ピーター・ランデズマン 「ザ・シークレットマン」 (2017) | It’s not about the ski 遅れて来た天才スキーヤー???、時々駄洒落(笑)、毎日ビール!(爆)

It’s not about the ski 遅れて来た天才スキーヤー???、時々駄洒落(笑)、毎日ビール!(爆)

スキー大好き、ゴルフ、読書、映画、演劇、音楽、絵画、旅行と他の遊びも大好き、元々仕事程々だったが、もっとスキーが真剣にやりたくて、会社辞めちまった爺の大冒険?







【あらすじ:「映画ウォッチ」よりの引用(→)】

1972年米国でベトナム反戦運動が激化する中、ニクソン大統領は同年の大統領選挙で再選されるのかが、国民の最大の関心事だった。

ホワイトハウスでは、FBIに30年務める副長官のマーク・フェルト(リーアム・ニーソン)が、ニクソン大統領顧問のジョン・ディーン(マイケル・C・ホール)から、「どうすればフーバーを解任できるか」と質問される。50年近くFBI長官を勤めるフーバーを、ニクソン大統領も解任出来ないのだ。フーバーに忠実なフェルトはそれは非常に困難だと回答する。

フェルトは妻オードリー(ダイアン・レイン)とは仲が良く、自宅では酒を飲み、2人でラテン ダンスを楽しんだりしている。いつもの様にFBIに出勤したフェルトはフーバー長官の死(1972年5月2日)を知らされる。司法省からパット・グレイ副長官(マートン・チョーカシュ)が来るが、フェルトはフーバーの葬式はFBIで行なうとし、司法省のFBIへの関与を防ごうとする。

フーバーの葬式後、グレイがFBI長官代理に任命される。ニクソンと司法省はフーバー独裁が終わり、FBI改革に乗り出そうとする。しかし、フェルトは毅然とした態度でグレイにFBIはニクソンと司法省の言いなりにはならないと告げる。

自宅に帰ると、フェルトは妻からフーバーが死んだ以上、辞任したらと言われるがフェルトは職に留まる。深夜にフェルトの家に電話があり、民主党本部(ニクソン共和党の野党)ウォーターゲート ビルに何者かが侵入したと言う。 (1972年6月17日) 逮捕された5人の経歴を聞くと、フェルトは、逮捕者にFBIとCIAの元職員がいると聞かされる。

FBIに出勤すると、フェルトはグレイとディーンが密談していることを不審に思う。フェルトがグレイと面会すると、ウォーターゲート事件の捜査は48時間以内で終わらせろと言われる。フェルトはタイム(米国の有名なニュース週刊紙)の記者に会う。記者はニクソンはFBIを支配下にしたいのだと話し、ニクソンに逆らうことの危険を警告する。

フェルトが帰宅すると、妻はフェルトの仕事を心配し、何をしているのかと尋ねる。一方では、フェルトの娘が8年間行方不明となっており、フェルトは娘を探すため、全米の同姓同名者に手紙を出し続けている。フェルトは、ワシントン ポストに電話し、記者とミーティングを持ち、事件の重大性を記者に話す。

ディーンからフェルトに電話があり、「マスコミに情報を漏らしているのか」と聞く。フェルトはニクソン政権には、FBIの捜査に口出しする権限はないと応える。フェルトはグレイからも司法省が捜査の権限を持っている、ニクソン政権の不祥事には手を出すなと警告される。部下と会議を持ったフェルトはこの事件ではニクソンをも追求すべき捜査対象だと決意する。

ニクソン大統領は再選を控え、ウォーターゲート事件と自身とは関係ないことを強調し、事件の真相究明を約束する。フェルトはグレイからもこの事件の捜査をやめろと度々圧力を受け、司法省はこの事件の捜査は終結したと発表する。フェルトはこの事件に消極的なFBI職員を激励し、捜査継続を呼びかけ、またFBI機密文書からウォーターゲート事件へのニクソン政権の関与を知る2名の人物の名前を、ワシントン ポストに提供する。

フェルトはワシントン ポストのボブ・ウッドワード記者(ジュリアン・モリス)と密会し大統領選挙を控え、この事件の重大性を告発する。ウッドワードはワシントン ポストではフェルトをディープ・スロートと言うニックネームで呼んでいることを知らせ、フェルトはさらなる情報源をウッドワードに提供する。

ワシントン ポストにニクソン政権がFBIのウォーターゲート事件捜査を妨害しているという記事が載る。グレイはFBI内部に情報提供者がいると激怒するが、事件にも関わらずニクソンは大統領選挙で大勝する。(1972年11月7日)

ニクソンは大勝により影響力を強め、FBIを支配下におさめようとする。フェルトはニクソンに盗聴されているのでは疑い、解任されることを心配する。フェルトはグレイと会談し、ニクソン再選後は、フェルトの職もどうなるかわからないと言われるが、それでもウォーターゲート事件の捜査を続ける。

【以下、結末までの記述あり。映画をご覧になっていない方は、次の感想欄まで飛んで下さい。】

フェルトはタイムの記者にニクソン政権によるFBIの盗聴記録とウォーターゲート事件の隠蔽を話し、記事にするように求める。議会の公聴会でグレイはタイムの記事について上院議員から聞かれる。グレイはFBIのウォーターゲート事件の捜査書類をニクソンの顧問のディーンに渡したのかと聞かれ、それを認める。それは誰からの指示かとの質問に、ニクソン大統領からだと証言する。(1973年5月) この後、グレイは辞任。一方の、ニクソン大統領も下院で弾劾発義への手続きが進められ、追いつめられたニクソンは、その前に辞任することをを発表する。(1974年8月8日)

フェルトは娘のジョアン(マイカ・モンロー)が、とあるコミューンにいることを突き止めたと妻に言い、そこに向かう。草原で子供とくつろぐジョアンにフェルトとオードリーが近づき、フェルト夫妻は娘と再会する。

フェルトは31年間勤めたFBIを退職することになる。FBI長官から功績を表彰され、職員から別れを惜しまれる。(1973年6月22日) FBI退職から3年後(1976年)、フェルトはフーバー時代のFBIの一般市民への違法捜査行為のため、公聴会へ喚問される。違法行為(1970年)は自分の指示だと答えるフェルト。そして、突然自分が、ディープ・スロートかも知れないと示唆する。しかし、「ディープ・スロートなのか」と改めて問いただされるフェルト。映画はフェルトの沈黙の表情で終る。

その後、エンドタイトルで、フェルトはFBIの(テロ組織捜査のための)一般市民への違法活動の責任を問われ刑(罰金刑)を受けたこと(1980年)、妻は自殺したこと、レーガン大統領の時代に恩赦で名誉が回復されたこと(1981年)、死の直前に自らがディープ・スロートであったことを公表したこと(2005年5月31日)、が字幕で流れる。




【感想】

今年日本で公開された映画の中で、今のところ、「君の名前で僕を呼んで」「孤狼の血」「ファントム・スレッド」「スリー・ビルボード」「レッド・スパロー」が私のイチ推しであるが、ここにさらに1本が加わることになった。この「ザ・シークレットマン」である。

俳優が演じ、映画的誇張も交え、娯楽作品として作られていることは百も承知しているが、ウォーターゲート事件からニクソン大統領辞任という、皆が知っている歴史について、実在の人物が登場するという事実の重みがある。

事実を元にしている映画が必ず面白く、全くのフィクションがつまらないかというと、そんなことはもちろんないが、ウォーターゲート事件は、Wikipediaを改めて見ても、なかなか一読では理解し切れない複雑な事件で、これがとてつもなく興味深い。正に、事実は小説よりも奇なりである。

グレイ長官代理の辞任から、ニクソン大統領辞任までは、映画は駆け足で描いているが、実際にはそこまでに1年3ヶ月の時間が経過しており、ニクソン辞任に至る経緯はもっと複雑である。

リーアム・ニーソンも、先日観た「トレイン・ミッション」よりずっと良い。複雑なマーク・フェルトという人物を巧みに演じている。私は列車に飛び移ったりするリーアム・ニーソンよりも、この映画の方がずっと良いと思う。

マーク・フェルトは、100%、正義のためやFBIの組織としての独立性を守るためだけにディープ・スロートになった訳ではないだろう。当然、長官の死去に伴い長官に昇格すると思っていたのになれなかったということへの憤りも動機のひとつだったと推察される。

しかし、それが人間というものの一面であり、いたずらにマーク・フェルトを単なるヒーローにしていないところに共感する。人間や人生はそんなに単純ではなく、複雑で矛盾に満ちている。




【スタッフ、キャスト等】

監督・脚本:ピーター・ランデズマン
原作:マーク・フェルト、ジョン・オコナー
製作:リドリー・スコット、トム・ハンクス、他
撮影:アダム・キンメル
音楽:ダニエル・ベンバートン
キャスト:
マーク・フェルト(リーアム・ニーソン)
オードリー・フェルト(ダイアン・レイン)
パット・グレイ(マートン・チョーカシュ)
ジョン・ディーン(マイケル・C・ホール)
ボブ・ウッドワード(ジュリアン・モリス)

上映時間:1時間43分
米国公開:2017年9月29日
日本公開:2018年2月4日
鑑賞日:2018年8月31日
場所:飯田橋ギンレイ ホール






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