平成28年、暮らしはどう変わりますか? ~第659回 | イイケン先生かく語りき

平成28年、暮らしはどう変わりますか? ~第659回

暮らしの動向を大きく左右する一つの要因は、税制の在り方にある。

ご存知のように「税」は政策的側面がある故、毎年のように、その制度が変わる。

自民・公明両党は、与党としての来年度の「税制改正大綱」を決定した。
通例でいけば、ほぼこの案が実質的税制改正案となる。
今回は、主要なものについて、概要をご紹介したい。

 

法人税実効税率の引き下げと企業支援として、来年度は実効税率29.97%に引き下げるのに続き、3年後の平成30年度には、さらに29.74%まで段階的に引き下げる。

そのうえで、税の減収分を補填(ほてん)する代わりの財源として、資本金が1億円を超える企業を対象に、赤字でも事業規模などに応じて課税する「外形標準課税」を拡大する。

中小企業の設備投資促進策としては、生産性を高めるため160万円以上の生産機械を新たに購入した場合、3年間、固定資産税を半分にする措置で、赤字の中小企業にも設備投資を促したいとしている。

暮らしに身近な税制改正としては、「市販薬」(「スイッチOTC薬」)を購入した場合、29年1月から5年間の時限措置として、購入額が1世帯当たり年間10万円までは、1万2000円を超える部分について、課税対象となる所得から差し引いて税を軽減する措置を新設する。

サラリーマンの通勤手当が変わる。所得税の非課税になる限度額が、今の月10万円から15万円まで引き上げられる。
この結果、新幹線を利用して東京駅まで通勤する場合、非課税となるのは、今の約100キロ圏から約200キロ圏にまで広がる。
注目度の高い自動車については、再来年「自動車取得税」を廃止する代わりに、自動車の購入時に燃費に応じて課税する新たな制度が導入される。
具体的には、電気自動車など最も燃費性能の高い車は非課税とし、燃費性能が低くなるにつれて税率が1%ずつ上がり、最も高い税率を3%にする。

新車販売台数の半分が非課税となる見通し
更に、出産や子育て支援については、親の助けを借りながら出産や子育てができる3世代の同居を希望する世帯を後押ししようという制度が設けられた。
具体的には、3世代の同居に向け、自宅のキッチン、トイレ、浴室、玄関を増設するなどした場合、来年4月から工事費の10%分、最大で25万円を所得税額から差し引いて、税負担を軽減する。
ローンを組んでの改修であれば、ローン残高から最大62万5千円分までを5年に分けて所得税額から減らせる仕組みも用意する。

また、結婚・出産一括贈与の1000万円控除も更に充実させる。

住宅分野では、空き家を親から相続した人が耐震改修や解体して売却すれば、譲渡益から3千万円が控除される。
また、新築住宅の固定資産税を半額に割り引く制度については。来年3月末が期限だったが、2年間延長する。

地方創生については、企業版ふるさと納税の新設
具体的には、地方創生に効果があると国が認めた事業に取り組む自治体に、企業が寄付した場合、寄付した額の最大30%を法人住民税などから差し引き税を軽減する。

またインバウンド減税、訪日外国人の、1回の買い物についての消費税の免税額、1万円から5000円に引き下げる。以上、税制改正案の、主なところである。

そしてこの後、消費税の更なる増税が控えていること、大きな負担感に苛まれている。

平成28年度、私たちの暮らしは、どう変わるのだろうか?