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法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

役に立つ裁判例の紹介、法律の本の書評です。弁護士経験32年。第二東京弁護士会所属21770

会社の海外事業統括の業務担当取締役が、海外子会社等の業務を執行または監視するにあたり、その地位を利用して会社の利益の犠牲の下に自己の利益を図ってはならない義務を会社に対する善管注意義務または忠実義務として負っていたとした事例

 

 

              株式会社〈略〉株主代表訴訟事件

【事件番号】      東京地方裁判所判決/平成30年(ワ)第7586号

【判決日付】      令和3年11月25日

【判示事項】      1 会社の海外事業統括の業務担当取締役が、海外子会社等の業務を執行または監視するにあたり、その地位を利用して会社の利益の犠牲の下に自己の利益を図ってはならない義務を会社に対する善管注意義務または忠実義務として負っていたとした事例

             2 自己の資産管理会社の利益を図ることを目的に、貸付先の返済能力を検討することなく、会社から当該海外子会社に対して別の使途で拠出された資金の一部を用いて、貸付けを行った行為は取締役としての善管注意義務または忠実義務に違反するとされた事例

             3 代表者であることを利用して、自己の個人的な利益を図る目的で小切手を振り出した行為は取締役としての善管注意義務ないし忠実義務に違反するとされた事例

             4 会社の海外孫会社の取締役に指示をして、金融機関からの借入れにより自己の資産管理会社に生じた利息等相当額を当該海外孫会社に支払わせたことは取締役としての善管注意義務ないし忠実義務に違反するとされた事例

             5 完全子会社が被った損害と完全親会社の損害

【判決要旨】      1 当該事案の事実関係の下では、会社の海外事業統括の業務担当取締役が、海外子会社等の業務を執行または監視するにあたり、その地位を利用して会社の利益の犠牲の下に自己の利益を図ってはならない義務を会社に対する善管注意義務または忠実義務として負っていた。

             2 自らが海外子会社の代表者であることを利用して、自己の資産管理会社の利益を図ることを目的に、貸付先の返済能力を検討することなく、会社から当該海外子会社に対して別の使途で拠出された資金の一部を用いて、貸付けを行った行為は、会社の取締役としての善管注意義務または忠実義務に違反する。

             3 自らが海外子会社の代表者であることを利用して、自己の個人的な利益を図る目的で小切手を振り出した行為は会社の取締役としての善管注意義務ないし忠実義務に違反する。

             4 会社の海外孫会社の取締役に対して指示して、金融機関からの借入れにより自己の資産管理会社に生じた利息等相当額を当該海外孫会社に支払わせたことは会社の取締役としての善管注意義務ないし忠実義務に違反する。

             5 会社には、完全子会社に生じた損害の金額に相当する資産の減少が生じ、会社は、これと同額の損害を被ったものと認められる。

【参照条文】      会社法423

【掲載誌】        金融・商事判例1642号44頁

             LLI/DB 判例秘書登載

【評釈論文】      法学教室504号121頁

 

 

会社法

(競業及び利益相反取引の制限)

第三百五十六条 取締役は、次に掲げる場合には、株主総会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。

一 取締役が自己又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするとき。

二 取締役が自己又は第三者のために株式会社と取引をしようとするとき。

三 株式会社が取締役の債務を保証することその他取締役以外の者との間において株式会社と当該取締役との利益が相反する取引をしようとするとき。

2 民法第百八条の規定は、前項の承認を受けた同項第二号又は第三号の取引については、適用しない。

 

(役員等の株式会社に対する損害賠償責任)

第四百二十三条 取締役、会計参与、監査役、執行役又は会計監査人(以下この章において「役員等」という。)は、その任務を怠ったときは、株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

2 取締役又は執行役が第三百五十六条第一項(第四百十九条第二項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定に違反して第三百五十六条第一項第一号の取引をしたときは、当該取引によって取締役、執行役又は第三者が得た利益の額は、前項の損害の額と推定する。

3 第三百五十六条第一項第二号又は第三号(これらの規定を第四百十九条第二項において準用する場合を含む。)の取引によって株式会社に損害が生じたときは、次に掲げる取締役又は執行役は、その任務を怠ったものと推定する。

一 第三百五十六条第一項(第四百十九条第二項において準用する場合を含む。)の取締役又は執行役

二 株式会社が当該取引をすることを決定した取締役又は執行役

三 当該取引に関する取締役会の承認の決議に賛成した取締役(指名委員会等設置会社においては、当該取引が指名委員会等設置会社と取締役との間の取引又は指名委員会等設置会社と取締役との利益が相反する取引である場合に限る。)

4 前項の規定は、第三百五十六条第一項第二号又は第三号に掲げる場合において、同項の取締役(監査等委員であるものを除く。)が当該取引につき監査等委員会の承認を受けたときは、適用しない。

 

 

 

 

 

 

       主   文

 

 1 被告は,原告補助参加人に対し,1億3600万香港ドル及び17万3562.23米国ドル並びにこれらに対する平成30年4月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

 2 訴訟費用(補助参加によって生じたものを含む。)は被告の負担とする。

 3 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。

 

       事実及び理由

 

第1 請求

   主文1項と同旨

第2 事案の概要

   本件は,原告補助参加人(以下「補助参加人」という。)の株主である原告が,補助参加人の海外事業統括を職務分掌とされた取締役であり,かつ,補助参加人の海外子会社の代表者であった被告が,①被告及びその親族が株主である香港法人の第三者に対する貸金債権を回収する目的等で,上記海外子会社の代表者として,当該第三者が関与する会社に対して1億3500万香港ドルを貸し付け,②自己の個人的な利益を図る目的で,上記海外子会社の代表者として,受取人白地の1600万香港ドルの小切手を振り出し,③補助参加人の海外孫会社の取締役に指示をして,金融機関からの借入れにより上記香港法人に生じた利息等相当額17万3562.23米国ドルを上記海外孫会社に支払わせたところ,被告の上記各行為は,補助参加人の取締役としての善管注意義務・忠実義務に違反するものであり,上記各行為により上記海外子会社及び海外孫会社の親会社である補助参加人に損害が生じたと主張して,被告に対し,会社法423条1項に基づき,補助参加人に生じた上記損害に係る損害金及びこれらに対する訴状送達の日の翌日である平成30年4月17日から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定の年5分の割合による遅延損害金を補助参加人に支払うことを求める事案である。

組織再編成の一環としてのグループ会社からの借り入れと法人税法132条

ユニバーサルミュージック事件・上告審

 

 

              法人税更正処分等取消請求事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/令和2年(行ヒ)第303号

【判決日付】      令和4年4月21日

【判示事項】      1 法人税法132条1項にいう「これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」の意義

             2 組織再編成に係る一連の取引の一環として行われた金銭の借入れが法人税法132条1項にいう「これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」には当たらないとされた事例

【判決要旨】      1 法人税法132条1項にいう「これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」とは,同項各号に掲げる法人である同族会社等の行為又は計算のうち,経済的かつ実質的な見地において不自然,不合理なもの,すなわち経済的合理性を欠くものであって,法人税の負担を減少させる結果となるものをいう。

             2 企業グループにおける組織再編成に係る一連の取引の一環として,当該企業グループに属する内国法人である同族会社が,当該企業グループに属する外国法人から行った金銭の借入れは,次の(1)~(3)など判示の事情の下では,当該借入れに係る支払利息の額を損金の額に算入すると法人税の額が大幅に減少することとなり,また,当該借入れが無担保で行われるなど独立かつ対等で相互に特殊関係のない当事者間で通常行われる取引とは異なる点があるとしても,法人税法132条1項にいう「これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」には当たらない。

             (1)上記一連の取引は,上記企業グループのうち米国法人が直接的又は間接的に全ての株式又は出資を保有する法人から成る部門において日本を統括する合同会社として上記同族会社を設立するなどの組織再編成に係るものであった。

             (2)上記一連の取引には,税負担の減少以外に,上記部門を構成する内国法人の資本関係及びこれに対する事業遂行上の指揮監督関係を整理して法人の数を減らす目的,機動的な事業運営の観点から当該部門において日本を統括する会社を合同会社とする目的,当該部門の外国法人の負債を軽減するための弁済資金を調達する目的,当該部門を構成する内国法人等が保有する資金の余剰を解消し,為替に関するリスクヘッジを不要とする目的等があり,当該取引は,これらの目的を同時に達成する取引として通常は想定されないものとはいい難い上,その資金面に関する取引の実態が存在しなかったことをうかがわせる事情も見当たらない。

             (3)上記借入れは,上記部門に属する他の内国法人の株式の購入代金及びその関連費用にのみ使用される約定の下に行われ,実際に,上記同族会社は,株式を取得して当該内国法人を自社の支配下に置いたものであり,借入金額が使途との関係で不当に高額であるなどの事情もうかがわれず,また,当該借入れの約定のうち利息及び返済期間については,当該同族会社の予想される利益に基づいて決定されており,現に利息の支払が困難になったなどの事情はうかがわれない。

【参照条文】      法人税法132-1

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集76巻4号480頁

 

 

法人税法

(同族会社等の行為又は計算の否認)

第百三十二条 税務署長は、次に掲げる法人に係る法人税につき更正又は決定をする場合において、その法人の行為又は計算で、これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは、その行為又は計算にかかわらず、税務署長の認めるところにより、その法人に係る法人税の課税標準若しくは欠損金額又は法人税の額を計算することができる。

一 内国法人である同族会社

二 イからハまでのいずれにも該当する内国法人

イ 三以上の支店、工場その他の事業所を有すること。

ロ その事業所の二分の一以上に当たる事業所につき、その事業所の所長、主任その他のその事業所に係る事業の主宰者又は当該主宰者の親族その他の当該主宰者と政令で定める特殊の関係のある個人(以下この号において「所長等」という。)が前に当該事業所において個人として事業を営んでいた事実があること。

ハ ロに規定する事実がある事業所の所長等の有するその内国法人の株式又は出資の数又は金額の合計額がその内国法人の発行済株式又は出資(その内国法人が有する自己の株式又は出資を除く。)の総数又は総額の三分の二以上に相当すること。

2 前項の場合において、内国法人が同項各号に掲げる法人に該当するかどうかの判定は、同項に規定する行為又は計算の事実のあつた時の現況によるものとする。

3 第一項の規定は、同項に規定する更正又は決定をする場合において、同項各号に掲げる法人の行為又は計算につき、所得税法第百五十七条第一項(同族会社等の行為又は計算の否認等)若しくは相続税法第六十四条第一項(同族会社等の行為又は計算の否認等)又は地価税法(平成三年法律第六十九号)第三十二条第一項(同族会社等の行為又は計算の否認等)の規定の適用があつたときについて準用する。

(組織再編成に係る行為又は計算の否認)

第百三十二条の二 税務署長は、合併、分割、現物出資若しくは現物分配(第二条第十二号の五の二(定義)に規定する現物分配をいう。)又は株式交換等若しくは株式移転(以下この条において「合併等」という。)に係る次に掲げる法人の法人税につき更正又は決定をする場合において、その法人の行為又は計算で、これを容認した場合には、合併等により移転する資産及び負債の譲渡に係る利益の額の減少又は損失の額の増加、法人税の額から控除する金額の増加、第一号又は第二号に掲げる法人の株式(出資を含む。第二号において同じ。)の譲渡に係る利益の額の減少又は損失の額の増加、みなし配当金額(第二十四条第一項(配当等の額とみなす金額)の規定により第二十三条第一項第一号又は第二号(受取配当等の益金不算入)に掲げる金額とみなされる金額をいう。)の減少その他の事由により法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは、その行為又は計算にかかわらず、税務署長の認めるところにより、その法人に係る法人税の課税標準若しくは欠損金額又は法人税の額を計算することができる。

一 合併等をした法人又は合併等により資産及び負債の移転を受けた法人

二 合併等により交付された株式を発行した法人(前号に掲げる法人を除く。)

三 前二号に掲げる法人の株主等である法人(前二号に掲げる法人を除く。)

 

社債等振替法128条1項所定の振替株式についての会社法172条1項に基づく価格の決定の申立てを受けた会社が,裁判所における株式価格決定申立て事件の審理において,申立人が株主であることを争った場合における,社債等振替法154条3項所定の通知の要否

 

 

              株式価格決定申立て却下決定に対する抗告審の取消決定に対する許可抗告事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷決定/平成22年(許)第9号

【判決日付】      平成22年12月7日

【判示事項】      社債等振替法128条1項所定の振替株式についての会社法172条1項に基づく価格の決定の申立てを受けた会社が,裁判所における株式価格決定申立て事件の審理において,申立人が株主であることを争った場合における,社債等振替法154条3項所定の通知の要否

【判決要旨】      社債等振替法128条1項所定の振替株式についての会社法172条1項に基づく価格の決定の申立てを受けた会社が、裁判所における株式価格決定申立て事件の審理において、申立人が株主であることを争った場合には、その審理終結までの間に社債等振替法154条3項所定の通知がされることを要する。

【参照条文】      社債、株式等の振替に関する法律128-1

             社債、株式等の振替に関する法律154-3

             会社法172-1

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集64巻8号2003頁

 

 

社債、株式等の振替に関する法律

第百二十八条 株券を発行する旨の定款の定めがない会社の株式(譲渡制限株式を除く。)で振替機関が取り扱うもの(以下「振替株式」という。)についての権利の帰属は、この章の規定による振替口座簿の記載又は記録により定まるものとする。

2 発行者が、その株式について第十三条第一項の同意を与えるには、発起人全員の同意又は取締役会の決議によらなければならない。

 

(少数株主権等の行使に関する会社法の特例)

第百五十四条 振替株式についての少数株主権等の行使については、会社法第百三十条第一項の規定は、適用しない。

2 前項の振替株式についての少数株主権等は、次項の通知がされた後政令で定める期間が経過する日までの間でなければ、行使することができない。

3 振替機関は、特定の銘柄の振替株式について自己又は下位機関の加入者からの申出があった場合には、遅滞なく、当該振替株式の発行者に対し、当該加入者の氏名又は名称及び住所並びに次に掲げる事項その他主務省令で定める事項の通知をしなければならない。

一 当該加入者の口座の保有欄に記載又は記録がされた当該振替株式(当該加入者が第百五十一条第二項第一号の申出をしたものを除く。)の数及びその数に係る第百二十九条第三項第六号に掲げる事項

二 当該加入者が他の加入者の口座における特別株主である場合には、当該口座の保有欄に記載又は記録がされた当該振替株式のうち当該特別株主についてのものの数及びその数に係る第百二十九条第三項第六号に掲げる事項

三 当該加入者が他の加入者の口座の質権欄に株主として記載又は記録がされた者である場合には、当該質権欄に記載又は記録がされた当該振替株式のうち当該株主についてのものの数及びその数に係る第百二十九条第三項第六号に掲げる事項

四 当該加入者が次条第三項の申請をした振替株式の株主である場合には、同条第一項に規定する買取口座に記載又は記録がされた当該振替株式のうち当該株主についてのものの数及びその数に係る第百二十九条第三項第六号に掲げる事項

4 加入者は、前項の申出をするには、その直近上位機関を経由してしなければならない。

5 第百五十一条第五項及び第六項の規定は、第三項の通知について準用する。この場合において、同条第六項中「第三項及び前項」とあるのは、「前項」と読み替えるものとする。

 

 

会社法

(裁判所に対する価格の決定の申立て)

第百七十二条 第百七十一条第一項各号に掲げる事項を定めた場合には、次に掲げる株主は、取得日の二十日前の日から取得日の前日までの間に、裁判所に対し、株式会社による全部取得条項付種類株式の取得の価格の決定の申立てをすることができる。

一 当該株主総会に先立って当該株式会社による全部取得条項付種類株式の取得に反対する旨を当該株式会社に対し通知し、かつ、当該株主総会において当該取得に反対した株主(当該株主総会において議決権を行使することができるものに限る。)

二 当該株主総会において議決権を行使することができない株主

2 株式会社は、取得日の二十日前までに、全部取得条項付種類株式の株主に対し、当該全部取得条項付種類株式の全部を取得する旨を通知しなければならない。

3 前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。

4 株式会社は、裁判所の決定した価格に対する取得日後の法定利率による利息をも支払わなければならない。

5 株式会社は、全部取得条項付種類株式の取得の価格の決定があるまでは、株主に対し、当該株式会社がその公正な価格と認める額を支払うことができる。

 

 

 

 

 

 

国税通則法68条1項による重加算税の賦課決定に対する審査請求において同項所定の加重事由のみが認められない場合と右賦課決定の取消の範囲

 

 

所得税更正処分等取消請求事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/昭和56年(行ツ)第139号

【判決日付】      昭和58年10月27日

【判示事項】      国税通則法68条1項による重加算税の賦課決定に対する審査請求において同項所定の加重事由のみが認められない場合と右賦課決定の取消の範囲

【判決要旨】      国税通則法68条1項による重加算税の賦課決定に対する審査請求において同項所定の加重事由は認められないが、同法65条所定の過少申告加算税の賦課要件の存在が認められる場合には、国税不服審判所長は、右賦課決定のうち過少申告加算税額に相当する額を超える部分のみを取り消すことができる。

【参照条文】      国税通則法65

             国税通則法68-1

             国税通則法98-2

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集37巻8号1196頁

 

 

国税通則法

(重加算税)

第六十八条 第六十五条第一項(過少申告加算税)の規定に該当する場合(修正申告書の提出が、その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでない場合を除く。)において、納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し、その隠蔽し、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたときは、当該納税者に対し、政令で定めるところにより、過少申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額(その税額の計算の基礎となるべき事実で隠蔽し、又は仮装されていないものに基づくことが明らかであるものがあるときは、当該隠蔽し、又は仮装されていない事実に基づく税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除した税額)に係る過少申告加算税に代え、当該基礎となるべき税額に百分の三十五の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を課する。

2 第六十六条第一項(無申告加算税)の規定に該当する場合(同項ただし書若しくは同条第七項の規定の適用がある場合又は納税申告書の提出が、その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について更正又は決定があるべきことを予知してされたものでない場合を除く。)において、納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し、その隠蔽し、又は仮装したところに基づき法定申告期限までに納税申告書を提出せず、又は法定申告期限後に納税申告書を提出していたときは、当該納税者に対し、政令で定めるところにより、無申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額(その税額の計算の基礎となるべき事実で隠蔽し、又は仮装されていないものに基づくことが明らかであるものがあるときは、当該隠蔽し、又は仮装されていない事実に基づく税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除した税額)に係る無申告加算税に代え、当該基礎となるべき税額に百分の四十の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を課する。

3 前条第一項の規定に該当する場合(同項ただし書又は同条第二項若しくは第三項の規定の適用がある場合を除く。)において、納税者が事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し、その隠蔽し、又は仮装したところに基づきその国税をその法定納期限までに納付しなかつたときは、税務署長又は税関長は、当該納税者から、不納付加算税の額の計算の基礎となるべき税額(その税額の計算の基礎となるべき事実で隠蔽し、又は仮装されていないものに基づくことが明らかであるものがあるときは、当該隠蔽し、又は仮装されていない事実に基づく税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除した税額)に係る不納付加算税に代え、当該基礎となるべき税額に百分の三十五の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を徴収する。

4 前三項の規定に該当する場合において、これらの規定に規定する税額の計算の基礎となるべき事実で隠蔽し、又は仮装されたものに基づき期限後申告書若しくは修正申告書の提出、更正若しくは第二十五条(決定)の規定による決定又は納税の告知(第三十六条第一項(納税の告知)の規定による納税の告知(同項第二号に係るものに限る。)をいう。以下この項において同じ。)若しくは納税の告知を受けることなくされた納付があつた日の前日から起算して五年前の日までの間に、その申告、更正若しくは決定又は告知若しくは納付に係る国税の属する税目について、無申告加算税等を課され、又は徴収されたことがあるときは、前三項の重加算税の額は、これらの規定にかかわらず、これらの規定により計算した金額に、これらの規定に規定する基礎となるべき税額に百分の十の割合を乗じて計算した金額を加算した金額とする。

 

(裁決)

第九十八条 審査請求が法定の期間経過後にされたものである場合その他不適法である場合には、国税不服審判所長は、裁決で、当該審査請求を却下する。

2 審査請求が理由がない場合には、国税不服審判所長は、裁決で、当該審査請求を棄却する。

3 審査請求が理由がある場合には、国税不服審判所長は、裁決で、当該審査請求に係る処分の全部若しくは一部を取り消し、又はこれを変更する。ただし、審査請求人の不利益に当該処分を変更することはできない。

4 国税不服審判所長は、裁決をする場合(第九十二条(審理手続を経ないでする却下裁決)の規定により当該審査請求を却下する場合を除く。)には、担当審判官及び参加審判官の議決に基づいてこれをしなければならない。

 

 

再生債務者が支払の停止の前に再生債権者から購入した投資信託受益権に係る再生債権者の再生債務者に対する解約金の支払債務の負担が,民事再生法93条2項2号にいう「前に生じた原因」に基づく場合に当たらず,上記支払債務に係る債権を受働債権とする相殺が許されないとされた事例

 

 

損害賠償等請求及び独立当事者参加事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/平成24年(受)第908号

【判決日付】      平成26年6月5日

【判示事項】      再生債務者が支払の停止の前に再生債権者から購入した投資信託受益権に係る再生債権者の再生債務者に対する解約金の支払債務の負担が,民事再生法93条2項2号にいう「前に生じた原因」に基づく場合に当たらず,上記支払債務に係る債権を受働債権とする相殺が許されないとされた事例

【判決要旨】      再生債務者Xが,その支払の停止の前に,投資信託委託会社と信託会社との信託契約に基づき設定された投資信託の受益権をその募集販売委託を受けた再生債権者Yから購入し,上記信託契約等に基づき,上記受益権に係る信託契約の解約実行請求がされたときにはYが上記信託会社から解約金の交付を受けることを条件としてXに対してその支払債務を負担することとされている場合において,次の(1)~(3)など判示の事情の下では,Yがした債権者代位権に基づく解約実行請求により,Yが,Xの支払の停止を知った後に上記解約金の交付を受け,これにより上記支払債務を負担したことは,民事再生法93条2項2号にいう「支払の停止があったことを再生債権者が知った時より前に生じた原因」に基づく場合に当たるとはいえず,Yが有する再生債権を自働債権とし上記支払債務に係る債権を受働債権とする相殺は許されない。

             (1) 上記解約実行請求は,YがXの支払の停止を知った後にされた。

             (2) Xは,Yの振替口座簿に開設された口座で振替投資信託受益権として管理されていた上記受益権につき,原則として自由に他の振替先口座への振替をすることができた。

             (3) Yが上記相殺をするためには,他の債権者と同様に,債権者代位権に基づき,Xに代位して上記解約実行請求を行うほかなかったことがうかがわれる。

【参照条文】      民事再生法93-1

             民事再生法93-2

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集68巻5号462頁

 

 

民事再生法

(相殺の禁止)

第九十三条 再生債権者は、次に掲げる場合には、相殺をすることができない。

一 再生手続開始後に再生債務者に対して債務を負担したとき。

二 支払不能(再生債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態をいう。以下同じ。)になった後に契約によって負担する債務を専ら再生債権をもってする相殺に供する目的で再生債務者の財産の処分を内容とする契約を再生債務者との間で締結し、又は再生債務者に対して債務を負担する者の債務を引き受けることを内容とする契約を締結することにより再生債務者に対して債務を負担した場合であって、当該契約の締結の当時、支払不能であったことを知っていたとき。

三 支払の停止があった後に再生債務者に対して債務を負担した場合であって、その負担の当時、支払の停止があったことを知っていたとき。ただし、当該支払の停止があった時において支払不能でなかったときは、この限りでない。

四 再生手続開始、破産手続開始又は特別清算開始の申立て(以下この条及び次条において「再生手続開始の申立て等」という。)があった後に再生債務者に対して債務を負担した場合であって、その負担の当時、再生手続開始の申立て等があったことを知っていたとき。

2 前項第二号から第四号までの規定は、これらの規定に規定する債務の負担が次の各号に掲げる原因のいずれかに基づく場合には、適用しない。

一 法定の原因

二 支払不能であったこと又は支払の停止若しくは再生手続開始の申立て等があったことを再生債権者が知った時より前に生じた原因

三 再生手続開始の申立て等があった時より一年以上前に生じた原因

 

 

旅客自動車運送事業運輸規則22条に基づき近畿運輸局長が地域を指定し,乗務距離の最高限度を具体的に定めた公示(以下「本件公示」という。)は,行政事件訴訟法3条2項にいう処分に当たらないとされた事例

 

 

一般乗用旅客自動車運送事業の乗務距離の最高限度を定める公示処分の取消等請求事件(甲事件),事業用自動車の使用停止処分差止等請求事件(乙事件)

【事件番号】      大阪地方裁判所判決/平成22年(行ウ)第58号

【判決日付】      平成25年7月4日

【判示事項】      1 旅客自動車運送事業運輸規則22条に基づき近畿運輸局長が地域を指定し,乗務距離の最高限度を具体的に定めた公示(以下「本件公示」という。)は,行政事件訴訟法3条2項にいう処分に当たらないとされた事例

             2 乗務距離の最高限度規制に違反したことを理由とする不利益処分の差止めの訴えにつき,不利益処分の蓋然性ないし重大な損害要件を満たさないとして却下された事例

             3 本件公示のうち日勤勤務運転者の乗務距離の最高限度を1乗務当たり250kmと定めた部分,高速自動車国道及び自動車専用道路の利用距離の取扱いに関する部分は合理性を欠くものであって,近畿運輸局長の裁量権の範囲を逸脱しているとして,一般乗用旅客自動車運送事業(タクシー業)原告と被告との間で,原告がその日勤勤務運転者に対し,1乗務当たり250kmを超えて乗務させることのできる地位にあることを確認した事例

             4 本件公示の定める乗務距離の最高限度を超えて運転者を事業用自動車に乗務させていたことを理由に近畿運輸局長が一般乗用旅客自動車運送事業を営む原告に対してした輸送施設の使用停止処分を取り消した事例

【掲載誌】        LLI/DB 判例秘書登載

【評釈論文】      法学セミナー58巻12号113頁

 

 

行政事件訴訟法

(抗告訴訟)

第三条 この法律において「抗告訴訟」とは、行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟をいう。

2 この法律において「処分の取消しの訴え」とは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(次項に規定する裁決、決定その他の行為を除く。以下単に「処分」という。)の取消しを求める訴訟をいう。

3 この法律において「裁決の取消しの訴え」とは、審査請求その他の不服申立て(以下単に「審査請求」という。)に対する行政庁の裁決、決定その他の行為(以下単に「裁決」という。)の取消しを求める訴訟をいう。

4 この法律において「無効等確認の訴え」とは、処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無の確認を求める訴訟をいう。

5 この法律において「不作為の違法確認の訴え」とは、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴訟をいう。

6 この法律において「義務付けの訴え」とは、次に掲げる場合において、行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずることを求める訴訟をいう。

一 行政庁が一定の処分をすべきであるにかかわらずこれがされないとき(次号に掲げる場合を除く。)。

二 行政庁に対し一定の処分又は裁決を求める旨の法令に基づく申請又は審査請求がされた場合において、当該行政庁がその処分又は裁決をすべきであるにかかわらずこれがされないとき。

7 この法律において「差止めの訴え」とは、行政庁が一定の処分又は裁決をすべきでないにかかわらずこれがされようとしている場合において、行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを求める訴訟をいう。

 

 

道路運送法

(輸送の安全等)

第二十七条 一般旅客自動車運送事業者は、事業計画(路線定期運行を行う一般乗合旅客自動車運送事業者にあつては、事業計画及び運行計画)の遂行に必要となる員数の運転者の確保、事業用自動車の運転者がその休憩又は睡眠のために利用することができる施設の整備、事業用自動車の運転者の適切な勤務時間及び乗務時間の設定その他の運行の管理その他事業用自動車の運転者の過労運転を防止するために必要な措置を講じなければならない。

2 一般旅客自動車運送事業者は、事業用自動車の運転者が疾病により安全な運転ができないおそれがある状態で事業用自動車を運転することを防止するために必要な医学的知見に基づく措置を講じなければならない。

3 前二項に規定するもののほか、一般旅客自動車運送事業者は、事業用自動車の運転者、車掌その他旅客又は公衆に接する従業員(次項において「運転者等」という。)の適切な指導監督、事業用自動車内における当該事業者の氏名又は名称の掲示その他の旅客に対する適切な情報の提供その他の輸送の安全及び旅客の利便の確保のために必要な事項として国土交通省令で定めるものを遵守しなければならない。

4 国土交通大臣は、一般旅客自動車運送事業者が、第二十二条の二第一項、第四項若しくは第六項、第二十三条第一項、第二十三条の五第二項若しくは第三項若しくは前三項の規定又は安全管理規程を遵守していないため輸送の安全又は旅客の利便が確保されていないと認めるときは、当該一般旅客自動車運送事業者に対し、運行管理者に対する必要な権限の付与、必要な員数の運転者の確保、施設又は運行の管理若しくは運転者等の指導監督の方法の改善、旅客に対する適切な情報の提供、当該安全管理規程の遵守その他その是正のために必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。

5 一般旅客自動車運送事業者の事業用自動車の運転者及び運転の補助に従事する従業員は、運行の安全の確保のために必要な事項として国土交通省令で定めるものを遵守しなければならない。

 

 

(許可の取消し等)

第四十条 国土交通大臣は、一般旅客自動車運送事業者が次の各号のいずれかに該当するときは、六月以内において期間を定めて自動車その他の輸送施設の当該事業のための使用の停止若しくは事業の停止を命じ、又は許可を取り消すことができる。

一 この法律若しくはこの法律に基づく命令若しくはこれらに基づく処分又は許可若しくは認可に付した条件に違反したとき。

二 正当な理由がないのに許可又は認可を受けた事項を実施しないとき。

三 第七条第一号、第七号又は第八号に該当することとなつたとき。

第四十一条 国土交通大臣は、前条の規定により事業用自動車の使用の停止又は事業の停止を命じたときは、当該事業用自動車の道路運送車両法による自動車検査証を国土交通大臣に返納し、又は当該事業用自動車の同法による自動車登録番号標及びその封印を取り外した上、その自動車登録番号標について国土交通大臣の領置を受けるべきことを命ずることができる。

2 国土交通大臣は、前条の規定による事業用自動車の使用の停止又は事業の停止の期間が満了したときは、前項の規定により返納を受けた自動車検査証又は同項の規定により領置した自動車登録番号標を返付しなければならない。

3 前項の規定により自動車登録番号標(次項に規定する自動車に係るものを除く。)の返付を受けた者は、当該自動車登録番号標を当該自動車に取り付け、国土交通大臣の封印の取付けを受けなければならない。

4 国土交通大臣は、第一項の規定による命令に係る自動車であつて、道路運送車両法第十六条第一項の申請(同法第十五条の二第五項の規定により申請があつたものとみなされる場合を含む。)に基づき一時抹消登録をしたものについては、前条の規定による事業用自動車の使用の停止又は事業の停止の期間が満了するまでは、同法第十八条の二第一項本文の登録識別情報を通知しないものとする。

 

 

       主   文

 

 1 原告らの甲事件の訴えのうち,公示処分の一部取消しを求める主位的請求及び輸送施設の使用停止等の処分の差止請求に係る各部分をいずれも却下する。

 2 各原告と被告との間において,当該原告が,その営業所に属する日勤勤務運転者を,それぞれ,1乗務(出庫から帰庫までの連続した乗務と認められるものをいう。)当たりの乗務距離(高速自動車国道及び自動車専用道路を利用した距離を含む。ただし,高速自動車国道及び自動車専用道路を1回の利用において連続して50キロメートル以上利用した場合にあっては,当該利用の距離にかかわらず,50キロメートルを利用したものとみなして乗務距離に算入する。)が250キロメートルを超えても事業用自動車に乗務させることができる地位にあることを確認する。

 3 近畿運輸局長が,原告Cに対して平成23年7月6日付けでした,輸送施設の使用停止処分を取り消す。

 4 訴訟費用は,原告Aに生じた費用の3分の1及び被告に生じた費用の10分の1を同原告の負担とし,原告Bに生じた費用の3分の1及び被告に生じた費用の10分の1を同原告の負担とし,原告Cに生じた費用の4分の1及び被告に生じた費用の10分の1を同原告の負担とし,その余は被告の負担とする。

 

       事実及び理由

 

第1請求

 1 甲事件

  (1)ア 主位的請求

     近畿運輸局長が,平成21年12月16日付けでした一般乗用旅客自動車運送事業の最高乗務距離の指定地域及び最高限度を定める公示処分(近運自二公示第60号)のうち,原告Bについては大阪市域交通圏につき,原告Aについては京都市(ただし,平成17年4月1日に編入された旧北桑田郡京北町の区域を除く。)につき,原告Cについては神戸市域交通圏につき,それぞれ,日勤勤務運転者の1乗務当たりの乗務距離の最高限度を250キロメートルと定めた部分を取り消す。

   イ 予備的請求

     主文第2項同旨

  (2) 近畿運輸局長は,原告らに対し,その営業所に属する日勤勤務運転者を,それぞれ,1乗務(出庫から帰庫までの連続した乗務と認められるものをいう。)当たりの乗務距離(高速自動車国道及び自動車専用道路を利用した距離を含む。ただし,高速自動車国道及び自動車専用道路を1回の利用において連続して50キロメートル以上利用した場合にあっては,当該利用の距離にかかわらず,50キロメートルを利用したものとみなして乗務距離に算入する。)が250キロメートルを超えて事業用自動車に乗務させたことを理由として,道路運送法40条に基づく自動車その他の輸送施設の当該事業のための使用の停止若しくは事業の停止,又は許可の取消しの各処分をしてはならない。

 2 乙事件

   主文第3項同旨

第2 事案の概要

 1 甲事件は,一般乗用旅客自動車運送事業(タクシー事業)を営む原告らが,乗務距離の最高限度を定める旅客自動車運送事業運輸規則(以下「運輸規則」という。)22条は違憲ないし違法であり,また同条に基づき近畿運輸局長が定めた平成21年12月16日付け公示(近運自二公示第60号。以下「本件公示」という。)も違法であるなどとして,①主位的には本件公示が行政事件訴訟法3条2項にいう処分に当たることを前提に,本件公示のうち日勤勤務運転者の1乗務当たりの乗務距離の最高限度を250キロメートルと定めた部分の取消しを,予備的には行政事件訴訟法4条にいう当事者訴訟として,本件公示にかかわらず,各原告の日勤勤務運転者に対し,1乗務当たり250キロメートルを超えて乗務させることのできる地位にあることの確認をそれぞれ求め,さらに,②道路運送法(以下「法」という。)40条に基づく自動車その他の輸送施設の当該事業のための使用の停止若しくは事業の停止,又は許可の取消しの各処分(以下「各不利益処分」という。)の差止めを求めている事案である。

   乙事件は,一般乗用旅客自動車運送事業を営む原告Cが,本件公示の定める乗務距離の最高限度を超えて運転者を事業用自動車に乗務させていたことを理由に,近畿運輸局長から,法40条に基づき輸送施設の使用停止処分(以下「本件使用停止処分」という。)を受けたところ,本件使用停止処分の根拠となった運輸規則22条,本件公示及び処分基準が違憲ないし違法であるなどとして,本件使用停止処分の取消しを求めている事案である。

   なお,書証に関し,併合前の乙事件においても同一内容の書証が提出されているものについて,重ねて乙事件の書証を引用することはしない。また,特に断らない限り,枝番がある書証について書証番号は全枝番号を含む。

すし処杉事件・被告に雇用されて就労していた原告らが,被告に対し,①原告の一方は,時間外割増賃金・付加金の各支払を,②相原告は,時間外割増賃金・付加金,解雇予告手当金・付加金,転居に伴う敷金相当額の各支払を,それぞれ求めた事案。

 

 

              割増金等請求事件

【事件番号】      大阪地方裁判所判決/昭和55年(ワ)第5884号、昭和55年(ワ)第5885号

【判決日付】      昭和56年3月24日

【判示事項】      被告に雇用されて就労していた原告らが,被告に対し,①原告の一方は,時間外割増賃金・付加金の各支払を,②相原告は,時間外割増賃金・付加金,解雇予告手当金・付加金,転居に伴う敷金相当額の各支払を,それぞれ求めた事案。

裁判所は,被告は原告らに対する時間外割増賃金支払義務を負っているのにこれを支払わないとして同割増賃金及び同額の付加金請求を認め,相原告請求について,予告期間なしに解雇していることから解雇予告手当金及び同額の付加金請求を認めたが,その解雇が解雇権を濫用したものとは認められず,本件解雇とは無関係の敷金請求は認められないとして,敷金請求を棄却した事例

【掲載誌】        労働経済判例速報1091号3頁

 

 

労働基準法

(時間外、休日及び深夜の割増賃金)

第三十七条 使用者が、第三十三条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。ただし、当該延長して労働させた時間が一箇月について六十時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の五割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

② 前項の政令は、労働者の福祉、時間外又は休日の労働の動向その他の事情を考慮して定めるものとする。

③ 使用者が、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、第一項ただし書の規定により割増賃金を支払うべき労働者に対して、当該割増賃金の支払に代えて、通常の労働時間の賃金が支払われる休暇(第三十九条の規定による有給休暇を除く。)を厚生労働省令で定めるところにより与えることを定めた場合において、当該労働者が当該休暇を取得したときは、当該労働者の同項ただし書に規定する時間を超えた時間の労働のうち当該取得した休暇に対応するものとして厚生労働省令で定める時間の労働については、同項ただし書の規定による割増賃金を支払うことを要しない。

④ 使用者が、午後十時から午前五時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後十一時から午前六時まで)の間において労働させた場合においては、その時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の二割五分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

⑤ 第一項及び前項の割増賃金の基礎となる賃金には、家族手当、通勤手当その他厚生労働省令で定める賃金は算入しない。

 

(解雇の予告)

第二十条 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。

② 前項の予告の日数は、一日について平均賃金を支払つた場合においては、その日数を短縮することができる。

③ 前条第二項の規定は、第一項但書の場合にこれを準用する。

 

(付加金の支払)

第百十四条 裁判所は、第二十条、第二十六条若しくは第三十七条の規定に違反した使用者又は第三十九条第九項の規定による賃金を支払わなかつた使用者に対して、労働者の請求により、これらの規定により使用者が支払わなければならない金額についての未払金のほか、これと同一額の付加金の支払を命ずることができる。ただし、この請求は、違反のあつた時から五年以内にしなければならない。

 

 

 

 

取締役を選任する旨の株主総会決議が不存在である場合とその後の取締役を選任する旨の株式総会の決議の効力

 

 

地位確認等請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/昭和60年(オ)第1529号

【判決日付】      平成2年4月17日

【判示事項】      取締役を選任する旨の株主総会決議が不存在である場合とその後の取締役を選任する旨の株式総会の決議の効力

【判決要旨】      取締役に選任する旨の決議が不存在である場合に、その者を構成員の一員とする取締役会で選任された代表取締役が、その取締役会の招集決定に基づき招集した株主総会において取締役を選任する旨の決議がされたときは、右決議は、いわゆる全員出席総会においてされたなど特段の事情がない限り、不存在である。

【参照条文】      商法231

             商法252(昭和56年法律第74号による改正前のもの)

             商法254-1

             商法258-1

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集44巻3号526頁

 

 

会社法

(株主総会等の決議の不存在又は無効の確認の訴え)

第八百三十条 株主総会若しくは種類株主総会又は創立総会若しくは種類創立総会(以下この節及び第九百三十七条第一項第一号トにおいて「株主総会等」という。)の決議については、決議が存在しないことの確認を、訴えをもって請求することができる。

2 株主総会等の決議については、決議の内容が法令に違反することを理由として、決議が無効であることの確認を、訴えをもって請求することができる。

 

(株主総会の招集の通知)

第二百九十九条 株主総会を招集するには、取締役は、株主総会の日の二週間(前条第一項第三号又は第四号に掲げる事項を定めたときを除き、公開会社でない株式会社にあっては、一週間(当該株式会社が取締役会設置会社以外の株式会社である場合において、これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間))前までに、株主に対してその通知を発しなければならない。

2 次に掲げる場合には、前項の通知は、書面でしなければならない。

一 前条第一項第三号又は第四号に掲げる事項を定めた場合

二 株式会社が取締役会設置会社である場合

3 取締役は、前項の書面による通知の発出に代えて、政令で定めるところにより、株主の承諾を得て、電磁的方法により通知を発することができる。この場合において、当該取締役は、同項の書面による通知を発したものとみなす。

4 前二項の通知には、前条第一項各号に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。

(招集手続の省略)

第三百条 前条の規定にかかわらず、株主総会は、株主の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく開催することができる。ただし、第二百九十八条第一項第三号又は第四号に掲げる事項を定めた場合は、この限りでない。

 

国際電信電話株式会社の回線に通話料金が計算されないようパソコンで不正信号を送った上で国際通話を行ってその通話料金の支払を免れたことが、電子計算機使用詐欺罪にあたるとされた事例

 

 

電子計算機使用詐欺被告事件

【事件番号】      東京地方裁判所判決/平成6年(刑わ)第1870号

【判決日付】      平成7年2月13日

【判示事項】      国際電信電話株式会社の回線に通話料金が計算されないようパソコンで不正信号を送った上で国際通話を行ってその通話料金の支払を免れたことが、電子計算機使用詐欺罪にあたるとされた事例

【参照条文】      刑法246の2

【掲載誌】        判例時報1529号158頁

             刑事裁判資料273号259頁

 

 

刑法

(電子計算機使用詐欺)

第二百四十六条の二 前条に規定するもののほか、人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り、又は財産権の得喪若しくは変更に係る虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供して、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者は、十年以下の懲役に処する。

 

       主   文

 

 被告人を懲役一年六月に処する。

 この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

 

広島県教育委員会事件・地方公務員法28条に基づく分限処分と任命権者の裁量権

 

 

              行政処分取消請求事件

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷判決/昭和43年(行ツ)第95号

【判決日付】      昭和48年9月14日

【判示事項】      一、地方公務員法28条に基づく分限処分と任命権者の裁量権

             二、地方公務員法28条1項3号にいう「その職に必要な適格性を欠く場合」の意義

             三、地方公務員法28条1項3号該当を理由とする分限処分が降任である場合の任命権者の裁量権

【判決要旨】      一、地方公務員法28条に基づく分限処分は、任命権者の純然たる自由裁量に委ねられているものではなく、分限制度の目的と関係のない目的や動機に基づいてされた場合、考慮すべき事項を考慮せず、考慮すべきでない事項を考慮して処分理由の有無が判断された場合、あるいは、その判断が合理性をもつものとして許容される限度を超えた場合には、裁量権の行使を誤ったものとして違法となる。

             二、地方公務員法28条1項3号にいう「その職に必要な適格性を欠く場合」とは、当該職員の簡単に矯正することのできない持続性を有する素質、能力、性格等に基因してその職務の円滑な遂行に支障があり、または支障を生ずる高度の蓋然性が認められる場合をいうものと解すべきである。

             三、地方公務員法28条1項3号に該当することを理由とする分限処分が降任である場合には、それが免職である場合に比して、適格性の有無についての任命権者の裁量的判断の余地を比較的広く認めても差支えない。

【参照条文】      地方公務員法28

             行政事件訴訟法30

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集27巻8号925頁

 

 

地方公務員法

(降任、免職、休職等)

第二十八条 職員が、次の各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは、その意に反して、これを降任し、又は免職することができる。

一 人事評価又は勤務の状況を示す事実に照らして、勤務実績がよくない場合

二 心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合

三 前二号に規定する場合のほか、その職に必要な適格性を欠く場合

四 職制若しくは定数の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合

2 職員が、次の各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは、その意に反して、これを休職することができる。

一 心身の故障のため、長期の休養を要する場合

二 刑事事件に関し起訴された場合

3 職員の意に反する降任、免職、休職及び降給の手続及び効果は、法律に特別の定めがある場合を除くほか、条例で定めなければならない。

4 職員は、第十六条各号(第二号を除く。)のいずれかに該当するに至つたときは、条例に特別の定めがある場合を除くほか、その職を失う。

 

 

行政事件訴訟法

(裁量処分の取消し)

第三十条 行政庁の裁量処分については、裁量権の範囲をこえ又はその濫用があつた場合に限り、裁判所は、その処分を取り消すことができる。