農業協同組合法第99条違反の罪を構成する事例 最高裁判所第2小法廷決定 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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農業協同組合法第99条違反の罪を構成する事例

 

最高裁判所第2小法廷決定/昭和32年(あ)第938号

昭和35年6月6日

農業協同組合法違反背任被告事件

【判示事項】    農業協同組合法第99条違反の罪を構成する事例

【判決要旨】    農業協同組合の役員が、組合員外の非法人たる河川改修準備委員会に対し、仮払金名義の下に同組合保管金中の一部の金員を貸し付ける所為は、農業協同組合法第99条違反の罪を構成する。

【参照条文】    農業協同組合法99

          農業協同組合法10-1

          農業協同組合法12-1(昭和29年法律第184号による改正前のもの)

【掲載誌】     最高裁判所刑事判例集14巻7号943頁

 

農業協同組合法

第九十九条 組合の役員がいかなる名義をもつてするを問わず、組合の事業の範囲外において、貸付けをし、若しくは手形の割引をし、又は投機取引のために組合の財産を処分したときは、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金(第十条第一項第三号又は第十号の事業を行う組合の役員にあつては、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金)に処する。

② 前項の罪を犯した者には、情状により、懲役及び罰金を併科することができる。

③ 第一項の規定は、刑法に正条がある場合には、これを適用しない。

 

第十条1項 組合は、次の事業の全部又は一部を行うことができる。

一 組合員(農業協同組合連合会にあつては、その農業協同組合連合会を直接又は間接に構成する者。次項及び第四項並びに第十一条の五十第三項を除き、以下この節において同じ。)のためにする農業の経営及び技術の向上に関する指導

二 組合員の事業又は生活に必要な資金の貸付け

三 組合員の貯金又は定期積金の受入れ

四 組合員の事業又は生活に必要な物資の供給

五 組合員の事業又は生活に必要な共同利用施設(医療又は老人の福祉に関するものを除く。)の設置

六 農作業の共同化その他農業労働の効率の増進に関する施設

七 農業の目的に供される土地の造成、改良若しくは管理、農業の目的に供するための土地の売渡し、貸付け若しくは交換又は農業水利施設の設置若しくは管理

八 組合員の生産する物資の運搬、加工、保管又は販売

九 農村工業に関する施設

十 共済に関する施設

十一 医療に関する施設

十二 老人の福祉に関する施設

十三 農村の生活及び文化の改善に関する施設

十四 組合員の経済的地位の改善のためにする団体協約の締結

十五 前各号の事業に附帯する事業

 

 

第十二条1項 農業協同組合の組合員たる資格を有する者は、次に掲げる者で定款で定めるものとする。

一 農業者(組合を除く。)

二 当該農業協同組合の地区内に住所を有する個人又は当該農業協同組合からその事業に係る物資の供給若しくは役務の提供を継続して受けている者であつて、当該農業協同組合の施設を利用することを相当とするもの

三 当該農業協同組合の地区の全部又は一部を地区とする農業協同組合

四 農事組合法人等当該農業協同組合の地区内に住所を有する農民が主たる構成員となつている団体で協同組織の下に当該構成員の共同の利益を増進することを目的とするものその他当該農業協同組合又は当該農業協同組合の地区内に住所を有する農民が主たる構成員又は出資者となつている団体(前三号に掲げる者を除く。)