7月第三月曜日の今日は「海の日」だ。内閣府(1)によれば明治9年7月20日、明治天皇が東北巡幸の帰途中、灯台巡視船「明治丸」に乗船され、海路により無事、横浜港に到着されたことに由来し、昭和16年から、毎年7月20日が「海の記念日」とされていたとのこと。


 「海の日」は、平成7年の「国民の祝日に関する法律」の改正により、平成8年から設けられた「国民の祝日」であり、「海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う」日とされている。


 この写真は以前、愛知県蒲郡市に訪れた時のものである。穏やかな波に心を洗われながら、沈みゆく夕陽を眺めた。竹島も訪れ、八百富神社(2)を参拝した。当時、免許を取得して間もない私は、運転に疲れ果て帰るに帰れずビジネスホテルに宿泊したのも良き思い出だ。



 岐阜県には海がない。俗に「海なし県」と言われる。正確には「内陸県」だ。岐阜県の他に栃木県、群馬県、埼玉県、山梨県、長野県、滋賀県、奈良県も「内陸県」である。日本には8つの内陸県が存在する。


 滋賀大学が所在する滋賀県も内陸県であり、内陸県から内陸県、海なし県から海なし県に通学している。ただ、滋賀県には日本最大の面積と貯水量を誇る「琵琶湖」がある。海なし県出身者である私は「琵琶湖は誰が何と言おうと海だ!」と言い張っていたことがある。私からすると何度見ても、今見ても「海」に見える。


 そんな「琵琶湖」は琵琶湖では、冬から春にかけて、「琵琶湖の深呼吸」と呼ばれる現象が起きる。水面近くの冷たく酸素を多く含んだ水が沈み込み、温かく酸素の少ない底の水と入れ替わる「全層循環」という現象だ。この循環によって湖の底まで酸素が届き、水底深くの生き物も含めた湖の生態系が保たれると考えられている(3)



 この写真は2022年10月に竹生島へ上陸した際に撮影したもの。滋賀大学、滋賀県立大学、聖泉大学、長浜バイオ大学、滋賀文教短期大学の5大学から学生が集結して「近江でのSDGsの実践」と題し研修が行われた。この研修は全4日程で行われ、その第1日目がグループワーク、竹生島フィールドワークであった。


 滋賀県は湖国としてこれまで環境課題に対して先進的に取り組んできた自治体のひとつだ。滋賀大学には、滋賀大学環境総合研究センター(4)が設置されており、日々研究が行われている。


 竹生島に上陸した際、既視感があった。後に判明したのだが5、6歳の頃、今は亡き祖父を先導に訪れていた。写真を見返すと、やはり懐かしい気持ちになる。再びフェリーに乗り、竹生島、竹生島神社(5)に訪れたい。



 海なし県「岐阜」には豊かな自然がある。川がある、山がある。この写真は、美濃市を流れる片知川である。よく友人と釣りに行くスポットだ。


 2010年、岐阜県にて「全国豊かな海づくり大会」が開催された。大会式典には天皇・皇后の出席が慣例となっており、全国植樹祭・国民スポーツ大会・国民文化祭と並び「四大行幸啓」のひとつである。


 2010年、岐阜県にて開催された「全国豊かな海づくり大会」は「ぎふ長良川大会」と銘打たれた。岐阜県庁HPには、以下のように古田肇知事のコメントが掲載されている。


「前日のレセプション、記念式典、放流行事、県内42すべての市町村において開催されたふれあい交流行事、サテライト行事を通じて、延べ17万人近くもの方々が参加されました。美しい、豊かな海は、森や川が産み出す清流から成り立っており、森、川、海が一体となった自然環境保全が大切であることを、全国に向けてアピール出来たことは大変大きな意義があったと思っております。第30回の節目に、漁業振興のみならず環境保全の大切さも伝えられるように、海なし県の本県から、海づくり大会の歴史を変えたいと願い、準備を進めてまいりました。その目標は概ね達成できたものと思っております。ご協力をいただいた多くの関係者の皆様に改めて感謝申し上げます。」(6)


 昨晩、テレビを観ていると「海と日本プロジェクト岐阜」の文字を発見。一般社団法人海と日本プロジェクト岐阜では、「海と日本プロジェクト」の岐阜県エリアの事業を推進する団体として、世界農業遺産「清流長良川の鮎」を核とした清流づくりの理念をベースに、内陸県からも海への様々な関心をもってもらうためのイベントや清掃活動、リサイクルキャンペーンなど、各種事業を2018年度から実施(7)しているとのこと。


 最近、放送されているとついつい最後まで観てしまうNHK「ドキュメント72時間」。先日、「岐阜・長良川 流れを見つめながら」https://plus.nhk.jp/watch/st/g1_2024071228139 が放送された。ぜひ、おすすめなので視聴していただきたい。


 これからも「清流の国ぎふ」から、「湖国しが」から自然環境を考え問うていきたい。海なし県、内陸県の岐阜から森、川、海が一体となった自然環境保全を考えることは大変有意義なことである。


 また、最後になったが私は高校時代の恩師を川で亡くしている。自然は我々に恩恵をもたらすとと同時に脅威にもなる。母なる自然の恵に感謝するとともに、その自然への畏怖の念を忘れてはならない。


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(1)内閣府HP,各「国民の祝日」について,

(2)八百富神社HP

(3)杉浦奈実「琵琶湖に「人工呼吸」?酸素不足の生き物救えるか」,『朝日新聞』,2021/03/13

(4)滋賀大学環境総合研究センター

https://www.shiga-u.ac.jp/rcse/aboutus/

(5)竹生島神社HP

(6)岐阜県庁HP

(7)日本財団海と日本project in 岐阜県