以前のブログで日経平均株価が2000年4月の大幅な組替により、従来より低い株価になると書きました。
日経平均株価は日本の株式市場の代表的な指数で、国内外の多くの投資家だけでなく世界の政治・経済関係者や一般市民もその動向で、今後の日本経済や株式市場の予想を立てています。
問題は日経平均株価が組替により従来よりも低い株価となったため、事情を知らない多くの投資家や一般の人々が低い日経平均株価を見て、日本の株式市場や日本経済の先行きに過度に悲観となることです。
日経平均株価の算出式は
日経平均採用銘柄の株価合計
日経平均株価=―――――――――――
除 数
※除数の修正
日経平均採用銘柄が株式分割など、市況変動によらない株価変動があった場合、指数の連続性を保つために除数を変更します。
また、採用銘柄が入れ替えになった場合にも除数を変更して連続性を保つようにしています。
①株式分割の場合
新除数=現除数×(権利付き最終日の株価合計-権利価格合計)÷権利付き最終日の株価合計
権利価格=権利付き最終日の株価-権利落ち理論値
権利落ち理論値=(権利付き最終日の株価+払込金×有償割当率)÷(有償割当率+分割(併合)割当率)
権利落ち理論値の計算式の分母は、株式分割(併合)がない場合、分割(併合)割当率=1とします。
②銘柄入れ替えの場合
権利価格=除外銘柄の株価-採用銘柄の株価
自社株買いの場合、除数の修正は行わない。
減資の場合も除数は変更されるが、まれなケースなので説明は省きます
2000年4月15日の銘柄組換えが、その後の日経平均株価の長期低迷の大きな原因だと、この前書きましたが簡単な計算で確かめてみます。
例えばX証券取引所があり、A社株(1000円)とB社株(500円)で平均株価を算出すると
(1000+500)÷2=750円
平均株価は750円になります
ところがX証券取引所は平均株価の採用銘柄を組替えることにして、B社株(500円)を外してC社株(1200円)を採用することにしました。
B社株とC社株は株価が異なるためそのままA社とC社で新しい平均株価を計算すれば
(1000+1200)÷2=1100円
となります。
前日はAとBで750円だった株価がAとCに組換えだけで350円も上がるのは不自然ですね。
これを調整するために分母に当たる除数を変更します。
上の式に株価を当てはめていくと
権利価格=除外銘柄の株価-採用銘柄の株価
-700=500-1200
新除数=現除数×(権利付き最終日の株価合計-権利価格合計)÷権利付き最終日の株価合計
2.933333=2×(1500--700)÷1500
分母となる除数は2から2.93に変わります
これで新たな平均株価を計算すると
(1000+1200)÷2.93=750.85
85銭高いですけど多分あっていると思います
しかし、銘柄の組換えがC社株(1200円)ではなく値嵩株のD社株(5000円)だったらどうなるでしょうか
500-5000=-4500(権利価格)
2×(1500--4500)÷1500=8(新除数)
(1000+5000)÷8=750(組替後の平均株価)
今度ピタリ合いましたk
そこで、ここから問題の本質ですが、平均株価から除外されたB社は500円、新規採用のD社は5000円です。
仮に翌日の取引でA株は同じ株価の1000円としてD社は株価が過大評価されてたと1000円安の4000円で引けたとします
すると平均株価は
(1000+4000)÷8=625円となり平均株価は125円安となります。
もし組替がなかったとしてB社株と計算して見ます。同じ条件とするためにB株を400円で計算すると
(1000+400)÷2=700円となり50円安にとどまります。
旧採用のB株も新規採用のD株も同じ20%下落で計算したが、平均株価にすると75円の差が出てきます。
簡単な計算でnすが、これで組替の影響が証明できたと思っています。
日本経済新聞社は日経平均株価の構成銘柄を2000年4月に主に低位株を30外して、値嵩株中心に入れ替えた。
値嵩株を多く組み入れた結果、以前との連続性を保つため、分母の除数を約12から24と倍になってしまった。
分子が株価を維持できれば問題ないが、組替の直後からITバブル崩壊により分子の合計が少なくなった。
しかし、分母は変わらないため日経平均株価は下げ続けることになります。
もちろん株価が下がる原因はこれだけではなく、日銀の金融政策の失敗で円高・デフレが続いていることや、政府の無策、周辺国の台頭などもあります。