20240818サンマ"1匹80円 豊漁のワケは?】歴史的な不漁が続いていたサンマ | 前山和繁Blog

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このごろ、過去に書いた記事の誤っている箇所が気になり始めてきた、直したい箇所もいくつかあるが、なかなかできないでいる。

英語学習の記事も時折書くことにした。

サンマ"1匹80円 豊漁のワケは?】歴史的な不漁が続いていたサンマ…初水揚げは2023年の140倍に 「待ってました~これくらいの値段なら家族で食べられる!」10月ごろまで続く見通し

 

 

私がこのブログで以前から書いてきていること。食料自給率の数字で重要なのは生産額ベースの食料自給率。カロリーベースの食料自給率の数字はおまけ、というのか参考値である。なぜそう言えるのかというなら、魚や肉類を保存するのに必要な冷蔵庫、冷凍庫への電力供給や物流への燃料供給量が関係してくるからである。

 

昔、コラムニストの山本夏彦が、米国によるビキニ環礁での原水爆実験後に日本に入ってくる水産物への何らかの噂が発生したときに、「魚食うべしいくらでも」と言っていたという。秋刀魚にしても、その他の魚にしても冷凍庫でやや古いものでも保存されているから、かならずしも今年の漁で水揚げされた魚でないのだから今年の核実験とは無関係と言いたくても言えないような人々も当時いたという。

 

肉類、魚介類の保存には冷凍庫が必須で、そのために消費されるエネルギーも必須だから生産額ベースの食料自給率が最重要の数字になる。何らかの国や地域のエネルギー価格が上昇している期間は食料自給率が上がりにくくなる。カロリーベースの食料自給率も表示されていればありがたいが参考値にしかならない。

 

日本国内の公務員の寒冷地手当が出るような地域の大部分を占める、北海道、東北六県、新潟県からは若い層の人口流出が継続し、人口流入はわずかになってきている。

 

何度も書いているように以上の現象の発生が止まらないのは日本の最終エネルギー消費量が減少し続けているからである。最終エネルギー消費量が、最低限2005年の水準にまで戻れば寒冷地への人口流入数が今より増加に転じるはず。

 

エンゲル係数が上昇傾向にある期間は生産額ベースであれカロリーベースであれ食料自給率の数字が逆相関になっている。この数字の相関性は非常に興味深いにもかかわらず気づいている人が、さほどいない様子。

 

ベネズエラで人口の流出が継続している理由は原油の産出量を著しく少なくしなければならなくなったからである。そんなふうになってしまうと、その国からは人口流出が沖はじめ人口が減少していってしまうのである。そして温暖な地域であるベネズエラですらも2014年に2.4だった合計特殊出生率が2022には2.0にまで低下しているのである。

 

日本の寒冷地から東京、首都圏に人口が流出してしまう現象とベネズエラから米国へ人口が流出してしまう現象は、規模が違うというだけで基本的なエネルギー不足が人口流出を引き起こしているという部分は共通しているのである。

 

貧しい国々は合計特殊出生率が高いから国が貧しくなれば合計特殊出生率が上昇してくると言うような都市伝説があるが、以上から間違いだと理解できるはず。

 

アフリカ諸国のTFRの高さについてはアフリカという温暖な地域は人が凍死することはまずないから冷蔵庫の稼働率を高く保つ程度のエネルギー供給がありさえすれば人口が増加し続けるということでしかない。そしてアフリカ諸国ですらも都市の床面積には限りがあるからTFRは低下しつつある。やや寒い地域のアフガニスタンもTFRは高めだが、以上の現象の説明と本質的には同じ。そしてアフガニスタンはやや寒い国であるが故にアフリカほどにTFRは高くならない。

 

ベネズエラで産油量が回復すればベネズエラの総人口が回復し出す。そしてTFRの低下傾向にやや歯止めがかかるだろう。

 

日本も最終エネルギー消費量が回復すればTFRの低下傾向に歯止めがかかるようになる。そしてその時には生産額ベースの食料自給率も回復してくる。

 

https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_gaikyo2023.pdf