新しいタイプの資金調達 ~クラウドファンディング 第663回 | イイケン先生かく語りき

新しいタイプの資金調達 ~クラウドファンディング 第663回

最近毎日のように、SNS等ネット上で、寄付のお誘いが来る。

東日本大震災を契機に、2011年以降、寄付を募るプロジェクトから認知が進み、社会貢献性や共感性の高いプロジェクトが多数起案されてきたことが、我が周辺にも具現化している。

いわゆる「クラウドファンディング」、ご存知だろうか?

日本ではまだまだ、慈善事業などの社会貢献型の寄付に使われる例が多いが、平成26年の金融商品取引法の改正で、「参入要件の緩和」と「投資者保護のためのルールの整備」がされた。

この結果、今後の枠組みの整備と、規制緩和が行われることで、「投資型」のクラウドファンディングが成長する余地が大きくなった。

おかげで、創業を目指すアントレプレナー等中小企業にとって、今までなかった新しいタイプの資金調達、たとえば、金融機関が仲介せずに、「個人と個人を結びづける新たな資金」が集まる仕組みの、より幅広い活用が可能となると思っている。

 

その仕組みを見てみよう。

クラウドファンディング(CrowdFunding)とは、群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語で、クリエイターや起業家が製品・サービスの開発、もしくはアイデアの実現などの「ある目的」のために、インターネットを通じて不特定多数の人から資金の出資や協力を募ることを言う。

たとえば、あるクリエイターが自主制作アニメを制作したいとする。

なぜそのアニメが作りたいのか、どういうアニメを作りたいのか、資金はいくら必要なのかといった情報を、プロジェクトとしてクラウドファンディングサービス上に掲載し、支援者を募る。

また支援者に対して、何かしらの見返り(リターン)がある場合は、その旨も記載する。

資金を提供した人に対するリターンの形態により、
主に①投資型、②寄付型、③購入型3つのタイプがあり、
このうち現在最も事業者の数が多いのは購入型。
なぜならば、購入型は金融商品取引法などの規制に服さず、簡単に始めることができるからだ。寄付型も同じだが、リターンを重要視しない。
新規・成長企業に少額で投資を行い、配当や利益を受けるという意味から言えば、現在,最も活用が期待されているのは、むしろ投資型だ。

投資型のクラウドファンディングを「業として」行う場合には,金融商品取引法上の登録が必要となる。

そして、一定期間の間に、プロジェクトに共感した複数人の支援者が少額づつ資金を出資・支援し、目的の資金が集まった時点でプロジェクトが成立し、プロジェクトの起案者は、集まった資金を元手にプロジェクトを実行する。

クラウドファンディングの原則は、募集期間内に資金提供表明の総額が目標金額に達した場合のみ資金が提供される仕組み(All or Nothing方式)が採られること。
このAll or Nothing方式が採られる趣旨は、質の悪い案件を「群衆の知恵」で排除するという点にある。

クラウドファンディングサービスの最初はアメリカにて2000年、日本では、20114月にリリースされた「READYFOR」が最初のクラウドファンディングサービスと言われている。

世界におけるクラウドファンディングの市場規模は、201414000億円と言われるが、同年度の日本国内市場規模は、新規プロジェクト支援額ベースで、前年度比59.5%増の1971,200万円。 

2015年度の国内市場規模は、前年度比で43.9%増の2837,300万円を見込まれている。

今後はネット証券の参入の可能性もあり、さらに市場規模は拡大すると予測され、注目度も高い。