有名建築家による一等地の中古マンション。
誰もがうらやむその家はしかし、とんでもない欠陥住宅だった! 上手くいくはずの改修工事は新旧住民の様々な思惑が絡み合い、混沌の様相を呈していく。デザイナーズマンションに人生を振り回された人々の胸中にあるのは、幸福か、絶望か、見栄か、プライドか。誰もが身につまされる、終の住処を巡る大騒動。『おっぱいマンション改修争議』改題。
(新潮社作品紹介より引用)
色々な実生活の知恵まで教えてくれて、なおかつ面白いストーリーの原田ひ香さんの小説は、書店に並んで入るとつい手に取り、ふむふむと吟味してしまう。で、本書を購入したのは、自分も十数年前に中古マンションを購入し、おそらく「終の棲家(通常はこの表記だと思う)」になるだろうと思っているから。
そして、本書ではマンションの改築を巡って住民による管理組合の話し合いが行われる様を描いたストーリーという点に惹かれた。なぜなら自分、初めてマンションの管理組合の総会への出席を予定していたからである。今までは、議長一任の委任状で済ませていたのであるが、働き方改革(大げさ!)を行い、午前中に時間が取れるようになったため、管理組合ではどんな話し合いがされているのか興味もあったので。
総会の初出席では、些末な質問の他は全て賛成挙手を行い、無事終了したのである。まあ、自分など委任状で十分な存在であるが、やはり時間が取れるならば出席した方がいいかなと思った次第。質疑応答などで、疑問なことも(他の方の発言により)分かったこともあるし、今後の修繕の方向なども聞いておいた方が良い事も。もちろん大事な件は文書で各戸に配布されるから心配は無いけれども。
さて、本書である。
管理組合の会議のシーンももちろんあるが、この奇抜なデザインのマンションを設計した故人である天才的建築家やその娘、会社を継いだ設計者の元部下、そして各戸の所有者たちの、個人個人のマンションに対する思いや、設計者とのかかわりが掘り下げて書かれてあり、まさに住まいはその人の個人史であるなという感じ。
そして、住まう人たちも年齢を重ねるが、建物もまた老朽化する。
その時に、自分たちの住まいをどうするのか、区分所有者が多いだけに意見をまとめるのは難しい事だろう。
またこのマンションには、まるで埋め込まれた時限爆弾のようなある案件があった事から、関係者の思惑が複雑に絡み、物語の面白みが増している。
自分の住まうマンションも古いので、いずれは解体して新築し直すという事もあるのだろうか。その時に自分たちが生きて住まっているかは分からないが、所有者の一人としてこのような大事な件を話し合う会議に出席する事もあるやも知れない。
終の棲家で呑気な暮らしが続いて行くのかは、本当に定かではないなあ、、、
春分の日も過ぎたので、パッションフルーツの新葉が伸びて来ました
根本からも小さいのがぴゅんと出て来た!これ大きな枝になりそう~
ローリエの葉っぱも沢山出てきて、嬉しいです