水害罹災者に対するものとして交付された救助物資及び義捐金の保管は,村長の職務として,これをなすものとであるとした事例
最高裁判所第1小法廷判決/昭和26年(れ)第1663号
昭和27年2月21日
業務上横領
【判示事項】 水害罹災者に対するものとして交付された救助物資及び義捐金の保管は,村長の職務として,これをなすものとであるとした事例
【判決要旨】 1 本件各救援物資及義損金の受払、保管の事務は普通地方公共団体であるa村水害罹災者を救護する事務の一部に外ならないので、地方自治法(昭和23年法律第179号による改正前の法律)2条2項にいわゆる普通地方公共団体の公共事務に該当し、同法148条により同村長たる被告人Aの管理、執行すべき事務に属するものと解するを相当とする。さればa村の水害罹災者に対するものとして交付された判示各救援物資及び義損金の保管は、村長たる被告人において職務としてこれを為すものといわなければならぬから、原判決には地方自治法の解釈をあやまつた違法は存しない。
2 横領罪の判示には所論の物資が他人の所有に属していることを示せば足り、その何人の所有に属するかまで判示するの要はないから、所論の物資が被告人以外の者の所有に属することの判文上明らかな原判決には所論の違法はない。
【参照条文】 地方自治法(昭和23年法律179号による改正前のもの)2-2
地方自治法(昭和23年法律179号による改正前のもの)148
刑法253
旧刑訴法360-1
【掲載誌】 最高裁判所裁判集刑事61号279頁
地方自治法
第二条 地方公共団体は、法人とする。
② 普通地方公共団体は、地域における事務及びその他の事務で法律又はこれに基づく政令により処理することとされるものを処理する。
第百四十二条 普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体に対し請負をする者及びその支配人又は主として同一の行為をする法人(当該普通地方公共団体が出資している法人で政令で定めるものを除く。)の無限責任社員、取締役、執行役若しくは監査役若しくはこれらに準ずべき者、支配人及び清算人たることができない。
刑法
(業務上横領)
第二百五十三条 業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、十年以下の懲役に処する。