【予告編:1分30秒】
【あらすじ:Cinemarcheよりの引用(→☆)
1950年代のロンドン。英国の高級ブランドドレス「ウッドコック」、ファッション界の中心に君臨し社交界から脚光を浴びる天才的な仕立て屋のレイノルズ・ウッドコック(ダニエル・デイ=ルイス)。
ある日、レイノルズが愛車に乗ってドライヴに出かけた際に入った田舎のカフェには、不器用ながら真面目で給仕をしているウェイトレスのアルマ(ヴィッキー・クリープス)がいた。
レイノルズはアルマに声を掛け、直ぐに惹かれ合う二人。レイノルズは新たなドレスのデザインを生み出すミューズとして、アルマを工房に迎え入れる。
アルマの「完璧な身体」をレイノルズはとても愛し、彼女をモデルに昼夜を問わず、まるで取り憑かれたかの様にデッサン画を描き、ドレスを仕立てて作り続ける。
アルマはレイノルズとの暮らしていくうちに、気持ちが燃え上がっていき、やがて、彼の唯一の存在であることを望む様になる。
しかし、レイノルズはアルマの思いを無視して、無神経な態度を繰り返し、次第にアルマは不満を露わにしていく。やがて、アルマは森で手に入れた毒キノコを処方して、レイノルズの朝食に微量を混ぜ込んだ・・・
【感想】
カンヌ、ベルリン、ヴェネツィアの世界3大映画祭すべてで監督賞を受賞している唯一の監督であるポール・トーマス・アンダーソンが監督、これまた唯一3度のアカデミー主演男優賞に輝くダニエル・デイ=ルイスが主演。(現在まだ61歳のダニエル・デイ=ルイスが本作品をもって引退を表明しているのは、大変残念だ。)
豊穣で美しく絢爛たる映像美。映像のひとつひとつ、画面のひとつひとつの中の情報量が多いことよ。一度観ただけでは見逃していることが沢山ありそうだ。
主たる人物の造型は多面的だ。
仕事のスタイルを極限まで確立した主人公レイノルズ、しかし、彼のスタイルを乱すものには徹底的に牙を向く。それが愛するアルマであろうとだ。スノッブで保守的で付き合い憎い男だ。
一方、粗野でがさつな面もあるが、美女タイプではないが、知的風貌と堂々とした肉体美を持ち、若く健康なアルマ。
どちらにも感情移入(或いはその逆に嫌うことが)可能だが、それは、観る人の生い立ち、性格、知識、教育、感受性等々により異なって来るだろう。
この映画がアカデミー賞で一部門しか受賞出来なかったとは解せない。とにかく、もう一度観て、自分の解釈を再度確認したくなる映画だ。
【スタッフ、キャスト等】
監督・脚本:ポール・トーマス・アンダーソン
キャスト:
レイノルズ・ウッドコック(ダニエル・デイ=ルイス)
アルマ・エルソン(ヴィッキー・クリープス)
シリル・ウッドコック(レスリー・マンヴィル)
上映時間:2時間10分
米国公開:2017年12月25日
アカデミー賞:衣装デザイン賞(マーク・ブリッジス)
日本公開:2018年5月26日
鑑賞日:2018年6月13日
場所:新宿武蔵野館
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