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法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

役に立つ裁判例の紹介、法律の本の書評です。弁護士経験32年。第二東京弁護士会所属21770

第10 登記等の対抗要件が必要に(改正法第899条の2)

1,改正前

従来は、不動産など相続による名義変更を急がなくても、法定相続分と異なる内容の遺言があれば、登記(不動産の名義変更)などをしなくても、自分の権利を第三者に主張することができました(最判平5.7.19、最判平4.6.10)。

そのため、専門家にきた相続の相談も、相続による名義変更は、後回しでされることが多くありました。

 

2,改正法

相続後の不動産の名義変更は速やかに行う必要がある(改正法第899条の2)

親が亡くなると、民法で定める法定相続割合にもとづき、子が財産を相続します。遺言があれば遺言の内容に従い、相続されます。

 

法改正の内容は、相続後の名義変更手続きについてです。

 

不動産の売買や贈与などの取引については、売買後、速やかに不動産の名義変更の登記しないと自分の権利を主張できません。売主名義のまま放置していて、それをいいことに売主が他の第三者に名義を変更した場合には、名義を信頼して不動産を購入した、後の第三者の権利が保護されます。

ですから、売買の際は速やかに不動産の名義変更が行われます。

 

その不動産売買と同様の考え方が適応され、改正後は、遺言を作成したとしても、法定相続分を超える部分については、登記(不動産の名義変更)などを行わなければ、自分が相続した不動産の権利を第三者に主張できなくなります。

つまり、不動産取引と同様に、2019年7月1日以降発生した相続については、相続法改正後は、相続後の名義変更を、速やかに行わなければなりません。

 

改正相続法では、法定相続分を超える権利を相続した者は、取得に至った原因(遺言、遺産分割協議など)に関わらず、法定相続分を超える部分について第三者に対抗(権利を主張)するには、登記や登録などの手続きをしていなければならないということになりました。

 

 

3,施行日

上記の規定は、原則通り2019年7月1日以降の相続が改正法の対象です。

登記申請の権限と民法110条の表見代理における基本代理権

 

 

              約束手形金請求事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/昭和45年(オ)第305号

【判決日付】      昭和46年6月3日

【判示事項】      登記申請の権限と民法110条の表見代理における基本代理権

【判決要旨】      本人から登記申請を委任されてこれに必要な権限を与えられた者が右権限をこえて第三者と取引行為をした場合において、その登記申請が本人の私法上の契約による義務の履行のためになされるものであるときは、その権限を基本代理権として、右第三者との間の行為につき民法110条を適用し、表見代理の成立を認めることができる。

【参照条文】      民法110

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集25巻4号455頁

 

民法

(代理権授与の表示による表見代理等)

第百九条 第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、その責任を負う。ただし、第三者が、その他人が代理権を与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない。

2 第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間で行為をしたとすれば前項の規定によりその責任を負うべき場合において、その他人が第三者との間でその代理権の範囲外の行為をしたときは、第三者がその行為についてその他人の代理権があると信ずべき正当な理由があるときに限り、その行為についての責任を負う。

(権限外の行為の表見代理)

第百十条 前条第一項本文の規定は、代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときについて準用する。

 

鹿児島県出水市内の中学生自殺アンケート開示請求不開示決定取消しおよび文書の開示決定の義務付けを求めた事案。

 

鹿児島地方裁判所判決/平成26年(行ウ)第3号

平成27年12月15日

行政文書不開示決定取消等請求事件

【判示事項】 出水市内の中学校に通っていた原告の孫が自殺した事件に関し,同市教育委員会が組織した事故調査委員会が同中学校の全校生徒を対象に実施したアンケート調査について,原告が,同市教育委員会に対して,アンケートの回答用紙およびアンケートをまとめた文書の各写しの開示請求をしたが,全部不開示とする旨の決定を受けたため,その取消しおよび文書の開示決定の義務付けを求めた事案。

裁判所は,別紙請求文書目録2記載の公文書につき,不開示とした部分の取消および開示決定の義務付けを求める限度で請求を認めた。

【参照条文】 出水市情報公開条例7

       出水市情報公開条例8

【掲載誌】  判例時報2298号28頁

 

固定資産評価審査委員会が土地の登録価格の不服審査を口頭審理手続によって行う場合において審査申出人に対し評価の根拠等として知らせる措置を講ずべき事項の範囲


    固定資産税審査決定取消請求事件
【事件番号】    最高裁判所第1小法廷判決/昭和61年(行ツ)第138号
【判決日付】    平成2年1月18日
【判示事項】    一、固定資産評価審査委員会が土地の登録価格の不服審査を口頭審理手続によって行う場合において審査申出人に対し評価の根拠等として知らせる措置を講ずべき事項の範囲
          二、固定資産評価審査委員会が口頭審理を行う場合において口頭審理外での職権調査の結果を口頭審理に上程することの要否
【判決要旨】    一、固定資産評価審査委員会は、土地の登録価格の不服審査を口頭審理手続によって行う場合において、自ら又は市町村長を通じて、審査申出人が不服事由を特定して主張するために必要と認められる合理的な範囲で当該土地の評価の根拠等を知らせる措置を講ずべきであるが、審査申出人において他の土地の評価額と比較検討するため、他の状況類似地域における土地の評価額等を了知できるような措置を講ずることまでは要請されていない。
          二、固定資産評価審査委員会が口頭審理を行う場合において、口頭審理外で行った職権調査の結果を判断の基礎として採用し、審査の申出を棄却するときでも、右職権調査の結果を口頭審理に上程する手続を経ることは要しない。
【参照条文】    地方税法432-1
          地方税法433
【掲載誌】     最高裁判所民事判例集44巻1号253頁

地方税法
(固定資産課税台帳に登録された価格に関する審査の申出)
第四百三十二条 固定資産税の納税者は、その納付すべき当該年度の固定資産税に係る固定資産について固定資産課税台帳に登録された価格(第三百八十九条第一項、第四百十七条第二項又は第七百四十三条第一項若しくは第二項の規定によつて道府県知事又は総務大臣が決定し、又は修正し市町村長に通知したものを除く。)について不服がある場合においては、第四百十一条第二項の規定による公示の日から納税通知書の交付を受けた日後三月を経過する日まで若しくは第四百十九条第三項の規定による公示の日から同日後三月を経過する日(第四百二十条の更正に基づく納税通知書の交付を受けた者にあつては、当該納税通知書の交付を受けた日後三月を経過する日)までの間において、又は第四百十七条第一項の通知を受けた日から三月以内に、文書をもつて、固定資産評価審査委員会に審査の申出をすることができる。ただし、当該固定資産のうち第四百十一条第三項の規定によつて土地課税台帳等又は家屋課税台帳等に登録されたものとみなされる土地又は家屋の価格については、当該土地又は家屋について第三百四十九条第二項第一号に掲げる事情があるため同条同項ただし書、第三項ただし書又は第五項ただし書の規定の適用を受けるべきものであることを申し立てる場合を除いては、審査の申出をすることができない。
2 行政不服審査法第十条から第十二条まで、第十五条、第十八条第一項ただし書及び第三項、第十九条第二項(第三号及び第五号を除く。)及び第四項並びに第二十三条の規定は、前項の審査の申出の手続について準用する。この場合において、同法第十一条第二項中「第九条第一項の規定により指名された者(以下「審理員」という。)」とあるのは「地方税法第四百三十二条第一項の審査の申出を受けた固定資産評価審査委員会(以下「審査庁」という。)」と、同法第十九条第二項中「次に掲げる事項」とあるのは「次に掲げる事項その他条例で定める事項」と読み替えるものとする。
3 固定資産税の賦課についての審査請求においては、第一項の規定により審査を申し出ることができる事項についての不服を当該固定資産税の賦課についての不服の理由とすることができない。

(固定資産評価審査委員会の審査の決定の手続)
第四百三十三条 固定資産評価審査委員会は、前条第一項の審査の申出を受けた場合においては、直ちにその必要と認める調査その他事実審査を行い、その申出を受けた日から三十日以内に審査の決定をしなければならない。
2 不服の審理は、書面による。ただし、審査を申し出た者の求めがあつた場合には、固定資産評価審査委員会は、当該審査を申し出た者に口頭で意見を述べる機会を与えなければならない。
3 固定資産評価審査委員会は、審査のために必要がある場合においては、職権に基づいて、又は関係人の請求によつて審査を申し出た者及びその者の固定資産の評価に必要な資料を所持する者に対し、相当の期間を定めて、審査に関し必要な資料の提出を求めることができる。
4 固定資産評価審査委員会は、審査のために必要がある場合においては、固定資産評価員に対し、評価調書に関する事項についての説明を求めることができる。
5 審査を申し出た者は、市町村長に対し、当該申出に係る主張に理由があることを明らかにするために必要な事項について、相当の期間を定めて、書面で回答するよう、書面で照会をすることができる。ただし、その照会が次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。
一 具体的又は個別的でない照会
二 既にした照会と重複する照会
三 意見を求める照会
四 回答するために不相当な費用又は時間を要する照会
五 当該審査を申し出た者以外の者が所有者である固定資産に関する事項についての照会
6 固定資産評価審査委員会は、審査のために必要がある場合においては、第二項の規定にかかわらず、審査を申し出た者及び市町村長の出席を求めて、公開による口頭審理を行うことができる。
7 前項の口頭審理を行う場合には、固定資産評価審査委員会は、固定資産評価員その他の関係者の出席及び証言を求めることができる。
8 第六項の口頭審理の指揮は、審査長が行う。
9 固定資産評価審査委員会は、当該市町村の条例の定めるところによつて、審査の議事及び決定に関する記録を作成しなければならない。
10 固定資産評価審査委員会は、前項の記録を保存し、その定めるところによつて、これを関係者の閲覧に供しなければならない。
11 行政不服審査法第二十四条、第二十七条、第二十九条第一項本文、第二項及び第五項、第三十条第一項及び第三項、第三十二条、第三十四条から第三十七条まで、第三十八条(第六項を除く。)、第三十九条、第四十一条第一項及び第二項、同条第三項(審理手続を終結した旨の通知に関する部分に限る。)、第四十四条、第四十五条第一項及び第二項、第五十条第一項(審理員意見書並びに行政不服審査会等及び審議会等の答申書に関する部分を除く。)、第五十一条第一項から第三項まで並びに第五十三条の規定は、第一項の審査の決定について準用する。この場合において、これらの規定(同法第四十四条の規定を除く。)中「審理員」とあるのは「審査庁」と、同法第二十四条第一項中「審査庁」とあるのは「地方税法第四百三十二条第一項の審査の申出を受けた固定資産評価審査委員会(以下「審査庁」という。)」と、「次節に規定する審理手続」とあるのは「同法第四百三十三条に規定する審査の決定の手続」と、同法第二十九条第一項本文中「審査庁から指名されたときは、直ちに」とあるのは「審査の申出がされたときは、第二十四条の規定により当該審査の申出を却下する場合を除き、速やかに」と、同法第三十七条第一項及び第三項中「第三十一条から前条までに定める審理手続」とあるのは「地方税法第四百三十三条に規定する審査の決定の手続」と、同法第三十八条第一項中「第二十九条第四項各号に掲げる書面又は第三十二条第一項若しくは第二項若しくは第三十三条の規定により提出された書類その他の物件」とあるのは「第三十二条第一項若しくは第二項の規定により提出された書類その他の物件又は地方税法第四百三十三条第三項の規定によって提出させた資料」と、「当該書面若しくは当該書類の写し」とあるのは「当該書類若しくは当該資料の写し」と、同条第四項及び第五項中「政令」とあるのは「条例」と、同法第四十一条第二項第一号ホ中「第三十三条前段 書類その他の物件」とあるのは「地方税法第四百三十三条第三項 資料」と、同項第二号中「口頭意見陳述」とあるのは「地方税法第四百三十三条第二項ただし書に規定する口頭で意見を述べる機会」と、同法第四十四条中「行政不服審査会等から諮問に対する答申を受けたとき(前条第一項の規定による諮問を要しない場合(同項第二号又は第三号に該当する場合を除く。)にあっては審理員意見書が提出されたとき、同項第二号又は第三号に該当する場合にあっては同項第二号又は第三号に規定する議を経たとき)」とあるのは「審理手続を終結したとき」と、同法第五十三条中「第三十三条の規定による提出要求に応じて提出された書類その他の物件」とあるのは「地方税法第四百三十三条第三項の規定によって提出させた資料」と読み替えるものとする。
12 固定資産評価審査委員会は、第一項の規定による決定をした場合においては、その決定のあつた日から十日以内に、これを審査を申し出た者及び市町村長に文書をもつて通知しなければならない。この場合において同項の期限までに決定がないときは、その審査の申出を却下する旨の決定があつたものとみなすことができる。

 

ジュリスト 2024年2月号(No.1593) 【特集】GDPRをめぐる動き

 

2024年01月25日 発売

定価 1,7

 

有斐閣

 

GDPR(EU一般データ保護規則)が施行されてから5年が経過しました。EU国内のみならず,国外の企業にも大きな影響を与えている同規則はこの間どのような役割を果たしてきたのでしょうか。本特集では,GDPR施行後生じている個人情報保護法制に関する国内外の動向を解説し,データの保護と利活用に向けた展望を示します。

 

【特集】GDPRをめぐる動き

◇GDPRの執行状況とEDPBの活動状況――GDPRの施行から5年の軌跡…岡田 淳……14

 

◇欧州司法裁2023年7月4日判決の検討――ドイツカルテル庁のデータ収集制限命令を認めた事例…市川芳治……20

 

◇日EU第二次十分性認定・韓EU十分性認定…寺田麻佑/孫 亨燮……26

 

◇欧米データ・プライバシー・フレームワーク…斉藤邦史……34

 

◇GDPRとEUのデジタル政策…小向太郎……40

 

コメント

eU司法裁判所ん0判例については、理由と結論を示して欲しかった。

 

 

交差点において追抜態勢にある自動車運転手の並進車に対する注意義務の範囲

 

 

損害賠償請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/昭和42年(オ)第1438号

【判決日付】      昭和43年9月24日

【判示事項】      交差点において追抜態勢にある自動車運転手の並進車に対する注意義務の範囲

【判決要旨】      交差点において追抜態勢にある自動車運転手は、特別の事情のないかぎり、並進車が交通法規に違反して進路を変えて、突然自車の進路に進寄つてくることまでも予想して、それによつて生ずる事故の発生を未然に防止するため徐行その他避譲措置をとるぺき業務上の注意義務はないものと解するのが相当である。

【参照条文】      民法709

【掲載誌】        最高裁判所裁判集民事92号369頁

             判例タイムズ228号112頁

             判例時報539号40頁

 

民法

(不法行為による損害賠償)

第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

 

マンションの特定の専有部分からの汚水が流れる排水管の枝管が共用部分に当たるとされた事例

 

 

              建物共用部分確認等請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/平成9年(オ)第1927号

【判決日付】      平成12年3月21日

【判示事項】      マンションの特定の専有部分からの汚水が流れる排水管の枝管が共用部分に当たるとされた事例

【判決要旨】      マンションの専有部分である甲室の床下コンクリートスラブと階下にある乙室の天井板との間の空間に配された排水管の枝管を通じて甲室の汚水が本管に流される構造となっている場合において、甲室から右枝管の点検、修理を行うことは不可能であり、乙室からその天井裏に入ってこれを実施するほか方法はないなど判示の事実関係の下においては、右枝管は、建物の区分所有等に関する法律二条四項にいう「専有部分に属しない建物の附属物」であり、区分所有者全員の共有部分に当たる。

【参照条文】      建物の区分所有者等に関する法律2-4

             建物の区分所有者等に関する法律11-1

【掲載誌】        最高裁判所裁判集民事197号703頁

             裁判所時報1264号197頁

             判例タイムズ1038号179頁

             判例時報1715号20頁

 

建物の区分所有等に関する法律

(定義)

第二条 この法律において「区分所有権」とは、前条に規定する建物の部分(第四条第二項の規定により共用部分とされたものを除く。)を目的とする所有権をいう。

2 この法律において「区分所有者」とは、区分所有権を有する者をいう。

3 この法律において「専有部分」とは、区分所有権の目的たる建物の部分をいう。

4 この法律において「共用部分」とは、専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の附属物及び第四条第二項の規定により共用部分とされた附属の建物をいう。

5 この法律において「建物の敷地」とは、建物が所在する土地及び第五条第一項の規定により建物の敷地とされた土地をいう。

6 この法律において「敷地利用権」とは、専有部分を所有するための建物の敷地に関する権利をいう。

 

(共用部分の共有関係)

第十一条 共用部分は、区分所有者全員の共有に属する。ただし、一部共用部分は、これを共用すべき区分所有者の共有に属する。

2 前項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。ただし、第二十七条第一項の場合を除いて、区分所有者以外の者を共用部分の所有者と定めることはできない。

3 民法第百七十七条の規定は、共用部分には適用しない。

 

 

みなす譲渡課税における時価の算定に当たり、公示価格を相続税財産評価基準の路線価で除して得られる「公示価格比準倍率」を用いて算定することの合理性の有無(原審判決引用)

 

 

所得税更正処分取消請求控訴事件

【事件番号】      東京高等裁判所判決/平成3年(行コ)第42号

【判決日付】      平成3年11月21日

【判示事項】      (1) みなす譲渡課税における時価の算定に当たり、公示価格を相続税財産評価基準の路線価で除して得られる「公示価格比準倍率」を用いて算定することの合理性の有無(原審判決引用)

             (2) 本家土地は標準地よりも地理的環境が悪いから、公示価格比準倍率を標準地のうち比準倍率の低い数値を基本として算定すべきであるとの納税者の主張が、公示価格及び相続税路線価はそれを決定するに当たって地理的環境等をも考慮していることは公知の事実であるとして、排斥された事例(原審判決引用)

             (3) みなす譲渡所得金額の算定に当たり、譲渡した土地の一部には、納税者の借地権が設定されていたので、借地権の価額を控除した時価を算定すべきであるとの納税者の主張が、そのような事実はないとして排斥された事例(原審判決引用)

             (4) 公示価格比準倍率は地理的環境の良い物件ほどその倍率が高くなる傾向にあるから、本件土地の時価の算定に当たっては、各標準地の比準倍率の平均値を用いるべきではなく、標準地のうち、本件土地の地理的環境に近い土地の比準倍率を基本とすべきであるとの納税者の主張が、公示価格のみならず路線価もそれぞれの地域の個別的要因を考慮していることから、地理的条件の差異によって倍率が異なるとは断定できないとして、排斥された事例

【判決要旨】      (1) みなす譲渡課税の時価算定について被告税務署長の行った時価認定方法は、譲渡物件の所在する江戸川区平井地域内の全ての地価公示標準地四か所を対象として比準倍率の平均値を算出するというものであるところ、その数値は、右地域内の標準的な比準倍率と考えることができるから、これに基づいて本件土地の時価を算定する方法は一応の合理性を有するものであり、これによって算定された価額は特段の事情がない限り本件土地の時価を上回ることはない。

             (2)~(4) 省略【掲載誌】               税務訴訟資料187号157頁

 

所得税法59条

(贈与等の場合の譲渡所得等の特例)

第五十九条 次に掲げる事由により居住者の有する山林(事業所得の基因となるものを除く。)又は譲渡所得の基因となる資産の移転があつた場合には、その者の山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、その事由が生じた時に、その時における価額に相当する金額により、これらの資産の譲渡があつたものとみなす。

一 贈与(法人に対するものに限る。)又は相続(限定承認に係るものに限る。)若しくは遺贈(法人に対するもの及び個人に対する包括遺贈のうち限定承認に係るものに限る。)

二 著しく低い価額の対価として政令で定める額による譲渡(法人に対するものに限る。)

2 居住者が前項に規定する資産を個人に対し同項第二号に規定する対価の額により譲渡した場合において、当該対価の額が当該資産の譲渡に係る山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算上控除する必要経費又は取得費及び譲渡に要した費用の額の合計額に満たないときは、その不足額は、その山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算上、なかつたものとみなす。

 

所得税法施行令169

(時価による譲渡とみなす低額譲渡の範囲)

第百六十九条 法第五十九条第一項第二号(贈与等の場合の譲渡所得等の特例)に規定する政令で定める額は、同項に規定する山林又は譲渡所得の基因となる資産の譲渡の時における価額の二分の一に満たない金額とする。

 

 

第9 遺留分制度の見直し

1,改正前

遺留分請求

遺留分とは

遺留分とは、一定の範囲の法定相続人に最低限保証された遺産に対する権利です。

 

改正前は、遺留分減殺請求権は、行使すると当然に効力が生じました。つまり、遺留分減殺請求権を行使された受遺者または受贈者(以下、「受遺者等」といいます)は、遺留分権利者に対して、遺留分侵害価額弁償ができない場合には、 対象財産について、現物の返還をもとめ、その結果、遺留分割合にもとづく共有関係の発生の問題が生じました。

 

共有となると、財産の管理が複雑になります。

なぜなら、遺言等によって財産を相続した子と遺留分を請求した子の共有となるため、売却、賃貸、リフォームなど、共有者全員の同意等が必要な場面が多々出てくるためです。

 

 

「遺留分減殺請求」から「遺留分侵害額請求」へ

相続人が自身の遺留分を侵害されたときに、遺留分の権利行使することを「遺留分減殺請求」といい、従来の相続法では、この権利行使は目的物の返還請求とされていたため、権利行使されると遺留分権利者と受遺者で目的物が共有状態となり、様々な問題が生じていました。

 

例えば、事業承継のために会社で必要な不動産と株式を後継者に相続させるような場合に、そうした不動産や株式が他の相続人と共有状態となれば、事業承継を円滑に行うことができません。

 

2,改正法

遺留分請求の取り扱いが変わる(改正法第1042~1049条)

遺留分制度について、改正相続法では主に以下2点のポイントが改正されました。

⑴ 遺留分を侵害された者は,遺贈や贈与を受けた者に対し,遺留分侵害額に相当する金銭の請求をすることができるようになります。

⑵ 遺贈や贈与を受けた者が金銭を直ちに準備することができない場合には,裁判所に対し,支払期限の猶予を求めることができます。

 

3,遺留分減殺請求によって生ずる権利は金銭債権となる。

 

改正相続法では、遺留分権利者が行使できるのは、受遺者(受贈者)へ対する金銭の支払請求としたため、目的物が共有になるというような問題は生じなくなりました。

 

請求権の内容に合わせて呼称も「遺留分減殺請求」から「遺留分侵害額請求」へ変更されました。

 

4,遺留分の算定方法が明確に

生前贈与には期限がある

改正前は、相続人に対する生前贈与の期間は無制限に参入されましたが、改正後は相続開始前10年以内に限定されます。

 

改正前は10年以上前に贈与した財産も対象財産となってしまいましたが、改正により10年以内と制限され、10年超の生前贈与は対象になりません。

 

遺留分について相続トラブルや裁判になる場合、過去に行われた贈与(特別受益)を遺留分の算定にどこまで含めるかが争点になることが多かったため、10年で区切ることで請求できる(される)額が予測でき、かつ明確になったことで早期解決の一因になると考えられています。

 

5,施行日

上記の規定は、原則にのっとり、2019年7月1日法改正後に生じた相続から適用されます。

 

危険度3レベルの病原体等を用いた実験施設における病原体等の保管、実験等によって、生命、身体、健康等に対する具体的な危険が生じているとはいえず、単に抽象的、一般的な危険性が存するにとどまることから、受忍限度の範囲内にあるとして、近隣住民等からの人格権に基づく前記保管、実験等の差止請求が棄却された事例

東京高等裁判所判決/平成13年(ネ)第2435号

平成15年9月29日

各実験等差止請求控訴事件

国立感染症研究所・東京都新宿区戸山1丁目23番地所在の厚生労働省戸山研究庁舎(戸山庁舎)事件

【判示事項】    危険度3レベルの病原体等を用いた実験施設における病原体等の保管、実験等によって、生命、身体、健康等に対する具体的な危険が生じているとはいえず、単に抽象的、一般的な危険性が存するにとどまることから、受忍限度の範囲内にあるとして、近隣住民等からの人格権に基づく前記保管、実験等の差止請求が棄却された事例

【参照条文】    民法709

【掲載誌】     訟務月報51巻5号1154頁

 

民法

(不法行為による損害賠償)

第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。