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[バージャー病(閉塞性血栓性血管炎)と歯周病関連細菌との関係]


<スピロヘータ属トレポネーマ・デンティコーラ>

(Wikipedia)


東京医科歯科大学の研究調査により、バージャー病(閉塞性血栓性血管炎)の
病変部位より高率に歯周病菌スピロヘータ属Treponema denticola
(トレポネーマ・デンティコーラ)が発見されていることが報告され、
発症との因果関係が注目されている。



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<ポルフォノモナス・ジンジバーリス>

東京医科歯科大学の研究により、閉塞性動脈疾患の患者は全て歯周病を併発
していた。
患部の血管壁から歯周病関連細菌が見つかった。


閉塞性動脈疾患発症の予想メカニズムは以下の通りである。
ポルフォノモナス・ジンジバーリスを代表とする歯周病関連菌が、局所の
血管壁を損傷する。

傷ついた血管壁を修復すべく、血液凝固システムが作動する。
血小板が凝集し、フィブリンが生成されて赤血球を接着させ、防波堤が
つくらる。

歯周病関連菌は赤血球や血小板に結合して移動し、末梢の細い血管でも
血管壁を損傷させ、血液凝固システムが作動させる。
そして、毛細血管を閉塞させる。


[出典・参照]口腔病原体が誘う死のスパイラル


(横山歯科医院)


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[更年期のホルモン療法と乳がんは無関係か、既存調査に疑問符]

(AFPBB News  2012年1月17日)

発信地:パリ/フランス

【1月17日 AFP】
更年期障害の治療に用いられるホルモン補充療法(HRT)と乳がんリスクの
関連を指摘した2003年の画期的な調査は欠陥だらけで信頼できないと批判
する論文が16日、英医学誌『Journal of Family Planning and Reproductive
Health』に掲載された。


HRTはホットフラッシュ(のぼせ)や性欲減退、膣の乾燥などの更年期症状を
緩和する治療法で、エストロゲンかプロゲステロン、もしくは双方を用いる。
 

このHRTと乳がんリスクの関連を指摘した2003年の調査は、英国女性
100万人を調査対象としたことから「Million Women Study(MWS)」と
呼ばれている。

MWSでは、更年期後の英女性100万人以上に質問票形式の調査を実施。
その結果、ホルモン補充療法(HRT)を受けた女性の乳がん罹患率が高い
ことが分かり、保健当局や医師、HRTを受けた女性たちの間に不安や当惑が
広がった。

微調整された最新のMWS調査は、HRTを受けていない女性と比較して、
エストロゲンのみを用いた治療法で30%、エストロゲンとプロゲステロン
両方を用いた場合は2倍も乳がんリスクが高かったと報告している。

また、HRTの治療期間が長いほど乳がんリスクも高まる一方、HRT治療を
止めてから5年以内にリスクは通常レベルまで低下するという。



<調査手法に複数の欠陥>
だが、南アフリカ・ケープタウン大学のサミュエル・シャピロ教授(公衆
衛生学)らが執筆した論文は、「HRTは乳がんリスクを高めるかも
しれないし、そうでないかもしれない」としたうえで、MWS の調査手法には
数々の欠陥がみられ、断定的な結果を導くことはできないと厳しく批判して
いる。

複数あるという欠陥の1つとして、論文は、調査開始からわずか2~3か月に
乳がん発症がみられている点をあげた。
調査を始めた時点で、すでに乳がんを発症していた女性たちも、新たな
発症者として数えられた可能性があるという。

さらに論文は、調査への参加を打診された女性たちが、その時点で乳がん
検査を受けていた点に触れ、調査対象となった女性群に偏りがあった可能性を
指摘した。
実際、調査対象となった女性全体の乳がん罹患率は、HRT治療の有無に
関わらず、英女性平均と比べて40%高かった。

論文は乳がん発症までに数年はかかるといわれるのに、調査開始からわずか
1~2年で、これだけ多くが乳がん発症が見られることは「生物学的に
ありえない」と疑問を呈している。


こうした批判について、MWS調査を主導する英オックスフォード大学の
リチャード・ペト教授(統計学・疫学)は、AFPの取材に対し、20件もの
調査研究が同様の結果を再現しているうえ、HRT治療の減少による乳がんの
低下にも貢献してきたと、Eメールで回答し、論文の主張に反論した。


http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2851346/8316688













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[大病院に行くなら紹介状]

(朝日新聞  2011年10月10日)(内科医・酒井健司の医心電信)


前回は、大病院での初診時に7千~1万円程度の追加の患者負担が求められる
ようになるかもしれないという話をしました。
現時点ではあくまでも案に過ぎず、今後はどうなるかまだわかりません。

その話とは別に、既に現在でも、大病院に紹介状なしで受診すると、追加
料金を求められることがあります。
選定療養と言います。

厚生労働省のページによれば、「病院と診療所の機能分担の推進を図る観点
から、病床数が200床以上の病院において、他の医療機関からの紹介無しに
初診を受けた患者について、選定療養として、初診に相当する療養部分の
費用を患者から徴収することができ・・・」とあります。

ちなみに、各医療機関で値段をつけることができ、平成21年7月時点で、
平均1,900円、最高8,400円、最低105円とのことです。

「病院と診療所の機能分担の推進を図る観点・・・」などと言われると
わかりにくいですが、要するに、「診療所でも診れる病気で大病院には
なるべく受診しないでください。どうしても受診したいのなら、追加料金を
支払ってください」ということです。

患者さんの中には、大きな病院が好きで、普通の風邪であってもいきなり
大学病院を受診するような方もおられます。

医師には応招義務があり、正当な理由がなければ患者さんからの診察の希望を
断ることができませんから、そういう方も診察を受けることはできます。
ただ、そういう方が多くなりますと、医療者が忙しくなりすぎて、大学病院で
しか診れない病気の患者さんの診療に支障が出るかもしれません。
ただでさえ、大学病院の外来って、混んでいますしね。

海外には医療機関を患者さんが自由に選べない国もありますが、日本では
フリーアクセスということになっています。
患者さんの選択肢が多いという点では良いのですが、弊害として医療資源の
無駄遣いが生じます。
紹介状なしの初診の患者さんに負担を求める初診時選定療養費制度は、
緩やかなアクセス制限にはなりますが、無駄を減らすのには役に立って
います。

また、医療機関ごとに値段を設定できますので、各病院の事情を個別に反映
できます。
200床以上の病院がすべて専門的な診療を行っているわけではありません。
「ウチは別に紹介状なしの初診患者さんに受診していただいても困らないよ」
という病院は初診時選定療養費を取らないか安く設定し、「いやいや、
できれば紹介状を持ってきてもらいたいなあ」という病院は高く設定すれば
よいのです。


自己負担額だけでなく、医学的な理由からも、紹介状なしにいきなり大病院
受診するのは損である場合が多いと思います。
病気の種類が特定できていない段階では、大病院の専門医よりも、診療所の
医師のほうが診るのが得意なことが多いです。

また、「診療所に通院していてもなかなか良くならないから大病院で診て
もらいたい」と思ったときでも、それまでの経過は大事な情報ですから、
ぜひとも紹介状を書いてもらうべきです。


「なんとなく大きな病院のほうが安心」という理由で紹介状なしで大病院を
受診し、来院して初めて追加料金が必要であることを知る患者さんもいます。
「制度のことを知っていたら、近所の診療所に受診したのに」という声も
聞きます。
病院に来ておきながら、受診手続きをせずに帰られた患者さんもいらっしゃる
でしょう。

紹介状なしに大病院に受診するのは損であることをもっと知ってもらいたい
です。


https://aspara.asahi.com/blog/ishin/entry/32DsRhJPvO






















[前立腺がんPSA検査「全年齢で推奨せず」 米政府案]

(朝日新聞  2011年10月8日)


前立腺がんの検診で使われているPSA検査について、米政府の予防医学作業
部会は7日、すべての年齢の男性に対して「検査は勧められない」とする
勧告案をまとめた。

2008年の勧告では75歳以上で検査を勧めていないが、対象を全年齢に広げる
ことになる。


これまでに実施された5つの大規模臨床試験の結果を分析した結果、年齢や
人種、家族歴にかかわらず、PSA検査が死亡率を下げるとの証拠は見いだせ
なかったと結論づけた。

ただ、自覚症状があったり、前立腺がんが強く疑われたりする場合は含まれて
いない。


米国ではPSA検査は50歳以上の男性に広く普及している。
ただ検査で見つかる前立腺がんの多くは進行が遅く、放置しても寿命には
関係しない。
必要のない治療等を受けて、勃起障害や尿漏れなどの後遺症が残る人もいる。


http://www.asahi.com/health/news/TKY201110080163.html







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[世界で4人に1人が精神疾患に WHO、対策強化呼び掛け]

(共同通信  2011年10月7日)


【ジュネーブ共同】
世界保健機関(WHO)は7日、世界でほぼ4人に1人が一生のうちに
うつ病など何らかの精神疾患にかかり、患者の約半数が14歳になる前に
症状が現れ始めるとの統計を発表した。


先進国ではメンタルヘルス対策が講じられるようになったが、発展途上国
では、適切な治療を受けているのは5人に1人の割合でしかないと指摘。
加盟国に取り組みの強化を求めている。


http://www.47news.jp/CN/201110/CN2011100701001141.html
























[難病の公費負担が病院によって違うのですが・・・]

(朝日新聞  2011年12月8日)(田辺功の医療よもやま話)


神奈川の40代女性から。
「公費負担のある難病にかかっています。病院の事務から、院内の違う
診療科にかかる度に、特定疾患 (公費負担制度) が使えるかどうか、主治医に
確認するように、といわれています。全ての診療科で使える病院、一部でしか
使えない病院と、病院や主治医の考え方によって違うのは納得がいきません。
私は複数の科を受診していて、特定疾患の利用で、ある診療科の主治医と
もめ、結局、受診を控えました」



難病とは、原因不明で治療が難しく、患者も少なく、後遺症の恐れがある
慢性病のことです。
特定疾患治療研究事業は、患者さんに受診してもらい、データを集めて原因
究明などに役立てる建前で、保険の自己負担分の一部を国と都道府県で負担
する制度です。

1972年からのベーチェット病やスモンなど、現在では56疾患(病名では
約70)が指定されています。

患者さんは毎年、保健所に申請し、特定疾患医療受給者証をもらいます。


とはいっても、難病患者さんの全ての治療が適用になるわけではなく、その
病気との関連ある症状の治療に限られます。
風邪とかけがは適用外というわけです。


患者さんが受給者証を提示し、都道府県が契約した専門医のいる病院で治療を
受け、病院が公費負担分を請求します。
質問の方の指摘通り、全ての医師が同一の基準で適用、不適用を判断して
いるとはいえません。
難病自体、全ての症状が分かっているわけではないので、典型的でない症状
ほど分かれます。
一部の患者さんに現れた目まいや湿疹を、ある医師は広く難病の症状と
とらえ、ある医師は全く別の病気と見ることはあります。
また、患者さんに同情して、できる限り広く認める医師、厳格な医師で
違います。

難病の患者さんは無関係の病気も公費負担で、となると財源問題があります。
「もっと公平、客観的に」というご意見はもっともですが、どれだけ厳密な
基準を作っても、症状は患者さんごとに違い、数字のように割り切れません。
医師の考え、経験で、難病そのものの認定すら違うのが現実です。


質問のケースですが、難病の主治医に何とか関連症状と認めてもらい、他科の
医師に連絡してもらうのが1番です。
他の病院と扱いが大きく違う場合は、主治医にそうした情報を知らせ、考えを
聞くなどの地道な努力が必要でしょう。


https://aspara.asahi.com/column/yomoyama/entry/6PJKbjQE27



















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[女性と病気 読者編:6 男性も発病、気をつけて]

(朝日新聞  2011年11月1日)


男性もひとごとではない、という意見もありました。


<若い男性でもリウマチ>
34歳の息子が、4~5年前に関節リウマチを発症しました。
残念なのは、男性で若かったため、リウマチという診断がつくのが遅れたこと
です。
早期に診断がつけば、関節の破壊が防げたのにと、悔しいです。

最初は左手首が腫れて痛み、腱鞘炎といわれました。
そのうち足、腰、首などあちこちが痛み始めましたが、「足は昔の交通事故の
せい」「腰は座骨神経痛」など、それぞれにいろいろなことを言われました。
痛みのほかにも、貧血や発熱、血尿、体重の激減などの全身症状もあり
ました。

ある日、息子の友だちから、「倒れて救急車で運ばれた」と電話があり、
急いで駆けつけました。
貧血で血尿もひどく、腎臓や胃を調べましたが診断がつきませんでした。
「大きな病院で調べてもらうように」と言いながら、医師が最後に「いま、
1番困っていることは?」と聞いたので、「足が痛くて歩けない」と答えた
ところ、「リウマチかもしれない」。

結局、診断がつくまで2年以上かかってしまいました。

整形外科、内科、評判のいい接骨院と、あちこちに行きましたが、若くて男性
だったために、リウマチを疑ってくれる医師がいませんでした。
男性も、関節の痛みなどの症状があったら、リウマチの検査をしてほしいと
思います。

私自身がリウマチなのに、息子の症状にひらめかなかったことも後悔して
います。
(東京都 女性 59歳)




<原因不明の全身痛つらい>
私は男性ですが、原因不明の全身痛、そのほかにも多くの不定愁訴があり、
仕事にも就けていません。
線維筋痛症と診断されたこともありますし、身体表現性障害、脊椎関節炎、
うつ病などと診断されたこともあります。

何度も転院しましたし、何十種類もの薬や治療法を試しましたが、いっこうに
好転しません。
記事に出てきたリリカも試しました。

病名にかかわらず、原因不明の全身痛に苦しんでいる方がたくさんいる
ことを、知っていただけたらと思います。
(長野県 男性 41歳)



http://www.asahi.com/health/ikiru/TKY201110310204.html























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[栄養医学アプローチが有効であった関節リウマチ症例]


50代男性。
全身の関節が痛む。
1年前より抗リウマチ薬(リマチル)を服薬し、膝関節の痛みは緩和状態。
度々、悪寒がし、じんましんを発症する。


尿酸値が高いことから炎症が顕著であることが推定され、抗炎症の
サプリメントを処方。

他の血液データから、不足している栄養素のサプリメントを処方。
さらに、食事の摂り方の指導を行った。


半年後に症状が軽快し始め、1年後に症状はほぼ消退した。
抗リウマチ薬も必要なくなった。


(研究会症例)









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[歯性病巣感染が原因と思われた関節リウマチ症例]


40代→60代。
男性。

40代の頃は多数の虫歯と中等度の歯周病があったが、治療中断が多く、
なかなか治療が進まなかった。
関節リウマチがあり、長年リウマチ治療薬を服用していた。

50代では、徐々に抜歯する歯が増え、その度に義歯が大きくなって行った。
抜歯した歯が増えるに連れて、リウマチ治療薬の量が減少した。

60代になって、歯性病巣感染を起こす可能性のある歯は全て抜歯になった。
残っている歯のほとんどは天然歯であり、歯性病巣感染を起こす可能性は
極めて小さい口腔内環境になった。
同時期、関節リウマチが落ち着いて、リウマチ治療薬の服用が終了した。
(当院症例)



(横山歯科医院)






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[突然、妻を襲う原因不明の頭痛!]

(ダイヤモンド・オンライン  2010年3月12日)


<働き盛りのビジネスマンを襲う 本当に怖い病気>
<男性も他人事ではない更年期障害の実態>
<妻が原因不明の体調不良に 仕事も休みがちになったNさん48歳>



妻の不調が始まったのは45歳だった。
製薬会社にMR(製薬情報担当者)として勤めるNさんが残業を済ませて
自宅に戻り、夜食を食べているときのことだった。
湯のみ茶碗を差し出したNさんの妻が突然「うっ」といううめき声をだして、
床に茶碗を落としてしまったのだ。
「あなた大変・・・!左手がしびれる」

左手だけがしびれるのは、典型的な脳梗塞の前兆だ。
Nさんは「救急車を呼ぶか?頭は痛くないか?いつからだ?」と矢継ぎ早に
言葉を投げかけた。
「救急車には乗りたくないわ。最近よく左手がしびれるし、頭も時々痛いし、
ドキドキして目が覚めてしまうの。明日病院で検査するわ」と青白い顔で
答えた。
それが全てのはじまりだった。



<綿密な検査を行うも検査結果は「異常なし」?>
Nさんはその夜、妻の寝顔を見ながら途方に暮れた。
結婚が遅かったNさん夫妻の子供は、まだ2人とも小学生。
昨年他界した母親が、昼間働きに出ていた妻に代わって、家事も育児も
町内会の役員までもこなしていた。
妻は、母親が亡くなったのをきっかけに長年勤めた会社を辞め、専業主婦に
なったが、その頃から笑顔を見せることが少なくなっていた。

Nさんはもし妻が倒れたら、2人の子供をどう育てていいのかわからな
かった。
仕事を続けながら妻の看病をしていく自信もなかった。

翌朝、「妻の具合が悪いので会社を休みたい」と上司に告げ、病院に車を
走らせた。
相当待たされた後、ようやく診察室に入った妻は、循環器の医師に涙を浮かべ
ながら訴えていた。
「先生ドキドキして夜眠ることができません。また歩道橋や駅の階段を上る
だけで動悸がします。しびれは1ヵ月前から左手だけに感じます。頭も突然
締め付けられるように痛くて・・・」

その後、妻は心電図、レントゲン、血液検査、脳のCTの検査を受けた。
Nさんは、待合室でそわそわしながら待った。
しかし、検査結果は全て異常なし。
医師は言った。
「心臓や肺は問題ないでしょう。ストレスでこのような動悸が現れることが
あります。しびれや頭痛は、もしかすると首の骨の変形かもしれません。脳の
血管も詳しく診たいのでMRIを予約して受けてください。」と言われた。
その日は、薬も貰わずに自宅に帰った。

Nさんは会社にいても妻のことが気かがりで、仕事が手につかなくなって
いた。

その日も、手のこわばりと関節の腫れを気にして近所の免疫内科に行って
いた。
リウマチの専門医として有名な医師を頼って、全国から患者さんが集まる
ことを知っていたからだ。
血液検査とレントゲン、簡単な問診を受けるだけでその日は帰ってきた。
後日、検査結果を聞くため再び病院に行ったが、「異常なし」だった。

MRI検査も妻に付き添うつもりで、会社に休暇届けを出していた。
妻は、生まれて初めてのMRIに緊張していた。
耳栓を渡され、説明を受けている時点で既に泣きそうになっていた。
「具合が悪くなったら手元のボタンを押してください」という技師の説明も
上の空だった。
部屋に入って20分後、妻は青ざめた表情で検査室から出てきた
「もうダメ。心臓が口から出そう」
肩で息をしている妻を落ち着かせるために、ずっと手を握っていた。

しかし、医師から告げられた言葉は、やはり異常なし。
帰りの車で「何でいつも異常なしなの?手がしびれたり、関節が腫れたり、
突然頭痛がしたり、ドキドキしたりするのに・・・!」

妻は帰り車で2度目のパニック発作を起こしているようだった。

Nさんの妻は不眠も訴えるようになった。
「夜眠れない。でも心療内科や精神科には行きたくない」という妻を説得して
心療内科も訪れた。
医師からは「ストレスでしょう。軽い抗うつ剤を出しておきましょう」と
言われた。
「うつ病かもしれない」と思っていたNさんは薬の効果に期待した。しかし、
期待していたほど症状は改善されない。家事もできずに床に伏せがちになって
いる妻を気遣い、毎日残業もせずに自宅に帰る日々が数ヵ月続いた。そして
Nさん自身も看病疲れから、体力の限界が訪れた。



<典型的な更年期障害と判明 薬で治すことも可能>
家族だけではどうしようもなくなったと判断したNさんは、会社から姉に
電話をした。
すると、姉からは意外な言葉が返ってきた。
「それ更年期じゃない?私も40歳くらいのときに、関節が痛くて整形外科、
ドキドキして循環器、皮膚がかゆくて皮膚科、耳鳴りがして耳鼻科、めまいが
して神経内科に行ったの。そしてどこでも『異常なし』の診断で途方に
くれたのよ。近所の友人のすすめで婦人科に行って女性ホルモンを処方して
もらったら嘘のようによくなったのよ。3年くらいかかったけれど今は
元気よ。すぐ婦人科に連れて行ってあげて」
Nさんは救われた気がした。

早速産婦人科に行くと、医師は丁寧に妻の話を聞いてくれた。
「はい、典型的な更年期障害ですね。今まで大変でしたね。今はいいお薬が
あるから大丈夫ですよ」
そう話す医師の声に夫妻で涙ぐんでしまった。

それからNさんの妻は、嘘のように元気を回復していった。

MRという仕事に就きながら、自分の家族の本当の病気を見抜いてやれ
なかったことに後悔した。
更年期は汗が噴き出して、暑がったり寒がったりする症状だとしか思って
いなかった。
そんな自分の知識の無さに愕然とした。


男にも更年期があると聞く。そのとき自分は更年期と自覚できるのか全く
自信がなかった。


恵比寿で女性クリニックを開業するまのえいこ先生は語る。
「実は私も医師でありながら、自分の不調の原因が女性ホルモンの減少で
あると最初は気づきませんでした。この方のようにドキドキしたら循環器、
しびれがあったら神経内科、指先がこわばったり、関節腫れたら免疫内科に
行くことは間違いではありません。まずは気になる症状の検査をしておく
ことが重要です。更年期障害は、女性ホルモンが減少することで起こる自律
神経症状なので、全身に及んでいます。閉経前後の40代~50代の方に症状が
現れると思われがちですが、若年期にも同様の症状が現れる事があります。
これは卵巣の働きが悪いためで、20代で閉経と同じような症状を訴える方も
います。逆に70歳で自律神経失調症として同じ症状を訴える方もいます。
ホルモン剤に低抗がある方は、飲み薬だけでなく、貼り薬や塗り薬もあり
ます。正しく使えばとてもよい薬なのでぜひ気軽に医師にご相談ください」


(J&Tプランニング 市川純子)


http://diamond.jp/series/sickperson/10014/