パーキンソン病は変性疾患で、健常者に比べて中脳の黒質細胞の減少が年々著しく
減少する疾患と考えられています。
パーキンソン病の方を治療していて痛感することは、「鍼灸は進行を抑制しているのではないか。」ということです。
パーキンソン病で数年通っている人もいらっしゃいますが、悪化していないどころか、初診より状態が良くなっている人も結構いらっしゃいます。

超高齢社会で問題となる疾患として良く認知症が挙げられていますが、パーキンソン病も同様に問題となってきているのが現状です。
パーキンソン病の有病率は1,000人に1人ですが、70才以上では100人に1人になります。
中脳の黒質細胞は45万個存在し、健康な人でも10年で5%減少することが明らかになっています。
そして40~60%位減少するとパーキンソン病を発症することが分かっております。
したがって健康な人でも120才まで生きればほとんどの人がパーキンソン病になるそうです。

パーキンソン病に対してはドパミンの前駆物質であるL―ドパを始め様々な薬が開発されています。
病気が進行するにしたがって薬の量が増え、副作用であるジスキネジア(不随意運動)が出現したり、オフ(無動・寡動)が頻繁に出現するようになり、状態が悪くなっていきます。
また、薬は全体的に動きを良くすることはできますが、細かい症状まで対応できていません。
したがって鍼灸治療を併用することで、関節の痛み・巧緻障害などの細かい症状に対応し、薬を増やさないようにすることが出来ます。
超高齢社会を迎え、新たな鍼灸の適応疾患の存在に気付いた次第です。

現在パーキンソン病の方を治療していて思うことは、「難病の割には予想以上に治療効果が出易い」ということです。
具体的には筋強剛の改善―治療後に筋緊張が軽減して関節の固さが取れる。
振戦の軽減―治療後に振戦の幅や頻度が減少する。
歩行状態の改善―歩幅が広くなり、遊脚相が増加する。
この様に鍼灸師も患者さんもはっきり効果が実感できる変化が治療直後に認められるということです。

パーキンソン病ではリハビリの分野でも注目されているポイントがあります。それは外的キュー(外部刺激)を使うとパーキンソン病におけるすくみ足が改善することです。
外的キューによる改善とは、歩行する前方に横線を引いたり、メトロノームを鳴らすとすくみ足が改善して速やかに歩けるようになることです。

この機序は脳の別の回路を使って動きが改善することが分かっています。
自発運動をする際には補足運動野・大脳基底核を介して行われますが、パーキンソン病では大脳基底核が障害されているためすくみ足が出現します。
外的キューを使うと視覚・聴覚情報が運動前野に伝えられ、大脳基底核を介さずに運動するためすくみ足が改善するとのことです。
この様にパーキンソン病では外的刺激により、脳の別の回路を使って動きが改善するシステムがあるという事は大変興味深いです。
 

難しい症状の患者さんを治療する場合、色々試してもなかなか症状が改善しないことがあると思います。
この様な時に、処方されている漢方薬からヒントを得られることがあります。
漢方薬の効果(駆瘀血薬とか痰飲を軽減させるなど)からヒントを得るわけです。
(ただし、漢方薬を処方している先生の実力がある場合に限ります。)

また、現代医学の治療薬が処方されている場合もありますが、そこからヒントを得ることも出来ます。
別なケースではリハビリにおける理学療法士の考えが参考になることもあります。

自分1人で治療しているとどうしても視野が狭くなりがちです。
医師を含めた他の医療従事者の考え方を参考にすることで、今までと違った見方が出来ることがあります。
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*五枢会治療セミナー
2011年から再現性の高い治療・有効率の高い治療をマニュアル化し、治療セミナーを行なっています。
興味がある先生・学生の方は下のホームページをご覧になって下さい。
http://5su.muto-shinkyu.com/

セミナー終了後に良く「治療の流れを教えて下さい。」と質問されます。
治療の流れは特に決まりはないと思いますが、私が現在行っている方法をお伝えしたいと思います。

一般的には問診表の記入または問診→身体所見(現代医学的・東洋医学的)→治療方針を立てる→治療という4段階の流れが多いと思います。
私の場合は問診表の記入→エネルギー調整→問診→身体所見(現代医学的・東洋医学的)→治療方針を立てる→治療→確認という7段階の流れになっています。

エネルギー調整とは上級者コースでお伝えしているもので、気の流れ・チャクラ(エネルギーの中枢、募穴と一部一致)の調整を行っています。

一般的には問診に力を入れている人が多いと思います。
私も問診は重要だと思いますが、身体所見をしっかりとることとが更に重要と考えています。
特に症状と関連していて治療効果とともに変化する所見(脈診・腹診・可動域・関連する理学テスト・圧痛・硬結など)は絶対に見逃さないようにしています。
最後の確認とは治療効果に伴って変化する所見を確認することです。
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2011年から再現性の高い治療・有効率の高い治療をマニュアル化し、治療セミナーを行なっています。

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妊婦さんに対して鍼灸治療をするべきでしょうか、しない方が良いでしょうか?
私の考えは、「注意して行う。」です。
妊娠中に頭痛・腰痛など様々なトラブルが発生する場合がありますが、一般的な対処法は薬の服用になります。
薬の服用と比べると、鍼灸の方が安全性において高いと思います。
ただし、治療部位・刺鍼の深さなどは吟味する必要があります。
腹部・腰部への深刺を避けることは言うまでもありません。
また、下す効果のある経穴は避けた方が良いと思います。
三陰交は「女三里」と呼ばれ、ホルモンバランスを整えたり、生理痛を緩和したりと婦人科疾患には欠かせない経穴です。
しかし、三陰交は下す効果もあるため、刺激量を少なくするなどの工夫が必要です。

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腰痛を訴える原因疾患として少なくない椎間板ヘルニアは鍼灸の適応症となりえるのでしょうか?
椎間板ヘルニアは椎間板の中の髄核が脱出し、神経根や脊髄を圧迫する疾患です。
脱出した部分は白血球が貪食し、回復することが確認されています。

私が現在行っている椎間板ヘルニアに対する鍼灸治療は2種類あります。
1つは脱出した部分に対する華佗穴へのアプローチです。
もう1つは脊柱アライメントの調整です。
ヘルニアが起こっている椎体ではアライメントの不整が起こっていると考えています。
アライメントを調整することにより、椎間板ヘルニアが起こりにくくなると思っております。
したがって脊柱アライメントの不整を改善する鍼灸治療が椎間板ヘルニアに有効な治療と考えています。
椎間板ヘルニアが改善したかどうかは下肢の筋力で確認しております。

椎間板ヘルニアの治療に興味がある方はこのまま読み進めて下さい。
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整形外科上級編:椎間板ヘルニアと手足のしびれの鍼灸治療
11/21(日)9:00~12:00 
椎間板ヘルニアに対し、脊柱アライメントの調整を主体とした鍼灸治療をお伝えします。
詳細は下のホームページで確認して下さい。
https://muto-shinkyu.biz/lp/adv2021/
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*五枢会治療セミナー

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2回にわたって五十肩と肩こりの直後効果の出し方をお伝えしました。
直後効果を出せるのは整形外科疾患だけではありません。
実は内科疾患・耳鼻科疾患・婦人科疾患など多くの症状で直後効果を提供することが出来ます。

今回は胃痙攣様の痛みについてお伝えします。
胃の痛みがある時、身体所見では腹部のみに目が行きがちですが、脊柱起立筋や腰方形筋の緊張が高まっていることが多いです。
これらの筋緊張を緩和することで胃の痛みも改善することが多いです。
具体的な経穴としては、胃兪・胃倉などが挙げられます。
胃の方へ向けて強刺激を行います。
雀啄術(厳密には運気法)を行っています。
使う鍼は3番以上、出来れば5番鍼位が適当です。
刺激が弱いと効果が出にくいのでご注意下さい。
刺鍼直後から胃の痛みが緩和することが期待できます。

前回は五十肩に対する直後効果の出し方をお伝えしました。
今回は肩こりに対する直後効果の出し方についてお伝えします。

僧帽筋を例に取ります。
まず最初に筋緊張を見つけます。
僧帽筋では肩井付近でチェックします。
筋線維が首の付け根から肩峰の方へ走っています。
首の付け根から肩峰の方へ筋肉をつまみながら移動して筋緊張をチェックします。
筋張ったところ、圧痛が強いところが筋緊張が強い部位です。

筋緊張の強い部位で、筋線維の方向と垂直に鍼を横刺します。
肩井から天髎へ向けて刺鍼するイメージです。
これで僧帽筋の緊張が緩和されると思います。
もし筋緊張が緩和しない場合は鍼を太くしてみて下さい。

鍼灸治療を行った後、果たして効果が出ているのか、出ていないのか?
確認する方法の一つは患者さんの自覚症状だと思います。
しかし、もし患者さんの自覚症状が変化していないと改善していないことになってしまうのでしょうか。
確認するもう一つの方法は他覚的所見です。
良く「脈が変わったから良し」と言っている人がいますが、それだけでは駄目です。
患者さんが訴えている最も辛い症状と関連している所見が改善しなければ駄目です。


五十肩を例に取ります。
運動制限があれば肩関節の可動域を測定します。
次に条口から承山へ向けて透刺します。
もう一度肩関節の可動域を測定します。
これで可動域が改善すれば直後効果が出たと判定できます。
この様に症状に対応する変化の指標を見つけることが出来ると直後効果が出せるようになって来ます。

最近私は内反足に注目しています。
内反足があると3つのトラブルを引き起こします。

1つ目は捻挫をし易いということです。
繰り返し捻挫をしたから内反足になってしまったとも考えられます。

2つ目はO脚になるということです。
O脚は内転筋の筋力低下も関連していますが、内反足も大きな原因となっています。
O脚では膝の不調も出現し易いです。

3つ目は股関節痛が出現しやすいということです。
股関節痛は股関節周囲の鍼灸を行ってもその時楽になるもののなかなか改善しないことが多いです。
筋肉・血流の問題というよりもアライメントの問題ととらえて治療する方が改善することが多いです。
したがって内反足の治療をすることが重要であると考えています。