題は、
大学入試、特にセンター試験では必須です。
Bの「のたまふ」、Cの「まかづ」は、
敬語の種類ともとの動詞が決まっている敬語なので、
覚えておくべき基本の敬語と言えましょう!
(o´・ω・`o)ノ
【のたまふ(宣ふ)】
【他動詞:ハ行四段活用】
①おっしゃる(「言ふ」の尊敬)
②言い聞かせる。申し聞かせる
【まかづ(罷づ)】
【自動詞:ダ行下二段活用】
①退き去る。退出する。おいとまする(「退く」「去る」の謙譲)
②参ります。出かけます(「出づ」「行く」の丁寧)
※Weblio古語辞典より
②の意味は、センター試験ではほとんど問われません。
したがって、まずは基本の①の意味を押さえます。
1.B 謙譲語 惟光への敬意
C 謙譲語 人びとへの敬意
2.B 謙譲語 惟光への敬意
C 謙譲語 帝への敬意
3.B 尊敬語 光源氏への敬意
C 尊敬語 光源氏への敬意
4.B 尊敬語 光源氏への敬意
C 謙譲語 帝への敬意
5.B 尊敬語 光源氏への敬意
C 謙譲語 光源氏への敬意
選択肢123を選んでしまったあなたは、
偏差値50を切っちゃいますので、
もう一度、敬語の種類から、覚え直してね!
(σ・∀・)σ
次に、敬意方向の確認です。
今回のABCは、すべて地の文なので、
作者からの敬意です。
これは、選択肢で問題になってませんね!
問われているのは、
誰への敬意か、つまり敬意対象です。
ヽ(*'0'*)ツ
かかる穢らひありとBのたまひて、
尊敬語の「のたまふ」は、
主語に対する敬意です。
イラスト訳では、②の「申し聞かせる」意で訳していますが、
いずれにせよ、光源氏に対する敬意ですよね!
1.B 謙譲語 惟光への敬意
2.B 謙譲語 惟光への敬意
3.B 尊敬語 光源氏への敬意
4.B 尊敬語 光源氏への敬意
5.B 尊敬語 光源氏への敬意
参る人びとも、皆立ちながらCまかづれば、
謙譲語の「まかづ」は、
動作の受け手に対する敬意です。
見舞いにやってきた人々が、
光源氏の邸である二条院から「退出する」意です。
したがって、どこから退出したのか、というのが動作の受け手となり、
二条院の主である光源氏への敬意です。
(σ・∀・)σ
1.C 謙譲語 人びとへの敬意
2.C 謙譲語 帝への敬意
3.C 尊敬語 光源氏への敬意
4.C 謙譲語 帝への敬意
5.C 謙譲語 光源氏への敬意
おっとここで、選択肢4が消えました!
あとは、選択肢5が本当に正しいか、確認するだけですね。
これが、偏差値52レベルなんです。
【まゐる(参る)】
【自動詞:ラ行四段活用】
①参上する。うかがう。お仕えする(「行く」の謙譲)
②(神社・寺院などに)お参りに行く。お参りする。参詣する(「行く」の謙譲)
③(天皇・皇太子の妃として)おそばに上る。入内する(「行く」の謙譲)
④参ります(「行く」「来」の丁寧)
【他動詞:ラ行四段活用】
①差し上げる。献上する。奉る(「与ふ」の謙譲)
②してさしあげる。奉仕する(「す」「仕ふ」の謙譲)
③召し上がる。お食べになる。お飲みになる(「食ふ」「飲む」の尊敬)
④なさる。おやりになる(「す」の尊敬)
※Weblio古語辞典より
「参る」は、基本的には「行く」の謙譲語ですが、
時々、尊敬語の意味にも用いられ、
しかも、そこが大学入試によく出題されるので注意が必要です。
ですが、今回は…
日暮れて、惟光A参れり。
文脈上も、「来」の謙譲語で間違いないですよね!
もちろん、敬意対象は、光源氏のもとへ、です。
1.A 尊敬語 光源氏への敬意
2.A 謙譲語 光源氏への敬意(○)
3.A 尊敬語 光源氏への敬意
4.A 謙譲語 人びとへの敬意
5.A 謙譲語 光源氏への敬意(○)
【正解】…5