part1に引き続き世界のフリンジティアラを紹介します。

●スウェーデン王室
①The Baden Fringe Tiara
 サンレイティアラ(Sunray Tiara)と呼ばれることもあります。1881年、スウェーデンのカール皇太子と結婚するヴィクトリア・フォン・バーデン(後のヴィクトリア王妃)へ彼女の両親であるバーデンの大公と公爵夫人からウェディングギフトとして贈られました。


ヴィクトリア・フォン・バーデン(後のヴィクトリア王妃)は現在の国王、カール16世グスタフの曾祖母にあたります。
47本のダイヤモンドフリンジから構成され、多くのフリンジティアラと同様にネックレスとしても使用できます。結婚式ではネックレスとして着用されました。
ヴィクトリア王妃はネックレスとして、ドレスの装飾品としても使いましたが、現代ではティアラ以外の使用は見られません。


スウェーデン王室の何人もの女性が身に付けましたが、ヴィクトリア王女が身に付けはじめてからは、他の女性王族が身につける機会は少なくなりました。


ヴィクトリア王女の専用と言われることもありますが、2013年マデレーン王女の結婚式で伯母のマーガレット王女が、2015年マデレーン王女の結婚式で伯母のビルギッタ王女が、2016年にドイツでシルヴィア王妃が着用しました。



②The Modern Fringe Tiara


シルヴィア王妃は1980年代後半にこのティアラを着け始めました。正確な発表や記録はありませんが、1986年の結婚10周年の記念にカール=グスタフ国王から贈られたものではないかと言われています。
このティアラはネックレスとしても使用できます。


シルヴィア王妃の娘であるヴィクトリア王女とマデレーン王女の着用は確認されていますが、その他の女性王族(カール=グスタフ国王の4人の姉等)は着用していない為、シルヴィア王妃の個人的な所有物である可能性が高いです。


2013年にマデレーン王女へウェディングティアラとして贈られ、結婚式でも着用されました。その後は、マデレーン王女のみが身に付けています。



●イギリス王室(ケント公爵家)

①The Kent Diamond and Pearl Fringe Tiara
「ケント・ダイアモンド&パール・フリンジ・ティアラ」は、フリンジティアラを櫛型で取ったもので、高さを交互に変えたダイヤモンドアップライト(1つのパールを上に載せた最も高いもの)を、丸と菱形のダイヤモンドのバンドゥーティアラにセットされています。

このティアラは、1970年代にエリザベス女王の従兄であるケント公爵エドワード王子の妻、ケント公爵キャサリン妃によって初めて着用されました。




 このティアラは様々な名前で呼ばれ、その起源については少なくとも2つの説があります。 1つ目はケント公爵夫人キャサリン妃の両親からの贈り物、または実家ワーズリー家に伝わるティアラだったかもしれないというものです。ダイアナ妃も実家であるスペンサー家のティアラを結婚式で着用し、結婚後も晩餐会等で度々着用されていました。



別の説は、それがメアリー王妃(メアリー・オブ・テック)のティアラQueen Mary's Diamond Bandeau Tiaraをリフォームされた作品であるというものです。ここからは2つ目のリフォーム説について紹介します。

Queen Mary's Diamond Bandeau Tiaraは1925年にメアリー王妃がガラードから購入し、エメラルドトッパーで着用していました。

1953年にメアリー王太后(メアリー王妃)が亡くなると、義理の娘であるマリナ王女(ケント公爵夫人)へ引き継がれました。マリナ王女の娘のアレクサンドラ王女にも数回貸し出されましたが、1961年に息子のエドワード王子の結婚相手であるキャサリン妃にウェディングギフトとして贈られました。



ケント公爵夫人キャサリン妃はQueen Mary's Diamond Bandeau Tiaraを結婚式で着用しました。


1970年代後半、ケントの公爵夫人キャサリン妃はQueen Mary's Diamond Bandeau Tiaraの着用をやめ、同じベースを持つThe Kent Diamond and Pearl Fringe Tiaraを着用し始めました。二層になっていたBandeau Tiaraの上の層を先端にパールをわあしらったスパイクに変えた、 Queen Mary's Diamond Bandeau Tiaraのリメイクだと考えられています。

2つのティアラののベースは、同一の交互の菱形カットダイヤモンドとラウンドブリリアントで構成されています。 ダイヤモンドはまったく同じサイズと形状であるように見え、ダイヤモンドがちりばめられたベースサポート(下部と上部の両方)パーツも非常によく似ています。 つまり、Queen Mary's Diamond Bandeau Tiaraの消えた部分がどうなったのかはわかりませんが、ダイヤモンドとパールのフリンジティアラを作成するためにベースが使用されたことはほぼ確実だと考えられます。


ケント公爵エドワード王子とキャサリン妃の娘であるレディ・ヘレン・ウィンザーは、1992年のティモシー・テイラーとの結婚式でこのティアラを着用しました。

 ケント公爵夫人キャサリン妃は公の公務からほとんど引退されて​​おり、このティアラ(他のティアラを含め)を長い間公の場で着用していません。将来、 ケント公爵夫妻の孫であるレディ・マリナ・ウィンザー(27)やレディ・アメリア・ウィンザー(24)等の結婚式で見ることができるかもしれません。


 
②The Kent City of London Fringe Tiara
※前回の記事で紹介したエリザベス女王所有のThe City of London Fringe Necklaceとは別のものです。

2019年のロイヤルウェディングでレディ・ガブリエラ・ウィンザーが着用しました。このティアラはケント公爵家に伝わるもので、エリザベス女王からの貸し出しではありません。


このティアラは1870年頃、ウラディミール大公妃の為に作られました。大公妃の死後、大公妃のジュエリーのコレクションの一部は売却され、プドゥコッタイ王室(インド)の統治者Martanda Bhairava Tondaiman が妻モリー・フィンクの為に購入しました。

Martanda Bhairava Tondaimanの死後、モリー・フィンクはこのティアラを含むジュエリーの一部を売却し、1934年にロンドン市の公社の手に渡りました。



モリー・フィンク(左)とケント公爵夫人マリナ王女(右)

その後、ロンドン市長と市からギリシャとデンマークのプリンセス、マリナ王女(ケント公爵と結婚)へのウェディングギフトとして贈られました。
マリナ王女はレディ・ガブリエラ・ウィンザーの祖母にあたります。


マリナ王女は結婚式では母親が所有する別のフリンジティアラを着用したという説もありますが、娘のアレクサンドラ王女、義理の娘マリー=クリスティーヌ妃、孫のレディ・ガブリエラ・ウィンザーのウェディングティアラとなりました。



現在はマリナ王女の次男マイケル王子の妻、マリー=クリスティーヌ妃が所有しており、フリンジティアラの上にさらにダイヤモンドをセッティングした様子も確認されています。




↓今回の記事の捕捉です。



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