水害罹災者に対するものとして交付された救助物資及び義捐金の保管は,村長の職務として,これをなすものとであるとした事例
最高裁判所第1小法廷判決/昭和26年(れ)第1663号
昭和27年2月21日
業務上横領
【判示事項】 水害罹災者に対するものとして交付された救助物資及び義捐金の保管は,村長の職務として,これをなすものとであるとした事例
【判決要旨】 1 本件各救援物資及義損金の受払、保管の事務は普通地方公共団体であるa村水害罹災者を救護する事務の一部に外ならないので、地方自治法(昭和23年法律第179号による改正前の法律)2条2項にいわゆる普通地方公共団体の公共事務に該当し、同法148条により同村長たる被告人Aの管理、執行すべき事務に属するものと解するを相当とする。さればa村の水害罹災者に対するものとして交付された判示各救援物資及び義損金の保管は、村長たる被告人において職務としてこれを為すものといわなければならぬから、原判決には地方自治法の解釈をあやまつた違法は存しない。
2 横領罪の判示には所論の物資が他人の所有に属していることを示せば足り、その何人の所有に属するかまで判示するの要はないから、所論の物資が被告人以外の者の所有に属することの判文上明らかな原判決には所論の違法はない。
【参照条文】 地方自治法(昭和23年法律179号による改正前のもの)2-2
地方自治法(昭和23年法律179号による改正前のもの)148
刑法253
旧刑訴法360-1
【掲載誌】 最高裁判所裁判集刑事61号279頁
地方自治法
第二条 地方公共団体は、法人とする。
② 普通地方公共団体は、地域における事務及びその他の事務で法律又はこれに基づく政令により処理することとされるものを処理する。
第百四十二条 普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体に対し請負をする者及びその支配人又は主として同一の行為をする法人(当該普通地方公共団体が出資している法人で政令で定めるものを除く。)の無限責任社員、取締役、執行役若しくは監査役若しくはこれらに準ずべき者、支配人及び清算人たることができない。
刑法
(業務上横領)
第二百五十三条 業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、十年以下の懲役に処する。
法律上は、「真実の供述」と「証拠の提出その他の必要な協力」と定められているだけで、どんな行為が「協力」と認められるかは検察官の裁量に委ねられます。内容が虚偽ではないことは当然としても、いくら役立つと思って必要な証拠を提供したとしても、真相解明にあまり役立たないものであれば、検察官は合意に応じてくれないでしょう。
この点に関し、真実の供述とは、客観的な事実関係に合致することではなく、自己の記憶に従った供述をすることを意味し、結果として誤りであることが後にわかったとしても、虚偽供述等処罰罪(刑事訴訟法350条の15)に問われることはありません。もっとも、実際には、客観的な裏付けもなく信用性があるかどうかもあやふやな供述では検察官と合意することは難しいので、弁護人と、十分協議し、信用性を確保するために考えられること(たとえば、「他人」が関与したとする供述内容の裏付けとなるメモ、手帳の記載、メールのやり取り等の客観的資料の確保、事情を知る関係者の特定など)をあらかじめ検討しておかなければなりません。
弁護人の関与
協議には被疑者等だけではなく弁護人も関与することが必要ですし、合意には弁護人の同意が不可欠です(刑事訴訟法350条の3、350条の4)。したがって、この制度において、弁護人の果たす役割は大きく、刑事実務に精通した弁護士の起用は非常に重要となります。
都市計画法8条1項1号の規定に基づく工業地域指定の決定と抗告訴訟の対象
盛岡広域都市計画用途地域指定無効確認請求事件
【事件番号】 最高裁判所第1小法廷判決/昭和53年(行ツ)第62号
【判決日付】 昭和57年4月22日
【判示事項】 都市計画法8条1項1号の規定に基づく工業地域指定の決定と抗告訴訟の対象
【判決要旨】 都市計画法8条1項1号の規定に基づく工業地域指定の決定は、抗告訴訟の対象とならない。
【参照条文】 都市計画8-1
【掲載誌】 最高裁判所民事判例集36巻4号705頁
この判例は、判例変更されるべきである。
都市計画法
(地域地区)
第八条 都市計画区域については、都市計画に、次に掲げる地域、地区又は街区を定めることができる。
一 第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、田園住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域、工業地域又は工業専用地域(以下「用途地域」と総称する。)
二 特別用途地区
二の二 特定用途制限地域
二の三 特例容積率適用地区
二の四 高層住居誘導地区
三 高度地区又は高度利用地区
四 特定街区
四の二 都市再生特別措置法(平成十四年法律第二十二号)第三十六条第一項の規定による都市再生特別地区、同法第八十九条の規定による居住調整地域、同法第九十四条の二第一項の規定による居住環境向上用途誘導地区又は同法第百九条第一項の規定による特定用途誘導地区
五 防火地域又は準防火地域
五の二 密集市街地整備法第三十一条第一項の規定による特定防災街区整備地区
六 景観法(平成十六年法律第百十号)第六十一条第一項の規定による景観地区
七 風致地区
八 駐車場法(昭和三十二年法律第百六号)第三条第一項の規定による駐車場整備地区
九 臨港地区
十 古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法(昭和四十一年法律第一号)第六条第一項の規定による歴史的風土特別保存地区
十一 明日香村における歴史的風土の保存及び生活環境の整備等に関する特別措置法(昭和五十五年法律第六十号)第三条第一項の規定による第一種歴史的風土保存地区又は第二種歴史的風土保存地区
十二 都市緑地法(昭和四十八年法律第七十二号)第五条の規定による緑地保全地域、同法第十二条の規定による特別緑地保全地区又は同法第三十四条第一項の規定による緑化地域
十三 流通業務市街地の整備に関する法律(昭和四十一年法律第百十号)第四条第一項の規定による流通業務地区
十四 生産緑地法(昭和四十九年法律第六十八号)第三条第一項の規定による生産緑地地区
十五 文化財保護法(昭和二十五年法律第二百十四号)第百四十三条第一項の規定による伝統的建造物群保存地区
十六 特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法(昭和五十三年法律第二十六号)第四条第一項の規定による航空機騒音障害防止地区又は航空機騒音障害防止特別地区
2 準都市計画区域については、都市計画に、前項第一号から第二号の二まで、第三号(高度地区に係る部分に限る。)、第六号、第七号、第十二号(都市緑地法第五条の規定による緑地保全地域に係る部分に限る。)又は第十五号に掲げる地域又は地区を定めることができる。
3 地域地区については、都市計画に、第一号及び第二号に掲げる事項を定めるものとするとともに、第三号に掲げる事項を定めるよう努めるものとする。
一 地域地区の種類(特別用途地区にあつては、その指定により実現を図るべき特別の目的を明らかにした特別用途地区の種類)、位置及び区域
二 次に掲げる地域地区については、それぞれ次に定める事項
イ 用途地域 建築基準法第五十二条第一項第一号から第四号までに規定する建築物の容積率(延べ面積の敷地面積に対する割合をいう。以下同じ。)並びに同法第五十三条の二第一項及び第二項に規定する建築物の敷地面積の最低限度(建築物の敷地面積の最低限度にあつては、当該地域における市街地の環境を確保するため必要な場合に限る。)
ロ 第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域又は田園住居地域 建築基準法第五十三条第一項第一号に規定する建築物の建蔽率(建築面積の敷地面積に対する割合をいう。以下同じ。)、同法第五十四条に規定する外壁の後退距離の限度(低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため必要な場合に限る。)及び同法第五十五条第一項に規定する建築物の高さの限度
ハ 第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、準工業地域、工業地域又は工業専用地域 建築基準法第五十三条第一項第一号から第三号まで又は第五号に規定する建築物の建蔽率
ニ 特定用途制限地域 制限すべき特定の建築物等の用途の概要
ホ 特例容積率適用地区 建築物の高さの最高限度(当該地区における市街地の環境を確保するために必要な場合に限る。)
ヘ 高層住居誘導地区 建築基準法第五十二条第一項第五号に規定する建築物の容積率、建築物の建蔽率の最高限度(当該地区における市街地の環境を確保するため必要な場合に限る。次条第十七項において同じ。)及び建築物の敷地面積の最低限度(当該地区における市街地の環境を確保するため必要な場合に限る。次条第十七項において同じ。)
ト 高度地区 建築物の高さの最高限度又は最低限度(準都市計画区域内にあつては、建築物の高さの最高限度。次条第十八項において同じ。)
チ 高度利用地区 建築物の容積率の最高限度及び最低限度、建築物の建蔽率の最高限度、建築物の建築面積の最低限度並びに壁面の位置の制限(壁面の位置の制限にあつては、敷地内に道路(都市計画において定められた計画道路を含む。以下この号において同じ。)に接して有効な空間を確保して市街地の環境の向上を図るため必要な場合における当該道路に面する壁面の位置に限る。次条第十九項において同じ。)
リ 特定街区 建築物の容積率並びに建築物の高さの最高限度及び壁面の位置の制限
三 面積その他の政令で定める事項
4 都市再生特別地区、居住環境向上用途誘導地区、特定用途誘導地区、特定防災街区整備地区、景観地区及び緑化地域について都市計画に定めるべき事項は、前項第一号及び第三号に掲げるもののほか、別に法律で定める。
行政事件訴訟法
(抗告訴訟)
第三条 この法律において「抗告訴訟」とは、行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟をいう。
2 この法律において「処分の取消しの訴え」とは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(次項に規定する裁決、決定その他の行為を除く。以下単に「処分」という。)の取消しを求める訴訟をいう。
3 この法律において「裁決の取消しの訴え」とは、審査請求その他の不服申立て(以下単に「審査請求」という。)に対する行政庁の裁決、決定その他の行為(以下単に「裁決」という。)の取消しを求める訴訟をいう。
4 この法律において「無効等確認の訴え」とは、処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無の確認を求める訴訟をいう。
5 この法律において「不作為の違法確認の訴え」とは、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴訟をいう。
6 この法律において「義務付けの訴え」とは、次に掲げる場合において、行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずることを求める訴訟をいう。
一 行政庁が一定の処分をすべきであるにかかわらずこれがされないとき(次号に掲げる場合を除く。)。
二 行政庁に対し一定の処分又は裁決を求める旨の法令に基づく申請又は審査請求がされた場合において、当該行政庁がその処分又は裁決をすべきであるにかかわらずこれがされないとき。
7 この法律において「差止めの訴え」とは、行政庁が一定の処分又は裁決をすべきでないにかかわらずこれがされようとしている場合において、行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを求める訴訟をいう。
学校法人の訴訟上の代表者と私立学校法第28条第2項の適用の有無
身分確認請求事件
【事件番号】 最高裁判所第2小法廷判決/昭和40年(オ)第860号
【判決日付】 昭和41年9月30日
【判示事項】 学校法人の訴訟上の代表者と私立学校法第28条第2項の適用の有無
【判決要旨】 私立学校法第28条第2項は、当事者である学校法人を訴訟上代表する権限を有する者と定めるにあたっては、適用されない。
【参照条文】 私立学校法28
民事訴訟法58
民事訴訟法45
【掲載誌】 最高裁判所民事判例集20巻7号1523頁
私立学校法
(登記)
第二十八条 学校法人は、政令の定めるところにより、登記しなければならない。
2 前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
民事訴訟法
(訴訟代理人の資格)
第五十四条 法令により裁判上の行為をすることができる代理人のほか、弁護士でなければ訴訟代理人となることができない。ただし、簡易裁判所においては、その許可を得て、弁護士でない者を訴訟代理人とすることができる。
2 前項の許可は、いつでも取り消すことができる。
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人辻冨太郎名義の上告理由について。訴外Aが本訴提起前に被上告法人の理事長および理事を辞任した旨の原判決の事実認定は、これに対応する挙示の証拠によつて肯認できないことはなく、この点に関する所論は、原審の裁量に委ねられた証挺の取捨判断および事実認定を非難するものであつて、採用できない。
また、元来私立学校法二八条一項および二項の規定は、学校法人と実体法上の取引をする第三者に取引上必要な右法人の組織等の事項を知らしめるため右事項についての登記を要請し、右第三者の実体法上の取引保護のため右事項について登記をもつて対抗要件としているのである。これに反し、民事訴訟は、公権力をもつて実体法上の法律関係を確定する手続であつて、それ自体は実体法上の取引行為ではないから、民事訴訟において何人が当事者である学校法人を代表する権限を有するかを定めるにあたつては、右私立学校法二八条二項の規定は適用されないものと解すべきである。したがつて、学校法人を当事者とする訴訟において、右訴訟の提起前に右法人の代表者の交替があつたのにその旨の登記が経由されていない場合であつても、右法人を代表して訴訟追行の権限を有する者は、つねに交替後の新代表者である。されば、かかる場合において、第一審裁判所が訴状副本および期日呼出状の送達から判決の言渡に至るまでの一切の訴訟行為を旧代表者に対してだけし、しかも、第二審においても真正な新代表者による追認がないときは、右第一審判決は取消を免れないものと解すべきである。これを本件についてみるに、原判決の認定したところによれば、本件訴状に被上告法人の代表者理事長として表示されていた訴外Aは、本訴提起前に被上告法人の理事長および理事を辞任し、被上告法人を代表する権限を有しなかつたにもかかわらず、第一審裁判所は、被上告法人に対してすることを要する訴状副本および期日呼出状の送達から判決の言渡に至るまでの一切の訴訟行為を、終始右訴外人に対してだけし、被上告法人の新代表者に対しては全くしなかつたというのであるから、第一審裁判所は、重要な訴訟手続においてのみならず判決手続においても法令違背をしたものというべく、しかも、第二審においても新代表者による追認がなかつたのであるから、第一審判決は取消を免れない。されば、原判決は、被上告法人を代表する権限を有する者を定めるにあたつて私立学校法二八条二項が適用されるとした点において違法を犯したものではあるが、結局第一審判決を取り消しているのであるから、結論において正当というべく、また、第一審裁判所が被上告法人に対してすることを要する前記訴訟行為を右訴外人に対してだけしたのは適法であるとする所論は、到底採るを得ない。したがつて、この点に関する論旨は、結局、理由なきに帰する。
よつて、民訴法四〇一条、三九六条、三八四条二項、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
最高裁判所第二小法廷
農業協同組合法第99条違反の罪を構成する事例
最高裁判所第2小法廷決定/昭和32年(あ)第938号
昭和35年6月6日
農業協同組合法違反背任被告事件
【判示事項】 農業協同組合法第99条違反の罪を構成する事例
【判決要旨】 農業協同組合の役員が、組合員外の非法人たる河川改修準備委員会に対し、仮払金名義の下に同組合保管金中の一部の金員を貸し付ける所為は、農業協同組合法第99条違反の罪を構成する。
【参照条文】 農業協同組合法99
農業協同組合法10-1
農業協同組合法12-1(昭和29年法律第184号による改正前のもの)
【掲載誌】 最高裁判所刑事判例集14巻7号943頁
農業協同組合法
第九十九条 組合の役員がいかなる名義をもつてするを問わず、組合の事業の範囲外において、貸付けをし、若しくは手形の割引をし、又は投機取引のために組合の財産を処分したときは、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金(第十条第一項第三号又は第十号の事業を行う組合の役員にあつては、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金)に処する。
② 前項の罪を犯した者には、情状により、懲役及び罰金を併科することができる。
③ 第一項の規定は、刑法に正条がある場合には、これを適用しない。
第十条1項 組合は、次の事業の全部又は一部を行うことができる。
一 組合員(農業協同組合連合会にあつては、その農業協同組合連合会を直接又は間接に構成する者。次項及び第四項並びに第十一条の五十第三項を除き、以下この節において同じ。)のためにする農業の経営及び技術の向上に関する指導
二 組合員の事業又は生活に必要な資金の貸付け
三 組合員の貯金又は定期積金の受入れ
四 組合員の事業又は生活に必要な物資の供給
五 組合員の事業又は生活に必要な共同利用施設(医療又は老人の福祉に関するものを除く。)の設置
六 農作業の共同化その他農業労働の効率の増進に関する施設
七 農業の目的に供される土地の造成、改良若しくは管理、農業の目的に供するための土地の売渡し、貸付け若しくは交換又は農業水利施設の設置若しくは管理
八 組合員の生産する物資の運搬、加工、保管又は販売
九 農村工業に関する施設
十 共済に関する施設
十一 医療に関する施設
十二 老人の福祉に関する施設
十三 農村の生活及び文化の改善に関する施設
十四 組合員の経済的地位の改善のためにする団体協約の締結
十五 前各号の事業に附帯する事業
第十二条1項 農業協同組合の組合員たる資格を有する者は、次に掲げる者で定款で定めるものとする。
一 農業者(組合を除く。)
二 当該農業協同組合の地区内に住所を有する個人又は当該農業協同組合からその事業に係る物資の供給若しくは役務の提供を継続して受けている者であつて、当該農業協同組合の施設を利用することを相当とするもの
三 当該農業協同組合の地区の全部又は一部を地区とする農業協同組合
四 農事組合法人等当該農業協同組合の地区内に住所を有する農民が主たる構成員となつている団体で協同組織の下に当該構成員の共同の利益を増進することを目的とするものその他当該農業協同組合又は当該農業協同組合の地区内に住所を有する農民が主たる構成員又は出資者となつている団体(前三号に掲げる者を除く。)
『事件類型別 不動産訴訟における証拠収集・資料調査の実務』日本加除出版
著者:中島俊輔/著
5,500
税込
判型:A5判
ページ数:452頁
発刊年月:2023年6月刊
ISBN/ISSN:978-4-8178-4887-1
商品情報
不動産訴訟において、証拠が裁判でどう評価・判断されるのか
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コメント
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目次
第1章 不動産訴訟と不動産調査
第2章 民事関係訴訟
第3章 家事関係訴訟
第4章 取引関係訴訟
第5章 税務関係訴訟
第6章 行政関係訴訟
第7章 建築関係訴訟
第8章 環境関係訴訟
巻末資料
特定の犯罪という言葉のとおり、すべての犯罪に対して制度が適応されるわけではありません。初めて導入されるという点を考慮し、下記の要件を満たす犯罪に限定するとされています。
協力行為者にメリットを与えてでも適正に処罰する必要が高いこと
司法取引制度の利用に適していること
被疑者や国民の理解を得られやすい犯罪に限定すること(例えば殺人は除くなど)
詳しい犯罪は「刑事訴訟法等の一部を改正する法律」の第350条の2第2項に記載がありますが、組織犯罪に対応する目的が強い今回の司法取引において、企業に関係が深いものを一部ご紹介します。
刑法犯
公務の作用を妨害する罪
強制執行妨害目的損壊(刑法第96条の2)
強制執行妨害(刑法第96条の3) など
文書偽造の罪
公文書偽造等(刑法第155条)
公正証書原本不実記載等(刑法第157条)
偽造公文書行使(刑法第158条)
私文書偽造等(刑法第159条) など
汚職の罪
増収路(刑法第197条〜197条の4、刑法第198条) など
財産犯罪
詐欺(刑法第256条)
電子計算機使用詐欺(刑法第246条の2)
背任(刑法第247条) など
特別法犯
租税法違反、独占禁止法違反、金融商品取引法違反 など
上記はあくまでも現時点で適用対象とされている犯罪ですので、今後の法改正により対象が増減する可能性も十分にあります。
贈収賄や脱税等の財政経済関係犯罪
今回の司法取引制度によって対象とされる犯罪の1つに「財政経済関係犯罪」というものがあります。
租税に関する法律、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)又は金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)の罪その他の財政経済関係犯罪として政令で定めるもの
引用元:刑事訴訟法等の一部を改正する法律第350条の2第3項
法律上「財政経済関係犯罪」がどのような犯罪を指すのかは明記されていませんが、法務省が発行している犯罪白書(平成29年版)では下記の犯罪として紹介されています。※法務省では「財政経済犯罪」との表記がされています。
税法違反の一例
所得税法違反、法人税法違反、相続税法違反、消費税法違反、地方税法違反
経済犯罪の一例
強制執行妨害、公契約関係競売入札妨害,談合、破産法違反、会社法違反、独占禁止法違反、金融商品取引法違反、出資法違反、貸金業法違反
知的財産関連犯罪の一例
商標法違反、著作権法違反、特許法違反、実用新案法違反、意匠法違反
参考:平成29年版 犯罪白書|法務省
税法違反(脱税)は、偽りその他不正な行為により納税を免れる犯罪です。所得税法第238条第1項に該当します。企業ぐるみで行う財政経済関係犯罪は、捜査がしにくく、相当な捜査時間、人件費がかかります。
そこで、司法取引を導入すれば、企業社員から有力な情報を得て、組織ぐるみの犯罪にメスを入れられるというわけです。
薬物銃器等の組織犯罪
司法取引制度では、銃刀法違反や、覚せい剤取締法違反といった銃器、薬物犯罪も対象です。その背景には、警察庁の取締りによって、暴力団の資金源である、飲食店などで不法に金銭を要求する「みかじめ料」が減少し、資金源が覚せい剤密売に流れているという事情も存在します。
このような薬物犯罪や、銃器取り扱いなどは、組織的な犯罪グループが関わっていることが多く、上層部を特定することが困難な背景も関係しています。
司法取引制度によって、組織的犯罪グループの構成員や内部事情を把握できる期待が高まります。
宅地の売買がいわゆる数量指示売買ではないとされた事例
土地引渡請求事件
【事件番号】 最高裁判所第3小法廷判決/昭和41年(オ)第770号
【判決日付】 昭和43年8月20日
【判示事項】 宅地の売買がいわゆる数量指示売買ではないとされた事例
【判決要旨】 いわゆる数量指示売買とは、当事者において目的物の実際に有する数量を確保するため、その一定の面積、容積、重量、員数または尺度あることを売主が契約において表示、かつ、この数量を基礎として代金額が定められた売買をいい、宅地の売買においてその目的物を登記簿に記載してある字地番地目および坪数をもつて表示したとしても、直ちに売主が右坪数のあることを表示したものというべきではない。
【参照条文】 民法565
【掲載誌】 最高裁判所民事判例集22巻8号1692頁
民法
(移転した権利が契約の内容に適合しない場合における売主の担保責任)
第五百六十五条 前三条の規定は、売主が買主に移転した権利が契約の内容に適合しないものである場合(権利の一部が他人に属する場合においてその権利の一部を移転しないときを含む。)について準用する。
定期傭船契約
損害賠償請求事件
【事件番号】 東京地方裁判所判決/昭和29年(ワ)第6579号
【判決日付】 昭和33年4月14日
【判示事項】 一、傭船契約が船舶賃貸借契約ではなく、定期傭船契約であると認められた一事例
二、諸般の事情を総合して定期傭船契約の更新が認められた一事例
【掲載誌】 訟務月報4巻5号687頁
【評釈論文】 別冊ジュリスト15号46頁
別冊ジュリスト34号12頁
別冊ジュリスト42号46頁
契約の種別
定期傭船契約 裸傭船契約
契約種別 運送(サービス)契約 賃貸借契約
法律上の規定
商法 第三編 海商 第704条(定期傭船契約)
定期傭船契約は、当事者の一方が艤装した船舶に船員を乗り組ませて当該船舶
を一定の期間相手方の利用に供することを約し、相手方がこれに対してその傭船
料を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
民法 第601条(賃貸借)
賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、
相手方がこれに対してその賃料を支払うことを約することによって、その効力を生
ずる。
定期傭船契約では、
“利用”という言葉を使い、賃貸借契約との違いを明確にし
ている。(参考資料:法制審議会 商法(運送・海商関係)部会第3回会議 議事録)
内申書裁判・学校教育法施行規則54条の3に基づく調査書(高校入試の際中学校長により作成提出されたいわゆる内申書)の記載が生徒の思想信条の自由や表現の自由を侵すものではないとされた事例
損害賠償請求事件
【事件番号】 最高裁判所第2小法廷判決/昭和57年(オ)第915号
【判決日付】 昭和63年7月15日
【判示事項】 学校教育法施行規則54条の3に基づく調査書(高校入試の際中学校長により作成提出されたいわゆる内申書)の記載が生徒の思想信条の自由や表現の自由を侵すものではないとされた事例
【判決要旨】 学校教育法施行規則54条の3に基づき高校入試の際中学校長により作成提出された調査書(いわゆる内申書)の備考欄及び特記事項欄におおむね「校内において麹町中全共闘を名乗り、機関紙『砦』を発行した。学校文化祭の際、文化祭紛糾を叫んで他校生徒と共に校内に乱入し、ビラまきを行った。大学生ML派の集会に参加している。学校側の指導説得をきかないで、ビラを配ったり、落書きをした。」との記載が、欠席の主な理由欄に「風邪、発熱、集会又はデモに参加して疲労のため」という趣旨の記載がされた場合において、右記載は生徒の思想信条の自由や表現の自由を侵すものではない。
【参照条文】 憲法19
憲法21-1
憲法26-1
教育基本法3-1
学校教育法28-3
学校教育法40
学校教育法施行規則54の3
学校教育法施行規則59-1
【掲載誌】 判例タイムズ675号59頁
判例時報1287号65頁
憲法
第十九条 思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。
第二十一条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
② 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。
第二十六条 すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
② すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる
教育基本法
(教育の機会均等)
第四条 すべて国民は、ひとしく、その能力に応じた教育を受ける機会を与えられなければならず、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない。
2 国及び地方公共団体は、障害のある者が、その障害の状態に応じ、十分な教育を受けられるよう、教育上必要な支援を講じなければならない。
3 国及び地方公共団体は、能力があるにもかかわらず、経済的理由によって修学が困難な者に対して、奨学の措置を講じなければならない。
学校教育法
第五十九条 高等学校に関する入学、退学、転学その他必要な事項は、文部科学大臣が、これを定める。
学校教育法施行規則
第九十条 高等学校の入学は、第七十八条の規定により送付された調査書その他必要な書類、選抜のための学力検査(以下この条において「学力検査」という。)の成績等を資料として行う入学者の選抜に基づいて、校長が許可する。
2 学力検査は、特別の事情のあるときは、行わないことができる。
3 調査書は、特別の事情のあるときは、入学者の選抜のための資料としないことができる。
4 連携型高等学校における入学者の選抜は、第七十五条第一項の規定により編成する教育課程に係る連携型中学校の生徒については、調査書及び学力検査の成績以外の資料により行うことができる。
5 公立の高等学校(公立大学法人の設置する高等学校を除く。)に係る学力検査は、当該高等学校を設置する都道府県又は市町村の教育委員会が行う。