錦糸町駅で通行人の足をつついたり

カードを奪って券売機に入れようとしたりするカラス。

 

このカラスが一般女性に捕獲されたそうだ。

ヤフーニュースによると、この女性、捕獲の意図を

、「ここにおいておいたら、(カラスが)殺される」と答えたらしい。

錦糸町駅の「券売機カラス」

 

記事には

「許可のない捕獲だったことから、

 法律違反ではないかとして、さらに物議を醸している」とある。

 

『鳥獣保護法』は、字面に‘保護’とあるだけで、

人間の都合でどうにでもなるザル法だ。

この法律の正式名称は

鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律。

この『管理』の文言が曲者で、

改正前の法律よりも、

‘人間の狩猟欲求と、レジャーおよび金銭を絡めた行動実態’に則して、狩猟行動・駆除行動にお墨付きを与える法律になっている。

人間は賢いから、狩猟や駆除の理由づけなどいくらでもでき、

申請して許可されれば、許可された期間の狩猟・駆除は

興奮作用で実質野放し。

狩猟者が狩りたいと思えばその生き物はどんどん狩られ、

耕作整地した農地の農作物に被害を与えても、

狩猟者にとってインパクトが小さくてツマンナイ生き物か

人間の年寄りに似ているために撃ち殺すのに躊躇される生き物が

相対的に生き残って数を増やしたりする。

そして『保護』のほうは、『管理』を盾に

ガチガチの鎖で縛られたままだ。

 

カラスを捕獲した女性を、法律違反と非難するのはたやすい。

女性の言葉からすると、

彼女は『捕獲』が目的ではなく、『保護』が目的だったのだ。

ニュースで見るぶんには、

あのカラスは群れに属していない‘はぐれカラス’。

ヒトの足にまとわりついてズボンの裾をひっぱるところから

「飼われていたカラス」とみるのが自然だ。

 

飼っていたカラスが逃げた、

自分だけではどうにもならないから誰かに連れ戻してもらいたいが

鳥獣保護法の「野生生物を許可なく飼育してはいけない」決まりを

破っていたことが明らかになる、

だから、ダンマリ。

元の飼い主がいたとして、これもまた無理なく想像できる。

 

行政に捕獲させると殺処分は目に見えている。

行政または行政職員に、

捕獲した鳥獣を保護・飼育する義務はないからだ。

 

人間にかつてペットとして飼われていただろうカラスが、

飼い主と暮らした日々と同じように人間に食べ物をねだり、

自分をカラスと思わず、迷惑がられながらヒトのそばに居続ける。

これが誰かに殺されるか、衰弱して死ぬか、に思い至った時、

「助けよう」と思い、行動するのが法律違反だと言うなら、

その法律は「生きて在ること」を無視する悪法だ。

大脳皮質を持つ生き物の(当然、人間を含む)、

感情感覚否定の法律である。

 

同類の群れの一員でなかった成鳥カラスが、

あらたな群れに加わることは不可能に近い。

なぜなら、人間以外の生き物は、多くの人間のように、

食住が一定保障された生活を営んではいないからだ。

元からいる自分たちのDNA群を維持するのに精いっぱい。

主観的な飢餓ではなく、どこからどうみても客観的に飢餓状態の人間集落が、金品を持たず生存のための特別な技術を持たない人間がふらりと居ついたとして、すんなりと受け入れるだろうか。

殺してその新参者の肉を食う、ぐらいのことは人間だってする。

 

もし、あのカラスを保護した女性たちが、

カラスがこれから先も人間を信じて生きていける方法を選択し、

そのために何か必要なことがあれば、

わたしにできることなら

微力ながら手伝わせていただきたいと思う。