目黒女児虐待死事件 保護責任者遺棄致死被告事件 東京高等裁判所判決令和2年9月8日 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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目黒女児虐待死事件

 

 

保護責任者遺棄致死被告事件

【事件番号】      東京高等裁判所判決/令和元年(う)第1922号

【判決日付】      令和2年9月8日

【判示事項】      同居の夫と共謀し,子である被害児童(当時5歳)に必要な食事を与えず栄養失調状態に陥らせるなど虐待を加え,医療措置も受けさせず,低栄養状態及び免疫力低下に起因する肺炎に基づく敗血症で死亡させた保護責任者遺棄致死事件で,原審が懲役8年に処したのに対する控訴事案。

控訴審は,原審が被告人と夫との関係等本件の経緯が明らかにされることにより,精神鑑定をすることなく判断できるとして,精神鑑定請求を却下したことなどに違法な点はないとし,量刑についても,虐待の苛烈さ,不保護の態様の悪質さ,被害児童の受けた身体的,精神的苦痛と,他方,夫からの心理的DVの影響で夫の意向に従ってしまった面と被告人なりの努力を踏まえると,原判決の量刑が不当とはいえないとし,控訴を棄却した事例

【参照条文】      刑法60

             刑法219

             刑法218

             刑事訴訟法295-1

             裁判員の参加する刑事裁判に関する法律50-1

【掲載誌】        判例時報2496号84頁

 

 

刑法

(共同正犯)

第六十条 二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。

 

(保護責任者遺棄等)

第二百十八条 老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、三月以上五年以下の懲役に処する。

(遺棄等致死傷)

第二百十九条 前二条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

 

 

刑事訴訟法

第二百九十五条 裁判長は、訴訟関係人のする尋問又は陳述が既にした尋問若しくは陳述と重複するとき、又は事件に関係のない事項にわたるときその他相当でないときは、訴訟関係人の本質的な権利を害しない限り、これを制限することができる。訴訟関係人の被告人に対する供述を求める行為についても同様である。

② 裁判長は、証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人を尋問する場合において、証人、鑑定人、通訳人若しくは翻訳人若しくはこれらの親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させ若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあり、これらの者の住居、勤務先その他その通常所在する場所が特定される事項が明らかにされたならば証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人が十分な供述をすることができないと認めるときは、当該事項についての尋問を制限することができる。ただし、検察官のする尋問を制限することにより犯罪の証明に重大な支障を生ずるおそれがあるとき、又は被告人若しくは弁護人のする尋問を制限することにより被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるときは、この限りでない。

③ 裁判長は、第二百九十条の二第一項又は第三項の決定があつた場合において、訴訟関係人のする尋問又は陳述が被害者特定事項にわたるときは、これを制限することにより、犯罪の証明に重大な支障を生ずるおそれがある場合又は被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがある場合を除き、当該尋問又は陳述を制限することができる。訴訟関係人の被告人に対する供述を求める行為についても、同様とする。

④ 第二百九十条の三第一項の決定があつた場合における訴訟関係人のする尋問若しくは陳述又は訴訟関係人の被告人に対する供述を求める行為についても、前項と同様とする。この場合において、同項中「被害者特定事項」とあるのは、「証人等特定事項」とする。

⑤ 裁判所は、前各項の規定による命令を受けた検察官又は弁護士である弁護人がこれに従わなかつた場合には、検察官については当該検察官を指揮監督する権限を有する者に、弁護士である弁護人については当該弁護士の所属する弁護士会又は日本弁護士連合会に通知し、適当な処置をとるべきことを請求することができる。

⑥ 前項の規定による請求を受けた者は、そのとつた処置を裁判所に通知しなければならない。

 

 

裁判員の参加する刑事裁判に関する法律

(第一回の公判期日前の鑑定)

第五十条 裁判所は、第二条第一項の合議体で取り扱うべき事件につき、公判前整理手続において鑑定を行うことを決定した場合において、当該鑑定の結果の報告がなされるまでに相当の期間を要すると認めるときは、検察官、被告人若しくは弁護人の請求により又は職権で、公判前整理手続において鑑定の手続(鑑定の経過及び結果の報告を除く。)を行う旨の決定(以下この条において「鑑定手続実施決定」という。)をすることができる。

2 鑑定手続実施決定をし、又は前項の請求を却下する決定をするには、最高裁判所規則で定めるところにより、あらかじめ、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴かなければならない。

3 鑑定手続実施決定があった場合には、公判前整理手続において、鑑定の手続のうち、鑑定の経過及び結果の報告以外のものを行うことができる。