公正証書が無権代理人の嘱託に基き作成された場合と請求異議の訴
請求異議事件
【事件番号】 最高裁判所第1小法廷判決/昭和30年(オ)第230号
【判決日付】 昭和32年6月6日
【判示事項】 1、公正証書が無権代理人の嘱託に基き作成された場合と請求異議の訴
2、無権代理人の嘱託に基き公正証書が作成された場合と民法第110条の準用の有無
【判決要旨】 1、公正証書が無権代理人の嘱託に基き作成された無効のものであるときは、債務者は、請求異議の訴を提起することができる。
2、無権代理人の嘱託に基き公正証書が作成された場合については、民法第110条の準用はない。
【参照条文】 民事訴訟法545
民事訴訟法559
民事訴訟法560
民事訴訟法522
民法110
【掲載誌】 最高裁判所民事判例集11巻7号1177頁
民法
(代理権授与の表示による表見代理等)
第百九条 第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、その責任を負う。ただし、第三者が、その他人が代理権を与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない。
2 第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間で行為をしたとすれば前項の規定によりその責任を負うべき場合において、その他人が第三者との間でその代理権の範囲外の行為をしたときは、第三者がその行為についてその他人の代理権があると信ずべき正当な理由があるときに限り、その行為についての責任を負う。
(権限外の行為の表見代理)
第百十条 前条第一項本文の規定は、代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときについて準用する。
民事執行法
(請求異議の訴え)
第三十五条 債務名義(第二十二条第二号又は第三号の二から第四号までに掲げる債務名義で確定前のものを除く。以下この項において同じ。)に係る請求権の存在又は内容について異議のある債務者は、その債務名義による強制執行の不許を求めるために、請求異議の訴えを提起することができる。裁判以外の債務名義の成立について異議のある債務者も、同様とする。
2 確定判決についての異議の事由は、口頭弁論の終結後に生じたものに限る。
3 第三十三条第二項及び前条第二項の規定は、第一項の訴えについて準用する。