登記申請の権限と民法110条の表見代理における基本代理権 約束手形金請求事件 最高裁 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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登記申請の権限と民法110条の表見代理における基本代理権

 

 

              約束手形金請求事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/昭和45年(オ)第305号

【判決日付】      昭和46年6月3日

【判示事項】      登記申請の権限と民法110条の表見代理における基本代理権

【判決要旨】      本人から登記申請を委任されてこれに必要な権限を与えられた者が右権限をこえて第三者と取引行為をした場合において、その登記申請が本人の私法上の契約による義務の履行のためになされるものであるときは、その権限を基本代理権として、右第三者との間の行為につき民法110条を適用し、表見代理の成立を認めることができる。

【参照条文】      民法110

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集25巻4号455頁

 

民法

(代理権授与の表示による表見代理等)

第百九条 第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、その責任を負う。ただし、第三者が、その他人が代理権を与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない。

2 第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間で行為をしたとすれば前項の規定によりその責任を負うべき場合において、その他人が第三者との間でその代理権の範囲外の行為をしたときは、第三者がその行為についてその他人の代理権があると信ずべき正当な理由があるときに限り、その行為についての責任を負う。

(権限外の行為の表見代理)

第百十条 前条第一項本文の規定は、代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときについて準用する。