マンションの特定の専有部分からの汚水が流れる排水管の枝管が共用部分に当たるとされた事例
建物共用部分確認等請求事件
【事件番号】 最高裁判所第3小法廷判決/平成9年(オ)第1927号
【判決日付】 平成12年3月21日
【判示事項】 マンションの特定の専有部分からの汚水が流れる排水管の枝管が共用部分に当たるとされた事例
【判決要旨】 マンションの専有部分である甲室の床下コンクリートスラブと階下にある乙室の天井板との間の空間に配された排水管の枝管を通じて甲室の汚水が本管に流される構造となっている場合において、甲室から右枝管の点検、修理を行うことは不可能であり、乙室からその天井裏に入ってこれを実施するほか方法はないなど判示の事実関係の下においては、右枝管は、建物の区分所有等に関する法律二条四項にいう「専有部分に属しない建物の附属物」であり、区分所有者全員の共有部分に当たる。
【参照条文】 建物の区分所有者等に関する法律2-4
建物の区分所有者等に関する法律11-1
【掲載誌】 最高裁判所裁判集民事197号703頁
裁判所時報1264号197頁
判例タイムズ1038号179頁
判例時報1715号20頁
建物の区分所有等に関する法律
(定義)
第二条 この法律において「区分所有権」とは、前条に規定する建物の部分(第四条第二項の規定により共用部分とされたものを除く。)を目的とする所有権をいう。
2 この法律において「区分所有者」とは、区分所有権を有する者をいう。
3 この法律において「専有部分」とは、区分所有権の目的たる建物の部分をいう。
4 この法律において「共用部分」とは、専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の附属物及び第四条第二項の規定により共用部分とされた附属の建物をいう。
5 この法律において「建物の敷地」とは、建物が所在する土地及び第五条第一項の規定により建物の敷地とされた土地をいう。
6 この法律において「敷地利用権」とは、専有部分を所有するための建物の敷地に関する権利をいう。
(共用部分の共有関係)
第十一条 共用部分は、区分所有者全員の共有に属する。ただし、一部共用部分は、これを共用すべき区分所有者の共有に属する。
2 前項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。ただし、第二十七条第一項の場合を除いて、区分所有者以外の者を共用部分の所有者と定めることはできない。
3 民法第百七十七条の規定は、共用部分には適用しない。