今年度の全日本鍼灸学会は6/4~6/6までオンラインで行われました。

その中で大変印象的だったのは顔面神経麻痺の鍼灸治療です。


栢森良二先生(平成帝京大学理学療法科教授)は顔面神経麻痺に対し、平面電極通電療法を行うと後遺症(病的共同運動・顔面拘縮など)が出現し易いと以前から警鐘されておりました。

それに対し堀部豪先生(埼玉医科大学東洋医学科)は、稲中優子先生(東京女子医大)の研究(鍼通電法と置鍼法の比較)で治癒率・後遺症の出現率とも有意差が見られなかったという報告を取り上げました。

また、粕谷大智先生(東京大学リハビリテーション部鍼灸部門主任)は非同期通電療法(後遺症を予防すると期待されるおり、埼玉医科大学を中心に行われている。2台のパルス治療器を使い、上顔面筋と下顔面筋を別々に刺激する)を紹介されました。


今回圧巻だったのは栢森先生を演者として呼んで、最後に演者同士でディスカッションしたことです。

医師向けの顔面神経麻痺のガイドライン作成者である栢森先生が鍼灸に対して良い印象を持っていただいたことも特筆すべきことです。

今まで顔面神経麻痺に対し鍼通電をした方が良いのかしない方が良いのか迷っていた人には最高の企画でした。

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2011年から再現性の高い治療・有効率の高い治療をマニュアル化し、治療セミナーを行なっています。

興味がある先生・学生の方は下のホームページをご覧になって下さい。

http://5su.muto-shinkyu.com/
 

今まで何度も「関節リウマチ患者は虚証だけれど、施灸をすると症状が増悪しやすい。」と書いてきました。

ところで、最近とても冷えを強く訴えるリウマチの患者さんが来院しています。

冷えると関節痛(手関節・膝関節)が増悪するとのことです。


この様なタイプであれば施灸で症状が改善することもあると考え、自宅施灸をしていただいたところ、関節の熱感・腫脹とも増悪していました。

(その後鍼中心の治療に戻し、状態は改善しました。)

やはり、冷え感を強く訴えているリウマチであっても、自宅施灸をすると炎症が増悪する可能性はあるので要注意です。

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*五枢会治療セミナー

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同じ東洋医学でも鍼灸と漢方薬が決定的に違うのは先生によって効果が違うことだと思います。

漢方薬では同じ薬が処方されれば同じ効果があると考えられます。

(ただし、プラシーボ効果・メーカーによる差・生薬とエキス剤の差を除外します。)


それに対し、鍼灸は極端な話、同じ経穴を使っても効果が異なることがあります。

その根拠として、鍼の太さ・深さ・置鍼時間・手技・灸の壮数など刺激量が議論されます。


しかしそれ以上に重要なのは、活性化した経穴・反応点をとらえる力と、効果的に手技鍼をする力ではないかと思っております。

活性化した経穴・反応点をとらえるには圧痛・硬結だけではなく、すじばり・陥凹をとらえたり、動作・鉱石など様々な負荷をかけて検出しています。

手技鍼では、得気を得るための行針や催気法が肝要と考えています。

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Q.膝関節痛についてです。

治療は患側のみ行いますか?

それとも両側行いますか?


A.基本的に両側行います。

痛みを訴えているのと反対側の方が炎症や変形が強いこともありますので、反対側の膝も注意して観察し、治療も行って下さい。


Q.痛みが膝蓋骨周囲だけではなく、大腿前面や鼠径部の方にも広がっているのですが、それだけ重症なのでしょうか?


A.股関節にも問題があるのかもしれません。

パトリックテスト・エリーテストなどを行い、確認して下さい。

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頭がボーッとする、考えがまとまらない、眠い、本を読んでいるが何度も同じところを読んでいて進まない、などの原因は集中力低下と考えられます。

集中力をアップする治療穴としては、天柱・風池が挙げられます。

機序としては後頭動脈を介して脳の血流を改善するためと考えておりました。


ところで天柱・風池には鼻閉を改善する作用もあり、脳に酸素が多く供給されることで集中力が高まることも考えられます。

そこで顖会・通天の刺鍼を行ってみると、集中力アップに効果があるではありませんか。

したがって鼻閉を改善する経穴は集中力アップの効果があると考えられます。

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Q.殿部痛を訴えて来院中の症例です。

整形外科で「坐骨神経痛」の診断を受けています。

しかし、SLRは陰性です。

本当に坐骨神経痛なのでしょうか?


A.整形外科でMRIは撮っていますか?


Q.いいえ、レントゲンだけで、特に問題ないとの事です。


A.下肢の筋力低下がある場合は椎間板ヘルニアなどの存在が疑われます。

場合によってはMRIを撮って椎間板ヘルニアを除外する必要があります。

殿部痛の別の原因として股関節症があります。

パトリックテスト・エリーテストなどを行い、確認して下さい。

それ以外ではトリガー・ポイントによる関連痛があります。

大殿筋・中殿筋・梨状筋などのトリガー・ポイントの活性化が原因と考えられます。

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Q.遠隔取穴では主にどのような部位を治療穴として使いますか?


A.主に手・足・頭部の3ヶ所です。

愁訴が手や足にある時には頭部の経穴を使うことが多いです。

良く使う経穴としては、目窓・正営・百会・脳空・曲鬢・卒谷などがあげられます。


愁訴が頭部にある時には足の経穴を使うことが多いです。

愁訴が頭部にある場合、上衝と関連していることが多く、上衝を改善する目的で足の経穴を使います。


愁訴が体幹部にある時には手や足の経穴を使うことが多いです。

要穴、特に八総穴を使うことが多いです。


Q.遠隔取穴を使った治療ではどのように効果を確認するのですか?


A.患者さんの自覚症状の改善が1つあります。

もう1つは愁訴のある部分の筋緊張の変化です。

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Q.自律神経失調症とはどのような病態を表すのでしょうか?


A. 自律神経失調症と言われている患者さんは大きく2つに分かれます。

1つは精神疾患(うつ病・神経症性障害など)に伴う自律神経失調症です。

もう1つは自律神経失調症としか言いようがないものです。


健康な状態では昼間は交感神経優位で、夜は副交感神経優位になります。

朝、めまいやふらつきで起きられない場合は、副交感神経優位になっている可能性があります。

東洋医学的には脾虚証になっていることが多いです。

夜、なかなか眠れない場合は、交感神経優位になっている可能性があります。

東洋医学的には肝の病証が考えられます。


温度調節がうまくいかないタイプの自律神経失調症もあります。

熱くなると調子が悪くなるタイプは上衝傾向、肝の病証があると考えられます。

寒くなると調子が悪くなるタイプは、寒証や痰飲があると考えられます。

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Q.遠隔取穴をする意義は何でしょうか?

  局所治療でも特に問題ないのではないでしょうか?


A.局所治療・遠隔治療それぞれに長所と短所があります。

局所治療の長所

1.「辛いところを治療してもらった」という患者さんの満足感がある。

2. 頑固なコリを取るには不可欠である。

3. 習得しやすい。
 
局所治療の短所

1.炎症があると悪化する恐れがある。

2.効果の範囲が狭い。

3.局所治療を続けていると、刺激に慣れて効果が出にくくなる。

遠隔治療の長所

1. 施術で悪化することがない。

悪化した場合は理学テストや施術時の姿位に問題があると考えられます。

2. 効果の範囲が広い。

3. 刺激の慣れ現象が生じにくい。

遠隔治療の短所

1.「辛いところを治療してもらった」という患者さんの満足感が低下する傾向にある。

2. 頑固なコリは取り切れない。

3. 習得するためには少し勉強する必要がある。


以上から遠隔治療は失敗が少なく、広範囲に効果を出すことが出来る優れた治療と言えます。

局所治療ばかりしていると、治療点が多くなるばかりで、効果が十分ではないことがあります。

特に多症状の方は対応が出来なくなります。

例えばある部位の筋緊張が強い時、遠隔治療である程度筋緊張を緩和してから局所治療を行うと、軽い刺激で十分な効果を出すことが出来ます。

しかし遠隔治療では局所の器質的変化が強い病態には100%効果を発揮することが出来ません。

関節の変形・局所的な浮腫・硬結を伴う著しい筋緊張・陥凹を伴なう虚軟な部位には局所治療をした方が早く症状が軽減します。
 

Q.寝違いと思って治療していたら、頚椎症や頸椎椎間板ヘルニアだったということが結構あるとのことですが、どこで鑑別したら良いでしょうか?


A.寝違いは鍼灸治療を2~3回すれば症状がほとんどなくなるのに対し、頚椎症や椎間板ヘルニアでは、痛みが完全に取り切れなかったり、何度も痛みを繰り返したりすることも多いです。

また、寝違いでは運動鍼が奏功するのに対し、頚椎症ではあまり効果が期待できず、椎間板ヘルニアでは悪化することがあります。

最終的には整形外科でレントゲンやMRIを撮って診断を受けると確定します。

(頸椎の変形はレントゲンで判明しますが、椎間板ヘルニアはレントゲンでは診断不可です。)