法律大好きのブログ(弁護士村田英幸) -197ページ目

法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

役に立つ裁判例の紹介、法律の本の書評です。弁護士経験32年。第二東京弁護士会所属21770

目黒女児虐待死事件

 

 

保護責任者遺棄致死被告事件

【事件番号】      東京高等裁判所判決/令和元年(う)第1922号

【判決日付】      令和2年9月8日

【判示事項】      同居の夫と共謀し,子である被害児童(当時5歳)に必要な食事を与えず栄養失調状態に陥らせるなど虐待を加え,医療措置も受けさせず,低栄養状態及び免疫力低下に起因する肺炎に基づく敗血症で死亡させた保護責任者遺棄致死事件で,原審が懲役8年に処したのに対する控訴事案。

控訴審は,原審が被告人と夫との関係等本件の経緯が明らかにされることにより,精神鑑定をすることなく判断できるとして,精神鑑定請求を却下したことなどに違法な点はないとし,量刑についても,虐待の苛烈さ,不保護の態様の悪質さ,被害児童の受けた身体的,精神的苦痛と,他方,夫からの心理的DVの影響で夫の意向に従ってしまった面と被告人なりの努力を踏まえると,原判決の量刑が不当とはいえないとし,控訴を棄却した事例

【参照条文】      刑法60

             刑法219

             刑法218

             刑事訴訟法295-1

             裁判員の参加する刑事裁判に関する法律50-1

【掲載誌】        判例時報2496号84頁

 

 

刑法

(共同正犯)

第六十条 二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。

 

(保護責任者遺棄等)

第二百十八条 老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、三月以上五年以下の懲役に処する。

(遺棄等致死傷)

第二百十九条 前二条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

 

 

刑事訴訟法

第二百九十五条 裁判長は、訴訟関係人のする尋問又は陳述が既にした尋問若しくは陳述と重複するとき、又は事件に関係のない事項にわたるときその他相当でないときは、訴訟関係人の本質的な権利を害しない限り、これを制限することができる。訴訟関係人の被告人に対する供述を求める行為についても同様である。

② 裁判長は、証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人を尋問する場合において、証人、鑑定人、通訳人若しくは翻訳人若しくはこれらの親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させ若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあり、これらの者の住居、勤務先その他その通常所在する場所が特定される事項が明らかにされたならば証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人が十分な供述をすることができないと認めるときは、当該事項についての尋問を制限することができる。ただし、検察官のする尋問を制限することにより犯罪の証明に重大な支障を生ずるおそれがあるとき、又は被告人若しくは弁護人のする尋問を制限することにより被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるときは、この限りでない。

③ 裁判長は、第二百九十条の二第一項又は第三項の決定があつた場合において、訴訟関係人のする尋問又は陳述が被害者特定事項にわたるときは、これを制限することにより、犯罪の証明に重大な支障を生ずるおそれがある場合又は被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがある場合を除き、当該尋問又は陳述を制限することができる。訴訟関係人の被告人に対する供述を求める行為についても、同様とする。

④ 第二百九十条の三第一項の決定があつた場合における訴訟関係人のする尋問若しくは陳述又は訴訟関係人の被告人に対する供述を求める行為についても、前項と同様とする。この場合において、同項中「被害者特定事項」とあるのは、「証人等特定事項」とする。

⑤ 裁判所は、前各項の規定による命令を受けた検察官又は弁護士である弁護人がこれに従わなかつた場合には、検察官については当該検察官を指揮監督する権限を有する者に、弁護士である弁護人については当該弁護士の所属する弁護士会又は日本弁護士連合会に通知し、適当な処置をとるべきことを請求することができる。

⑥ 前項の規定による請求を受けた者は、そのとつた処置を裁判所に通知しなければならない。

 

 

裁判員の参加する刑事裁判に関する法律

(第一回の公判期日前の鑑定)

第五十条 裁判所は、第二条第一項の合議体で取り扱うべき事件につき、公判前整理手続において鑑定を行うことを決定した場合において、当該鑑定の結果の報告がなされるまでに相当の期間を要すると認めるときは、検察官、被告人若しくは弁護人の請求により又は職権で、公判前整理手続において鑑定の手続(鑑定の経過及び結果の報告を除く。)を行う旨の決定(以下この条において「鑑定手続実施決定」という。)をすることができる。

2 鑑定手続実施決定をし、又は前項の請求を却下する決定をするには、最高裁判所規則で定めるところにより、あらかじめ、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴かなければならない。

3 鑑定手続実施決定があった場合には、公判前整理手続において、鑑定の手続のうち、鑑定の経過及び結果の報告以外のものを行うことができる。

 

 

銀行の本部の担当部署から各営業店長等にあてて発出されたいわゆる社内通達文書であって一般的な業務遂行上の指針等が記載されたものが民訴法220条4号ニ所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たらないとされた事例

 

 

              文書提出命令に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷決定/平成17年(許)第39号

【判決日付】      平成18年2月17日

【判示事項】      銀行の本部の担当部署から各営業店長等にあてて発出されたいわゆる社内通達文書であって一般的な業務遂行上の指針等が記載されたものが民訴法220条4号ニ所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たらないとされた事例

【判決要旨】      銀行の営業関連部,個人金融部等の本部の担当部署から各営業店長等にあてて発出されたいわゆる社内通達文書につき,その内容は,変額一時払終身保険に対する融資案件を推進するとの一般的な業務遂行上の指針を示し,あるいは,客観的な業務結果報告を記載したものであり,取引先の顧客の信用情報や銀行の高度なノウハウに関する記載は含まれておらず,その作成目的は上記の業務遂行上の指針等を銀行の各営業店長等に周知伝達することにあるなど判示の事実関係の下においては,当該文書は,民訴法220条4号ニ所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たらない。

【参照条文】      民事訴訟法220

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集60巻2号496頁

 

 

民事訴訟法

(文書提出義務)

第二百二十条 次に掲げる場合には、文書の所持者は、その提出を拒むことができない。

一 当事者が訴訟において引用した文書を自ら所持するとき。

二 挙証者が文書の所持者に対しその引渡し又は閲覧を求めることができるとき。

三 文書が挙証者の利益のために作成され、又は挙証者と文書の所持者との間の法律関係について作成されたとき。

四 前三号に掲げる場合のほか、文書が次に掲げるもののいずれにも該当しないとき。

イ 文書の所持者又は文書の所持者と第百九十六条各号に掲げる関係を有する者についての同条に規定する事項が記載されている文書

ロ 公務員の職務上の秘密に関する文書でその提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの

ハ 第百九十七条第一項第二号に規定する事実又は同項第三号に規定する事項で、黙秘の義務が免除されていないものが記載されている文書

ニ 専ら文書の所持者の利用に供するための文書(国又は地方公共団体が所持する文書にあっては、公務員が組織的に用いるものを除く。)

ホ 刑事事件に係る訴訟に関する書類若しくは少年の保護事件の記録又はこれらの事件において押収されている文書

 

 

市街化調整区域内における開発行為に関する工事が完了し検査済証が交付された後における開発許可の取消しを求める訴えの利益

 

 

開発許可処分取消請求事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/平成27年(行ヒ)第301号

【判決日付】      平成27年12月14日

【判示事項】      市街化調整区域内における開発行為に関する工事が完了し検査済証が交付された後における開発許可の取消しを求める訴えの利益

【判決要旨】      市街化調整区域内にある土地を開発区域として都市計画法(平成26年法律第42号による改正前のもの)29条1項による開発許可を受けた開発行為に関する工事が完了し,当該工事の検査済証が交付された後においても,当該開発許可の取消しを求める訴えの利益は失われない。

【参照条文】      行政事件訴訟法9-1

             都市計画法(平26法42号改正前)29-1

             都市計画法42-1

             都市計画法43-1

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集69巻8号2404頁

 

 

行政事件訴訟法

(原告適格)

第九条 処分の取消しの訴え及び裁決の取消しの訴え(以下「取消訴訟」という。)は、当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者(処分又は裁決の効果が期間の経過その他の理由によりなくなつた後においてもなお処分又は裁決の取消しによつて回復すべき法律上の利益を有する者を含む。)に限り、提起することができる。

2 裁判所は、処分又は裁決の相手方以外の者について前項に規定する法律上の利益の有無を判断するに当たつては、当該処分又は裁決の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮するものとする。この場合において、当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たつては、当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌するものとし、当該利益の内容及び性質を考慮するに当たつては、当該処分又は裁決がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案するものとする。

 

 

都市計画法

(開発行為の許可)

第二十九条 都市計画区域又は準都市計画区域内において開発行為をしようとする者は、あらかじめ、国土交通省令で定めるところにより、都道府県知事(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市又は同法第二百五十二条の二十二第一項の中核市(以下「指定都市等」という。)の区域内にあつては、当該指定都市等の長。以下この節において同じ。)の許可を受けなければならない。ただし、次に掲げる開発行為については、この限りでない。

一 市街化区域、区域区分が定められていない都市計画区域又は準都市計画区域内において行う開発行為で、その規模が、それぞれの区域の区分に応じて政令で定める規模未満であるもの

二 市街化調整区域、区域区分が定められていない都市計画区域又は準都市計画区域内において行う開発行為で、農業、林業若しくは漁業の用に供する政令で定める建築物又はこれらの業務を営む者の居住の用に供する建築物の建築の用に供する目的で行うもの

三 駅舎その他の鉄道の施設、図書館、公民館、変電所その他これらに類する公益上必要な建築物のうち開発区域及びその周辺の地域における適正かつ合理的な土地利用及び環境の保全を図る上で支障がないものとして政令で定める建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為

四 都市計画事業の施行として行う開発行為

五 土地区画整理事業の施行として行う開発行為

六 市街地再開発事業の施行として行う開発行為

七 住宅街区整備事業の施行として行う開発行為

八 防災街区整備事業の施行として行う開発行為

九 公有水面埋立法(大正十年法律第五十七号)第二条第一項の免許を受けた埋立地であつて、まだ同法第二十二条第二項の告示がないものにおいて行う開発行為

十 非常災害のため必要な応急措置として行う開発行為

十一 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの

2 都市計画区域及び準都市計画区域外の区域内において、それにより一定の市街地を形成すると見込まれる規模として政令で定める規模以上の開発行為をしようとする者は、あらかじめ、国土交通省令で定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、次に掲げる開発行為については、この限りでない。

一 農業、林業若しくは漁業の用に供する政令で定める建築物又はこれらの業務を営む者の居住の用に供する建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為

二 前項第三号、第四号及び第九号から第十一号までに掲げる開発行為

3 開発区域が、市街化区域、区域区分が定められていない都市計画区域、準都市計画区域又は都市計画区域及び準都市計画区域外の区域のうち二以上の区域にわたる場合における第一項第一号及び前項の規定の適用については、政令で定める。

 

(開発許可を受けた土地における建築等の制限)

第四十二条 何人も、開発許可を受けた開発区域内においては、第三十六条第三項の公告があつた後は、当該開発許可に係る予定建築物等以外の建築物又は特定工作物を新築し、又は新設してはならず、また、建築物を改築し、又はその用途を変更して当該開発許可に係る予定の建築物以外の建築物としてはならない。ただし、都道府県知事が当該開発区域における利便の増進上若しくは開発区域及びその周辺の地域における環境の保全上支障がないと認めて許可したとき、又は建築物及び第一種特定工作物で建築基準法第八十八条第二項の政令で指定する工作物に該当するものにあつては、当該開発区域内の土地について用途地域等が定められているときは、この限りでない。

2 国又は都道府県等が行う行為については、当該国の機関又は都道府県等と都道府県知事との協議が成立することをもつて、前項ただし書の規定による許可があつたものとみなす。

(開発許可を受けた土地以外の土地における建築等の制限)

第四十三条 何人も、市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域内においては、都道府県知事の許可を受けなければ、第二十九条第一項第二号若しくは第三号に規定する建築物以外の建築物を新築し、又は第一種特定工作物を新設してはならず、また、建築物を改築し、又はその用途を変更して同項第二号若しくは第三号に規定する建築物以外の建築物としてはならない。ただし、次に掲げる建築物の新築、改築若しくは用途の変更又は第一種特定工作物の新設については、この限りでない。

一 都市計画事業の施行として行う建築物の新築、改築若しくは用途の変更又は第一種特定工作物の新設

二 非常災害のため必要な応急措置として行う建築物の新築、改築若しくは用途の変更又は第一種特定工作物の新設

三 仮設建築物の新築

四 第二十九条第一項第九号に掲げる開発行為その他の政令で定める開発行為が行われた土地の区域内において行う建築物の新築、改築若しくは用途の変更又は第一種特定工作物の新設

五 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの

2 前項の規定による許可の基準は、第三十三条及び第三十四条に規定する開発許可の基準の例に準じて、政令で定める。

3 国又は都道府県等が行う第一項本文の建築物の新築、改築若しくは用途の変更又は第一種特定工作物の新設(同項各号に掲げるものを除く。)については、当該国の機関又は都道府県等と都道府県知事との協議が成立することをもつて、同項の許可があつたものとみなす。

 

 

過納金に付される還付加算金は、所得税法9条1項21号の非課税所得に当たるか(消極)

 

 

              賦課決定処分取消請求上告事件

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷/昭和53年(行ツ)第4号

【判決日付】      昭和53年7月17日

【判示事項】      過納金に付される還付加算金は、所得税法9条1項21号の非課税所得に当たるか(消極)

【判決要旨】      過納金に付される還付加算金は、租税を滞納した場合に延滞税等が課されることとのバランスなどを考慮したところの一種の利子と解するのが相当であるから、所得税法9条1項21号所定の非課税所得に当たらないものと言うべきである。

【参照条文】      国税通則法58

             所得税法9-1

【掲載誌】        訟務月報24巻11号2401頁

             税務訴訟資料102号96頁

 

 

所得税法

(雑所得)

第三十五条1項 雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得のいずれにも該当しない所得をいう。

 

仮登記担保権者と仮登記に遅れて目的不動産を賃借し占有する第三者に対する右不動産の換価処分前における損害賠償請求

 

 

              家屋明渡事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/昭和46年(オ)第653号

【判決日付】      昭和50年2月25日

【判示事項】      一、いわゆる仮登記担保権者と仮登記に遅れて目的不動産を賃借し占有する第三者に対する右不動産の換価処分前における損害賠償請求

             二、目的不動産の換価処分前に被担保債権について弁済の提供を受けその受領を拒絶したいわゆる仮登記担保権者と仮登記に遅れて右不動産を賃借し占有する第三者に対する明渡請求

【判決要旨】      一、いわゆる仮登記担保権者は、目的不動産の換価処分前においては、自己が右不動産を使用収益することができる旨の約定がある等特段の事情のないかぎり、仮登記に遅れて右不動産を賃借し占有する第三者に対し、賃料相当の損害金の賠償を請求することができない。

             二、いわゆる仮登記担保権者が、目的不動産の換価処分前に、被担保債権について適法な弁済の提供を受けその受領を拒絶しながら、換価手続の一環として、仮登記に遅れて右不動産を賃借し占有する第三者に対しその明渡を請求することは、許されない。

【参照条文】      民法709

             民法413

             民法492

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集29巻2号112頁

 

 

民法

(不法行為による損害賠償)

第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

 

(受領遅滞)

第四百十三条 債権者が債務の履行を受けることを拒み、又は受けることができない場合において、その債務の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は、履行の提供をした時からその引渡しをするまで、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、その物を保存すれば足りる。

2 債権者が債務の履行を受けることを拒み、又は受けることができないことによって、その履行の費用が増加したときは、その増加額は、債権者の負担とする。

 

(弁済の提供の効果)

第四百九十二条 債務者は、弁済の提供の時から、債務を履行しないことによって生ずべき責任を免れる。

 

 

四国電力伊方原発3号機(以下「伊方原発」という。)のおよそ100km圏内に居住する住民4名が,四国電力に対し,伊方原発の安全性に欠けるところがあるとして,人格権に基づき,伊方原発の運転差止めを命じる仮処分を申し立てた事案

 

 

              伊方原発3号機運転差止仮処分命令申立(第1事件,第2事件)却下決定に対する即時抗告事件

【事件番号】      広島高等裁判所決定/平成29年(ラ)第63号

【判決日付】      平成29年12月13日

【判示事項】      四国電力伊方原発3号機(以下「伊方原発」という。)のおよそ100km圏内に居住する住民4名が,四国電力に対し,伊方原発の安全性に欠けるところがあるとして,人格権に基づき,伊方原発の運転差止めを命じる仮処分を申し立てた事案について,火山事象の影響による危険性に関する,伊方原発が新規制基準に適合するとした原子力規制委員会の判断は不合理であり,抗告人ら(住民ら)の生命身体に対する具体的な危険の存在が事実上推定されるとして,原決定を変更し,平成30年9月30日まで伊方原発の運転の差止めを認めた事例

【参照条文】      民事保全法23-2

             民事保全法24

             民事保全法19

             民法709

             核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律43の3の6-1

             核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律43の3の8-2

【掲載誌】        判例時報2357・2358合併号300頁

 

 

民事保全法

(仮処分命令の必要性等)

第二十三条 係争物に関する仮処分命令は、その現状の変更により、債権者が権利を実行することができなくなるおそれがあるとき、又は権利を実行するのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに発することができる。

2 仮の地位を定める仮処分命令は、争いがある権利関係について債権者に生ずる著しい損害又は急迫の危険を避けるためこれを必要とするときに発することができる。

3 第二十条第二項の規定は、仮処分命令について準用する。

4 第二項の仮処分命令は、口頭弁論又は債務者が立ち会うことができる審尋の期日を経なければ、これを発することができない。ただし、その期日を経ることにより仮処分命令の申立ての目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。

(仮処分の方法)

第二十四条 裁判所は、仮処分命令の申立ての目的を達するため、債務者に対し一定の行為を命じ、若しくは禁止し、若しくは給付を命じ、又は保管人に目的物を保管させる処分その他の必要な処分をすることができる。

 

(却下の裁判に対する即時抗告)

第十九条 保全命令の申立てを却下する裁判に対しては、債権者は、告知を受けた日から二週間の不変期間内に、即時抗告をすることができる。

2 前項の即時抗告を却下する裁判に対しては、更に抗告をすることができない。

3 第十六条本文の規定は、第一項の即時抗告についての決定について準用する。

 

 

核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律

(許可の基準)

第四十三条の三の六 原子力規制委員会は、前条第一項の許可の申請があつた場合においては、その申請が次の各号のいずれにも適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。

一 発電用原子炉が平和の目的以外に利用されるおそれがないこと。

二 その者に発電用原子炉を設置するために必要な技術的能力及び経理的基礎があること。

三 その者に重大事故(発電用原子炉の炉心の著しい損傷その他の原子力規制委員会規則で定める重大な事故をいう。第四十三条の三の二十二第一項及び第四十三条の三の二十九第二項第二号において同じ。)の発生及び拡大の防止に必要な措置を実施するために必要な技術的能力その他の発電用原子炉の運転を適確に遂行するに足りる技術的能力があること。

四 発電用原子炉施設の位置、構造及び設備が核燃料物質若しくは核燃料物質によつて汚染された物又は発電用原子炉による災害の防止上支障がないものとして原子力規制委員会規則で定める基準に適合するものであること。

五 前条第二項第十一号の体制が原子力規制委員会規則で定める基準に適合するものであること。

2 前項の場合において、第四十三条の三の三十第一項の規定により型式証明を受けた同項に規定する特定機器の型式の設計は、前項第四号の基準(技術上の基準に係る部分に限る。)に適合しているものとみなす。

3 原子力規制委員会は、前条第一項の許可をする場合においては、あらかじめ、第一項第一号に規定する基準の適用について、原子力委員会の意見を聴かなければならない。

 

(変更の許可及

殺人の現場に同行したが実行行為を行わなかった者について,作為義務違反が認められた上で,実行行為者との共同正犯が認められた事例

 

 

              殺人,暴力行為等処罰に関する法律違反被告事件

【事件番号】      東京高等裁判所判決/平成20年(う)第1073号

【判決日付】      平成20年10月6日

【判示事項】      殺人の現場に同行したが実行行為を行わなかった者について,作為義務違反が認められた上で,実行行為者との共同正犯が認められた事例

【参照条文】      刑法60

             刑法199

【掲載誌】        判例タイムズ1309号292頁

 

 

刑法

(共同正犯)

第六十条 二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。

 

(殺人)

第百九十九条 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。

 

公益財団法人東京横浜独逸学園事件・在外ドイツ学校のA語教諭としてのXの業務遂行に問題がある,Y法人のA語教育体制に組み込めないなどのXに対する雇止め理由を認めることはできないので,客観的合理的理由があるということはできず,社会通念上相当とは認められないから,本件雇止めは無効であり,XとY法人の間の期間の定めのある労働契約が更新されたものとみなされるとされた例

 

 

地位確認等請求事件

【事件番号】      横浜地方裁判所判決/平成27年(ワ)第4789号

【判決日付】      平成29年11月28日

【判示事項】      1 原告Xと被告Y法人の間で約19年間にわたり12回更新されてきた期間の定めのある労働契約(1年契約10回,3年契約3回)をY法人が更新しないことは,更新手続きが形骸化していたとまではいえないことから,期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できるとまでは認められず,Xに対する雇止めは労契法19条1号に該当しないとされた例

             2 XがY法人における基幹的な労務に従事し,長期における契約更新も想定されていたことから,Xに労働契約が更新されるものと期待することについて相当高度な合理的理由があると認められるので,Xに対する雇止めについて労契法19条2号が適用され,同雇止めには客観的合理的理由があり,社会通念上相当と認められることが必要となるとされた例

             3 在外ドイツ学校のA語教諭としてのXの業務遂行に問題がある,Y法人のA語教育体制に組み込めないなどのXに対する雇止め理由を認めることはできないので,客観的合理的理由があるということはできず,社会通念上相当とは認められないから,本件雇止めは無効であり,XとY法人の間の期間の定めのある労働契約が更新されたものとみなされるとされた例

             4 雇止めが無効である場合の雇止め以降の賃金請求権については,確実に支給されていたであろう賃金額を認容すべきところ,労働契約において,コマ数によって賃金が支給され,コマ数は学園長が決定していたが,Xは,少なくとも平成20年以降は週17コマ以上を担当していたこと,本件雇止めの直近の年度においても,週17コマを担当していたことから,最も蓋然性の高い金額としては,17コマを担当していた前年度の金額と同額を認めるのが相当であるとされた例

             5 民法536条2項には,適用要件として所定労働時間が決まっている限定を付す根拠となるような文言は存在しないうえ,同項が,本来は債務の履行ができず,反対給付を受けられないところ,債権者の責めに帰すべき事由がある場合に例外的にその反対給付を受けることができることとした趣旨からいって,同項の適用が必ずしも所定労働時間が定まっている場合に限定されるものではないことは明らかであるとされた例

【掲載誌】        労働判例1184号21頁

 

 

地位確認等請求控訴事件、同附帯控訴事件

【事件番号】      東京高等裁判所判決/平成29年(ネ)第5624号、平成30年(ネ)第2806号

【判決日付】      平成30年8月21日

【判示事項】      控訴人が設置,運営する学園に有期雇用され,教員として勤務していた被控訴人が,雇用契約を更新されずに受けた雇止めは無効として,労働契約上の権利の地位確認及び未払の賃金等の支払を求めた事案の控訴審。控訴人は,控訴審において,被控訴人が控訴人との間の労働契約上の権利を有する地位にあることを認め,雇止めの日以降の賃金等を弁済した。

控訴審は,民法536条2項に基づいて請求できる賃金額は,本件雇用契約上被控訴人に確実に支給されたであろう賃金で足りるとした上で,現時点において,労働契約上の権利の地位確認を求める被控訴人の訴えの確認の利益を認め,控訴人は,本判決が確定するまでは,本件雇止めがなかったならば被控訴人の確実に支給されたであろう金額の賃金の支払義務を負うとし,原判決を変更して弁済後の未払賃金等の支払の請求を一部認容した事例

【掲載誌】        LLI/DB 判例秘書登載

【評釈論文】      法律時報91巻11号137頁

 

 

労働契約法

(有期労働契約の更新等)

第十九条 有期労働契約であって次の各号のいずれかに該当するものの契約期間が満了する日までの間に労働者が当該有期労働契約の更新の申込みをした場合又は当該契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした場合であって、使用者が当該申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす。

一 当該有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、その契約期間の満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認められること。

二 当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められること。

 

 

民法

(債務者の危険負担等)

第五百三十六条 当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる。

2 債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができない。この場合において、債務者は、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。

 

 

国に対する原告の指紋・DNA型及び顔写真の各データの抹消請求事件(行程)

 

 

              国家賠償等請求事件(甲事件)、損害賠償請求事件(乙事件)

【事件番号】      名古屋地方裁判所判決/平成30年(ワ)第3020号、平成30年(ワ)第3021号

【判決日付】      令和4年1月18日

【参照条文】      国家賠償法1-1

             民法709

             民法715-1

             憲法13

【掲載誌】        判例時報2522号62頁

             LLI/DB 判例秘書登載

【評釈論文】      法学教室500号101頁

 

       主   文

 

 1 被告国は,平成28年10月7日に取得した原告の指紋,DNA型及び顔写真の各データを抹消せよ。

 2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。

 3 訴訟費用は原告の負担とする。

 

       事実及び理由

 

第1 請求の趣旨

 1 甲事件

  (1) 被告国は,原告に対し,550万円及びこれに対する平成30年2月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

  (2) 被告県は,原告に対し,550万円及びこれに対する平成30年2月28日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

  (3) 主文第1項に同旨

  (4) 被告国は,平成28年10月7日に取得した原告所有の携帯電話のデータを抹消せよ。

 2 乙事件

   被告D及び被告会社は,原告に対し,連帯して1100万円及びこれに対する平成28年10月7日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要

 1 事案の要旨

  (1) 甲事件

    本件は,建設中のマンション(以下「本件マンション」という。)の近隣に住む原告が,その建設に反対し,本件マンションを建設する被告会社の従業員である被告Dに暴行を加えた(以下「本件暴行事件」という。)として逮捕,勾留,起訴等されたものの,無罪判決を受けて確定したとして,①被告県に対し,愛知県q警察署(以下「q警察署」という。)の警察官が職務上の法的義務に違背して違法な逮捕,取調べ及び捜索差押えを行い,原告に精神的苦痛を与えたと主張して,国家賠償法1条1項に基づき550万円(慰謝料500万円及び弁護士費用50万円)及びこれに対する本件暴行事件の無罪判決が確定した平成30年2月28日から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法(以下「改正前民法」という。)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求め,②被告国に対し,名古屋地方検察庁の検察官が本件暴行事件につき要件を満たさない違法な勾留請求及び勾留期間延長請求を行い,さらに有罪判決を得る可能性が乏しいにもかかわらず本件暴行事件につき公訴を提起したことにより,原告に精神的苦痛を与えたと主張して,国家賠償法1条1項に基づき550万円(慰謝料500万円及び弁護士費用50万円)及びこれに対する本件暴行事件の無罪判決が確定した平成30年2月28日から支払済みまで改正前民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに,本件暴行事件に係る捜査の際に取得された原告の指紋,DNA型,顔写真及び原告所有の携帯電話の各データを無罪判決確定後も保有し続けることは原告のプライバシー権を侵害するものであると主張して,人格権に基づき原告の指紋,DNA型,顔写真及び原告所有の携帯電話の各データの抹消を求める事案である。

  (2) 乙事件

    本件は,原告が,本件暴行事件について,何ら暴行を加えていないにもかかわらず,被告Dが,原告から暴行されたと虚偽の被害を訴えたため,逮捕,勾留,起訴され,長期間にわたり身柄拘束を受けるなどし,精神的苦痛を被ったと主張して,被告Dに対しては民法709条に基づき,被告会社に対しては民法715条1項に基づき,連帯して1100万円(慰謝料1000万円及び弁護士費用100万円)及びこれに対する不法行為の日である平成28年10月7日から支払済みまで改正前民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。

課税処分及び青色申告承認の取消処分と国税犯則取締法に基づく調査により収集された資料利用の許容性(積極)

 

 

              法人税更正処分取消等請求事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/昭和62年(行ツ)第77号

【判決日付】      昭和63年3月31日

【判示事項】      課税処分及び青色申告承認の取消処分と国税犯則取締法に基づく調査により収集された資料利用の許容性(積極)

【判決要旨】      収税官吏が犯則嫌疑者に対し国税犯則取締法に基づく調査を行った場合に、課税庁が右調査により収集された資料を右の者に対する課税処分及び青色申告承認の取消処分を行うために利用することは許される。

【参照条文】      国税通則法24

             法人税法127

             国税犯則取締法1

             国税犯則取締法2

【掲載誌】        訟務月報34巻10号2074頁

             最高裁判所裁判集民事153号643頁

             判例タイムズ667号92頁

             金融・商事判例795号36頁

             判例時報1276号39頁

 

 

国税通則法

(更正)

第二十四条 税務署長は、納税申告書の提出があつた場合において、その納税申告書に記載された課税標準等又は税額等の計算が国税に関する法律の規定に従つていなかつたとき、その他当該課税標準等又は税額等がその調査したところと異なるときは、その調査により、当該申告書に係る課税標準等又は税額等を更正する。

 

(間接国税以外の国税に関する犯則事件等についての告発)

第百五十五条 当該職員は、次に掲げる犯則事件の調査により犯則があると思料するときは、検察官に告発しなければならない。

一 間接国税以外の国税に関する犯則事件

二 申告納税方式による間接国税に関する犯則事件(酒税法第五十五条第一項又は第三項(罰則)の罪その他の政令で定める罪に係る事件に限る。)

(間接国税に関する犯則事件についての報告等)

第百五十六条 国税局又は税務署の当該職員は、間接国税に関する犯則事件(前条第二号に掲げる犯則事件を除く。以下同じ。)の調査を終えたときは、その調査の結果を所轄国税局長又は所轄税務署長に報告しなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合においては、直ちに検察官に告発しなければならない。

一 犯則嫌疑者の居所が明らかでないとき。

二 犯則嫌疑者が逃走するおそれがあるとき。

三 証拠となると認められるものを隠滅するおそれがあるとき。

2 国税庁の当該職員は、間接国税に関する犯則事件の調査を終えたときは、その調査の結果を所轄国税局長又は所轄税務署長に通報しなければならない。ただし、前項各号のいずれかに該当する場合においては、直ちに検察官に告発しなければならない。