フランシス・ローレンス 「レッド・スパロー」 (2018) | It’s not about the ski 遅れて来た天才スキーヤー???、時々駄洒落(笑)、毎日ビール!(爆)

It’s not about the ski 遅れて来た天才スキーヤー???、時々駄洒落(笑)、毎日ビール!(爆)

スキー大好き、旅行、モータースポーツ観戦、読書、映画·演劇·音楽·絵画鑑賞と他の遊びも大好き、元々仕事程々だったが、もっとスキーが真剣にやりたくて、会社辞めちまった爺の大冒険?







【あらすじ:「映画ウォッチ」よりの引用(→)】

ドミニカ・エゴロワ(ジェニファー・ローレンス)は大病を患う母ニーナ(メアリー=ルイーズ・パーカー)を持ち、その介護をしながらボリショイ バレエ団のトップバレリーナとしての道を歩んでいた。ところが、その公演中パートナーのバレリーノとの衝突により足に重大な負傷を負ってしまう。手術を受けるが、怪我の状態は深刻で、ドミニカはバレリーナとしての道を諦めざるを得なかった。

ある日、ロシア情報省の幹部である叔父のワーニャ・エゴロワ(マティアス・スーナールツ)から公演中の足の怪我は、事故によるものではなく、パートナーであったバレリーノとドミニカの後釜を狙う同じ劇団のバレリーナが仕組んだものであると示唆され、事実を確かめに劇場に向かったドミニカは、そこで元パートナーのバレリーノとドミニカの代わりに舞台に立つことになったバレリーナが愛し合う姿を目撃し、ゴルフ クラブで2人を激しく殴りつけ殺してしまう。

バレリーナとして再起不能な上に殺人者となったドミニカは、母の介護を続ける為に、叔父のワーニャを頼る。ワーニャは、政治家のウスチノフという男をホテルのバーで誘惑するという任務をドミニカに与える。

ドミニカは見事にウスチノフの誘惑に成功し、彼の部屋に誘われる。身の安全は保障するというワーニャの言葉を信じたドミニカだったが、部屋に入るや否や乱暴されるが、行為のさ中、ヘルメットを被った黒づくめの男が現れ、瞬く間にウスチノフは絞殺され、ドミニカは、そのヘルメットの男に連れ去られる。

男に連れ去られた先でドミニカを待っていたのはワーニャは、スパイとしての訓練を受けて国の為に働くか、暗殺現場の目撃者として殺されるかという究極の選択をドミニカに迫る。ドミニカはスパイとして生きる道を選択し、スパイ訓練所で、肉体的・心理的に時には恥辱的訓練を受けるが、それらを克服し、技術を習得し、訓練を終了する。

初の任務として、ブタペストに向かったドミニカは米国CIAのエージェント ネイト・ナッシュ(ジョエル・エドガートン)に接近する。ネイトは外交官としてモスクワに赴任していて、モグラと呼ばれるロシア情報庁省内のスパイ(内通者)と接触を持っていたが、ある夜の密会の際、パトロール中の警察に内通者を抑えられそうになると思い、そ内通者をかばう為、警察の前で威嚇射撃をし、内通者を逃がした。その事件が元でロシア側に素性がバレたネイトは、ブタペストに活動の拠点を移していたのだ。そして、そのネイトから内通者モグラの正体を聞き出すことがドミニカの任務だったのだ。

しかし、任務でネイトと接触したドミニカだったが、互いに惹かれあい、KGBとCIAという関係でありながらお互いの素性や目的も周知の仲になってしまう。そんな中、ドミニカは、ブタペストで共同生活をしていた同僚スパイのマルタ(テクラ・ルーテン)が浴室で死体となっているのを発見する。そこへ、ウスチノフを暗殺したシミョーノフが現れ、組織への裏切りに対してはマルタの様な目に合うと警告される。

マルタの任務を引き継いだドミニカだったが、その任務が米国の上院議員からの機密情報入手であり、米国側でそれを内偵していたネイトに、ドミニカは内通して組織を裏切ったとみなされ、ドミニカはロシアに連れ戻され、過酷な拷問に合う。その拷問に耐え抜き、最後まで口を割らなかったドミニカは「拷問に耐え抜いた自分はネイトの信用を得られる」と叔父のワーニャを説得し、再び元の任務に復帰することになる。


【以下、結末までの記述あり!!   映画未見の方は、次の感想欄まで、飛んで下さい。 】

ネイトに再会したドミニカは母と共に米国に亡命したいとの意向を伝え、完全にネイトの信用を得て、一夜を共にする。ドミニカが目覚めた時に姿のなかったネイトを探しにベッドルームを出ると、隣の部屋でシミョーノフによって椅子に縛り付けられているネイトの姿を発見する。シミョーノフの拷問に加わり、ネイトをいたぶるドミニカだったが、隙を見てシミョーノフに切りかかり、解放したネイトと共にシミョーノフを殺害する。

ネイトと共に病院に運ばれたドミニカだったが、その病院に内通者(モグラ)の正体を暴くという今回の任務の責任者であるコルチノイ将軍(ジェレミー・アイアンズ)が現れ、その内通者の正体こそ自分であるということをドミニカに告げるのだった。コルチノイは、ロシアの現状に憂い、内通者として果たして来た役割をドミニカに託し、モグラの正体が自分である事実を手柄としてロシア情報省に報告することをドミニカに勧め、その場を立ち去る。

しかし、ドミニカは本当の内通者の正体を隠し、スパイ養成学校で学んだ偽装工作を行なって、自分を今の状況に追い込んだ叔父のワーニャをまんまと内通者モグラとして仕立て上げる。ワーニャは交換条件としてCIAに引き渡される際、ロシア側のスナイパーによって暗殺される。ワーニャと交換でロシア側に引き渡され、内通者モグラの正体を暴くという任務に成功を収めたドミニカは、ロシア情報省からの表彰を受け、それを見守るスパイ養成所の監督官(シャーロット・ランプリング)やコルチノイ将軍の姿もあった。

ドミニカは再び母親と共に暮らし始める。ある日、自宅で電話を受けたドミニカが受話器を耳に当てると、言葉はなく、ただ、美しいピアノの音色が鳴り響いていた。その曲はネイトとの思い出の一夜に聞いたあの曲だった。




【感想】

本年(2018年)公開映画で、また傑作が現れた! 今年は、「君の名前で僕を呼んで」「孤狼の血」「ファントム・スレッド」「スリー・ビルボード」と傑作が多い。まずは、まだ映画館でやっていればそちらへ、やっていなければDVDかデータ配信でも良いから観て欲しい。SFYの太鼓判付きだ(笑)

まあ、息もつかせぬ程話が二転三転して、主人公ドミニカ(ジェニファー・ローレンス)がいったいロシアと米国のどちらの味方なのか、判らなくなるところは原作の面白さなのかもしれないが、原作は読んでいないので断定的なことは言えない。

ジェニファー・ローレンスは堂々たる肉体で、ほっそりしたバレリーナにはとても見えないところが唯一欠点と言えば欠点だが(笑)、全編を通じての、その存在感は半端ない。正に、彼女のための映画だ。

叔父の企みに翻弄され自分が望んだ訳でもないのに、スパイにならざるを得なかったドミニカであり、彼女を突き動かしているものは、国家や組織や叔父への忠誠ではなく、病気の母親の助けになりたい、母親に少しでも良い治療を受けさせたいという、母親への無償の愛なのである。

よって、この映画のラストの解釈については議論がある様だが、私はまだこれからのことは、ドミニカにも判らないのだろうと思う。ただ確かなことは、彼女はこれからも母親のことを第一に考えて行動していくだろうということだ。スパイ映画の皮を被っているが、この映画は究極の母への愛の映画でもある。

ちなみに、ドミニカの母親役の女優ジョエリー・リチャードソンは、英国を代表する女優のひとり、あのヴァネッサ・レッドグレイヴの娘である(!)。




【スタッフ、キャスト等】

監督:フランシス・ローレンス
脚本:ジャスティン・ヘイス
原作:ジェイソン・マシューズの同名小説(2013)
撮影:ジョー・ウィレムズ
美術:マリア・ジュルコヴィック
音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード
キャスト:
ドミニカ・エゴロワ(ジェニファー・ローレンス)
ネイト・ナッシュ(ジョエル・エドガートン)
ワーニャ・エゴロワ(マティアス・スーナールツ)
コルチノイ将軍(ジェレミー・アイアンズ)
ニーナ・エゴロワ(ジョエリー・リチャードソン)
監督官(シャーロット・ランプリング)
マルタ(テクラ・ルーテン)

上映時間:2時間20分
米国公開:2018年3月2日
日本公開:2018年3月30日
鑑賞日:2018年8月23日
場所:新文芸坐(池袋)






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