思ってたんと違う!映画『新聞記者』2019 | アディクトリポート

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思ってたんと違う!映画『新聞記者』2019

 

ネタバレはありませんが、

ご覧になってから読んだ方がいいとは思います。

映画『新聞記者』は、この記事を読むよりも何万倍もオススメです。

 

 

『新聞記者』

2019/7/1 イオンシネマ越谷レイクタウン スクリーン5 D-8

 

 

この映画については、

映画『主戦場』

鑑賞時の予告で初めて認知。

 

イオンシネマでようやく6/28から公開されたので、

勇んでみましたよ。

でもって、

公開までには茨(いばら)の道があっただろうに、

よくぞここまでという行動力には称賛を惜しまず、

内容も力のこもった重要作です。

 

ただしこの1作で、

今の事態を完全逆転挽回しようなんて思っちゃいないのもわかる。

 

なにせタイトルが『新聞記者』って、

全然「攻めて」ませんよね。

 

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それもあって、

だからラストが、(※言いませんけど)

ああだったんだとも納得。

 

なぜなら、「あってはならない」事態が延々と続き、

一向に改善されない状態には、

そうならしめている元凶があり、

それがなくならない限り、

その状態が変わるはずもないんだから。

 

と言うところを突かないと、

問題が解決するわけがなく、

そこらへんもリアルと言えばリアル。

 

文句があるんなら自分でやれば?

と言われればまさにその通りで、

それについては稿を改めるとして、

「これを映画化しよう」との思いつきから、

幾多の障壁を乗り越えて、

可能な限り最新の題材をぶつけて来たことには、

ひたすら敬意しかない。

 

たとえば主役の女性(シム・ウンギョン)の日本語が若干たどたどしく、

その理由が

作劇中の人物設定で母親が韓国人※カーソルをあててPCでお読み下さい)だからで、

モデルは東京新聞の望月衣塑子(もちづき・いそこ)記者のはずなのに、

まったく異なる人物像に置き換えたのは、

望月記者自身が、劇中の番組内に本人として客演するため、

あえて別の人物像を据えて混同を避けたというのもあるけど、

主役をコスモポリタン(多国籍人)にすることで、

日本の国情に影響されない(対立するどちらの側にも属さない)ように、

という配慮でもあったらしい。

だけどそんな遠廻りしなければならなかったのは、

実情は日本人の女優が、

誰もこの役を引き受けてくれなかったからではないのか?

 

いや、脇役レベルなら、

『空母いぶき』に続いて、

また本田翼が出てましたけど。

 

でもって、この翼さん。

どんな問題作でも、臆せずホイホイ出てくれるのはいいんだけど、

いつでも映画本来のトーンを大きく崩す。

 

といっても、

彼女の出演映画は、

本作『新聞記者』と

『空母いぶき』しか観てないですけどね。

どちらも緊迫した状況のムードを和らげる目的で出てるっぽいんだが、

なんだか彼女の出演場面って、

劇的効果が上がらずに、

そこだけ時間のムダって気がして仕方ない。

 

この大根演技じゃ、

とうてい本田翼に『新聞記者』の主役の女性記者役はつとまるわけがない。

 

『新聞記者』出演俳優についてもう少し語れば、

主役の松坂桃李は立派に大役をこなし、

この手の「社会派問題映画」の常連、

太陽の蓋』(2016)

111

響 -HIBIKI-』(2018)

に続いて、北村有起哉も出演。

 

顔つきこそフット後藤みたいでも、

本田翼とは正反対に、この人が出ると、

映画に緊張感が増す隠れた名優だと思う。

 

 

オトコを上げた高橋和也も良い役どころ。

同じ「高橋」でも高橋努という俳優は初めて認知したが、

寺門ジモンみたいだった。

 

と、かように些末な部分に気が削がれるのは、

この『新聞記者』という映画が、

私が予想、期待していた内容とはいささか異なり、

今回のブログタイトルどおり、

「思ってたんと違った」から。

 

「何をバチあたりなことを!」

「これ以上何を望む?」

という声が聞こえてきそうなので、

ここからはさすがに、

映画の内容に触れざるをえないので、

先入観を与えてしまい、鑑賞の妨げになりかねないため、

必ず鑑賞後にお読み下さい。

(以下赤字部分)

 

1.フィクションと言う立ち位置

 

映画『新聞記者』は現実にかなり肉薄しながらも、

フィクションの体裁を保つためだろうか、

ところどころ現実とは異なる部分があり、

結末は架空に逸れたままで終わってしまう。

 

たとえば、特区の医大新設問題の核心は、

「総理のお友達学長の新設大学が認可されたこと」

が現実だろうに、それよりも、

「生物兵器の研究が可能な施設が建設予定」

の方が問題視されている。

 

となると、

劇中では、「生物兵器の製造施設」が大問題で、

「知人の大学認可に便宜を図った」部分はさしたる問題ではなかったように受け取られてしまう。

 

この例が示すごとく、

本作は、どこまでが現実で、

どこまでが架空かがわかりづらく、

問題はすべて架空部分にあって、

現実にはさほど問題がないと受け取られかねない。

 

この及び腰の姿勢が、

ずっと気になって仕方なかった。

 

「何言ってんの? タイトルが『新聞記者』なんだから、問題の全貌に行き着かせたり、解決の方向性を示させようなんて、過剰に期待しすぎでは?」

と感じられる方もおられましょうが、

私はある人が評ずる、チャプリンの『独裁者』に匹敵する

 

いうところまでは、とても持ち上げられない。

 

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2.『新聞記者』と『主戦場』を比べてみれば

 

じゃあ、どんな映画なら満足するのかと問われれば、

それはもちろん、

『主戦場』

 

あの映画だって、

最初は従軍慰安婦像の是非についてから始まるんで、

「それは氷山の一角で、問題の本質はそこじゃないんだけど」

と思いながら観てましたよ。

 

それでもしかし、

『主戦場』は激しく観客の心を揺さぶる映画でね。

杉田水脈とかの悪者たちのしゃべるシーンには、

とにかくイライラが募り、

スクリーンにものを投げつけたくなる衝動に駆られた。

人を苛立たせる天才なのは、

どこかの国の政権に通じている。

 

でもって、『主戦場』を食い入るように見続けていたら、

どうしても触れずにはおけない核心に、

きちんと攻め込んで行ったんで、

「いや、さすがにそこまでやるかね」

といたく感心した。

 

映画『主戦場』の出崎幹根(でざき・みきね)監督は、

本項のはじめの方で触れた、

 

なぜなら、「あってはならない」事態が延々と続き、

一向に改善されない状態には、

そうならしめている元凶があり、

それがなくならない限り、

その状態が変わるはずもないんだから。

 

と言うところを突かないと、

問題が解決するわけがなく、

 

——を重々承知していたからこそ、

しっかり核心に触れたわけで、

これを考え併せると、

『新聞記者』の迂回の手法は残念だ。

 

それでも、

敵側はよほどこたえたらしく、

『新聞記者』にサイバー攻撃? 映画公式サイトがサーバーダウン「特定のIPアドレスから集中的なアクセス」

映画を観た人なら、
「それもどうせ内調がやってるんじゃないの」と察しがつくから、
公開はたいへん有意義だったけどね。
 
それと、
現腐敗政権の手下どもの当初の反論攻撃はツイッターが標的だったと判明し、
今さらながら、私も『ハクソー・リッジ』レビュー記事2017年07月09日)の
クローキング(白抜き文字の透明化)を解除したので、そういう意味でも有意義でした。
 
 
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