宅地建物取引の媒介において建設大臣が定めた報酬の額をこえる額についてなされた報酬契約の効力 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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宅地建物取引の媒介において建設大臣が定めた報酬の額をこえる額についてなされた報酬契約の効力


報酬金請求事件
【事件番号】    最高裁判所第1小法廷判決/昭和44年(オ)第364号
【判決日付】    昭和45年2月26日
【判示事項】    宅地建物取引の媒介において建設大臣が定めた報酬の額をこえる額についてなされた報酬契約の効力
【判決要旨】    宅地建物取引業法17条1項および2項は、宅地建物取引の媒介の報酬契約のうち建設大臣の定めた額をこえる部分の効力を否定する趣旨であり、報酬契約のうち右額をこえる部分は無効と解するのが相当である。
【参照条文】    宅地建物取引業法17-1
          宅地建物取引業法17-2
          昭和40年4月1日建設省告示第1174号
【掲載誌】     最高裁判所民事判例集24巻2号104頁

宅地建物取引業法
(媒介契約)
第三十四条の二 宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買又は交換の媒介の契約(以下この条において「媒介契約」という。)を締結したときは、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を作成して記名押印し、依頼者にこれを交付しなければならない。
一 当該宅地の所在、地番その他当該宅地を特定するために必要な表示又は当該建物の所在、種類、構造その他当該建物を特定するために必要な表示
二 当該宅地又は建物を売買すべき価額又はその評価額
三 当該宅地又は建物について、依頼者が他の宅地建物取引業者に重ねて売買又は交換の媒介又は代理を依頼することの許否及びこれを許す場合の他の宅地建物取引業者を明示する義務の存否に関する事項
四 当該建物が既存の建物であるときは、依頼者に対する建物状況調査(建物の構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分として国土交通省令で定めるもの(第三十七条第一項第二号の二において「建物の構造耐力上主要な部分等」という。)の状況の調査であつて、経年変化その他の建物に生じる事象に関する知識及び能力を有する者として国土交通省令で定める者が実施するものをいう。第三十五条第一項第六号の二イにおいて同じ。)を実施する者のあつせんに関する事項
五 媒介契約の有効期間及び解除に関する事項
六 当該宅地又は建物の第五項に規定する指定流通機構への登録に関する事項
七 報酬に関する事項
八 その他国土交通省令・内閣府令で定める事項
2 宅地建物取引業者は、前項第二号の価額又は評価額について意見を述べるときは、その根拠を明らかにしなければならない。
3 依頼者が他の宅地建物取引業者に重ねて売買又は交換の媒介又は代理を依頼することを禁ずる媒介契約(以下「専任媒介契約」という。)の有効期間は、三月を超えることができない。これより長い期間を定めたときは、その期間は、三月とする。
4 前項の有効期間は、依頼者の申出により、更新することができる。ただし、更新の時から三月を超えることができない。
5 宅地建物取引業者は、専任媒介契約を締結したときは、契約の相手方を探索するため、国土交通省令で定める期間内に、当該専任媒介契約の目的物である宅地又は建物につき、所在、規模、形質、売買すべき価額その他国土交通省令で定める事項を、国土交通省令で定めるところにより、国土交通大臣が指定する者(以下「指定流通機構」という。)に登録しなければならない。
6 前項の規定による登録をした宅地建物取引業者は、第五十条の六に規定する登録を証する書面を遅滞なく依頼者に引き渡さなければならない。
7 前項の宅地建物取引業者は、第五項の規定による登録に係る宅地又は建物の売買又は交換の契約が成立したときは、国土交通省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を当該登録に係る指定流通機構に通知しなければならない。
8 媒介契約を締結した宅地建物取引業者は、当該媒介契約の目的物である宅地又は建物の売買又は交換の申込みがあつたときは、遅滞なく、その旨を依頼者に報告しなければならない。
9 専任媒介契約を締結した宅地建物取引業者は、前項に定めるもののほか、依頼者に対し、当該専任媒介契約に係る業務の処理状況を二週間に一回以上(依頼者が当該宅地建物取引業者が探索した相手方以外の者と売買又は交換の契約を締結することができない旨の特約を含む専任媒介契約にあつては、一週間に一回以上)報告しなければならない。
10 第三項から第六項まで及び前二項の規定に反する特約は、無効とする。
11 宅地建物取引業者は、第一項の書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、依頼者の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法をいう。以下同じ。)であつて同項の規定による記名押印に代わる措置を講ずるものとして国土交通省令で定めるものにより提供することができる。この場合において、当該宅地建物取引業者は、当該書面に記名押印し、これを交付したものとみなす。
12 宅地建物取引業者は、第六項の規定による書面の引渡しに代えて、政令で定めるところにより、依頼者の承諾を得て、当該書面において証されるべき事項を電磁的方法であつて国土交通省令で定めるものにより提供することができる。この場合において、当該宅地建物取引業者は、当該書面を引き渡したものとみなす。

昭和40年4月1日建設省告示第1174号
宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額 
(昭和 45 年 10 月 23 日建設省告示第 1552 号) 最終改正 令和元年 8 月 30 日国土交通省告示第 493 号
第1 定義 
この告示において、「消費税等相当額」とは消費税法(昭和63 年法
律第108 号)第2 条第1 項第9 号に規定する課税資産の譲渡等につき
課されるべき消費税額及び当該消費税額を課税標準として課されるべ
き地方消費税額に相当する金額をいう。
第2 売買又は交換の媒介に関する報酬の額 
宅地建物取引業者(課税事業者(消費税法第5 条第1項の規定により
消費税を納める義務がある事業者をいい、同法第9 条第1項本文の規
定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)である場
合に限る。第3 から第5 まで、第7、第8 及び第9①において同じ。)
が宅地又は建物(建物の一部を含む。以下同じ。)の売買又は交換の媒
介に関して依頼者から受けることのできる報酬の額(当該媒介に係る
消費税等相当額を含む。)は、依頼者の一方につき、それぞれ、当該
売買に係る代金の額(当該売買に係る消費税等相当額を含まないもの
とする。)又は当該交換に係る宅地若しくは建物の価額(当該交換に係
る消費税等相当額を含まないものとし、当該交換に係る宅地又は建物
の価額に差があるときは、これらの価額のうちいずれか多い価額とす
る。)を次の表の左欄に掲げる金額に区分してそれぞれの金額に同表
の右欄に掲げる割合を乗じて得た金額を合計した金額以内とする。
200万円以下の金額 
200万円を超え400万円以下の金額 
400万円を超える金額
100分の5.5 
100分の4.4 
100分の3.3
 
第3 売買又は交換の代理に関する報酬の額 
宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買又は交換の代理に関して依
頼者から受けることのできる報酬の額(当該代理に係る消費税等相当
額を含む。以下この規定において同じ。)は、第2 の計算方法により
算出した金額の2 倍以内とする。ただし、宅地建物取引業者が当該売
買又は交換の相手方から報酬を受ける場合においては、その報酬の額
と代理の依頼者から受ける報酬の額の合計額が第2 の計算方法により
算出した金額の2 倍を超えてはならない。
 
第4 貸借の媒介に関する報酬の額 
宅地建物取引業者が宅地又は建物の貸借の媒介に関して依頼者の双
方から受けることのできる報酬の額(当該媒介に係る消費税等相当額
を含む。以下この規定において同じ。)の合計額は、当該宅地又は建
物の借賃(当該貸借に係る消費税等相当額を含まないものとし、当該
媒介が使用貸借に係るものである場合においては、当該宅地又は建物
の通常の借賃をいう。以下同じ。)の1 月分の1.1 倍に相当する金額
以内とする。この場合において、居住の用に供する建物の賃貸借の媒
介に関して依頼者の一方から受けることのできる報酬の額は、当該媒
介の依頼を受けるに当たって当該依頼者の承諾を得ている場合を除
き、借賃の1 月分の0.55 倍に相当する金額以内とする。
 
第5 貸借の代理に関する報酬の額 
宅地建物取引業者が宅地又は建物の貸借の代理に関して依頼者から
受けることのできる報酬の額(当該代理に係る消費税等相当額を含
む。以下この規定において同じ。)は、当該宅地又は建物の借賃の1 
月分の1.1 倍に相当する金額以内とする。ただし、宅地建物取引業者
が当該貸借の相手方から報酬を受ける場合においては、その報酬の額
と代理の依頼者から受ける報酬の額の合計額が借賃の1 月分の1.1 倍
に相当する金額を超えてはならない。
 
第6 権利金の授受がある場合の特例 
宅地又は建物(居住の用に供する建物を除く。)の賃貸借で権利金(権
利金その他いかなる名義をもってするかを問わず、権利設定の対価と
して支払われる金銭であって返還されないものをいう。)の授受があ
るものの代理又は媒介に関して依頼者から受ける報酬の額(当該代理
又は媒介に係る消費税等相当額を含む。)については、第4 又は第5 
の規定にかかわらず、当該権利金の額(当該貸借に係る消費税等相当
額を含まないものとする。)を売買に係る代金の額とみなして、第2 
又は第3 の規定によることができる。
第7 空家等の売買又は交換の媒介における特例 
低廉な空家等(売買に係る代金の額(当該売買に係る消費税等相当
額を含まないものとする。)又は交換に係る宅地若しくは建物の価額
(当該交換に係る消費税等相当額を含まないものとし、当該交換に係
る宅地又は建物の価額に差があるときは、これらの価額のうちいずれ
か多い価額とする。)が400 万円以下の金額の宅地又は建物をいう。
以下「空家等」という。)の売買又は交換の媒介であって、通常の売
買又は交換の媒介と比較して現地調査等の費用を要するものについて
は、宅地建物取引業者が空家等の売買又は交換の媒介に関して依頼者
(空家等の売主又は交換を行う者である依頼者に限る。)から受ける
ことのできる報酬の額(当該媒介に係る消費税等相当額を含む。以下
この規定において同じ。)は、第2 の規定にかかわらず、第2 の計算
方法により算出した金額と当該現地調査等に要する費用に相当する額
を合計した金額以内とする。この場合において、当該依頼者から受け
る報酬の額は18 万円の1.1 倍に相当する金額を超えてはならない。
 
第8 空家等の売買又は交換の代理における特例 
空家等の売買又は交換の代理であって、通常の売買又は交換の代理
と比較して現地調査等の費用を要するものについては、宅地建物取引
業者が空家等の売買又は交換の代理に関して依頼者(空家等の売主又
は交換を行う者である依頼者に限る。)から受けることのできる報酬
の額(当該代理に係る消費税等相当額を含む。以下この規定において
同じ。)は、第3 の規定にかかわらず、第2 の計算方法により算出し
た金額と第7 の規定により算出した金額を合計した金額以内とする。
ただし、宅地建物取引業者が当該売買又は交換の相手方から報酬を受
ける場合においては、その報酬の額と代理の依頼者から受ける報酬の
額の合計額が第2 の計算方法により算出した金額と第7 の規定により
算出した金額を合計した金額を超えてはならない。
 
第9 第2から第8までの規定によらない報酬の受領の禁止 
① 宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買、交換又は貸借の代理
又は媒介に関し、第2 から第8 までの規定によるほか、報酬を受け
ることができない。ただし、依頼者の依頼によって行う広告の料金
に相当する額については、この限りでない。
② 消費税法第9 条第1 項本文の規定により消費税を納める義務を免
除される宅地建物取引業者が、宅地又は建物の売買、交換又は貸借
の代理又は媒介に関し受けることができる報酬の額は、第2 から第
8 までの規定に準じて算出した額に110 分の100 を乗じて得た
額、当該代理又は媒介における仕入れに係る消費税等相当額及び①
ただし書に規定する額を合計した金額以内とする。
附則 1 この告示は、昭和45 年12 月1 日から施行する。
2 昭和40 年4 月建設省告示第1174 号は、廃止する。
3 宅地又は建物の売買、交換又は貸借の契約でこの告示の施行前に成立したものの代理又
は媒介に関して宅地建物取引業者が受けることのできる報酬の額については、なお従前の例
による。
附則(平成元年2 月17 日建設省告示第263 号)この告示は、平成元年4 月1 日から施行する。
附則(平成9 年1 月17 日建設省告示第37 号)この告示は、平成9 年4 月1 日から施行する。
附則(平成16 年2 月18 日国土交通省告示第100 号)この告示は 、平成16 年4 月1 日から施行する。
附則(平成26 年2 月28 日国土交通省告示第172 号)
(施行期日)
1 この告示は、平成26 年4 月1 日から施行する。
(経過措置)
2 社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等
の法律(平成24 年法律第68 号)附則第5 条第3 項の規定により同法による改正前の消費税法第29
条に規定する税率によることとされる消費税に相当する金額を含む宅地又は建物の売買、交換又は貸
借の代理又は媒介に関して宅地建物取引業者が受けることのできる報酬の額については、なお従前の
例による。
附則(平成29 年12 月8 日国土交通省告示第1155 号)この告示は 、平成30 年1 月1 日から施行する。
附則(令和元年8 月30 日国土交通省告示第493 号)
(施行期日)
1 この告示は、令和元年10 月1 日から施行する。
(経過措置)
2 社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等
の法律(平成24 年法律第68 号)附則第16 条第1 項において読み替えて準用する同法附則第5 条第
3 項の規定により同法第3 条の規定による改正前の消費税法(昭和63 年法律第108 号)第29 条に
規定する税率によることとされる消費税に相当する金額を含む宅地又は建物の売買、交換又は貸借の
代理又は媒介に関して宅地建物取引業者が受けることのできる報酬の額については、なお従前の例に
よる。