この前は日経平均の話でしたが、今日は東証株価指数です。
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東証は1950年に戦後の取引を開始しましたが、市場の動向をわかりやすくするため全体の株価を示す指標として、225銘柄で構成される東証修正平均株価を組成、前年の5月にさかのぼり公表を開始しました。
しかしその後の経済の拡大に伴い上場企業が増加したため、市場全体の動きを表さなくなってきました。
このため東証は225平均株価に変わる指数として、全銘柄の時価総額を表わす東証株価指数を組成し1968年大発会の時価総額を100として1969年から公表しています。
東証株価指数の算出式は
東証株価指数=算出時点の構成銘柄の時価総額÷1968年(昭和43年)大発会の時価総額×100
TOPIXの話をする際、他の株価指数と比べながらのほうが問題点等理解しやすいと思うので、近い時期に組成された、香港のハンセン指数と比較しながら進めます。
ハンセン指数は香港証券取引所が1964年7月31日時点の時価総額を100として算出しています。TOPIXより4年早く算出開始しています。
TOPIXの最高値は1989年12月18日に付けた2884.80で、直近1月18日の指数は734.98となり44年で7.3倍となっていますが、最高値からは4分の1になってます。
一方、ハンセン指数ですが最高値は2007年10月31日に付けた31958.10で18日の終値は19675.20となってます。
ハンセン指数はリーマンショックの影響を受けて最高値から3割以上安くなっています。しかし、それにしても東証株価指数と近い時期から算出を開始し、東証株価指数は44年で7倍ちょっとなのに、ハンセン指数は48年で196倍になってます。
香港経済はすごい勢いで成長してきたんだなあ、とずっと思ってました。
しかし、まてよ
いかに香港経済が急成長したといってもこの株価指数の裏には、なにかあるのではと考えるようになりました。
その結果わかったことですが
東証も香港も「時価総額加重平均型株価指数」計算の仕方は同じです。
となれば、計算の前提条件が違うのでは考えハンセン指数の前提条件を調べてみた。東証株価指数は東証1部全銘柄を対象にしているが、ハンセン指数は45銘柄で算出されていた。
しかも適宜銘柄を入れ替えており、最近は1年に数回に及ぶこともあります。
ではなぜ頻繁に銘柄を入れ替えるか?
これはわたしの推測だが、香港証取は構成銘柄の業績や将来性を絶えずチェックして、業績が振るわず時価総額の伸びが期待できない銘柄を外し、成長性があり時価総額の増加が見込まれる銘柄を加える。
これを繰り返せば指数の上昇が期待できる。
なぜ、こんなことをするかといえば指数が堅調に上がっていると発表して香港証取の魅力をアピールしているのではないかと
考えられます。
「ハンセン指数は1964年から時価総額が200倍になりました」「世界でも類を見ない成長市場です」。と言えば世界中からお金、人材、企業を集めることができます。
投資家の多くは経済や株価の指標の多くを見ないで、代表的な指数で判断する傾向があります。
実体経済が元気なくても新たな人やお金が集まることで再び活気が出てきます。
もちろん、指数の最大化だけでなく新たな金融商品の開発や世界各国から新たな上場企業の誘致に余念がない
こともあります。
それに比べ東証はいったいなにやってんの?と言いたいですね。
指数を組成する際になぜ全銘柄にこだわるのか、全銘柄をバスケットにすれば経済が右肩上がりの時はいいが、少し悪くなってくると指数が伸びなくなる。
その辺は東証もわかったのか、この数年新しい指数を算出、公表しているがあまり普及していない。
最近は変わったが、以前、東証のトップは大蔵官僚の天下り先になっていました。天下りの官僚は東証や日本経済の発展を考え規制緩和や、海外企業の誘致などを行うことはほとんどしません。
何かやって問題が起きると責任を取らされるので、何もしないでいたほうが保身にはいい。
野田総理はTPPでアジアの成長を取り込むチャンスだと言ってるが、思えば1980年代に東証が世界一の時価総額だった頃、アジアのベンチャー企業がこぞって、東証に上場したいと打診してきました。
しかし、東証は投資家保護を理由にこれらの申し出を門前払いにしてしまった。現在これらの企業の多くは香港や東南アジアを拠点に高い成長を続けています。
東証は何年か前にこれらの企業に声をかけが、資金や知名度は充分あるので、いまさら東証に上場するメリットはないと逆に門前払いされてしまいました。
東証が80年代にもっと真摯な姿勢でアジアのベンチャーを受け入れていたら、TPPよりもっと早くアジアの成長を享受することができただけに残念です。