社債等振替法128条1項所定の振替株式についての会社法172条1項に基づく価格の決定の申立てを受けた会社が,裁判所における株式価格決定申立て事件の審理において,申立人が株主であることを争った場合における,社債等振替法154条3項所定の通知の要否
株式価格決定申立て却下決定に対する抗告審の取消決定に対する許可抗告事件
【事件番号】 最高裁判所第3小法廷決定/平成22年(許)第9号
【判決日付】 平成22年12月7日
【判示事項】 社債等振替法128条1項所定の振替株式についての会社法172条1項に基づく価格の決定の申立てを受けた会社が,裁判所における株式価格決定申立て事件の審理において,申立人が株主であることを争った場合における,社債等振替法154条3項所定の通知の要否
【判決要旨】 社債等振替法128条1項所定の振替株式についての会社法172条1項に基づく価格の決定の申立てを受けた会社が、裁判所における株式価格決定申立て事件の審理において、申立人が株主であることを争った場合には、その審理終結までの間に社債等振替法154条3項所定の通知がされることを要する。
【参照条文】 社債、株式等の振替に関する法律128-1
社債、株式等の振替に関する法律154-3
会社法172-1
【掲載誌】 最高裁判所民事判例集64巻8号2003頁
社債、株式等の振替に関する法律
第百二十八条 株券を発行する旨の定款の定めがない会社の株式(譲渡制限株式を除く。)で振替機関が取り扱うもの(以下「振替株式」という。)についての権利の帰属は、この章の規定による振替口座簿の記載又は記録により定まるものとする。
2 発行者が、その株式について第十三条第一項の同意を与えるには、発起人全員の同意又は取締役会の決議によらなければならない。
(少数株主権等の行使に関する会社法の特例)
第百五十四条 振替株式についての少数株主権等の行使については、会社法第百三十条第一項の規定は、適用しない。
2 前項の振替株式についての少数株主権等は、次項の通知がされた後政令で定める期間が経過する日までの間でなければ、行使することができない。
3 振替機関は、特定の銘柄の振替株式について自己又は下位機関の加入者からの申出があった場合には、遅滞なく、当該振替株式の発行者に対し、当該加入者の氏名又は名称及び住所並びに次に掲げる事項その他主務省令で定める事項の通知をしなければならない。
一 当該加入者の口座の保有欄に記載又は記録がされた当該振替株式(当該加入者が第百五十一条第二項第一号の申出をしたものを除く。)の数及びその数に係る第百二十九条第三項第六号に掲げる事項
二 当該加入者が他の加入者の口座における特別株主である場合には、当該口座の保有欄に記載又は記録がされた当該振替株式のうち当該特別株主についてのものの数及びその数に係る第百二十九条第三項第六号に掲げる事項
三 当該加入者が他の加入者の口座の質権欄に株主として記載又は記録がされた者である場合には、当該質権欄に記載又は記録がされた当該振替株式のうち当該株主についてのものの数及びその数に係る第百二十九条第三項第六号に掲げる事項
四 当該加入者が次条第三項の申請をした振替株式の株主である場合には、同条第一項に規定する買取口座に記載又は記録がされた当該振替株式のうち当該株主についてのものの数及びその数に係る第百二十九条第三項第六号に掲げる事項
4 加入者は、前項の申出をするには、その直近上位機関を経由してしなければならない。
5 第百五十一条第五項及び第六項の規定は、第三項の通知について準用する。この場合において、同条第六項中「第三項及び前項」とあるのは、「前項」と読み替えるものとする。
会社法
(裁判所に対する価格の決定の申立て)
第百七十二条 第百七十一条第一項各号に掲げる事項を定めた場合には、次に掲げる株主は、取得日の二十日前の日から取得日の前日までの間に、裁判所に対し、株式会社による全部取得条項付種類株式の取得の価格の決定の申立てをすることができる。
一 当該株主総会に先立って当該株式会社による全部取得条項付種類株式の取得に反対する旨を当該株式会社に対し通知し、かつ、当該株主総会において当該取得に反対した株主(当該株主総会において議決権を行使することができるものに限る。)
二 当該株主総会において議決権を行使することができない株主
2 株式会社は、取得日の二十日前までに、全部取得条項付種類株式の株主に対し、当該全部取得条項付種類株式の全部を取得する旨を通知しなければならない。
3 前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。
4 株式会社は、裁判所の決定した価格に対する取得日後の法定利率による利息をも支払わなければならない。
5 株式会社は、全部取得条項付種類株式の取得の価格の決定があるまでは、株主に対し、当該株式会社がその公正な価格と認める額を支払うことができる。