円高懸念再燃か、米金融緩和観測でドル売り | 株えもんのブログ

株えもんのブログ

株式投資や経済の話です


株えもんのブログ



株えもんのブログ

 外国為替市場で米連邦準備理事会(FRB)による追加金融緩和の観測が強まり、円高懸念が再燃している。日米金利差の一段の縮小を見込んで、欧米ヘッジファンドなど投機筋は1年ぶりにドルの売り越しに転じた。


 ここ数年のような「夏の円高」は乗り越えたものの、米景気の動向次第では政府・日銀による円売りの市場介入が視野に入る可能性も出てきた。



 4日の外為市場では一時、一ドル=7820銭まで円が買われた。8月20日には一時79円台後半まで円安が進んだが、ここへ来て帳消しになった格好。


 市場には一段の円高への警戒感が広がりつつある。背景にはFRBが量的緩和第3弾(QE3)に踏み切るとの観測が高まってきたことがある。


 

8月初旬に発表になった7月の米雇用統計が堅調だったことで、QE3観測はいったん大きく後退。8月はドル買いが優勢な展開が続いた。流れを変えたのはバーナンキFRB議長の31日の講演だった。


 「雇用回復がいらだたしいほどに遅い」。バーナンキ議長の発言に市場はQE3の可能性を読み取った。クレディ・アグリコル銀行の斎藤裕司ディレクターは「米市場の参加者には年内にQE3に踏み切るとの見方が6割程度まで増えている」と指摘する。



 米10年物国債利回りは約4週間ぶりの水準まで低下している。日米の金利差は77円台をつけた8月1日と同じ水準まで縮小しており、「日米金利差からは、いつ77円台に突入してもおかしくない」(みずほ証券の鈴木健吾FXストラテジスト)との声があがる。


 海外の投機筋は既に動き出している。ヘッジファンドなど投機筋の動向を映す米シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の通貨先物取引(非商業部門)では、8月21日時点でドルが円など主要8通貨に対して約1年ぶりの売り越しに転じた。その後もドルの売越額は膨らんでいる。



 通貨の実力を示す名目実効為替レート(日経通貨インデックス、2008年=100)でもドルは約3カ月ぶりの低水準で推移する。


 市場の注目は7日発表の8月の米雇用統計に集まる。事前の予想では非農業部門の雇用者数の伸びは10万~12万人。「10万人を下回れば、9月にもQE3があるとの観測が高まる」(三菱東京UFJ銀行の内田稔チーフアナリスト)。雇用統計の発表直後にも77円台まで円が買われる可能性がある。



 77円台では政府・日銀による円売り介入の可能性が高まる。とりわけ6月1日につけた直近の円の高値(7766銭)が政府・日銀の防衛ラインとして市場では意識されている。市場と通貨当局の攻防が近づきつつあるとの見方がじわりと増えている。


▼通貨先物取引とは 将来の特定期日での通貨の売買を現時点で契約する取引。取引日の2営業日後から起算して、1カ月後、3カ月後、6カ月後の期日を設定するのが一般的。2営業日後に決済するスポット取引(直物取引)と区別される。