法律大好きのブログ(弁護士村田英幸) -80ページ目

法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

役に立つ裁判例の紹介、法律の本の書評です。弁護士経験32年。第二東京弁護士会所属21770

株式譲渡制限会社の新株発行は、会社法の下では株主総会の特別決議を要するためその募集事項の決定を開示するための公告・通知を要しないとされているから、この株主総会の特別決議を欠くことは新株発行無効事由にあたると解された事例

 

              新株発行無効請求事件

第章      横浜地方裁判所判決/平成19年(ワ)第2427号

平成21年10月16日

【判示事項】    株式譲渡制限会社の新株発行は、会社法の下では株主総会の特別決議を要するためその募集事項の決定を開示するための公告・通知を要しないとされているから、この株主総会の特別決議を欠くことは新株発行無効事由にあたると解された事例

【参照条文】    会社法828-1

【掲載誌】     判例時報2092号148頁

【評釈論文】    金融・商事判例1368号2頁

          ジュリスト1427号161頁

          商事法務2001号59頁

          明治学院大学法学研究93号193頁

          法学研究(慶応大)85巻3号101頁

 

会社法

(会社の組織に関する行為の無効の訴え)

第八百二十八条 次の各号に掲げる行為の無効は、当該各号に定める期間に、訴えをもってのみ主張することができる。

一 会社の設立 会社の成立の日から二年以内

二 株式会社の成立後における株式の発行 株式の発行の効力が生じた日から六箇月以内(公開会社でない株式会社にあっては、株式の発行の効力が生じた日から一年以内)

三 自己株式の処分 自己株式の処分の効力が生じた日から六箇月以内(公開会社でない株式会社にあっては、自己株式の処分の効力が生じた日から一年以内)

四 新株予約権(当該新株予約権が新株予約権付社債に付されたものである場合にあっては、当該新株予約権付社債についての社債を含む。以下この章において同じ。)の発行 新株予約権の発行の効力が生じた日から六箇月以内(公開会社でない株式会社にあっては、新株予約権の発行の効力が生じた日から一年以内)

五 株式会社における資本金の額の減少 資本金の額の減少の効力が生じた日から六箇月以内

六 会社の組織変更 組織変更の効力が生じた日から六箇月以内

七 会社の吸収合併 吸収合併の効力が生じた日から六箇月以内

八 会社の新設合併 新設合併の効力が生じた日から六箇月以内

九 会社の吸収分割 吸収分割の効力が生じた日から六箇月以内

十 会社の新設分割 新設分割の効力が生じた日から六箇月以内

十一 株式会社の株式交換 株式交換の効力が生じた日から六箇月以内

十二 株式会社の株式移転 株式移転の効力が生じた日から六箇月以内

十三 株式会社の株式交付 株式交付の効力が生じた日から六箇月以内

2 次の各号に掲げる行為の無効の訴えは、当該各号に定める者に限り、提起することができる。

一 前項第一号に掲げる行為 設立する株式会社の株主等(株主、取締役又は清算人(監査役設置会社にあっては株主、取締役、監査役又は清算人、指名委員会等設置会社にあっては株主、取締役、執行役又は清算人)をいう。以下この節において同じ。)又は設立する持分会社の社員等(社員又は清算人をいう。以下この項において同じ。)

二 前項第二号に掲げる行為 当該株式会社の株主等

三 前項第三号に掲げる行為 当該株式会社の株主等

四 前項第四号に掲げる行為 当該株式会社の株主等又は新株予約権者

五 前項第五号に掲げる行為 当該株式会社の株主等、破産管財人又は資本金の額の減少について承認をしなかった債権者

六 前項第六号に掲げる行為 当該行為の効力が生じた日において組織変更をする会社の株主等若しくは社員等であった者又は組織変更後の会社の株主等、社員等、破産管財人若しくは組織変更について承認をしなかった債権者

七 前項第七号に掲げる行為 当該行為の効力が生じた日において吸収合併をする会社の株主等若しくは社員等であった者又は吸収合併後存続する会社の株主等、社員等、破産管財人若しくは吸収合併について承認をしなかった債権者

八 前項第八号に掲げる行為 当該行為の効力が生じた日において新設合併をする会社の株主等若しくは社員等であった者又は新設合併により設立する会社の株主等、社員等、破産管財人若しくは新設合併について承認をしなかった債権者

九 前項第九号に掲げる行為 当該行為の効力が生じた日において吸収分割契約をした会社の株主等若しくは社員等であった者又は吸収分割契約をした会社の株主等、社員等、破産管財人若しくは吸収分割について承認をしなかった債権者

十 前項第十号に掲げる行為 当該行為の効力が生じた日において新設分割をする会社の株主等若しくは社員等であった者又は新設分割をする会社若しくは新設分割により設立する会社の株主等、社員等、破産管財人若しくは新設分割について承認をしなかった債権者

十一 前項第十一号に掲げる行為 当該行為の効力が生じた日において株式交換契約をした会社の株主等若しくは社員等であった者又は株式交換契約をした会社の株主等、社員等、破産管財人若しくは株式交換について承認をしなかった債権者

十二 前項第十二号に掲げる行為 当該行為の効力が生じた日において株式移転をする株式会社の株主等であった者又は株式移転により設立する株式会社の株主等、破産管財人若しくは株式移転について承認をしなかった債権者

十三 前項第十三号に掲げる行為 当該行為の効力が生じた日において株式交付親会社の株主等であった者、株式交付に際して株式交付親会社に株式交付子会社の株式若しくは新株予約権等を譲り渡した者又は株式交付親会社の株主等、破産管財人若しくは株式交付について承認をしなかった債権者

 

(募集事項の決定)

第百九十九条 株式会社は、その発行する株式又はその処分する自己株式を引き受ける者の募集をしようとするときは、その都度、募集株式(当該募集に応じてこれらの株式の引受けの申込みをした者に対して割り当てる株式をいう。以下この節において同じ。)について次に掲げる事項を定めなければならない。

一 募集株式の数(種類株式発行会社にあっては、募集株式の種類及び数。以下この節において同じ。)

二 募集株式の払込金額(募集株式一株と引換えに払い込む金銭又は給付する金銭以外の財産の額をいう。以下この節において同じ。)又はその算定方法

三 金銭以外の財産を出資の目的とするときは、その旨並びに当該財産の内容及び価額

四 募集株式と引換えにする金銭の払込み又は前号の財産の給付の期日又はその期間

五 株式を発行するときは、増加する資本金及び資本準備金に関する事項

2 前項各号に掲げる事項(以下この節において「募集事項」という。)の決定は、株主総会の決議によらなければならない。

3 第一項第二号の払込金額が募集株式を引き受ける者に特に有利な金額である場合には、取締役は、前項の株主総会において、当該払込金額でその者の募集をすることを必要とする理由を説明しなければならない。

4 種類株式発行会社において、第一項第一号の募集株式の種類が譲渡制限株式であるときは、当該種類の株式に関する募集事項の決定は、当該種類の株式を引き受ける者の募集について当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議を要しない旨の定款の定めがある場合を除き、当該種類株主総会の決議がなければ、その効力を生じない。ただし、当該種類株主総会において議決権を行使することができる種類株主が存しない場合は、この限りでない。

5 募集事項は、第一項の募集ごとに、均等に定めなければならない。

 

(株主総会の決議)

第三百九条 株主総会の決議は、定款に別段の定めがある場合を除き、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数をもって行う。

2 前項の規定にかかわらず、次に掲げる株主総会の決議は、当該株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(三分の一以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の三分の二(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わなければならない。この場合においては、当該決議の要件に加えて、一定の数以上の株主の賛成を要する旨その他の要件を定款で定めることを妨げない。

一 第百四十条第二項及び第五項の株主総会

二 第百五十六条第一項の株主総会(第百六十条第一項の特定の株主を定める場合に限る。)

三 第百七十一条第一項及び第百七十五条第一項の株主総会

四 第百八十条第二項の株主総会

五 第百九十九条第二項、第二百条第一項、第二百二条第三項第四号、第二百四条第二項及び第二百五条第二項の株主総会

 

第10章 司法取引を行うには
司法取引を行うにあたっては、被疑者、被告人、弁護人、検察官による署名のもと、合意文書を作成しなければなりません。

司法取引手続きの流れ

協議(司法取引)の開始
司法取引の主体は検察官と被疑者、そして弁護人です(法350条の4)。どちらか一方が当事者からの協議を申し入れ、相手方が承諾することで司法取引の開始となります。

弁護人の同意
協議は、原則被疑者・被告人、検察官、弁護人の間で行われます。

なお被疑者が司法取引に関する合意を取り付けるためには、弁護人の同意が必要です(法350条の3第1項)。

検察官との合意
司法取引では検察官との合意も必要になります。関係する被疑者・被告人、弁護人、検察官が全員署名のもとで合意内容書面が作成されます。その上で合意が成立するというわけです。

合意からの離脱
一方が合意に違反した場合には、相手方は「合意からの離脱」が可能です(法350条の10第1項1号)。例えば、真実の供述を行う旨の合意が成立したにもかかわらず、被疑者等が供述や「他人」の公判での証言を拒んだ場合や、不起訴とする合意をしたのに、検察官が起訴をした場合などが考えられます。

検察官としては通常の刑事処分を行い、被疑者側としては「他人」の刑事事件の捜査・公判に協力する必要はなくなります。

今後の課題|冤罪のリスクも高い

無関係の人が巻き込まれる危険性
司法取引制度の課題として、指摘されているのが「冤罪のリスク」です。被疑者によっては、司法取引制度による減刑という恩恵を受けようと、虚偽の供述をする場合も考えられます。

当然、虚偽の供述をした場合は、5年以下の懲役という罰則があるわけですが、現時点で冤罪のリスクもあり、まったく関係のない人が犯罪に巻き込まれるケースも考えられるのです。

 

宅地建物取引の媒介において建設大臣が定めた報酬の額をこえる額についてなされた報酬契約の効力


報酬金請求事件
【事件番号】    最高裁判所第1小法廷判決/昭和44年(オ)第364号
【判決日付】    昭和45年2月26日
【判示事項】    宅地建物取引の媒介において建設大臣が定めた報酬の額をこえる額についてなされた報酬契約の効力
【判決要旨】    宅地建物取引業法17条1項および2項は、宅地建物取引の媒介の報酬契約のうち建設大臣の定めた額をこえる部分の効力を否定する趣旨であり、報酬契約のうち右額をこえる部分は無効と解するのが相当である。
【参照条文】    宅地建物取引業法17-1
          宅地建物取引業法17-2
          昭和40年4月1日建設省告示第1174号
【掲載誌】     最高裁判所民事判例集24巻2号104頁

宅地建物取引業法
(媒介契約)
第三十四条の二 宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買又は交換の媒介の契約(以下この条において「媒介契約」という。)を締結したときは、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を作成して記名押印し、依頼者にこれを交付しなければならない。
一 当該宅地の所在、地番その他当該宅地を特定するために必要な表示又は当該建物の所在、種類、構造その他当該建物を特定するために必要な表示
二 当該宅地又は建物を売買すべき価額又はその評価額
三 当該宅地又は建物について、依頼者が他の宅地建物取引業者に重ねて売買又は交換の媒介又は代理を依頼することの許否及びこれを許す場合の他の宅地建物取引業者を明示する義務の存否に関する事項
四 当該建物が既存の建物であるときは、依頼者に対する建物状況調査(建物の構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分として国土交通省令で定めるもの(第三十七条第一項第二号の二において「建物の構造耐力上主要な部分等」という。)の状況の調査であつて、経年変化その他の建物に生じる事象に関する知識及び能力を有する者として国土交通省令で定める者が実施するものをいう。第三十五条第一項第六号の二イにおいて同じ。)を実施する者のあつせんに関する事項
五 媒介契約の有効期間及び解除に関する事項
六 当該宅地又は建物の第五項に規定する指定流通機構への登録に関する事項
七 報酬に関する事項
八 その他国土交通省令・内閣府令で定める事項
2 宅地建物取引業者は、前項第二号の価額又は評価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならない。
3 依頼者が他の宅地建物取引業者に重ねて売買又は交換の媒介又は代理を依頼することを禁ずる媒介契約(以下「専任媒介契約」という。)の有効期間は、三月を超えることができない。これより長い期間を定めたときは、その期間は、三月とする。
4 前項の有効期間は、依頼者の申出により、更新することができる。ただし、更新の時から三月を超えることができない。
5 宅地建物取引業者は、専任媒介契約を締結したときは、契約の相手方を探索するため、国土交通省令で定める期間内に、当該専任媒介契約の目的物である宅地又は建物につき、所在、規模、形質、売買すべき価額その他国土交通省令で定める事項を、国土交通省令で定めるところにより、国土交通大臣が指定する者(以下「指定流通機構」という。)に登録しなければならない。
6 前項の規定による登録をした宅地建物取引業者は、第五十条の六に規定する登録を証する書面を遅滞なく依頼者に引き渡さなければならない。
7 前項の宅地建物取引業者は、第五項の規定による登録に係る宅地又は建物の売買又は交換の契約が成立したときは、国土交通省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を当該登録に係る指定流通機構に通知しなければならない。
8 媒介契約を締結した宅地建物取引業者は、当該媒介契約の目的物である宅地又は建物の売買又は交換の申込みがあつたときは、遅滞なく、その旨を依頼者に報告しなければならない。
9 専任媒介契約を締結した宅地建物取引業者は、前項に定めるもののほか、依頼者に対し、当該専任媒介契約に係る業務の処理状況を二週間に一回以上(依頼者が当該宅地建物取引業者が探索した相手方以外の者と売買又は交換の契約を締結することができない旨の特約を含む専任媒介契約にあつては、一週間に一回以上)報告しなければならない。
10 第三項から第六項まで及び前二項の規定に反する特約は、無効とする。
11 宅地建物取引業者は、第一項の書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、依頼者の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法をいう。以下同じ。)であつて同項の規定による記名押印に代わる措置を講ずるものとして国土交通省令で定めるものにより提供することができる。この場合において、当該宅地建物取引業者は、当該書面に記名押印し、これを交付したものとみなす。
12 宅地建物取引業者は、第六項の規定による書面の引渡しに代えて、政令で定めるところにより、依頼者の承諾を得て、当該書面において証されるべき事項を電磁的方法であつて国土交通省令で定めるものにより提供することができる。この場合において、当該宅地建物取引業者は、当該書面を引き渡したものとみなす。

昭和40年4月1日建設省告示第1174号
宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額 
(昭和 45 年 10 月 23 日建設省告示第 1552 号) 最終改正 令和元年 8 月 30 日国土交通省告示第 493 号
第1 定義 
この告示において、「消費税等相当額」とは消費税法(昭和63 年法
律第108 号)第2 条第1 項第9 号に規定する課税資産の譲渡等につき
課されるべき消費税額及び当該消費税額を課税標準として課されるべ
き地方消費税額に相当する金額をいう。
第2 売買又は交換の媒介に関する報酬の額 
宅地建物取引業者(課税事業者(消費税法第5 条第1項の規定により
消費税を納める義務がある事業者をいい、同法第9 条第1項本文の規
定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)である場
合に限る。第3 から第5 まで、第7、第8 及び第9①において同じ。)
が宅地又は建物(建物の一部を含む。以下同じ。)の売買又は交換の媒
介に関して依頼者から受けることのできる報酬の額(当該媒介に係る
消費税等相当額を含む。)は、依頼者の一方につき、それぞれ、当該
売買に係る代金の額(当該売買に係る消費税等相当額を含まないもの
とする。)又は当該交換に係る宅地若しくは建物の価額(当該交換に係
る消費税等相当額を含まないものとし、当該交換に係る宅地又は建物
の価額に差があるときは、これらの価額のうちいずれか多い価額とす
る。)を次の表の左欄に掲げる金額に区分してそれぞれの金額に同表
の右欄に掲げる割合を乗じて得た金額を合計した金額以内とする。
200万円以下の金額 
200万円を超え400万円以下の金額 
400万円を超える金額
100分の5.5 
100分の4.4 
100分の3.3
 
第3 売買又は交換の代理に関する報酬の額 
宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買又は交換の代理に関して依
頼者から受けることのできる報酬の額(当該代理に係る消費税等相当
額を含む。以下この規定において同じ。)は、第2 の計算方法により
算出した金額の2 倍以内とする。ただし、宅地建物取引業者が当該売
買又は交換の相手方から報酬を受ける場合においては、その報酬の額
と代理の依頼者から受ける報酬の額の合計額が第2 の計算方法により
算出した金額の2 倍を超えてはならない。
 
第4 貸借の媒介に関する報酬の額 
宅地建物取引業者が宅地又は建物の貸借の媒介に関して依頼者の双
方から受けることのできる報酬の額(当該媒介に係る消費税等相当額
を含む。以下この規定において同じ。)の合計額は、当該宅地又は建
物の借賃(当該貸借に係る消費税等相当額を含まないものとし、当該
媒介が使用貸借に係るものである場合においては、当該宅地又は建物
の通常の借賃をいう。以下同じ。)の1 月分の1.1 倍に相当する金額
以内とする。この場合において、居住の用に供する建物の賃貸借の媒
介に関して依頼者の一方から受けることのできる報酬の額は、当該媒
介の依頼を受けるに当たって当該依頼者の承諾を得ている場合を除
き、借賃の1 月分の0.55 倍に相当する金額以内とする。
 
第5 貸借の代理に関する報酬の額 
宅地建物取引業者が宅地又は建物の貸借の代理に関して依頼者から
受けることのできる報酬の額(当該代理に係る消費税等相当額を含
む。以下この規定において同じ。)は、当該宅地又は建物の借賃の1 
月分の1.1 倍に相当する金額以内とする。ただし、宅地建物取引業者
が当該貸借の相手方から報酬を受ける場合においては、その報酬の額
と代理の依頼者から受ける報酬の額の合計額が借賃の1 月分の1.1 倍
に相当する金額を超えてはならない。
 
第6 権利金の授受がある場合の特例 
宅地又は建物(居住の用に供する建物を除く。)の賃貸借で権利金(権
利金その他いかなる名義をもってするかを問わず、権利設定の対価と
して支払われる金銭であって返還されないものをいう。)の授受があ
るものの代理又は媒介に関して依頼者から受ける報酬の額(当該代理
又は媒介に係る消費税等相当額を含む。)については、第4 又は第5 
の規定にかかわらず、当該権利金の額(当該貸借に係る消費税等相当
額を含まないものとする。)を売買に係る代金の額とみなして、第2 
又は第3 の規定によることができる。
第7 空家等の売買又は交換の媒介における特例 
低廉な空家等(売買に係る代金の額(当該売買に係る消費税等相当
額を含まないものとする。)又は交換に係る宅地若しくは建物の価額
(当該交換に係る消費税等相当額を含まないものとし、当該交換に係
る宅地又は建物の価額に差があるときは、これらの価額のうちいずれ
か多い価額とする。)が400 万円以下の金額の宅地又は建物をいう。
以下「空家等」という。)の売買又は交換の媒介であって、通常の売
買又は交換の媒介と比較して現地調査等の費用を要するものについて
は、宅地建物取引業者が空家等の売買又は交換の媒介に関して依頼者
(空家等の売主又は交換を行う者である依頼者に限る。)から受ける
ことのできる報酬の額(当該媒介に係る消費税等相当額を含む。以下
この規定において同じ。)は、第2 の規定にかかわらず、第2 の計算
方法により算出した金額と当該現地調査等に要する費用に相当する額
を合計した金額以内とする。この場合において、当該依頼者から受け
る報酬の額は18 万円の1.1 倍に相当する金額を超えてはならない。
 
第8 空家等の売買又は交換の代理における特例 
空家等の売買又は交換の代理であって、通常の売買又は交換の代理
と比較して現地調査等の費用を要するものについては、宅地建物取引
業者が空家等の売買又は交換の代理に関して依頼者(空家等の売主又
は交換を行う者である依頼者に限る。)から受けることのできる報酬
の額(当該代理に係る消費税等相当額を含む。以下この規定において
同じ。)は、第3 の規定にかかわらず、第2 の計算方法により算出し
た金額と第7 の規定により算出した金額を合計した金額以内とする。
ただし、宅地建物取引業者が当該売買又は交換の相手方から報酬を受
ける場合においては、その報酬の額と代理の依頼者から受ける報酬の
額の合計額が第2 の計算方法により算出した金額と第7 の規定により
算出した金額を合計した金額を超えてはならない。
 
第9 第2から第8までの規定によらない報酬の受領の禁止 
① 宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買、交換又は貸借の代理
又は媒介に関し、第2 から第8 までの規定によるほか、報酬を受け
ることができない。ただし、依頼者の依頼によって行う広告の料金
に相当する額については、この限りでない。
② 消費税法第9 条第1 項本文の規定により消費税を納める義務を免
除される宅地建物取引業者が、宅地又は建物の売買、交換又は貸借
の代理又は媒介に関し受けることができる報酬の額は、第2 から第
8 までの規定に準じて算出した額に110 分の100 を乗じて得た
額、当該代理又は媒介における仕入れに係る消費税等相当額及び①
ただし書に規定する額を合計した金額以内とする。
附則 1 この告示は、昭和45 年12 月1 日から施行する。
2 昭和40 年4 月建設省告示第1174 号は、廃止する。
3 宅地又は建物の売買、交換又は貸借の契約でこの告示の施行前に成立したものの代理又
は媒介に関して宅地建物取引業者が受けることのできる報酬の額については、なお従前の例
による。
附則(平成元年2 月17 日建設省告示第263 号)この告示は、平成元年4 月1 日から施行する。
附則(平成9 年1 月17 日建設省告示第37 号)この告示は、平成9 年4 月1 日から施行する。
附則(平成16 年2 月18 日国土交通省告示第100 号)この告示は 、平成16 年4 月1 日から施行する。
附則(平成26 年2 月28 日国土交通省告示第172 号)
(施行期日)
1 この告示は、平成26 年4 月1 日から施行する。
(経過措置)
2 社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等
の法律(平成24 年法律第68 号)附則第5 条第3 項の規定により同法による改正前の消費税法第29
条に規定する税率によることとされる消費税に相当する金額を含む宅地又は建物の売買、交換又は貸
借の代理又は媒介に関して宅地建物取引業者が受けることのできる報酬の額については、なお従前の
例による。
附則(平成29 年12 月8 日国土交通省告示第1155 号)この告示は 、平成30 年1 月1 日から施行する。
附則(令和元年8 月30 日国土交通省告示第493 号)
(施行期日)
1 この告示は、令和元年10 月1 日から施行する。
(経過措置)
2 社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等
の法律(平成24 年法律第68 号)附則第16 条第1 項において読み替えて準用する同法附則第5 条第
3 項の規定により同法第3 条の規定による改正前の消費税法(昭和63 年法律第108 号)第29 条に
規定する税率によることとされる消費税に相当する金額を含む宅地又は建物の売買、交換又は貸借の
代理又は媒介に関して宅地建物取引業者が受けることのできる報酬の額については、なお従前の例に
よる。



 

同性間の婚姻を認める規定を設けていない民法及び戸籍法の婚姻に関する諸規定(以下「本件規定」という。)は,憲法24条1項及び2項には違反しないとされた事例


損害賠償請求事件
【事件番号】    札幌地方裁判所判決/平成31年(ワ)第267号
【判決日付】    令和3年3月17日
【判示事項】    1 同性間の婚姻を認める規定を設けていない民法及び戸籍法の婚姻に関する諸規定(以下「本件規定」という。)は,憲法24条1項及び2項には違反しないとされた事例
          2 本件規定は,憲法13条には違反しないとされた事例
          3 本件規定が,同性愛者に対しては,婚姻によって生じる法的効果の一部ですらもこれを享受する法的手段を提供しないとしていることは,立法府の裁量権の範囲を超えたものであって,その限度で憲法14条1項に違反するとされた事例
          4 本件規定を改廃していないことが,国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるものではないとされた事例
【参照条文】    憲法13
          憲法14-1
          憲法24
          民法739-1
          戸籍法74
          国家賠償法1-1
【掲載誌】     判例時報2487号3頁

憲法
第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
② 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
③ 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。

第二十四条 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
② 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

民法
(婚姻の届出)
第七百三十九条 婚姻は、戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる。
2 前項の届出は、当事者双方及び成年の証人二人以上が署名した書面で、又はこれらの者から口頭で、しなければならない。

戸籍法
第七十四条 婚姻をしようとする者は、左の事項を届書に記載して、その旨を届け出なければならない。
一 夫婦が称する氏
二 その他法務省令で定める事項

国家賠償法
第一条 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。
② 前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。


       主   文

 1 原告らの請求をいずれも棄却する。
 2 訴訟費用は原告らの負担とする。

       事実及び理由

第1 請求
   被告は,原告らに対し,各100万円及びこれらに対する平成31年2月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要等
 1 事案の概要
   本件は,原告らが,同性の者同士の婚姻を認めていない民法及び戸籍法の規定は,憲法13条,14条1項及び24条に反するにもかかわらず,国が必要な立法措置を講じていないことが,国家賠償法1条1項の適用上違法であると主張し,慰謝料各100万円及びこれらに対する平成29年法律第44号による改正前の民法404条所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
 

株式会社の取締役に対する職務執行停止代行者選任の仮処分後右取締役が辞任し後任の取締役が選任された場合における代表取締役の選任および右代表取締役の権限の行使

 

 

土地所有権確認等請求事件

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷判決/昭和40年(オ)第834号

【判決日付】      昭和45年11月6日

【判示事項】      株式会社の取締役に対する職務執行停止代行者選任の仮処分後右取締役が辞任し後任の取締役が選任された場合における代表取締役の選任および右代表取締役の権限の行使

【判決要旨】      株式会社の取締役全員の職務の執行を停止しその代行者を選任する仮処分の裁判があつたのち、右取締役全員が辞任し、後任の取締役が選任された場合において、代表取締役が欠けているときは、右後任取締役が構成する取締役会の決議をもつて代表取締役を定めることができるが、右代表取締役は、仮処分の存続中は、その権限を行使することができない。

【参照条文】      商法261

             商法270

             民事訴訟法760

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集24巻12号1744頁

 

会社法

(取締役の職務を代行する者の権限)

第三百五十二条 民事保全法(平成元年法律第九十一号)第五十六条に規定する仮処分命令により選任された取締役又は代表取締役の職務を代行する者は、仮処分命令に別段の定めがある場合を除き、株式会社の常務に属しない行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。

2 前項の規定に違反して行った取締役又は代表取締役の職務を代行する者の行為は、無効とする。ただし、株式会社は、これをもって善意の第三者に対抗することができない。

 

民事保全法

(仮処分命令の必要性等)

第二十三条 係争物に関する仮処分命令は、その現状の変更により、債権者が権利を実行することができなくなるおそれがあるとき、又は権利を実行するのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに発することができる。

2 仮の地位を定める仮処分命令は、争いがある権利関係について債権者に生ずる著しい損害又は急迫の危険を避けるためこれを必要とするときに発することができる。

3 第二十条第二項の規定は、仮処分命令について準用する。

4 第二項の仮処分命令は、口頭弁論又は債務者が立ち会うことができる審尋の期日を経なければ、これを発することができない。ただし、その期日を経ることにより仮処分命令の申立ての目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。

 

 

       主   文

 

 原判決を破棄する。

 本件を福岡高等裁判所に差し戻す。

 

       理   由

 

 上告代理人野島豊志の上告理由第一点、第二点の(五)および第三点について。

 商法二七〇条の規定により取締役の職務の執行を停止しその代行者を選任する仮処分は、民訴法七六〇条のいわゆる仮の地位を定める仮処分の性質を有するものであつて、商法二五八条二項の規定により裁判所が一時取締役の職務を行なう者を選任する裁判とはその性質を異にするものである。そして前示職務執行停止代行者選任の仮処分決定は、その本案判決が確定したときは当然その効力を失うものと解すべきであるが、右仮処分により職務の執行を停止された取締役が辞任し、株主総会の決議によりあらたに後任の取締役が選任された場合、このことのみによつて、直ちに右仮処分決定が失効したり、右代行者の権限が消滅したりするものと解すべきではなく、右後任取締役の選任等により事情の変更があるとして仮処分決定を取り消す判決があつてはじめて右のごとき効果が生ずるものというべきである。けだし、仮処分の後、職務の執行を停止された取締役が辞任し後任の取締役が選任されたときは、右仮処分による職務執行停止はその対象を失い、代行者選任はその必要がなくなつたものというべきであるが、法は、かように事情が変更した場合でも、これを訴訟手続により認定したうえ判決により仮処分決定を取り消すべきものとしており(民訴法七五六条、七四七条)、右取消のない以上、仮処分によつて与えられた代行者の権限が消滅するいわれはないのであつて、本件のような仮処分につきその例外を認めなければならない理由を見出しえないからである。所論商業登記規則(昭和二六年法務府令第一一二号)六一条または商業登記規則(昭和三九年法務省令第二三号)八四条が、その第一項において、取締役等の職務を一時行なう者に関する登記は、取締役等の選任の登記をしたときは、朱抹しなければならない旨規定しながら、取締役の職務の執行停止または職務代行者に関する登記について右と同様の措置を定めなかつたことも、前述のような見解を前提とするものというべきである。

 そして、事情変更による取消申立について事実上困難が伴う旨の所論も右例外を認める理由とするに足りず、また所論は、後任取締役の登記の申請を受理しながら、一方でその者に取締役としての権限がないとするならば、不実の登記の存在を認めることになり不当である旨主張するが、右後任取締役の登記の前に仮処分の登記が経由されているのであるから、右後任取締役の権限が取締役代行者の権限と牴触する範囲で制限されていることはおのずから明らかであつて、不実の登記であるとの非難は当たらないというべきである。

 原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。

 同第二点の(一)ないし(四)、第四点および第五点について。

 取締役の職務執行停止代行者選任の仮処分により取締役の職務代行者が選任されている場合には、右職務の執行を停止された取締役が辞任し、その後任の取締役が選任されたとしても、会社の取締役の職務は、原則として職務代行者が行なうべきものであつて、その限度において右後任取締役は職務の執行を制限されるものと解するのが相当である。けだし、前記仮処分が、後任取締役の選任により当然失効するものでないことは前述のとおりであるところ、右仮処分は、職務の執行を停止した当該取締役の職務に関するかぎり、これを職務代行者に行なわせることとしているのであり、後任の取締役は直接右仮処分の名宛人とされた者ではないが、右仮処分の性質上、その効力が及び、したがつて職務代行者の権限を承認せざるをえないものであるからである。そして、もし後任取締役は、仮処分により職務の執行を停止された者でなく、取締役である以上取締役としての権限を行使できるのは当然であるとの見解のもとに、無制限の職務執行を認めるならば、職務代行者の職務執行と競合して、取締役会の決議等につき困難を生ずることを免れないであろう。

 しかし、仮処分の後、職務の執行を停止された取締役が辞任し後任の取締役が選任された場合に、もし代表取締役が欠けているときは、これら取締役が構成する取締役会の決議をもつて代表取締役を定めることができると解すべきである。けだし、会社を代表すべき取締役を後任取締役らが定めることは、何ら前記仮処分の趣旨、内容に牴触するものでないばかりでなく、実際上の見地から考えても、かような場合は、職務代行者が代表取締役を定めるよりも後任取締役がその意思によつて定めるべきものとするのが、商法が代表取締役の制度を設けた趣旨に合致することは明白であるからである。

 これを本件についてみるに、原審が適法に確定した事実関係のもとにおいては、Dは、右にいう後任取締役の構成する取締役会によつて、適法に補助参加人会社の代表取締役に選任されたものというべきである。すなわち原判決によれば、同会社の前任取締役は仮処分によりその職務の執行を停止され、Eほか三名がその職務代行者に選任され、また右Eが、商法二六一条三項、二五八条二項により一時代表取締役の職務を行なう者に選任されていたが、右前任取締役が辞任し、昭和三一年一二月二四日開催の株主総会においてDほか三名が取締役に選任され、右Dほか三名の取締役が同年同月二七日取締役会を開催し、DおよびFを右会社の代表取締役に選任した(右各就任の登記は昭和三二年一月一二日経由された)というのであるから、Dは有効に代表取締役に選任されたものというべきである。

 そして、前述したところによれば、右代表取締役Dは、仮処分の存続中、取締役たる資格においてその職務を執行できない制約を受ける者であるから、代表取締役としての権限も直ちに行使できないものというべく、したがつて同人が補助参加人会社を代表して上告人との間に本件各土地の売買契約を締結したとしても、その効果を生じないものであるが、原判決によれば、前記仮処分申請は昭和三二年一月一四日その申請が取り下げられたというのであるから、その後は、Dにおいて、補助参加人会社を代表して前記売買契約を追認し、あるいはあらたに売買契約を締結することができるといわなければならない。

 しかるに原審が、右と見解を異にし、後任取締役Dほか三名が前記代表取締役を選任した行為は無効であり、代表取締役でないDによつて、本件仮処分申請の取下後である昭和三二年一月一七日あるいは同年四月二五日に本件売買契約につき追認またはあらたな行為がなされたとしても、その効力がないことは明らかであると判示し、たやすく上告人の本訴請求を排斥したのは違法であることを免れず、この点に関する論旨は理由があるに帰する。

 よつて、原判決を破棄し、さらに審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻すべきものとし、民訴法四〇七条一項に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

    最高裁判所第二小法廷

宝石店主らがブラジル人女性に対し外国人であることを理由に店舗からの退去を求めたことが不法行為に当たるとして150万円の損害賠償請求が認容された事例

 

静岡地方裁判所浜松支部判決/平成10年(ワ)第332号

平成11年10月12日

損害賠償請求事件

【判示事項】    宝石店主らがブラジル人女性に対し外国人であることを理由に店舗からの退去を求めたことが不法行為に当たるとして150万円の損害賠償請求が認容された事例

【参照条文】    民法709

          民法710

          憲法14

          あらゆる形態の人権差別の撤廃に関する国際条約

          あらゆる形態の人権差別の撤廃に関する国際条約6

【掲載誌】     判例タイムズ1045号216頁

          判例時報1718号92頁

 

民法

(不法行為による損害賠償)

第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

(財産以外の損害の賠償)

第七百十条 他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。

 

憲法

第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

② 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。

③ 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。

 

あらゆる形態の人権差別の撤廃に関する国際条約

第3条

締約国は、特に、人種隔離及びアパルトヘイトを非難し、また、自国の管轄の下にある領域におけるこの種のすべての慣行を防止し、禁止し及び根絶することを約束する。

 

第4条

締約国は、一の人種の優越性若しくは一の皮膚の色若しくは種族的出身の人の集団の優越性の思想若しくは理論に基づくあらゆる宣伝及び団体又は人種的憎悪及び人種差別(形態のいかんを問わない。)を正当化し若しくは助長することを企てるあらゆる宣伝及び団体を非難し、また、このような差別のあらゆる扇動又は行為を根絶することを目的とする迅速かつ積極的な措置をとることを約束する。このため、締約国は、世界人権宣言に具現された原則及び次条に明示的に定める権利に十分な考慮を払って、特に次のことを行う。

 

人種的優越又は憎悪に基づく思想のあらゆる流布、人種差別の扇動、いかなる人種若しくは皮膚の色若しくは種族的出身を異にする人の集団に対するものであるかを問わずすべての暴力行為又はその行為の扇動及び人種主義に基づく活動に対する資金援助を含むいかなる援助の提供も、法律で処罰すべき犯罪であることを宣言すること。

人種差別を助長し及び扇動する団体及び組織的宣伝活動その他のすべての宣伝活動を違法であるとして禁止するものとし、このような団体又は活動への参加が法律で処罰すべき犯罪であることを認めること。

国又は地方の公の当局又は機関が人種差別を助長し又は扇動することを認めないこと。

 

 

事案の概要

 Xは、日本に在留するプラジル人女性であるが、らの経営する宝石店に人り、ショーケースを跳めていたところ、Y1から国を尋ねられ、ブラジルと答えた途端、外国人の立入りは禁止であると告げられた。Xが理由を尋ねると、Y1は「出店荒らしにご用心!」とのチラシを指し、店から出ないと警察を呼ぶと告げられた。その後、Xが電話で呼んだ夫らやY1が呼んだ警察官を交え、XとYらとの間で問答があったが、Y1は所用で退出し、XにはY2が応対した。Y2はXから謝罪文の交付を求められ、「言葉が通じないのでごめんなさい。これしか言いようがありません」とのメモを渡したが、Xから反省していないようだと言われ、実は反省していない、本当は早く帰って欲しいだけだと答えた。話は物別れとなり、XはYらを相手取り、人種差別を理由に慰藉料100万円、弁護士費用50万円、合計150万円の損害賠償を求める訴えを提起した。Yらは、客を入店させるか否かは私的自治に委ねられていること、Xの行動が怪しいと思ったYらの判断は誤りと断定できず、公序良俗に反しないこと、仮にこの判断が誤りであったとしても、Yらの置かれた立場やその当時の状況からやむを得ないものであったことなどを主張した。

 本判決は、Yらが外国人を異質なものとして邪険に扱い、あたかも犯罪予備軍的に取り扱ったのは妥当でなく、Xの人格的名誉を傷つけたとして、Xの請求を全部認容した。

『重要判例分析×ブランド戦略推進 商標の法律実務』中央経済社

小林 十四雄 編集代表

末吉 亙 編著

西村 雅子 編著

大塚 一貴 編著

三山 峻司 編著

 

定価:5,280円(税込)

 

発行日:2023/01/19

A5判 / 448頁

ISBN:978-4-502-43391-7

 

 

本の紹介

学術的、実務的の両側面から商標法とその周辺法の解釈・運用のポイントを解説。30の重要判例についても事案の概要とその要点を解説。企業のブランド戦略の一助となる。

 

コメント

おおむね知っている論点でした。

裁判例の索引は必要です。

 

 

目次

第1章 本書の背景事情と本書の構成

1 プリミティブな商標の時代-「瓦饅頭」と「亘饅頭」

2 プリミティブな商標の時代における判例法の意義

3 その後の商標を取り巻く環境変化

4 本書の主な検討対象期間(平成25年から平成30年)

5 本書第2章ないし第4章の構成

 

第2章 商標法の今日的課題

第1節 商標法の今日的課題-研究者の観点から

1 はじめに

2 商法制度の趣旨をめぐる議論-混同理論とサーチコスト理論

3 商標の類否

4 特許制度との趣旨の違いを踏まえた解釈論-損害額の算定を例として

第2節 実務家の観点から

1 商標機能論(商標の本質・機能)に関係する事例

2 商標の類否

3 商標侵害訴訟の侵害主張に対する抗弁

4 損害賠償請求(商標法38条の推定規定)

5 デジタルネットワーク環境の利用態様が絡む事例

6 商標の審判ルートの対応事例

 

第3章 「商標と周辺法」に関する実務的課題

第1節 商標と不正競争

1 商標法における「類似」と不正競争防止法における「類似」

2 商標法と不正競争防止法における先使用

3 商号の保護

第2節 意匠と商標

1 同一対象の重畳的保護

2 商標権と意匠権の抵触

3 意匠権の存続期間満了後の商標登録

第3節 商標と著作権

1 著作権が認められ得る商標

2 商標権と著作権の抵触(商標法29条とこれに関連する問題)

第4節 商標と独占禁止法

1 商標法と独禁法の関わり

2 独禁法の本質

3 独禁法の特徴

4 商標あるいはブランドに関わる事例2件

第5節 個別検討

1-a ファッションの保護:商標・意匠による保護

1-b 不正競争防止法による形態保護、商品等表示としての保護

1-c ファッションデザインの著作権による保護

2-a 店舗外観・空間デザインの保護:商標による保護

2-b 店舗外観・空間デザインの保護:意匠による保護

2-c 店舗外観・空間デザインの保護:不正競争防止法による保護

2-d 店舗外観・空間デザインの保護:著作権法による保護

 

第4章 2013年以降の商標関連判決の解説集-30選

第9章 司法取引のメリットとデメリット

司法取引のメリットとデメリットをご紹介します。組織犯罪や経済犯罪には有効な手立てとされていますが、デメリットについて指摘が多いのも事実です。

 

メリット

まずは司法取引における導入のメリットを確認していきましょう。

 

裁判費用の節約

司法取引を導入することで、「裁判費用の節約」または「捜査費用の節約」が期待されています。暴力団などの組織的犯罪や、企業ぐるみの経済犯罪などは、大量の捜査員を投入します。当然のことながら、時間や莫大な費用がかかります。

 

また、裁判を行うにあたっても綿密に証拠を集め、多額の人件費を投入します。仮に、司法取引によって有力な証拠が得られれば、そのような人件費を削減することも可能です。

 

重犯罪への対応が可能

司法取引が導入されることで、これまでの組織犯罪や経済犯罪における捜査員の縮小や人件費の削減が、事実上可能になります。

 

つまり、その分人員配置や人件費を凶悪な重犯罪(殺人、強盗、強姦など)の対応に当てることもできるのです。もっとも、今回の司法取引制度では、殺人や性犯罪は対象外としているため、当該メリットは乏しいかもしれません。

 

事件の迅速な処理

今回の司法取引では、事件の有力な供述を得られる可能性があり、その分事件処理の効率が高まると予想されています。そうなれば、捜査費用や裁判費用の削減のみならず、時間を効率的に使えます。

 

企業犯罪の軽減

企業犯罪においても、財政経済関係犯罪として適用されるため、その社員から刑事処分の軽減と引き換えに、有力な供述を聞くことができます。つまり、企業全体の組織的な刑事責任を追及できるのです。

また、以前は捜査のメスを入れることができなかった組織内部にも捜査がおよぶので、それを恐れる企業による犯罪の減少も期待されます。

 

デメリット

次に司法取引において、現在指摘されているデメリットについてご紹介します。司法取引を導入している欧米では、さまざまな弊害が生じているといいます。その実態についてみていきましょう。

 

黙秘権の侵害

刑事事件の捜査において、取調べに対して沈黙し陳述を拒むことができる権利を、黙秘権といいます。

 

黙秘権は、警察の取調べの際などに、被疑者の不利益になるような情報を強要してはならないという、憲法および刑事訴訟法で認められている権利です。

 

しかし、司法取引制度によって検察側が被疑者に減刑という特典をちらつかせることで黙秘権の侵害に繋がる可能性があるという指摘があります。また、被疑者が減刑欲しさから虚偽の情報を申告する可能性もあるという指摘もあります。

 

客観的証拠収集がおろそかになる

司法取引制度が多用された場合、検察官が取引の結果引き出された供述証拠に偏重してしまう可能性があります。

 

供述調書は供述者の主観に左右されるため、客観証拠に比べて事実認定の根拠とするには危うい側面があります。仮に司法取引制度を実施した結果、上記のような供述調書への偏重が生じれば、刑事裁判手続きの事実認定の確度が低下し、国民の刑事裁判に対する信頼が失われるおそれすらあります。

 

客観的証拠収集の捜査がおざなりになれば、そもそも司法取引制度そのものが崩れかねない事態となるのです。

土地およびその地上建物の所有者が建物の所有権移転登記を経由しないまま土地につき抵当権を設定した場合と法定地上権の成否

 

 

建物収去土地明渡等請求、建物退去土地明渡等反訴事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/昭和45年(オ)第989号

【判決日付】      昭和48年9月18日

【判示事項】      土地およびその地上建物の所有者が建物の所有権移転登記を経由しないまま土地につき抵当権を設定した場合と法定地上権の成否

【判決要旨】      土地およびその地上建物の所有者が建物の取得原因である譲渡につき所有権移転登記を経由しないまま土地に対し抵当権を設定した場合であっても、法定地上権の成立を妨げない。

【参照条文】      民法177

             民法388

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集27巻8号1066頁

 

民法

(不動産に関する物権の変動の対抗要件)

第百七十七条 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

 

(法定地上権)

第三百八十八条 土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなす。この場合において、地代は、当事者の請求により、裁判所が定める。

 

 

 

       主   文

 

 原判決中上告人ら敗訴部分を破棄する。

 前項の部分につき本件を東京高等裁判所に差し戻す。

 

       理   由

 

 上告代理人松島政義の上告理由第一点について。

 原判決は、被上告人は、訴外Aに対し合計二一万四三〇〇円の貸金債権を有していたところ、昭和二九年六月一八日右貸金合計額を元本とし、弁済期を同年一二月三一日と定めてこれを被担保債権とし、上告人B所有の原判決添付別紙目録(二)記載の土地(以下「本件土地」という。)につき抵当権を取得して同年六月二九日その設定登記を経由したが、弁済期に債務の弁済がなかつたので、抵当権の実行を申し立てて自らこれを競落し、昭和三〇年一〇月一日その所有権移転登記を経由したこと、本件土地上に前記目録(一)記載の建物(以下「本件建物」という。)が存するところ、上告人Bは、昭和二六年一月三〇日所有者たる訴外財団法人東京都住宅貸付金整理協会からこれを買い受けてその所有権を取得したが、その所有権移転登記は経由せず、前記抵当権設定当時登記簿上の所有者名義は右訴外協会となつていたこと、すなわち、本件土地についての抵当権設定当時、本件土地およびその地上建物たる本件建物は、抵当権設定者たる上告人Bの所有に属していたが、建物についてはその前所有者の所有名義になつていて、上告人Bは取得登記を経由していなかつたことを認定したうえ、右の場合、上告人Bは、土地に抵当権を設定した当時地上建物を所有していてもその取得登記を経ていないから、土地につき法定地上権を取得しえないと解すべきであるとし、上告人Bが被上告人に対して法定地上権設定登記手続および相当地代の確定を求める請求を排斥し、かつ、被上告人が土地所有権にもとづき本件建物に居住して本件土地を占有している上告人Cに対して建物退去土地明渡を求める請求につき、右法定地上権を援用する上告人Cの主張を排斥して被上告人の請求を認容したものである。

 しかしながら、土地とその地上建物が同一所有者に属する場合において、土地のみにつき抵当権が設定されてその抵当権が実行されたときは、たとえ建物所有権の取得原因が譲渡であり、建物につき前主その他の者の所有名義の登記がされているままで、土地抵当権設定当時建物についての所有権移転登記が経由されていなくとも、土地競落人は、これを理由として法定地上権の成立を否定することはできないものと解するのが相当である。その理由は、つぎのとおりである。

 民法三八八条本文は、「土地及ビ其上ニ在スル建物カ同一ノ所有者ニスル場合ニ於テ其土地又ハ建物ノミヲ抵当ト為シタルトキハ抵当権設定者ハ競売ノ場合ニ付キ地上権ヲ設定シタルモノト看做ス」と規定するが、その根拠は、土地と建物が同一所有者に属している場合には、その一方につき抵当権を設定し将来土地と建物の所有者を異にすることが予想される場合でも、これにそなえて抵当権設定時において建物につき土地利用権を設定しておくことが現行法制のもとにおいては許されないところから、競売により土地と建物が別人の所有に帰した場合は建物の収去を余儀なくされるが、それは社会経済上不利益であるから、これを防止する必要があるとともに、このような場合には、抵当権設定者としては、建物のために土地利用を存続する意思を有し、抵当権者もこれを予期すべきものであることに求めることができる。してみると、建物につき登記がされているか、所有者が取得登記を経由しているか否かにかかわらず、建物が存立している以上これを保護することが社会経済上の要請にそうゆえんであつて、もとよりこれは抵当権設定者の意思に反するものではなく、他方、土地につき抵当権を取得しようとする者は、現実に土地をみて地上建物の存在を了知しこれを前提として評価するのが通例であり、競落人は抵当権者と同視すべきものであるから、建物につき登記がされているか、所有者が取得登記を経由しているか否かにかかわらず、法定地上権の成立を認めるのが法の趣旨に合致するのである。このように、法定地上権制度は、要するに存立している建物を保護するところにその意義を有するのであるから、建物所有者は、法定地上権を取得するに当たり、対抗力ある所有権を有している必要はないというべきである。

 したがつて、これと異なる見解にたつ原判決の前示判断には法令違背があり、この違法は判決に影響を及ぼすこと明らかである。それゆえ、この点に関する論旨は理由があるから、その余の論旨について判断を示すまでもなく、原判決中上告人ら敗訴部分は破棄を免れない。そして、本件はなお審理の必要があるから、右の部分を原審に差し戻すのが相当である。

 よつて、民訴法四〇七条一項に従い、裁判官全員の一致で主文のとおり判決する。

    最高裁判所第三小法廷

 

株式会社の取締役に対する職務執行停止・代行者選任の仮処分の効力存続中に右取締役が辞任しその後の株主総会の決議をもって同一人を再度取締役に選任することが許されるか


    臨時株主総会決議無効確認請求事件
【事件番号】    最高裁判所第1小法廷/昭和42年(オ)第1113号
【判決日付】    昭和47年2月3日
【判示事項】    1、株式会社の取締役に対する職務執行停止・代行者選任の仮処分の効力存続中に右取締役が辞任しその後の株主総会の決議をもって同一人を再度取締役に選任することが許されるか
          2、株式名義書換請求につき許否を決する行為と商法271条にいう「会社ノ常務」
【判決要旨】    1、株式会社の取締役に対する職務執行停止・代行者選任の仮処分の効力存続中に、右取締役が辞任しその後の株主総会の決議をもって同一人を再度取締役に選任することも許される。
          2、株式名義書換請求について、その要件を具備するかどうかを審査し、その許否を決することは、商法271条にいう「会社ノ常務」に属する行為として、代表取締役職務代行者もこれをすることができる。
【参照条文】    商法270
          商法254
          商法271
【掲載誌】     最高裁判所裁判集民事105号37頁

会社法
(取締役の職務を代行する者の権限)
第三百五十二条 民事保全法(平成元年法律第九十一号)第五十六条に規定する仮処分命令により選任された取締役又は代表取締役の職務を代行する者は、仮処分命令に別段の定めがある場合を除き、株式会社の常務に属しない行為をするには、裁判所の許可を得なければならない。
2 前項の規定に違反して行った取締役又は代表取締役の職務を代行する者の行為は、無効とする。ただし、株式会社は、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
(株式会社と取締役との間の訴えにおける会社の代表)

(株主総会の決議)
第三百九条1項 株主総会の決議は、定款に別段の定めがある場合を除き、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数をもって行う。