【夕顔227-2】敬語問題~偏差値55レベル問題☆
敬語…特に謙譲語が出てきたら、敬意方向に注意しましょう!
けっこう間違いやすい謙譲語ですが、慣れたらサクサク見抜けます。
偏差値55レベルですよ♪
源氏物語イラスト解釈
【これまでのあらすじ】
天皇(桐壺帝)の御子として産まれ、容姿・才能ともすぐれていた光の君は、幼くして母(桐壺更衣)を亡くし、臣籍に降下、「源氏」姓を名のり、左大臣の娘葵(あおい)の上を正妻にもらいました。一方、帝の後妻である、亡き母によく似た藤壺宮(ふじつぼのみや)への恋慕、そして、中流の女空蝉(うつせみ)との一夜限りの情事、プライドの高い六条御息所(ろくじょうのみやすんどころ)との逢瀬…。光源氏は尽きせぬ恋を重ねていくのでした。
ただ今、「4.夕顔」の巻です。17歳の光源氏は、惟光(これみつ)の実家の隣家にひっそり住まう夕顔の君に執心し、女の家で一夜を明かした後、彼女を廃院に誘いますが、夜半、夕顔は物の怪に襲われて急死してしまいます。
【今回の源氏物語】
この男を召して、
「ここに、いとあやしう、物に襲はれたる人のなやましげなるを、ただ今、惟光朝臣の宿る所にまかりて、急ぎ参るべきよし言へ、と仰せよ。…」
↑
――――――――――――――――――――
☆ 古文オリジナル問題~偏差値レベル55 ☆
――――――――――――――――――――
この男をA召して、
「ここに、いとあやしう、物に襲はれたる人のなやましげなるを、ただ今、惟光朝臣の宿る所にBまかりて、急ぎC参るべきよし言へ、と仰せよ。…」
問)傍線部A~Cの敬語の説明として、間違っているものを一つ選べ。
1.Aは尊敬語で、BとCは謙譲語である。
2.作者からの尊敬表現は、Aのみである。
3.BとCは、光源氏の自敬表現である。
4.A~Cはすべて、本動詞である。
5.A~Cはすべて、光源氏への敬意表現である。
古典文法の最終ハードルと言われる敬語☆
基本的には、
よくマニュアルにあるように、
● 誰からの敬意か
⇒地の文ならば、作者から
⇒会話文ならば、話し手から
● 誰に対する敬意か
⇒尊敬語ならば、主体(主語)に対して
⇒謙譲語ならば、客体(目的語・補語)に対して
⇒丁寧語ならば、読者(聞き手)に対して
と見分けます。(σ・∀・)σ
しかしながら、
会話文になると、けっこう敬語の用い方が一定じゃなかったり、
今回のように、会話文の中に会話文が含まれる場合もあります。
ヽ(*'0'*)ツ
なので、
マニュアル丸覚えではなく、
たくさんの古文にあたって、
どういう場合にどうなるのか、慣れていってください。
ヾ(o´C_`o)ノ!!
この男をA召して、
「ここに、いとあやしう、物に襲はれたる人のなやましげなるを、ただ今、惟光朝臣の宿る所にBまかりて、急ぎC参るべきよし言へ、とD仰せよ。…」
A:「召す」…「呼ぶ」の尊敬
(作者から、光源氏への敬意)
B:「まかる」…「行く」の謙譲
(光源氏から、光源氏への自敬表現)
この2つは、大丈夫でしかね?
敬語の種類は、覚えたらいいだけのやつ。
もし分からなかったら、まずは基本の敬語を覚えなおしましょう!
Bの自敬表現は、「えっ?!」って感じですが、
きちんと法則どおりに考えたら、おぼずとそうなりますよね。
さて。
今回ムズかしいのは、Cの「参る」です。
この男をA召して、
「ここに、いとあやしう、物に襲はれたる人のなやましげなるを、ただ今、惟光朝臣の宿る所にBまかりて、急ぎC参るべきよし言へ、とD仰せよ。…」
Cの直後に、引用の格助詞「と」がありますので、
Cを含む部分「急ぎ参るべきよし言へ」は、
会話文の中の間接会話文
といえるでしょう。
ならば、Cを含む「急ぎ参るべきよし言へ」は、
この男(滝口の武士)が、
惟光に対して随身に伝えさせる、
光源氏の命令部分なのです。
C:「参る」…「来」の謙譲
(随身から光源氏への敬意)
…まあ、間接会話文内なので、
誰からの部分は、ちょっと曖昧ですけれど、
選択肢をみると…
1.Aは尊敬語で、BとCは謙譲語である。
2.作者からの尊敬表現は、Aのみである。
3.BとCは、光源氏の自敬表現である。
4.A~Cはすべて、本動詞である。
5.A~Cはすべて、光源氏への敬意表現である。
Cを、光源氏の自敬表現とするのは、
ちょっと無理がありますよね;;
ちなみに、会話文最後の「仰せよ」は、
今回の場合は、敬語ではありません。
【仰す(おほす)】
【他動詞:サ行下二段活用】
①命じる。言いつける
②おっしゃる(「言ふ」の尊敬語)
※Weblio古語辞典より
「この男(=滝口の武士)」に、光源氏が敬意を払うのは、おかしいですからね。
【解答】…3