イイケン先生かく語りき -5ページ目

新しいタイプの資金調達 ~クラウドファンディング 第663回

最近毎日のように、SNS等ネット上で、寄付のお誘いが来る。

東日本大震災を契機に、2011年以降、寄付を募るプロジェクトから認知が進み、社会貢献性や共感性の高いプロジェクトが多数起案されてきたことが、我が周辺にも具現化している。

いわゆる「クラウドファンディング」、ご存知だろうか?

日本ではまだまだ、慈善事業などの社会貢献型の寄付に使われる例が多いが、平成26年の金融商品取引法の改正で、「参入要件の緩和」と「投資者保護のためのルールの整備」がされた。

この結果、今後の枠組みの整備と、規制緩和が行われることで、「投資型」のクラウドファンディングが成長する余地が大きくなった。

おかげで、創業を目指すアントレプレナー等中小企業にとって、今までなかった新しいタイプの資金調達、たとえば、金融機関が仲介せずに、「個人と個人を結びづける新たな資金」が集まる仕組みの、より幅広い活用が可能となると思っている。

 

その仕組みを見てみよう。

クラウドファンディング(CrowdFunding)とは、群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語で、クリエイターや起業家が製品・サービスの開発、もしくはアイデアの実現などの「ある目的」のために、インターネットを通じて不特定多数の人から資金の出資や協力を募ることを言う。

たとえば、あるクリエイターが自主制作アニメを制作したいとする。

なぜそのアニメが作りたいのか、どういうアニメを作りたいのか、資金はいくら必要なのかといった情報を、プロジェクトとしてクラウドファンディングサービス上に掲載し、支援者を募る。

また支援者に対して、何かしらの見返り(リターン)がある場合は、その旨も記載する。

資金を提供した人に対するリターンの形態により、
主に①投資型、②寄付型、③購入型3つのタイプがあり、
このうち現在最も事業者の数が多いのは購入型。
なぜならば、購入型は金融商品取引法などの規制に服さず、簡単に始めることができるからだ。寄付型も同じだが、リターンを重要視しない。
新規・成長企業に少額で投資を行い、配当や利益を受けるという意味から言えば、現在,最も活用が期待されているのは、むしろ投資型だ。

投資型のクラウドファンディングを「業として」行う場合には,金融商品取引法上の登録が必要となる。

そして、一定期間の間に、プロジェクトに共感した複数人の支援者が少額づつ資金を出資・支援し、目的の資金が集まった時点でプロジェクトが成立し、プロジェクトの起案者は、集まった資金を元手にプロジェクトを実行する。

クラウドファンディングの原則は、募集期間内に資金提供表明の総額が目標金額に達した場合のみ資金が提供される仕組み(All or Nothing方式)が採られること。
このAll or Nothing方式が採られる趣旨は、質の悪い案件を「群衆の知恵」で排除するという点にある。

クラウドファンディングサービスの最初はアメリカにて2000年、日本では、20114月にリリースされた「READYFOR」が最初のクラウドファンディングサービスと言われている。

世界におけるクラウドファンディングの市場規模は、201414000億円と言われるが、同年度の日本国内市場規模は、新規プロジェクト支援額ベースで、前年度比59.5%増の1971,200万円。 

2015年度の国内市場規模は、前年度比で43.9%増の2837,300万円を見込まれている。

今後はネット証券の参入の可能性もあり、さらに市場規模は拡大すると予測され、注目度も高い。

これまでの頑張りが、徐々に形になっていく年 ~第662回

 

平成28年 新年あけまして、おめでとうございます。

皆様、お健やかに新年をお迎えしたこと、
お慶び申し上げます。 

 

平成28年(2016年)の干支(えと)は、丙申(ひのえさる)である。

丙(ひのえ)は「明らか」という意味があり、形が明らかになってくる頃とのこと。

申(さる)は「呻く(うめく)」の意味があるそうだ。

呻くは、果実が成熟していって、実が固まって行く状態を表している。

完熟までは、まだ達しない状態のようだ。

丙申の2016年は、「形が明らかになってくる」、「実が固まっていく」過程の年となりそうだ。

つまり、2016年は何かを始めるというよりも、

これまでの頑張りが、徐々に形になっていく、その途中の年ということと理解したい。

だからたとえば…

評価されてこなかったことが、評価されるとか。

これまで理解できなかったことが、理解できるとか。

今まで見えなかったコト、モノが見えてくる年だと、信じることとした。

だからまた…

待つだけでなく、積極的に行動すべき年かもしれない。

今までの曖昧な関係にけじめを付けるのも、道理となってくる。

 

2016年はまだ完熟する年ではなく、形がはっきりする、固まって行くという成長段階。

だから目指すのは、2020トゥウェンティー・トゥウェンティー)までの5か年計画とした。

その基本思想を、CINGとすることは、前回のコラムで述べたことである。

C』で始まる30のミッションを、2020年までにすべてクリアする。

2016年から5年間、各々1年毎にどの『C』をクリアするか、それが具体的戦術となるはずだ。

 

今年2016年は、「7つのC」を克服すること、年末にスタッフみんなと誓い合った。

 Challenge 挑戦する(チャレンジ)⇒② Change 変化する(チェンジ)⇒③ Creation 創造する(クリエイション)⇒④ Compliance 法令遵守(コンプライアンス)⇒⑤ Collaborate 協力する、協調する(コラボレイト)⇒⑥ Communicate つながる、共感する(コミュニケイト)⇒⑦ Cordial 誠心誠意、思いやりのある(コーデュアル)以上の7つである。

今やっていることが自分にとって何なのかを考え、何を目的に頑張っているのか、明らかにさせる。

2016年は、頑張ってきた人の努力が、形になっていく年、5か年プランのスタートの年としたい。

皆さまにとって、良き年であることを、お祈り申し上げる。

 

【参考・出典】  http://hotdoglab.jp/blog/2016-year-eto/

C:ING Action ⇒ 「30のC」の実現がテーマ ~第661回

頭文字が「C」で始まる、とっても重要、かつ貴重な単語がたくさんある。
たとえば30Cだ。

2020年に向けての5ヶ年間に、この「30C」の全ての実現を目指すこと、2016年以降、オールIKGの基本方針としたい。
5か年計画・CING(シーイング)Actionと名付けてみた。

 

30C」とは? 
小生、勝手に選んでみた。 
たとえば…

Creation 創造する(クリエイション)

Challenge 挑戦する(チャレンジ)

Change 変化する(チェンジ)

Curiosity 好奇心 (キューリオシティ)

Confidence 自信 (コンフィデンス)

Courage 勇気 (カーリッジ)

Constancy 継続 (コンスタンシィ)

Clear 明瞭に (クリア)

Concise 簡潔に (コンサイス)

Concrete 具体的に (コンクレイト)

Correct 正確に (コレクト)

Coherent 理路整然と (コヒーレント)

Complete 締めくくり方にご注意を (コンプレイト)

Courteous 礼儀正しく (カーティアス)

Conversation 会話を楽しむこと・談話(カンバスエイション)

Checkout よく見る (チェックアウト)

Catch 受け止める(キャッチ)

Consideration 考える(コンシダレイション)

Compliance 法令遵守(コンプライアンス)

Conference  会議・協議(カンファレンス)

Customer Satisfaction 顧客満足 (カストマー サティスファクション)

Corporate Culture 社風(コーポレート カルチャー)

Cordial 誠心誠意、思いやりのある(コーデュアル)

Collaborate 協力する、協調する(コラボレイト)

Communicate つながる、共感する(コミュニケイト)

Community グループ、地域、社会 (コミュニティ)

Casual 気軽な、形式ばらない(カジュアル)

Charity 慈善、寛容、思いやり(チャリティ)

Creativity 創造力、創造性(クリエイティビティ)

Citizen 市民、普通の人(シチズン)

 

30C」の完全制覇!1年で6テーマである。
達成後はそれを継続するから、5ヶ年で30のチャレンジをものにすることができる、
IKGに大きな付加価値を付ける必然があるから…!

 「おこる」と「しかる」は違う! ~第660回

「怒る」「叱る」…普段から同じような意味で使い、その違いを意識したことないかもしれない。

辞書の上での意味はほとんど一緒、広辞苑でも、「おこる」の意味に「叱る」って書いてあるぐらいだ。

でも、「上手に叱って人を育てていきます」とは言うけど、「うまく怒って、人を育てます」とは言わない。

なるほど、2つの単語が存在するということは、両者の区別があるはずだ…

今回はそんなコラムである。

 

この2つの根本的違いは、感情の入り方にあると言われている。

「怒る」は、相手に対して激しい感情のままに言葉を発してしまうこと。

それに対し「叱る」は、感情的にならず冷静な言葉で注意をすること。

つまり、「自分のために怒る。相手のために叱る」ということである。

 

怒る」とは、相手が自分に悪い影響を与えたり、自分が指示した通りに動いてくれなかったりした場合に、自分が腹をたてたことを相手にぶつける動作のことである。

「俺は怒っているのだ!」ということを相手に分ってほしいとか、うっぷんを晴らしたいとか、相手を困らせたいとか、そんな理由ですることである。

そのような、「自分の目的」が果たせればそれでいい。

相手がそれでどうなろうが「知ったこっちゃない」、というわけだ。

「○○のくせに生意気だ!」、「なんで出来ないんだ!」、「さっき教えたでしょう!」というのが決まり文句である。

一方「叱る」とは、相手を正しい方向へ導くために何が良くないのかを「気付かせる」ことである。

相手が自分を含めて誰かに悪い影響を与えたり、自分が指示した通りに動いてくれなかったりした場合に、相手をより良くしようとする注意やアドバイスを、あえて声を荒げたり、語気を強めたりして相手に伝える動作のことを言う。

「あのお客様が怒っていたのは何でだと思う?」とか、「あなたはお客様では無く、従業員なの。楽しむのも大事。でも、楽しませることがもっと大事な立場よ。」、あるいは「それをふまえて、今、自分がしたことは従業員として、どうかな?」…等々、

つまり、相手に成長・改善の“気づき”や“機会”を与える行為といえる。

 

どうせやるなら、より大きな効果があった方が良い、効果的に「叱る」ために重要なこと3つである。

① 「すぐ叱る」こと、あとになって「あの件だけどね・・・」と叱るのは効果が薄い。

② 「短く叱る」こと。言いたいことは山ほどあっても、ダラダラと説教するのは意味がない。

できれば二言、三言ぐらいがベストかもしれない。

そして、叱ったらすぐその場を離れること。ニラミをきかせると逆効果。

③「11で叱る」こと。みんなの前で叱って恥をかかせる必要はない。

 

人間は感情の生き物だから、「怒るな」と言われても難しい。
感情的に怒るとかえって逆効果になる場合もある。
感情的に怒る前に「マテマテ」、それを「相手のためになるように叱るにはどうすればいいか」を考えるようにすれば、より効果的に自分の気持ちを伝えることができるようになるはずである。

平成28年、暮らしはどう変わりますか? ~第659回

暮らしの動向を大きく左右する一つの要因は、税制の在り方にある。

ご存知のように「税」は政策的側面がある故、毎年のように、その制度が変わる。

自民・公明両党は、与党としての来年度の「税制改正大綱」を決定した。
通例でいけば、ほぼこの案が実質的税制改正案となる。
今回は、主要なものについて、概要をご紹介したい。

 

法人税実効税率の引き下げと企業支援として、来年度は実効税率29.97%に引き下げるのに続き、3年後の平成30年度には、さらに29.74%まで段階的に引き下げる。

そのうえで、税の減収分を補填(ほてん)する代わりの財源として、資本金が1億円を超える企業を対象に、赤字でも事業規模などに応じて課税する「外形標準課税」を拡大する。

中小企業の設備投資促進策としては、生産性を高めるため160万円以上の生産機械を新たに購入した場合、3年間、固定資産税を半分にする措置で、赤字の中小企業にも設備投資を促したいとしている。

暮らしに身近な税制改正としては、「市販薬」(「スイッチOTC薬」)を購入した場合、29年1月から5年間の時限措置として、購入額が1世帯当たり年間10万円までは、1万2000円を超える部分について、課税対象となる所得から差し引いて税を軽減する措置を新設する。

サラリーマンの通勤手当が変わる。所得税の非課税になる限度額が、今の月10万円から15万円まで引き上げられる。
この結果、新幹線を利用して東京駅まで通勤する場合、非課税となるのは、今の約100キロ圏から約200キロ圏にまで広がる。
注目度の高い自動車については、再来年「自動車取得税」を廃止する代わりに、自動車の購入時に燃費に応じて課税する新たな制度が導入される。
具体的には、電気自動車など最も燃費性能の高い車は非課税とし、燃費性能が低くなるにつれて税率が1%ずつ上がり、最も高い税率を3%にする。

新車販売台数の半分が非課税となる見通し
更に、出産や子育て支援については、親の助けを借りながら出産や子育てができる3世代の同居を希望する世帯を後押ししようという制度が設けられた。
具体的には、3世代の同居に向け、自宅のキッチン、トイレ、浴室、玄関を増設するなどした場合、来年4月から工事費の10%分、最大で25万円を所得税額から差し引いて、税負担を軽減する。
ローンを組んでの改修であれば、ローン残高から最大62万5千円分までを5年に分けて所得税額から減らせる仕組みも用意する。

また、結婚・出産一括贈与の1000万円控除も更に充実させる。

住宅分野では、空き家を親から相続した人が耐震改修や解体して売却すれば、譲渡益から3千万円が控除される。
また、新築住宅の固定資産税を半額に割り引く制度については。来年3月末が期限だったが、2年間延長する。

地方創生については、企業版ふるさと納税の新設
具体的には、地方創生に効果があると国が認めた事業に取り組む自治体に、企業が寄付した場合、寄付した額の最大30%を法人住民税などから差し引き税を軽減する。

またインバウンド減税、訪日外国人の、1回の買い物についての消費税の免税額、1万円から5000円に引き下げる。以上、税制改正案の、主なところである。

そしてこの後、消費税の更なる増税が控えていること、大きな負担感に苛まれている。

平成28年度、私たちの暮らしは、どう変わるのだろうか?

三無主義タイプにつける薬 ~第658回

いつも世も、どこの事業所にも、問題社員は存在する。

最近特に多いのが「無関心」、「無感動」、「無関係」を標榜する三無主義と言われる若者たちだ。
何に付けても「しらけ」ており、会社の親睦交流行事はあえて参加せず、しかし決して休まず、遅刻もせず、ただ何となく出勤して来る。

「別に…」「特に…」「そう言われても…」が枕詞で、「私には関係ないから」が口癖になっている。いったい何のために働いているのか、何に興味があるのか、皆目分らない。

我々が若い頃夢中で追い求め、奮い立たせた「パトス(pathos)」とか、「パッション(passion)」とか、およそ無縁の言葉の如き新種の生き物のようで、問題社員と言うよりは、人類的に違う生物にしか、見えてこない。

 

このようなタイプが、どうして発生するのか、その原因はどこにあるのだろうか?

その一つが、「危機感の欠如」にあると思っている。

平和の時代が長く続き、自分が何かしなくても何とかなるし、別に「誰かがやってくれるからいいジャン」という思考で、何ら不便なく生活ができた。

極端な危機感の欠如による「平和ボケ」と言う事に他ならない。

更に、その傾向に輪をかけたのが「情報過多」。

情報技術が著しく進化した現在、溢れるほどの情報は、自分から求めなくても無制限に与えられる。
だから何につけても、「待ちの姿勢」になりがちである。
その結果、自分を問題の渦中に絶対置かず、一歩下がって世の中批判的に見てしまう。

その深層心理は、自分がいても何も変わらない、自分は特別役に立っていない、自分の存在は必要ない…そんな思考に慣れきってしまったのかもしれない。

 

しからばミッション⇒「三無主義タイプを変えるには、どうしたら良いだろうか?」

本人の考え方の問題だから、絶対的改善策はありえないだろう。

でも恐らく、今より、何もやらないよりベターな方法はあるに違いない。

その一つは、「叱るより褒める事」だと思っている。もっと言えば、「ホメ殺し」だ。

この種のタイプはいくら叱っても「柳に風」、怒るエネルギーだけが虚しく消費されるだけである。怒るより褒めること、「あなたは素晴らしい」、「あなたが必要なのだ」という素直な気持ちを伝えることだと思う。
従って、長期的な課題の有る仕事を与えるより、短期的に、すぐ結果の出る、非定型仕事を与えるべきかもしれない。

小さな仕事の成功を褒め、自信と感動を覚えさせる事が効果的な処方箋になるに違いないと思っている。
そして、仕事とは、他者との関係で成立する事を意識させる事、多くの人がいて成り立つビジネスが、…「自分には関係ない」はずがない…事を教えることである。

北野武流「作法」 ~第657回

お笑いタレント、司会者、作家等々多方面で活躍されているビートたけし。

彼こそはコンプレックスの塊だと、小生、密かに思い込んでいる。

コンプレックスとは劣等感という意味と、複合的(才能)という意味付けを無理やりしてみた。

(いん)のコンプレックスの代表が三島由紀夫だとすれば、

北野武は、明るすぎるコンプレックスの親分と言って良いかもしれない。

個人的に、三島の中には、小生の永遠のテーマみたいなものがあるが、

北野武は、あまり好きなキャラではなく、特に俳優、映画監督という肩書は「勘弁」である。

そうはいえ、溢れ出る才能だけは、客観的にも認めざるを得ない。

その北野武氏の「作法」についての話が、今ネットで評判だ。今回はその一部を、ご紹介する。

 

…具体的な細かい作法をいくら知っていても、 

本当の意味で、他人を気遣う気持ちがなければ、
  何の意味もない。 

その反対に、作法なんかよく知らなくても、

ちゃんと人を気遣うことができれば、
  大きく作法を外すことはない。
 

駄目な奴は、この気遣いがまったくできていない。

人の気持ちを考えて行動するという発想を、
   最初から持っていないのだ。
 

他人への気遣いで大切なのは、話を聞いてやることだ。 

人間は歳を取ると、どういうわけかこれが苦手になるらしい。 

むしろ、自分の自慢話ばかりしたがるようになる。 

だけど、自慢話は一文の得にもならないし、
   その場の雰囲気を悪くする。 

それよりも、相手の話を聞く方がずっといい。 

 料理人に会ったら料理のこと、運転手に会ったらクルマのこと、

坊さんに会ったらあの世のことでも何でも、

知ったかぶりせずに、素直な気持ちで聞いてみたらいい。

自慢話なんかしているより、ずっと世界が広がるし、
   何より場が楽しくなる。  

 例え知っていたとしても、一応ちゃんと聞くのだ。 

そうすれば、専門家というものは、
   きっとこちらの知らないことまで話してくれる。

井戸を掘っても、誘い水をしないと水が湧いてこないように、

人との会話にも誘い水が必要なのだ。

これはいい話だ。
いくら「下品さ」をカモフラージュしても、細心のデリカシーの持ち主である北野武、本質を説く思いが伝わってくる、素晴らしい話と出会うことができた。

決算書の嘘を見抜く! ~有罪率、なんと3年連続・100% 第656回

企業情報を読み解くには厄介な問題がある。

それは、「会社の数字は必ずしも真実を示しているとは限らない」ことである。

決算書というのは、聞きなれない会計用語がたくさん使われるし、しかも数字だらけである。

今まで触れたことのない人にとっては、非常にハードルの高い分野だといえるだろう。

しかも、決算書の数字は、たびたび嘘をつく。

悪質な企業は、粉飾決算や脱税など、論外なる脱法行為を時々行い、決算書を誤魔化してきた。

また粉飾や脱税までには至らなくても、合法ギリギリに決算を良く見せたり、その逆に利益を少なく見せたりすることは、「調整」と称して比較的良く行っている。
その手口は、益々巧妙になってきた。

だから、決算書の数字を鵜呑みにしてしまうと、騙されてしまう事も多いのだ。

この2つの問題がネックになって、利害関係者は、中々企業情報を正確に読み解くことができないでいる。

                                              

例えば、負債の簿外計上(赤字隠し)、利益を余分に計上して赤字を少なく見せる、資産の過大計上(資産水増し)、収益の上乗せ(利益水増し)等在庫操作や経費操作があれば、損害を隠して経営状況を実際よりも良く見せることを目論んでいると見抜くべきだ。

会社が儲かっていないのに、儲かっているようにしたり、赤字が出ているのに、赤字が無いようにして外部に発表することを「粉飾」といい、不正に会計を操作する虚偽の決算報告のことである。

粉飾の手口とは、「売上が落ちているのに利益は横ばい」、「業界の景気が悪いのに利益が落ちていない会社」、「理由もなく利益が急増している会社」、「原価率」が急に下がっている企業は要注意、多額の借入金などがある場合や、特に上場を目指しているような企業に粉飾の可能性が高くなる。

粉飾は売上を大きくし、利益を増やすのだから脱税とは違い、それほど問題ない…と思っている方、

とんでもない! 立派な脱法行為である。

状況により相違はあるが、およそ以下のような罪が想定される。

社長の場合、会社法960条の特別背任罪、「違法配当罪」(会社法§963)、に当たる可能性がある。

上場企業の取締役が有価証券報告書の重要な事項に虚偽の記載をして提出したときは、「有価証券報告書虚偽記載罪」(金融商品取引法§197
経理担当の人は銀行に対する背任罪(刑法 247条)か。

また、財産上の不法の利益をその会社に得させたとして詐欺罪(刑法 246条2項)にも該当可能性もある。

その他各方面に対する民事責任による損害賠償請求がある。

 

納税義務があると見なされている人が、その義務の履行を怠り、納税額の一部あるいは全部を逃れる事を「脱税」といい、その手法は、「売上を過少に申告するか」、「費用を過大に申告するか」の2通りしかない。

脱税は、憲法30条「納税の義務」を無視した行為であり、刑事事件なので、所得税法、法人税法などの各種税法に基づき懲役&罰金、もしくはその両方併科に処せられる。
「前科一犯」という履歴になってしまう。

20106月に、29年ぶりに脱税行為に関する刑事罰を大幅に強化された。

法定刑の最高が懲役10年、罰金1千万円に増え、刑事訴追の時効が7年に延長、申告書の不提出や記帳義務の違反についても、罰金額の引き上げや懲役刑の新設で罰則の強化された結果、国税・検察当局が刑事事件として立件しやすい環境になった。

 

脱税で起訴された場合の有罪率、なんと3年連続・100%であること、お伝えしておく。

第655回 「ありがとう」

ある夫婦の話である。

晩酌の時、いつも無口の夫が、「ちょっと、お酌してくれないか?」と珍しく妻に言った。

台所の片付けをしていた妻は、「今、忙しいから自分でやって」と答えた。

夫は少し寂しそうだったが、手酌で酒をついだ。

その、2~3時間後、夫は急に倒れ、救急車で病院に運ばれ、

帰らぬ人となってしまった。

あの時何故、もっと優しい言葉で、こぼれるような笑顔で、感謝の言葉で、

接することができなかったのか…それから、妻は、

何故あの時、夫にお酌をしてあげなかったのかと、ずっと悔やんだという。

 

引用:愛 感動そして涙のストーリー

 

ある法事でご住職から、こんな話をお聞きした。

誰もが、今日と同じ日が、明日も繰り返されると思っているし、決して疑わない。

今日、誰かと出逢い、話し、笑い、食事をして、仕事ができる。そして、当然のように明日も…。

我々は、毎日起こる出来事を、「あたりまえ」だと思って過ごしている。

歩けるのが、あたりまえ。目が見え、耳が聞こえるのが、あたりまえ。手足が動くのが、あたりまえ。

健康な人にとっては、健康があたりまえでも、障害者にとっては、そうであること自体が難しい。

大切な人と明日も会えると思っていたのに、永遠の別れになる事もあるかもしれない。

五体満足でいることが”あたりまえ”だと思わず、今日も無事、生きていることが、もしかしたら奇跡なのかもしれない。

「奇跡」とは、「あたりまえ」でなくなった時、滅多にないことが起こることである。

滅多にないことに巡り合う、つまり稀であることを、「有ること」が「難(むずか)しい」と書く。

この「有ることが難しい」が、「有ることが難しいことを感謝する」という意味の「有難(ありがた)い」という言葉、さらに「ありがとう」という言葉に転じたそうだ。

 

得生人道難 生寿亦難得 世間有仏難 仏法難得聞~『法句経』

(人に生まるるのは難(がた)く、やがて死すべき者の今命あるは有難し。世に正法あることは難く、仏法の教えを聞くは有難し)という仏教の教えが、「ありがとう」の語源となっているとのことだった。

 

ということは…「ありがとう」(=「有難し」=「奇跡」)の反対語は・・・「あたりまえ」ということになる。

我々は、毎日起こる出来事を、当たり前だと思って過ごしている。

でも、生きて、出逢う、というこんな「あたりまえだ」と思っていたことが、本当は「奇跡の連続」であること、あることが難しい「有難う」と思う心が、忘れてはいけない大切なことに気付くべきなのだ。

法事のたびになんとなく御唱えする『摩訶般若波羅蜜多心経』、究極の奥義は、この「ありがとう」と「感謝」だということ、今日初めて、ご住職から教えていただいた。

 

引用:「あなたは『ありがとう』の反対語を知っていますか?」 http://cadot.jp/impression/10092.html/1




引用元:第655回 「ありがとう」

第654回 税理士を見極める「目」

11月5日は「税理士法人設立記念日」だった。

スタッフ全員と、イタリアンレストラン貸切で、お祝い会をやった。

読者の皆さんには、ほとんど関心のない事だが、税理士業界を少し、紹介したいと思った。

 

税理士登録者は平成27年10月末日現在で、75,601人である。

この約7万5千人という数値は多いのだろうか、少ないのか、色々な考えがあろう。

例えば、コンビニ上位7チェーンの合計店舗は51,139店、お医者様の数は303,268人、歯科医師は102,551人、薬剤師は280,052人である。全国の美容室の数は231,134軒あると言われている。

旅館業の数が79,519軒であり、外客誘致等観光が注目される中、減少傾向に歯止めがきかない。

年々増加傾向にある税理士の数と、拮抗する時が来そうである。

ちなみに事業的に大変と言われる「公認会計士」が27,873人、同じく「弁護士」は35,045人である。

業際が近い「中小企業診断士」は22,544人、「社会保険労務士」・38,445人、「行政書士」・45,551人となっている。士業という名の国家ライセンス最多登録者数の資格は「一級(構造・設備含む)、二級、木造」の建築士合計で1,128,891人と、桁が違っている。 (以上数値は、各業界監督省庁等の直近の調査値)

 

さて、税理士業界、10年間で約6千5百人増え、毎年過去最高登録数を更新し続けている。

法務・経済系士業の中では、税理士が圧倒的であることが分る。

約7万5千人登録の中で、税理士法人は全国で3,157社、法人化率4.2%である。

税理士法人とは、社員を税理士に限定した、商法上の合名会社に準ずる特別法人で、平成13年の税理士法改正において創設された、2人以上の税理士が共同して設立する税理士事務所のことだ。

税理士法人と個人税理士事務所との違いは…税理士法人は、クライアントに対して無限連帯責任を負うなど厳しい制約がある反面、業務内容のクオリティの高さが保証されるということ。

そして、個人の税理士事務所では対応しきれない複雑化・多様化する事案に対し、複数の税理士による多角的な検討・解決が可能になる。

さらに、所長税理士個人から組織を切り離して永続性を持つことが出来るので、もし所長税理士に不測の事態が生じた場合にも、継続的・安定的に業務提供が可能となり、クライアントのリスクを最小限に抑えることができる。

コンプライアンス遵守が社会的必然となりつつなる現代、企業の不正行為の防止と競争力・収益力の向上を総合的にとらえ、長期的な企業価値の増大に向けた企業経営の仕組みづくり、つまりコーポレート・ガバナンスの構築が求められている。

いよいよマイナンバー制度のスタートを控えるこの時期に、特定の個人情報に関わる扱い等は、緊張感を持った完璧性が必要となるはずである。とりわけその業務に関わる税理士業は、積極的システムの構築と、それを扱う人材の教育を徹底しなければならないはずである。

 

こんな税理士を見極める…当然、税理士を選ぶ基準も、自ずから変わってくるに違いない。

親戚だから、同級生だからといった縁故で税理士を選ぶ時代ではなくなっている。

ましてや、料金が安いから…という選択は、専門家のプライドを逸脱した「計算屋」であり、税理士本来の使命と全く違う。

お客様の税理士を見極める目、これからの税理士業界に必要な「スタンダード」にすべきであろう。




引用元:第654回 税理士を見極める「目」