約1週間前のロイヤルウェディング、ベアトリス王女がウェディングティアラとしてエリザベス女王からお借りした「クイーンメアリー・ダイヤモンド・フリンジ・ティアラ」が注目されました。
しかし、イギリス王室には他にも複数のフリンジティアラが存在します。また他の王室のフリンジティアラもご紹介します。



●イギリス王室

①Queen Mary Diamond Fringe Tiara

1893年、ヴィクトリア女王が孫ジョージ5世の結婚相手メアリー王女(後のメアリー王妃)へのウェディングギフトとしてダイヤモンドのネックレスを贈りました。メアリー王妃が即位して9年後の1919年に王室御用達の英国宝石商ガラード(Garrard)によってティアラに作り直され、フリンジティアラとなりました。




1936年、メアリー王太后は義理の娘であるエリザベス王妃(エリザベス女王の母)にこのティアラを贈りました。 
1947年、娘のエリザベス王女(将来のエリザベス女王)とフィリップ殿下のウェディングティアラとして貸し出されました。さらに1973年にマーク・フィリップス大尉と結婚する孫娘のアン王女にも貸し出しました。 その後、2002年にエリザベス王太后が亡くなると、エリザベス女王の所有となり、何度も着用が確認されています。2020年にエドアルド・マッペリ・モッツィとの結婚式のためにベアトリス王女にも貸し出されました。





②Queen Alexandra's Kokoshnik Tiara
1888年、イギリス国王エドワード7世とアレクサンドラ王妃の結婚25周年の記念として貴族の女性グループ(首相夫人や公爵夫人)から贈られた「クイーン アレクサンドラズ・ココシュニック・ティアラ」です。

デンマーク王室出身のアレクサンドラ王女は、妹でロシア帝室へ嫁いだマリア・フョードロヴナ (アレクサンドル3世皇后)がよく身に付けていたココシュニックティアラのデザインを望んでおり、その望みを叶える形で貴族の女性グループがガラードに依頼しました。


アレクサンドラ王妃が1925年に亡くなったとき、このティアラは義理の娘、メアリー王妃に受け継がれました。 メアリー王妃はすでに他に2つのフリンジティアラを所有していました(自身の新しく作成されたダイヤモンドフリンジ①と、アデレード王妃が所有していたダイヤモンドフリンジ③) が、このティアラはそれでもメアリー王妃のジュエリーコレクションの重要な作品になりました。 



1953年にメアリー王太后が亡くなると、このティアラは孫のエリザベス王女(後のエリザベス女王)に受け継がれました。現在、エリザベス女王が数多く所有するティアラの中でも比較的着用される機会が多いお気に入りのティアラと言えるでしょう。






③Queen Adelaide's Diamond Fringe Tiara
(George III Fringe Tiara)
国王ウィリアム4世の妃、アデレード王妃のフリンジティアラです。(ヴィクトリア女王の伯母にあたります)
ウィリアム4世の両親であるジョージ3世とシャーロット王妃が保有する宝石から作られたと考えられています。



アデレード王妃はネックレスとしてフリンジを身に付けていました。アデレード王妃は2人の王女を産みましたが2人とも育たなかった為、夫のウィリアム4世が亡くなると姪のヴィクトリア女王が即位し、アデレード王妃のフリンジを含め宝石や財産がヴィクトリア女王に譲られました。


フリンジはもともとネックレスでしたが、ヴィクトリア女王はティアラフレームに付け替えました。
(画家により、フリンジの高さが誇張されています)


ヴィクトリア女王が亡くなると、息子の妃であるアレクサンドラ王妃に受け継がれました。

アレクサンドラ王妃は、1902年の戴冠式で撮影されたポートレートで、ウエストにアデレード女王のダイヤモンドフリンジを着用しています。


メアリー王妃は1910年の夫の即位以降、フリンジティアラをを身に着け始めました。再びティアラフレームにセットし、いくつかの写真や肖像画でティアラとして着用しました。 しかし、最終的にこのフリンジティアラに満足せず、1919年に自身のフリンジティア(①Queen Mary Diamond Fringe Tiara)を作りました。


 1936年にジョージ6世が即位すると、このティアラはエリザベス王妃に受け継がれ、フリンジは再びティアラのフレームから外され、フリンジネックレスに戻りました。ジョージ6世が亡くなり、娘のエリザベス女王が即位してもエリザベス王太后が保持し続けました。
エリザベス女王はウェディングギフトとして既に別のフリンジネックレスを持っていた為だと思われます。



2002年にエリザベス王太后が亡くなり、エリザベス女王に受け継がれたと考えられますが、まだ身につけた姿は確認されていません。







●旧ギリシャ王室
マリー=シャンタル王太子妃(右)
長女のマリア=オリンピア王女(左)

The Miller Fringe Tiara
2018年、デンマークのフレデリク皇太子の50歳の誕生日を祝う晩餐会でマリア=オリンピア王女が着用されました。それまでは母親のマリー=シャンタル王太子妃以外の着用は確認されておらず、公式の発表はありませんが、このティアラはマリー=シャンタルの実家(アメリカの富豪ミラー家)がマリア=オリンピア王女の洗礼式のお祝いとして、オークションで購入した物だと噂されています。スカンジナビアの王国ではプリンセスが18歳の誕生日にティアラを受けとる伝統があります。マリア=オリンピア王女はデンマーク王女の孫でもある為、18歳でティアラを受け継いでいるかもしれません。




●リヒテンシュタイン公室
The Habsburg Fringe Tiara


リヒテンシュタインのゾフィー公世子妃


オーストリア大公カール・ルートヴィヒ(皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の弟)の3度目の妃であるマリア・テレサ・フォン・ポルトゥガルの為に1890年頃作られました。1944年にマリア・テレサが亡くなると、娘でリヒテンシュタイン公室に嫁いだエリザベート・アマーリエ大公女に受け継がれたことでティアラがリヒテンシュタインに渡りました。



<番外編>
エリザベス女王はフリンジティアラとは別にフリンジネックレスもお持ちです。

The City of London Fringe Necklace
このネックレスは、ロンドン市長、イングランド銀行総裁、および証券取引所の会長を含むグループからのエリザベス女王への結婚祝いでした。 



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