【心理学】人はなぜ見て見ぬふりをするのか?
少し遅くなりましたが、2月の「心理学講座」です。今回は集団心理の中の【傍観者になる心理】をご紹介します。
◆見て見ぬふりはなぜ起こるのか?
人ごみの中で、泣いている迷子がいるのに、つい、声をかけずに通りすぎてしまったという経験はないでしょうか?
これは【傍観者効果】と呼ばれる心理です。
傍観者効果は、社会的手抜きのように「周りにも人がいるから自分一人くらい助けなくても、何とかなるだろう~」という気持ちから起きます。
【集団心理】周りに合わせる心理(2023/11/3)
また、手助けをしない周りの人の行動が、その場では適切なもののようだと受け入れてしまうことも原因の一つです。(同調)
さらに、「困っている人を助けることで、周りの人から加害者なのか、とみられてしまうのを恐れる気持ちもあるようです~」(心理学者)
★傍観者効果についての実験
傍観者効果については1968年、アメリカンの心理学者ジョーン・ダーリー(1938~2018)とビブ・ラタネ(1937~)が実験を行っています。
1部屋に被験者の学生が一人で入り、マイクつきのヘッドフォンを使って、別室に一人ずついる学生たち(サクラ)と大学生活について話し合います。
すると、サクラの一人が話をしている最中に発作を起こすという設定です。実験監督者はこの話し合いを傍聴していません。
さらに発作を起こしたサクラが話をしているとき、被験者を含むほかの学生たちの声は互いに届かない設定になっています。
この時の被験者の行動をみると、実験に参加していたのが発作を起こすサクラと被験者だけだった場合、85%の被験者が、発作が終了するまでに実験監督者のところに走り、事態を報告しました。
ところが、被験者と発作を起こすサクラの他にもう一人、実験参加者がいた場合、この数は62%、4人の実験参加者が話し合いに参加していた場合は31%にまで減ったのです。
行動を起こす時間も、実験参加者の人数が多くなるにつれ、遅くなりました。
よく、都会は田舎よりも、困っている人を見ても助けない「冷たい人」が多いと言われます。
アメリカの心理学者ロバート・チャルディーニ(1945~)は、都会は田舎よりも人が多く、知り合いも少なく、騒々しくて事件かどうかを見極めることが困難なため、田舎よりも傍観者効果が起きやすいことを発表しています。(転載終了)
(参考図書)ゼロからわかる心理学(別冊ニュートン)
「東京の人って冷たいよね」と言われる理由
★過去記事