ヤヌス・メッツ 「ボルグ/ マッケンロー 氷の男と炎の男」 (2017) | It’s not about the ski 遅れて来た天才スキーヤー???、時々駄洒落(笑)、毎日ビール!(爆)

It’s not about the ski 遅れて来た天才スキーヤー???、時々駄洒落(笑)、毎日ビール!(爆)

スキー大好き、ゴルフ、読書、映画、演劇、音楽、絵画、旅行と他の遊びも大好き、元々仕事程々だったが、もっとスキーが真剣にやりたくて、会社辞めちまった爺の大冒険?





【予告編:1分43秒】





【あらすじ:映画ウォッチ(→)及び本映画公式HP(→)よりの引用】

1980年、スウェーデン人のビヨン・ボルグ24歳(スヴェリル・グドナソン)は男子テニスで世界ランキング1位の王者、ウィンブルドン テニス選手権(全英オープン)で昨年(1979年)まで4連覇中だ。それに対し米国のジョン・マッケンロー21歳(シャイア・ラブーフ)は世界ランキング2位、ボルグの5連覇を阻もうとしている。

モナコ公国モンテカルロの自宅からボルグは毎日トレーニングに出かける。町ではファンに追い掛け回されることあるが、喫茶店の雑用も手伝う等気さくな面もある。ボルグは、ウィンブルドン大会の後、同棲中のルーマニアの女子テニス プレイヤー マリアナ・シミオネスク(ツヴァ・ノヴォトニー)と挙式を挙げる予定だ。

ライバルのマッケンローは、納得出来ない判定には抗議して食い下がり審判に暴言を吐き、「アル・カポネ以来、最悪のアメリカの顔」「恥を知れ、悪ガキ」とメディアからは激しいバッシングを受け、観客からブーイングを浴びればそれに容赦ない罵声で反撃する、テニス界の暴れん坊だ。

モナコから、マリアナと共にウィンブルドン入りしたボルグ。コーチのレナード・ベルゲリン(ステラン・スカルスガルド)により、迎えの車、宿泊するホテル、その部屋のタオル1枚に至るまで、ボルグの指示どおり毎年同じものが用意されていた。ベルゲリンがガットを張り直した50本のラケットのテンションと音を1本ずつ丹念にチェックするのが、ボルグの眠る前の日課だった。また、ボルグはベルゲリンからマッケンローのサーブの強さと、その対策についてアドバイスを受ける。

(1980年6月)ボルグとマッケンローは、ウィンブルドンの共同記者会見で顔を合わせる。マッケンローはホテルでも大会前のプレッシャーから逃れられない。ボルグは少年時代を回想する:試合中に荒れるボルグ少年(レオ・ボルグ)に出場停止処分が下される。しかし、その才能に目をつけた当時スウェーデン代表監督だったベルゲリンから、世界を目指すように言われたのだ。

マッケンローは友人たちと町に繰り出し酒を飲んで騒いでいると、友人がボルグのプレイ スタイルや生活をからかうことを言うものの、マッケンローは逆に、ボルグの計算しつくされたプレイや私生活も厳しく律していることに脅威を感じていた。

ボルグは1回戦で格下の相手に苦戦するもからくも勝利した。勝利者インタビューで「相手は強かった」と淡々と語るボルグをホテルのロビーのTVで観ていたマッケンローは、「何度もあんな風になろうとした。 だが無理だ。」と傍らの選手に語る。マッケンローにとって、3歳歳上のボルグは、ずっと憧れのヒーローだった。

ボルグもマッケンローの試合をTVで観戦する。「うるさい鳩を何とかしろ、追い払え!」と審判に無茶苦茶を言うマッケンロー、ブーイングを飛ばす観衆、そんな傍若無人なマッケンローをTVで見て、また昔の自分を回想する:ベルゲリンと厳しいトレーニングをするボルグ少年(マーカス・モスバーグ)に、デビス カップに史上最年少で参加出来るというチャンスが訪れたのだ。

ボルグのストレスは3回戦で頂点に達した。試合が雨で中断、こんな中では試合が出来ないと怒り出してしまう。ベルゲリンからは冷静になる様にたしなめられ、結局試合は再開され勝利するが、ボルグは試合後、唯一感情をぶつけられるふたり、ベルゲリンにクビを宣告し、マリアナを部屋から追い出してしまう。

ボルグは昔もベルゲリンに反抗していたことを思い出す:コートで冷静でいられるのは、ベルゲリンの教えのお陰だった。沸き立つ怒りや恐れを、1打1打に叩き込むと誓った結果、ボルクは1974年に全仏オープンで、1976年にウィンブルドンで、初優勝し、世界的選手への階段を駆け上がっていく。

試合後、ベルゲリンはボルグを心配し、ホテルでマリアナに会う。ボルグも部屋で気を落ち着かせ様としていた。マッケンローも試合に勝ち続けるが、負けた相手と試合後口論になったりしていた。冷静に準決勝に挑んだボルグは、勝利を修めた。

自慢の父に褒められたい。それがマッケンローの幼い頃からのモチベーションだった。マッケンローは、弁護士の仕事で多忙な父が駆け付けてくれた準決勝を勝ち抜くが、試合中の暴言を巡り記者会見でつるし上げられる。だが、マッケンローには信念があった。審判にも真剣勝負を求めているのだ。「試合には、すべてを賭ける。 何もかも出し尽くす。 お前らには判らない!」と吐き棄てて、席を立つマッケンロー。

ボルグはシャワー室で倒れ込み、うずくまって動けない程の重圧に襲われていた。しかし、ベルゲリンとの絆を取り戻して立ち直る。「このように日のために、すべてを捧げてきた。」と、決意を新たにするボルグ。

決勝を前に異常に緊張するふたり。観客から拍手で迎えられるボルグとブーイングで迎えられるマッケンロー。いよいよ史上最高の決勝戦が開始される。

【以下結末での記述あり。但し、この試合は1980年に起きた事実ですので、結果をご存知の方も多いかと思います。この先を読むか読まれぬかのご判断は、このブログを読まれている方ご自身にお任せ致します。読まれない方は、次の感想欄に飛んで下さい。】

(1980年7月6日)世界中が見守る中の試合、得意のサーブが冴え、第1セットはマッケンローが取った。第2-3セットはボルグが勝つ。後1セット取ればボルグの優勝。

運命の第4セットは一進一退の攻防が続くが、タイ ブレークになって、マッケンローがボルグのマッチ ポイントを7度も阻止、更に逆にマッチポイントに持ち込み、マッケンローが奇跡の逆転を見せ、第4セットを奪取した。歓喜のマッケンロー。マリアナとベルゲリンは不安を隠し切れない。ボルグは水を飲み気を落ち着ける。

セット カウント2対2で、運命の第5セット。激しい試合、ボルグは辛い少年時代のトレーニングを思い出す。ゲーム カウント7-6でボルグのマッチ ポイント。食いさがるマッケンロー。しかし、ついにボルグがマッチ ポイントを取り優勝!

歓喜のベルゲリン、マリアナ。大歓声の観客。ボルグは膝まずいてのガッツ ポーズ。マッケンローは紳士的に振る舞い、ボルグを祝福する。表彰式のふたり。大観衆はスタンディングオベーションでふたりの健闘を讃えた。この決勝戦で、マッケンローは一度も審判への抗議を行なわなかった。

翌日、ホテルをチェックアウトするボルグとマリアナは、ロビーでマッケンローに出会う。ボルグとマッケンローは、ハグしてお互いの健闘を讃え合い、別れていった。

映画の最後に、
翌年(1981年)のウィンブルドンで、マッケンローが決勝でボルグに勝ち優勝したこと、ボルグが(その2年後の1983年1月に26歳の若さでで)引退したこと、ボルグとマッケンローは親友となり、マッケンローの結婚式ではボルグが花婿の介添人を務めたことが、字幕で示される・・・




【感想】

4年前に観たロン・ハワード監督の「ラッシュ/プライドと友情」(2013)。1976年のF1世界選手権でのニキ・ラウダとジェームズ・ハントの年間チャンピオン争いを軸にふたりの葛藤、対決、そして友情を描いていたが、それのテニス版といった感じ。

しかも日本では、いまいちメジャーになれないモータースポーツではなく、錦織圭の活躍や大阪なおみの全米オープン優勝で更に盛り上がっている、メジャースポーツ テニスの映画。そして、ある程度の年齢層以上には、鮮烈な印象を残したボルグ対マッケンローの映画。

私も、テニスは当時殆どやったことがなかったが、この1980年のウィンブルドンの死闘は、にわかテニス ファンとなり、深夜TVで観ていた記憶がうっすらある。フル セット、3時間55分の試合。しかし、マッケンローがボルグのマッチ ポイントを7度も跳ね返したことまでは覚えておらず、映画を観て鳥肌が立った(笑)

その上、ただのテニス映画ではなく、あらすじを読んで戴ければ判るとおり、ボルグとマッケンローの人間像が深く掘り下げてある。映画を観て初めて知ったのは、若き日々のボルグが意外に激情家の悪童だったこと。

氷の男ではなく、実は熱いマグマを地表の下に隠していたボルグ。そして見たとおりの炎の男マッケンロー。実は似た者同士だったふたり。 そして、万人には計り知れない、高い次元で死闘を繰り広げたふたりだからこそ、お互いに理解し合えたのだろう。映画ラストの字幕には、涙を禁じ得ない。良い映画だなあ。





【スタッフ、キャスト等】

監督:ヤヌス・メッツ
脚本:ロニー・サンダール
撮影:ニルス・タストゥム
キャスト:
ビヨン・ボルグ(スヴェリル・グドナソン)
ジョン・マッケンロー(シャイア・ラブーフ)
レナード・ベルゲリン(ステラン・スカルスガルド)
マリアナ・シミオネスク(ツヴァ・ノヴォトニー)
ピーター・フレミング(スコット・アーサー)
ジミー・コナーズ(トム・ダトナウ)
ケイ・マッケンロー(ジェーン・ペリー)

上映時間:1時間38分
スウェーデン公開:2017年9月8日
日本公開:2018年8月31日
鑑賞日:2018年9月20日
場所:TOHOシネマズ日比谷



【正確な日時は判りませんが、左と右上は、何かのシニア マッチ での最近のボルグとマッケンロー。右下は、???  ふたりとも良い顔をしています。】






No.9550    Day 3367