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法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

役に立つ裁判例の紹介、法律の本の書評です。弁護士経験32年。第二東京弁護士会所属21770

第13 改正相続法の施行日

1,改正法適用の判断基準の大原則「相続開始時点でみる」

相続法施行時期

相続法改正については、原則的な法律の施行日を2019(令和元)年7月1日と指定しています。

 

そのため、まず大原則としての考え方は、相続法改正(2019年7月1日)以前に開始した相続は、旧法が適用され、改正前(6月30日まで)は旧法で対応します。

 

附則第2条

この法律の施行の日(以下「施行日」という。)前に開始した相続については、この附則に特別の定めがある場合を除き、なお従前の例による。”

 

そのため、発生した相続が2019(令和元)年7月1日以前か、それとも以後に相続なのかというように、まずは、判断することが必要です。しかし、その例外として、施行日以前の相続や遺言についても改正法が適用すべき規定があります。

 

自筆証書遺言の「方式の緩和」と「保管制度の創設」の施行日にタイムラグがあることから、2019年1月13日以降に緩和された方式で自筆証書遺言を作成しても、自筆証書遺言の保管制度を利用できるのは、2020年7月10日以降になるため注意が必要です。

 

2,改正相続法の施行時期を見極めるポイント

改正法の適用については、法律にその例外規定があり、その例外規定がどの部分に適用されるのかを理解する必要があり、その理解のポイントがあります。

 

(1)取引の円滑化が求められる規定

取引に関する手続については、取引の円滑化を重視し、2019年7月1日以降に行われる場合には、改正前の相続においても、改正後の法律が適用されます。

 

(2)本人(被相続人)の意思を重視する規定

2019年7月1日法改正後の相続であったとしても、遺言、贈与など本人の意思を重視するものについては、法改正後に当該遺言等を作成しなければ、改正法の適用されません。

 

3,まとめ

改正法適用の判断基準の大原則は相続開始時点でみる。

本人(被相続人)の意思を重視する規定は、遺言、贈与などの作成時期は法改正後であることが求められている

取引の円滑を重視する規定は、法改正以前の相続についても改正法を適用する

改正法か、旧法、どちらの適用があるのかということをちゃんとみておかないと、思いもよらず、法律の適用がないという事態が発生しかねません。

 

 

マンション駐車場の専用使用権分譲の対価が分譲業者に帰属すべきものとされた事例

 

 

駐車場専用使用権分譲代金返還請求事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/平成8年(オ)第1559号

【判決日付】      平成10年10月22日

【判示事項】      マンション駐車場の専用使用権分譲の対価が分譲業者に帰属すべきものとされた事例

【判決要旨】      マンション分業業者が、マンションの分譲に伴い、区分所有者の共有となるべきマンション敷地の一部に駐車場を設け、マンション購入者のうち駐車場の使用を希望する者に対して右駐車場の専用使用権を分譲し、その対価を受領した場合において、分譲業者が営利の目的に基づき自己の利益のために専用使用権を分譲したものであり、専用使用権の分譲を受けた区分所有者もこれと同様の認識を有していたなど判示の事情の下においては、分譲業者が区分所有者全員の委任に基づきその受任者として専用使用権の分譲を行った等と解することはできず、右対価は、専用使用権分譲契約における合意の内容に従って分譲業者に帰属すべきものである。(補足意見がある。)

【参照条文】      建物の区分所有等に関する法律第1章第2節

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集52巻7号1555頁

ピンクレディー事件
【パブリシティ権】
最高裁判平成24年2月2日民集66巻2号89頁
1 人の氏名,肖像等を無断で使用する行為は,①氏名,肖像等それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等として使用し,②商品等の差別化を図る目的で氏名,肖像等を商品等に付し,③氏名,肖像等を商品等の広告として使用するなど,専ら氏名,肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とするといえる場合に,当該顧客吸引力を排他的に利用する権利(いわゆるパブリシティ権)を侵害するものとして,不法行為法上違法となる。
2 歌手を被写体とする写真を同人に無断で週刊誌の記事に使用してこれを掲載する行為は,次の(1),(2)など判示の事実関係の下においては,専ら上記歌手の肖像の有する顧客吸引力の利用を目的とするものとはいえず,当該顧客吸引力を排他的に利用する権利(いわゆるパブリシティ権)を侵害するものとして不法行為法上違法であるということはできない。
(1) 上記記事の内容は,上記週刊誌発行の前年秋頃流行していた,上記歌手の曲の振り付けを利用したダイエット法を解説するとともに,子供の頃に上記歌手の曲の振り付けをまねていたタレントの思い出等を紹介するというものである。
(2) 上記写真は,約200頁の上記週刊誌全体の3頁の中で使用されたにすぎず,いずれも白黒写真であって,その大きさも,縦2.8cm,横3.6cmないし縦8cm,横10cm程度のものであった。
 

公正証書が無権代理人の嘱託に基き作成された場合と請求異議の訴

 

 

              請求異議事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/昭和30年(オ)第230号

【判決日付】      昭和32年6月6日

【判示事項】      1、公正証書が無権代理人の嘱託に基き作成された場合と請求異議の訴

             2、無権代理人の嘱託に基き公正証書が作成された場合と民法第110条の準用の有無

【判決要旨】      1、公正証書が無権代理人の嘱託に基き作成された無効のものであるときは、債務者は、請求異議の訴を提起することができる。

             2、無権代理人の嘱託に基き公正証書が作成された場合については、民法第110条の準用はない。

【参照条文】      民事訴訟法545

             民事訴訟法559

             民事訴訟法560

             民事訴訟法522

             民法110

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集11巻7号1177頁

 

民法

(代理権授与の表示による表見代理等)

第百九条 第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、その責任を負う。ただし、第三者が、その他人が代理権を与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない。

2 第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間で行為をしたとすれば前項の規定によりその責任を負うべき場合において、その他人が第三者との間でその代理権の範囲外の行為をしたときは、第三者がその行為についてその他人の代理権があると信ずべき正当な理由があるときに限り、その行為についての責任を負う。

(権限外の行為の表見代理)

第百十条 前条第一項本文の規定は、代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときについて準用する。

 

民事執行法

(請求異議の訴え)

第三十五条 債務名義(第二十二条第二号又は第三号の二から第四号までに掲げる債務名義で確定前のものを除く。以下この項において同じ。)に係る請求権の存在又は内容について異議のある債務者は、その債務名義による強制執行の不許を求めるために、請求異議の訴えを提起することができる。裁判以外の債務名義の成立について異議のある債務者も、同様とする。

2 確定判決についての異議の事由は、口頭弁論の終結後に生じたものに限る。

3 第三十三条第二項及び前条第二項の規定は、第一項の訴えについて準用する。

 

第11 相続債権者の立場を明確に

従来から、判例の見解により、債権者は遺言や遺産分割協議で決められた相続の割合に縛られないとされていましたが、改正相続法では、そのような見解を明文化するべく、「相続分の指定がされた場合の債権者の立場について」以下のような規定が設けられました。

1)債権者は指定された相続分に縛られることなく、各相続人に法定相続分に応じて請求できる

2)ただし、その債権者が指定された相続分に応じた債務の承継を承認したときは、この限りではない。

 

 

 

第12 特別寄与料の請求(改正法1050条)

1,改正前

従来の相続法でも「寄与分制度」はありましたが、寄与分が主張できるのは、相続人に限られているため、亡くなった人の療養看護等をした人が相続人でなければ、報われないケースがありました。

 

例えば、長男の妻が、長男の父親(義父)を介護しているようなケースです。

 

このような場合、長男の妻は相続人ではないため、義父が亡くなって相続が発生しても、療養看護等の貢献を相続分に反映させる仕組みがなく、相続分配が不公平な結果となることもありました。

・被相続人が死亡した場合,相続人(長女・次男)は,被相続人の介護を全く行っていなかったとしても,相続財産を取得することができる。

・他方,長男の妻は,どんなに被相続人の介護に尽くしても,相続人ではないため,被相続人の死亡に際し,相続財産の分配にあずかれない。

 

2,相続人以外の者の貢献を反映

改正相続法では、被相続人の相続人以外の親族が、無償で療養看護等をしたことにより、被相続人の財産の維持または増加があった場合、相続人に対して「特別寄与料」として金銭の支払いを請求できるようになりました。

 

配偶者の妻など、相続人以外が介護を行っていた場合でも、その貢献に応じた寄与分を請求することができる(特別の寄与・改正法第1050条)

 

特別寄与料の請求

被相続人の親族(特別寄与者:相続人以外)が、無償で療養看護(介護)等を行っていた場合には、特別寄与料を相続人に対して支払請求がすることができるようになる規定が新設されました。

 

改正前は、相続人でない、相続人の配偶者はいくら貢献していても財産を相続できなかったのですが、改正後は特別寄与料として相続人に対して寄与料を請求することができます。

 

遺産分割の手続が過度に複雑にならないように,遺産分割は,現行法と同様,相続人だけで行うこととしつつ,相続人に対する金銭請求を認めることとしたもの。

 

3,施行日

この特別寄与の規定は原則にのっとり、2019年7月1日法改正後に生じた相続から適用されます。

つまり、療養看護等は2019年7月1日法改正以前に行われた場合でも、法改正後に相続が開始された場合には、特別寄与料の請求を行うことができます。

 

マンション駐車場の専用使用権分譲の対価が分譲業者に帰属すべきものとされた事例


    駐車場専用使用権分譲代金返還等請求、同当事者参加事件
【事件番号】    最高裁判所第2小法廷判決/平成8年(オ)第1881号
【判決日付】    平成10年10月30日
【判示事項】    マンション駐車場の専用使用権分譲の対価が分譲業者に帰属すべきものとされた事例
【判決要旨】    マンション分譲業者が、マンションの分譲に伴い、区分所有者の共有となるべき建物1階部分及び敷地の各一部に駐車場を設け、マンション購入者のうち駐車場の使用を希望する者に対して右駐車場の専有使用権を分譲し、その対価を受領した場合において、分譲業者が営利の目的に基づき自己の利益のために専用使用権を分譲したものであり、専用使用権の分譲を受けた区分所有者もこれと同様の認識を有していたなど判示の事情の下においては、分譲業者が区分所有者全員の委任に基づきその受任者として専用使用権の分譲を行った等と解することはできず、右対価は、専用使用権分譲契約における合意の内容に従って分譲業者に帰属するべきものである。
【参照条文】    建物の区分所有等に関する法律第1章2節
【掲載誌】     最高裁判所裁判集民事190号89頁
          判例タイムズ991号125頁
          判例時報1663号90頁
 

民法上の組合員の手形責任

 

 

為替手形金請求事件

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷判決/昭和50年(オ)第319号

【判決日付】      昭和50年7月14日

【判示事項】      民法上の組合員の手形責任

【判決要旨】      ばらの店協同組合が民法上の組合であるとき、為替手形の引受欄に「ばらの店協同組合理事長甲」と記名し、その名下に同理事長の押印がなされている場合には、甲は右組合の全組合員を代理して右引受をしたものと認めるのが相当である。

【参照条文】      民法668

             民法674

             民法675

             手形法28

【掲載誌】        金融・商事判例472号2頁

【評釈論文】      金融・商事判例491号2頁

             法律のひろば29巻4号70頁

 

民法

組合財産の共有)

第六百六十八条 各組合員の出資その他の組合財産は、総組合員の共有に属する。

 

(業務の決定及び執行の方法)

第六百七十条 組合の業務は、組合員の過半数をもって決定し、各組合員がこれを執行する。

2 組合の業務の決定及び執行は、組合契約の定めるところにより、一人又は数人の組合員又は第三者に委任することができる。

3 前項の委任を受けた者(以下「業務執行者」という。)は、組合の業務を決定し、これを執行する。この場合において、業務執行者が数人あるときは、組合の業務は、業務執行者の過半数をもって決定し、各業務執行者がこれを執行する。

4 前項の規定にかかわらず、組合の業務については、総組合員の同意によって決定し、又は総組合員が執行することを妨げない。

5 組合の常務は、前各項の規定にかかわらず、各組合員又は各業務執行者が単独で行うことができる。ただし、その完了前に他の組合員又は業務執行者が異議を述べたときは、この限りでない。

 

(組合員の損益分配の割合)

第六百七十四条 当事者が損益分配の割合を定めなかったときは、その割合は、各組合員の出資の価額に応じて定める。

2 利益又は損失についてのみ分配の割合を定めたときは、その割合は、利益及び損失に共通であるものと推定する。

(組合の債権者の権利の行使)

第六百七十五条 組合の債権者は、組合財産についてその権利を行使することができる。

2 組合の債権者は、その選択に従い、各組合員に対して損失分担の割合又は等しい割合でその権利を行使することができる。ただし、組合の債権者がその債権の発生の時に各組合員の損失分担の割合を知っていたときは、その割合による。

 

手形法

第七十八条 約束手形ノ振出人ハ為替手形ノ引受人ト同一ノ義務ヲ負フ

② 一覧後定期払ノ約束手形ハ第二十三条ニ規定スル期間内ニ振出人ノ一覧ノ為之ヲ呈示スルコトヲ要ス一覧後ノ期間ハ振出人ガ手形ニ一覧ノ旨ヲ記載シテ署名シタル日ヨリ進行ス振出人ガ日附アル一覧ノ旨ノ記載ヲ拒ミタルトキハ拒絶証書ニ依リテ之ヲ証スルコトヲ要ス(第二十五条)其ノ日附ハ一覧後ノ期間ノ初日トス

 

原告は,被告税務署長が所得税についてした更正のうち,申告額を超える部分及び過少申告加算税の賦課決定の各取消しを求めている訴えにおいて,株式の譲渡等に係る譲渡収入金額の認定に誤りがあると主張した。判決は,取引相場のない株式については,会社の純資産がその主要な価格の形成要因であることからすれば、純資産価額方式によることが合理的であるとして,処分を適法と認めた。

 

 

所得税更正処分取消請求事件

【事件番号】      東京地方裁判所/平成9年(行ウ)第226号、平成10年(行ウ)第122号

【判決日付】      平成11年11月30日

【判示事項】      原告は,被告税務署長が所得税についてした更正のうち,申告額を超える部分及び過少申告加算税の賦課決定の各取消しを求めている訴えにおいて,株式の譲渡等に係る譲渡収入金額の認定に誤りがあると主張した。判決は,取引相場のない株式については,会社の純資産がその主要な価格の形成要因であることからすれば、純資産価額方式によることが合理的であるとして,処分を適法と認めた。

【判決要旨】      (1) 所得税法三六条一項、二項は、その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額は、権利をもって収入する場合には、当該権利を取得する時における当該権利の「価額」と定め、さらに同法五九条一項二号は、法人に対し、著しく低い価額の対価として政令で定める額により譲渡所得の基因となる資産の移転があった場合には、譲渡所得の金額の計算については、その自由が生じた時に、その時における「価額」に相当する金額により、これらの資産の譲渡があったものとみなす旨を定めているところ、右にいう「価額」とは、当該資産等の客観的交換価値を指すものと解すべきであり、いわゆる市場価格をいうものと解するのが相当である。取引相場のない株式については、そもそもそれが自由な取引市場に投入されていないため、自由な取引を前提とする客観的交換価値の把握は極めて困難であって、でき得る限り合理的な方法によってこれを推認するほかはない。

             (2) 取引相場のない株式の価額の算定に課税実務上用いられている所得税基本通達二三~三五共-九に定める評価方法は、①最近において売買の行われたもののうち適正と認められる価額の売買実例がある場合にはその価額によることとしている②適正な売買実例がない場合でも、評価の対象となる法人と事業の種類、規模、収益の状況等が類似する法人の株式の価額があるときには、その価額に比準して推定した価額を時価とする類似法人比準方式を認めており、この評価方法自由な取引を前提とする客観的交換価値により近似する評価を得ることが可能であること③さらに、右のいずれの方法も採り得ない場合の算定方式として、純資産価額方式を定めており、この評価方式は、会社資産に対する割合的持分という株式の基本的性格とも調和するものであり、会社の経営に対して支配的地位を有する株主の保有する株式の評価方法であることから合理性を有する。

             (3) 所得税の収入金額の計算において、取引相場のない株式を類似法人の株式の価額に比準して評価対象法人の価額を推認することが合理的であるのは、右の各法人間に、事業の種類、規模、収益の状況等株式の価額を形成する主要な要因についての類似性が存するとの前提があるからであり、右のような前提を満たす類似法人が存在しない場合には、他の法人の株式の価額との比準を行っても、当該法人の株式の価額について、意味のある推定結果を得ることは困難であるというべきである。そして、売買実例がなく、右のような類似法人も存在しない場合においては、株式が会社資産に対する割合的持分であり、株式の流通価格が市場において決定される場合についての当該会社の純資産がその主要な価格の形成要因であることからすれば、純資産価額方式によることが合理的であると解すべきである。

             (4)~(6) 省略

【掲載誌】        税務訴訟資料245号576頁

             LLI/DB 判例秘書登載

 

所得税法

(収入金額)

第三十六条 その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その年において収入すべき金額(金銭以外の物又は権利その他経済的な利益をもつて収入する場合には、その金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額)とする。

2 前項の金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額は、当該物若しくは権利を取得し、又は当該利益を享受する時における価額とする。

3 無記名の公社債の利子、無記名の株式(無記名の公募公社債等運用投資信託以外の公社債等運用投資信託の受益証券及び無記名の社債的受益権に係る受益証券を含む。第百六十九条第二号(分離課税に係る所得税の課税標準)、第二百二十四条第一項及び第二項(利子、配当等の受領者の告知)並びに第二百二十五条第一項及び第二項(支払調書及び支払通知書)において「無記名株式等」という。)の剰余金の配当(第二十四条第一項(配当所得)に規定する剰余金の配当をいう。)又は無記名の貸付信託、投資信託若しくは特定受益証券発行信託の受益証券に係る収益の分配については、その年分の利子所得の金額又は配当所得の金額の計算上収入金額とすべき金額は、第一項の規定にかかわらず、その年において支払を受けた金額とする。

(必要経費)

第三十七条 その年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は雑所得の金額(事業所得の金額及び雑所得の金額のうち山林の伐採又は譲渡に係るもの並びに雑所得の金額のうち第三十五条第三項(公的年金等の定義)に規定する公的年金等に係るものを除く。)の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、これらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)の額とする。

2 山林につきその年分の事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その山林の植林費、取得に要した費用、管理費、伐採費その他その山林の育成又は譲渡に要した費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)の額とする。

(譲渡所得の金額の計算上控除する取得費)

第三十八条 譲渡所得の金額の計算上控除する資産の取得費は、別段の定めがあるものを除き、その資産の取得に要した金額並びに設備費及び改良費の額の合計額とする。

2 譲渡所得の基因となる資産が家屋その他使用又は期間の経過により減価する資産である場合には、前項に規定する資産の取得費は、同項に規定する合計額に相当する金額から、その取得の日から譲渡の日までの期間のうち次の各号に掲げる期間の区分に応じ当該各号に掲げる金額の合計額を控除した金額とする。

一 その資産が不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務の用に供されていた期間 第四十九条第一項(減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法)の規定により当該期間内の日の属する各年分の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入されるその資産の償却費の額の累積額

二 前号に掲げる期間以外の期間 第四十九条第一項の規定に準じて政令で定めるところにより計算したその資産の当該期間に係る減価の額

 

(贈与等の場合の譲渡所得等の特例)

第五十九条 次に掲げる事由により居住者の有する山林(事業所得の基因となるものを除く。)又は譲渡所得の基因となる資産の移転があつた場合には、その者の山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、その事由が生じた時に、その時における価額に相当する金額により、これらの資産の譲渡があつたものとみなす。

一 贈与(法人に対するものに限る。)又は相続(限定承認に係るものに限る。)若しくは遺贈(法人に対するもの及び個人に対する包括遺贈のうち限定承認に係るものに限る。)

二 著しく低い価額の対価として政令で定める額による譲渡(法人に対するものに限る。)

2 居住者が前項に規定する資産を個人に対し同項第二号に規定する対価の額により譲渡した場合において、当該対価の額が当該資産の譲渡に係る山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算上控除する必要経費又は取得費及び譲渡に要した費用の額の合計額に満たないときは、その不足額は、その山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算上、なかつたものとみなす。

 

 

保険募集の取締に関する法律2条5項にいう「募集文書図画」の意義

 

福岡高宮崎支判昭和27年10月24日高等裁判所刑事判例集5巻13号2370頁 

保険募集の取締に関する法律違反被告事件

【判決要旨】 保険募集の取締に関する法律2条5項にいう「募集文書図画」とは、募集のためまたは募集を容易ならしめるために募集の相手方を対象として作成使用せられた文書図画を指称し、保険募集人に対する保険募集の教育用教材として作成使用されたものは含まない。

【参照条文】 保険募集の取締に関する法律2-5 、15-2、22

 

保険業法は、1939(昭和14)年に制定されたのち、1995(平成7)年に全面的に改正されて、保険事業が健全かつ適正に運営されることにより、保険契約者等の保護を図ることを目的として施行された。改正により、「保険募集の取締に関する法律」(略称は、募取法)、「外国保険事業者に関する法律」は廃止され、保険業法の規定として一本化された。

保険業法の保険募集の監督面のうち、不公正・不当な募集行為の禁止の解釈にあたって参考となる。

 

夜間無灯火で自車の進行車線を逆行してきた対向車と正面衝突した事故につき自動車運転者の過失が否定された事例

 

 

業務上過失致死被告事件

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷判決/平成3年(あ)第491号

【判決日付】      平成4年7月10日

【判示事項】      夜間無灯火で自車の進行車線を逆行してきた対向車と正面衝突した事故につき自動車運転者の過失が否定された事例

【判決要旨】      夜間、無灯火で、自車の進行車線を逆行して来た対向車と正面衝突した事故につき、右対向車が前照灯を点灯して進行中の被告人車に気付いた様子もなく、右のような異常な走行をしているなどの判示事情の下では、前方を注視し、視認可能地点で直ちに対向車を発見しこれを注視していたとしても、同車のその後の進路の予測が可能となり、被告人において右事故を回避できたとはいえないから、被告人に前方不注視の過失があったとはいえない。

【参照条文】      刑法211前段

【掲載誌】        最高裁判所裁判集刑事260号311頁

 

刑法

(業務上過失致死傷等)

第二百十一条 業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。