「とりあえず置鍼をする」という治療法を取っている鍼灸師は結構多いのではないでしょうか。
置鍼をすると以下のようなメリットが考えられます。
1.    何となく治療した感じがする。
2.    時間稼ぎになる。
3.    強い刺激ではないので患者さんに受け入れてもらいやすい。
4.    補瀉を考えないで済む。
5.    刺鍼周囲の血管を拡張させ、血流を改善しやすい。

しかしデメリットもあります。
1.    血管を拡張させると悪化する病態(片頭痛など)には向いていない。
2.    副交感神経優位状態を改善しにくい。
3.    清熱作用を期待している時に清涼感を出しにくい。
4.    補瀉を考えず、何となく治療をしてしまう癖がつく。

以上の事より極端なデメリットは常に発生するわけではないのですが、何となく治療をするという「こなす治療」になりがちです。
置鍼法のメリット・デメリットを考え、置鍼法にあった病証・病態なのか確認して治療していくことが重要だと思います。

患者さんの中には1~2本しか鍼をしないと「ケチ、不親切」、多くの鍼をすると「気前が良い、親切」と評価する方がいらっしゃるようです。
また、鍼灸師の中にも多数の鍼をすることを売りにしている方もいらっしゃいます。

しかし、鍼の効果は相反する場合もあるので、多くの鍼をすればするほど効果を相殺する可能性が高まることが考えられます。
故・浅見鉄男先生が提唱された、「三焦経・胆経の要穴を副交感神経優位に使う」、故・安保先生・福田先生が提唱された「それ以外の正軽の要穴を交感神経優位に使う」という理論からすると、両者を組み合わせると効果が相殺されてしまう事になります。
同一経絡の近隣部位であれば、相乗効果が期待できますが・・・。
また、治療点が多いと効果がシャープに出にくいという事も考えられます。

私は1本1本の鍼の効果を確認しながら治療することをお勧めしています。
1本の鍼をする前とした後でどんな変化が出るのか確認するのです。
筋緊張の緩和・関節可動域の改善・脈の変化などが観察されます。
1本の鍼で大きな変化が出るのがわかると、とても100本鍼を打つことは出来ないでしょう。

ある主訴に対して鍼灸治療をしていてもなかなか改善していないとき、たまたま別の症状に対して治療を行っていたら主訴が改善することがあります。
この様なことは現代医学の薬物療法にも見られ、興味深いことです。
具体的には精神疾患に対するドグマチール(消化性潰瘍の薬)やパーキンソン病に対する抗てんかん剤などが挙げられます。

実際にあったケースを紹介します。
60代女性。
主訴は腸閉塞になり易いので何とかしたいというものでした。
腸が石灰化するという10万人に1人の珍しい疾患で、医師から「治療法はない。便秘にならないように下剤を使って対症療法を行います。腸の血流を良くすることが重要です」と説明されただけでした。
腸の血流を良くする目的で腹部の施灸・温灸を行っていましたが、ほとんど効果が見られませんでした。
ある時顎関節の痛みを訴えたのでその治療を行ったころから腸閉塞を起こさなくなりました。同じ頃から虫垂炎の手術痕周囲の頑固な硬結が消失しました。

治療に専門性を出すことは重要だとは思いますが、専門以外の治療を全く行っていないと、このような偶然の発見はできないでしょう。
主訴以外の症状に目を向けることで、その患者さんの体質傾向・問題点がクリアになることは少なくありません。

五枢会のセミナーでは、2020年からマイナートラブルの鍼灸治療を扱っています。
マイナートラブルとは、腰痛・五十肩といった強い痛みを呈したり、動作に制限を起こしたりするほどではないが、日常の生活で不便・苦痛を感じる症状です。
マイナートラブルの改善が主訴の改善にすべてつながるわけではありませんが、患者満足度は上昇すると思っております。

足のトラブルは膝・腰・股関節などに影響することがあるので、患者さんが症状を訴えていなくても治療した方が良いことがあります。
患者さんがあまり気にいていないけれど、鍼灸師が気になる症状に外反母趾があります。
外反母趾はひどくなると、歩行時痛が強くなるだけではなく、安静時にも痛みが出ることもあります。
最終的には骨を切る手術になることも・・・・。
骨切り術を受けた患者さんの足はアライメントがおかしくなっており、元に戻りません。
外反母趾に対し、鍼灸治療の効果が出にくくなることもあります。

外反母趾は局所治療だけでは改善することがなかなか難しいと思います。
外反母趾の原因として、扁平足などのアライメントの不整、神経根症状による筋力低下、母趾の可動性の低下、誤った靴の選択などが複合して起こっていることも少なくないからです。

したがって鍼灸治療ではアライメント・筋力・母趾の可動性を改善する治療を行っていきます。
また、体操・靴の選択などのアドバイスも必要となってきます。

鍼灸院に来院する患者さんで良くあるケースとして、「病院で検査をしたけれど、問題がないと言われました。」というものがあります。
整形外科疾患では軟部組織(骨以外の組織)に問題があることが多いと思います。
筋肉・靭帯・椎間板・神経・滑液包などです。
局所治療で改善しない場合、血流・疼痛閾値・アライメント不整などの治療が必要かもしれません。

内科疾患では自律神経の問題と言われることも多いのではないでしょうか。
自律神経の失調というと精神的な要素から来ていると決めつけがちですが、まずは体質傾向の改善から取り組んでいった方が良いと思っております。
ストレスがかかると交感神経優位になり易い体質、逆に副交感神経優位になり易い体質があります。
更に臓腑の虚実の調整、寒熱の調整を行うことにより、自律神経の失調症状が軽減すると実感しています。

自律神経失調症の治療について更に詳しく知りたい方はそのまま読み進めて下さい。
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五枢会ワンデイセミナー
*自律神経失調症の鍼灸治療
開催日時 
2022年3月20日(日) 9:00~12:00(12:30位まで延長する可能性があります。)
自律神経失調症を交感神経優位型・副交感神経優位型・寒熱・五臓で分類し、治療法を習得するセミナーです。
扱う疾患は、「更年期障害」、「起立性調節障害」、「動悸」、「食欲異常」、「頻尿」です。
詳しくは下のホームページをご覧下さい。
https://5su.muto-shinkyu.com/category/2014712.html

*マイナートラブル解消法
開催日時 
2022年4月10日(日) 9:00~12:00(12:30位まで延長する可能性あり)
手の冷え、外反母趾、二日酔い、咽の異物感(ヒステリー球)の治療法を習得するセミナーです。
詳しくは下のホームページをご覧下さい。
https://5su.muto-shinkyu.com/category/2014712.html

色々な勉強会へ行って教わったり、本を読んでいくと、どの治療法が良いのかわからなくなることがあると思います。
その解決策としては、自分の中に軸となる治療法を持つことだと思います。
軸となる治療法をメインにして、他の治療法はサブとしていく。

私は自分のメインの治療法と考えが合わない治療法は取り入れないようにしています・・・というより取り入れられません(笑)。
逆に相性の良い治療法は積極的に取り入れています。
しかし、取り入れた治療法もいつの間にか自分流にアレンジされているようです(笑)。

現代医学的鍼灸・中医学的鍼灸・経絡治療などを並行して勉強すると、特に迷いが生じやすいです。
最も高次なレベルでは違った治療法でも統合されるはずですが、その途中では矛盾点が生じることがあります。
最初は一つの治療法に絞って徹底的に勉強していった方が良いと思います。
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*五枢会治療セミナー


2011年から再現性の高い治療・有効率の高い治療をマニュアル化し、治療セミナーを行なっています。
興味がある先生・学生の方は下のホームページをご覧になって下さい。
http://5su.muto-shinkyu.com/
 

鍼灸治療をしても改善しないときに考えることは何でしょうか?
1.    病態把握が違っている。
2.    病証が違っている。
3.    刺激量が少ない。
4.    鍼灸の不適応症である。
5.    貧血がある。
6.    症状が薬の副作用によるものである。

これらの中で、薬の副作用についてお伝えします。
今まで多く遭遇したものとしては消化器症状(食欲不振・胃のもたれ感など)が多く、抗生剤・鎮痛消炎剤など良く使われる薬の副作用として現れることが多いです。
精神科領域の薬も副作用が多く、抗うつ薬による口渇・便秘、睡眠導入剤による倦怠感・ふらつきなども良く遭遇します。

薬の副作用による症状は鍼灸治療を行って効果がある場合もありますが、治療を止めると元にもどってしまうのが特徴です。
治療が難航している時、薬のチェックをしてみることをお勧めします。
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2011年から再現性の高い治療・有効率の高い治療をマニュアル化し、治療セミナーを行なっています。
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最近テレビをつけると最も多く出てくる言葉が「オミクロン株」ではないでしょうか?
感染力が強いためか、患者数が急増しています。
オミクロン株感染の症状としては、発熱・咳・咽の痛み・鼻汁・頭痛・関節痛などで、風邪の症状と類似しています。
肺の感染は起こりにくいようです。

オミクロン株に対する漢方治療の報告があります。
みさとファミリークリニック院長、松田 正先生によると、葛根湯と小柴胡湯加桔梗石膏の合剤で85%に症状の改善が見られたとのことです。
このことから扁桃炎や風邪の鍼灸治療も効果がある可能性が示唆されます。

もしオミクロン株の治療をする機会がありましたら(多分ないと思いますが・・・)、参考にしていただければと思います。
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1/10(月)午後7時30からNHKで「東洋医学ホントのチカラ」という番組が放映されました。
その番組の中で「痛みを緩和するシール」が紹介されました。
出演者が「痛みが取れた!」と感動していました。
そのシールの名前は「ソマレゾン」で、0.3mmの樹脂の突起が多数ついています。
早速購入してみました。

貼る時の痛みは全くなく、効果はパイオネックスよりかなり劣る感じです。
銀粒よりも劣る気がします。
ただ、鍼が怖い患者さんには良いかもしれません。
10個入りで1,100円とパイオネックスに比べると結構割高です。
興味がある先生はアマゾン・楽天などで購入してみて下さい。
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鍼灸学校の教科書を見ると、舌診・脈診・腹診などが記載されていますが、背甲診についてはほとんど触れていないのではないでしょうか?

私個人の意見としては、背甲診は舌診・脈診・腹診と同等、もしくはそれ以上に重要と考えています。
なぜなら、背部の反応を診ることで、異常な臓腑がどこか分かり易いという事が挙げられます。
また、反応点をそのまま治療点として用いることも出来るので一石二鳥です。
腹診も分かり易いですが、そのまま治療点として用いることが出来ない場合も多いです。

したがって背甲診と腹診をあわせて診断し、背甲診で出現した反応点や手足の要穴を使って治療すると良いかと思います。
それに対して舌診・脈診は全体的な傾向、例えば気虚・痰飲・瘀血などは診断しやすいですが、どの臓腑に異常があるのかはある程度訓練が必要であり、誤診も生じやすいと思います。

明治~昭和初期に活躍された澤田健先生は、本よりも生きた身体の反応を診る事の重要性を説いていらっしゃったとのことです。
治療に行き詰った時にその事を良く思い出します。
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