四国電力伊方原発3号機(以下「伊方原発」という。)のおよそ100km圏内に居住する住民4名が,四国電力に対し,伊方原発の安全性に欠けるところがあるとして,人格権に基づき,伊方原発の運転差止めを命じる仮処分を申し立てた事案
伊方原発3号機運転差止仮処分命令申立(第1事件,第2事件)却下決定に対する即時抗告事件
【事件番号】 広島高等裁判所決定/平成29年(ラ)第63号
【判決日付】 平成29年12月13日
【判示事項】 四国電力伊方原発3号機(以下「伊方原発」という。)のおよそ100km圏内に居住する住民4名が,四国電力に対し,伊方原発の安全性に欠けるところがあるとして,人格権に基づき,伊方原発の運転差止めを命じる仮処分を申し立てた事案について,火山事象の影響による危険性に関する,伊方原発が新規制基準に適合するとした原子力規制委員会の判断は不合理であり,抗告人ら(住民ら)の生命身体に対する具体的な危険の存在が事実上推定されるとして,原決定を変更し,平成30年9月30日まで伊方原発の運転の差止めを認めた事例
【参照条文】 民事保全法23-2
民事保全法24
民事保全法19
民法709
核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律43の3の6-1
核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律43の3の8-2
【掲載誌】 判例時報2357・2358合併号300頁
民事保全法
(仮処分命令の必要性等)
第二十三条 係争物に関する仮処分命令は、その現状の変更により、債権者が権利を実行することができなくなるおそれがあるとき、又は権利を実行するのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに発することができる。
2 仮の地位を定める仮処分命令は、争いがある権利関係について債権者に生ずる著しい損害又は急迫の危険を避けるためこれを必要とするときに発することができる。
3 第二十条第二項の規定は、仮処分命令について準用する。
4 第二項の仮処分命令は、口頭弁論又は債務者が立ち会うことができる審尋の期日を経なければ、これを発することができない。ただし、その期日を経ることにより仮処分命令の申立ての目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。
(仮処分の方法)
第二十四条 裁判所は、仮処分命令の申立ての目的を達するため、債務者に対し一定の行為を命じ、若しくは禁止し、若しくは給付を命じ、又は保管人に目的物を保管させる処分その他の必要な処分をすることができる。
(却下の裁判に対する即時抗告)
第十九条 保全命令の申立てを却下する裁判に対しては、債権者は、告知を受けた日から二週間の不変期間内に、即時抗告をすることができる。
2 前項の即時抗告を却下する裁判に対しては、更に抗告をすることができない。
3 第十六条本文の規定は、第一項の即時抗告についての決定について準用する。
核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律
(許可の基準)
第四十三条の三の六 原子力規制委員会は、前条第一項の許可の申請があつた場合においては、その申請が次の各号のいずれにも適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。
一 発電用原子炉が平和の目的以外に利用されるおそれがないこと。
二 その者に発電用原子炉を設置するために必要な技術的能力及び経理的基礎があること。
三 その者に重大事故(発電用原子炉の炉心の著しい損傷その他の原子力規制委員会規則で定める重大な事故をいう。第四十三条の三の二十二第一項及び第四十三条の三の二十九第二項第二号において同じ。)の発生及び拡大の防止に必要な措置を実施するために必要な技術的能力その他の発電用原子炉の運転を適確に遂行するに足りる技術的能力があること。
四 発電用原子炉施設の位置、構造及び設備が核燃料物質若しくは核燃料物質によつて汚染された物又は発電用原子炉による災害の防止上支障がないものとして原子力規制委員会規則で定める基準に適合するものであること。
五 前条第二項第十一号の体制が原子力規制委員会規則で定める基準に適合するものであること。
2 前項の場合において、第四十三条の三の三十第一項の規定により型式証明を受けた同項に規定する特定機器の型式の設計は、前項第四号の基準(技術上の基準に係る部分に限る。)に適合しているものとみなす。
3 原子力規制委員会は、前条第一項の許可をする場合においては、あらかじめ、第一項第一号に規定する基準の適用について、原子力委員会の意見を聴かなければならない。
(変更の許可及