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法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

役に立つ裁判例の紹介、法律の本の書評です。弁護士経験32年。第二東京弁護士会所属21770

検察官の上訴と一事不再理の原則

 

 

              昭和二二年勅令第一號違反等被告事件

【事件番号】      最高裁判所大法廷判決/昭和24年(新れ)第22号

【判決日付】      昭和25年9月27日

【判示事項】      検察官の上訴と一事不再理の原則

【参照条文】      刑事訴訟法351

             憲法39

【掲載誌】        最高裁判所刑事判例集4巻9号1805頁

 

 

刑事訴訟法

第三百五十一条 検察官又は被告人は、上訴をすることができる。

② 第二百六十六条第二号の規定により裁判所の審判に付された事件と他の事件とが併合して審判され、一個の裁判があつた場合には、第二百六十八条第二項の規定により検察官の職務を行う弁護士及び当該他の事件の検察官は、その裁判に対し各々独立して上訴をすることができる。

 

憲法

第三十九条 何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない。

 

 

 

       主   文

 

 本件上告を棄却する。

 

       理   由

 

 弁護人金光邦三上告趣意は末尾に添附した別紙書面記載のとおりである。

 第一点について。

 元来一事不再理の原則は、何人も同じ犯行について、二度以上罪の有無に関する裁判を受ける危険に曝さるべきものではないという、根本思想に基くことは言うをまたぬ。そして、その危険とは、同一の事件においては、訴訟手続の開始から終末に至るまでの一つの継続的状態と見るを相当とする。されば、一審の手続も控訴審の手続もまた、上告審のそれも同じ事件においては、継続せる一つの危険の各部分たるにすぎないのである。従つて同じ事件においては、いかなる段階においても唯一の危険があるのみであつて、そこには二重危険(ダブル、ジエバーデイ)ないし二度危険(トワイス、ジエバーデイ)というものは存在しない。それ故に、下級審における無罪又は有罪判決に対し、検察官が上訴をなし有罪又はより重き刑の判決を求めることは、被告人を二重の危険に曝すものでもなく、従つてまた憲法三九条に違反して重ねて刑事上の責任を問うものでもないと言わなければならぬ。従つて論旨は、採用することを得ない。

 第二点について。

 所論は刑訴四〇五条に定むる上告理由を主張するものでないことは明らかであり、また所論主張事実を考慮しつつ全記録を検討してみても職権で原判決を破棄しなければ著しく正義に反するとまでは認められない。されば論旨は上告適法の理由を欠くものとして採ることができない。

 よつて刑訴四一四条同三九六条により主文のとおり判決する。

 以上は裁判官長谷川太一郎、同澤田竹治郎、同栗山茂、同齋藤悠輔、同藤田八郎を除く裁判官一致の意見である。

 論旨第一点に対する裁判官長谷川太一郎の補足意見は次のとおりである。

 論旨は、日本国憲法は英米法の思想を採り入れたものであること、及び日本国憲法三九條の英訳に二重危険の文字が用いられていることを根拠として、同条は米国憲法修正五条中に「何人も同一の犯罪に対し再び生命又は身体の危険に臨ましめられることはない」と同一趣旨であつて、英米法の二重危険の原則を採用したものであると主張する。元来二重危険の原則というのは、判決が確定した場合は勿論、未だ確定前の場合、又は未だ判決の言渡しはなくとも訴訟のある段階に逹した場合は、被告人にとつて二重危険の原由あるものとして、同一の犯罪について重ねて被告人の不利益に訴追されることはないものとして、被告人の地位の安定を保障するというのである。所論日本国憲法三九条後段の規定「同一の犯罪について重ねて刑事上の責任を問はれない」が二重危険の原則を示すものとすれば、同条前段の後半「既に無罪とされた行為については刑事上の責任を問はれない」もまた、当然二重危険の原則の内に含まれると言はなければならない。しかるに、所論同条の英訳を見るに、同条後段についてのみ二重危険の文字を用い同条前段の後半と区別している。もしも、同条が二重危険の原則をそのまま採用したものとすれば、同条の英訳において同条前段の後半と後段とを区別する必要なく、米国憲法修正五条と同様の文字を用いれば事足るわけである。しかるに、これを区別して英訳している点等に鑑みるときは、同条と米国憲法修正五条とが同一趣旨であるとはいい得ない。従つて所論英訳を根拠として日本国憲法三九条は所論二重危険の原則をそのまま採用したものであると断定することは早計である。そして被告人の地位の安定の保障は、判決確定の時に与えれば充分であつて、二重危険の原則が示すが如く、未だ判決が確定しない場合とか、訴訟のある段階に逹した場合において、地位の安定を保障することは我国情にてらし行き過ぎと言はなければならない。従つて、憲法制定に当つては、二重危険の原則をそのまま採用することをしなかつたと認めるのが相当である。論旨はさらに、新刑事訴訟法の制定に当り、被告人に不利益な再審制度が認められなかつたこと、及び、判決確定後再犯が発見された場合の宣告刑の変更に関する刑法五八條が廃止されたことは、被告人の地位の安定を保障する見地に基くものであつて、二重危険の原則を採用した憲法三九条の趣旨に添はんとすもるものであると主張する。しかし、これ等は憲法三九条が一事不再理の原則をかかげた為めであつて、二重危険の原則を採用した為めではない。なお論旨は新刑事訴訟法が第一審の審理を叮重にし、且つ、第一審判決において禁錮以上の刑に処する判決の言渡しがあつたときは、保釈又は勾留の執行停止は其効力を失うと規定しているのは、第一審判決の権威を確認したものであつて、其の反面にもはや第一審判決は被告人の不利益に変更される如き危険は禁止される法則が認められたものであると主張する。しかし、右は全く刑事政策上の理由によるものであつて、二重危険の原則を採用した為めではない。以上説明したとおり、日本国憲法三九条は、所論二重危険の原則をそのまま採用したものではなく、刑事訴訟が被告人に不利益な検事上訴制度を認めたとしても何等所論憲法の規定に反するものではない。従つて論旨は採用することを得ない。

 論旨第一点に対する裁判官澤田竹治郎、同齋藤悠輔の補足意見は次のとおりである。

 元来広義における「一事不再理」とは、通常訴訟手続において既に裁判所に係属した同一事件については、再び審理(勿論裁判も)を行わないという意味であつて、確定裁判の既判力の効果を指す狹義のものをいうものではない。(狹義では同一事件について前の確定裁判の確定した一定の法律関係と異つた内容の裁判をしてはならないという意味である。それ故、後の同一事件についても審理をした上、民事訴訟手続では前の確定裁判と同一内容の法律関係を基礎とした各場合の事情に適合する実体裁判をし、刑事訴訟手続では特に「免訴」という形式で前の確定裁判を再確認する実体裁判をするのである。すなわち、その意味において実体的な審理も裁判も行うのであつて、審理、裁判の手続を行わないという意味ではないのである。これを一般に一事不再理と呼ぶのは、実は正確でないばかりでなく、誤つた学説や判例を生む原因である。)すなわち、語義そのものとしては、「同一事件不再審理」の省略である。従つて、広義におけるとの原則は、通常訴訟手続では、後に裁判所に係属した同一事件の訴訟手続を廃止又は停止してこれを行わないという訴訟手続上の観念であり、もとより実体刑罰法上の責任を問わないという意味を持つものではない。そして、再審、非常上告等の非常訴訟手続は、狹義の一事不再理の原則を打破するため特に設けられた手続であるから、広義の一事不再理の原則も適用されないこというまでもないのである。米国憲法におけるいわゆる「二重危険の原則」は、死刑又は自由刑にあたる刑事事件の訴訟手続における寧ろ「広義の一事不再理の原則」に該当するもののようである。

 しかるに、わが憲法三九条は、読んで字のごとく「刑事上の責任を問わない」というだけであつて、実体刑罰法上の責任(もとより民事上の責任や行政上の責任等は含まれない)に関する規定であり、一事不再理のような訴訟手続に関する原則等を直接規定した規定ではない。ことに同条後段は、同一犯罪行為につき、同一人に対し、二重の刑事責任(これを実体刑罰法上の意味における「二重危険」と飜訳しても差支えない。)を問わないという三歳の国民にもわかるような実体刑罰法上の原則を定めたに過ぎないものである。何もこの条文を事々しく解釈して「刑事訴訟法的な一事不再理の原則を憲法的な保障にまで高めると共にこれを拡張強化した」と見るべき根拠も必要もないのである。されば、同条の趣旨は、実行の時に適法であつた行為は、犯罪ではないから、後に立法等を以てこれが刑事上の責任を問うてはならないし、既に無罪とされた行為については、通常訴訟手続たると非常訴訟手続たるとを問わず刑事上の責任を問うてはならないし(それ故、被告人にその効果を及ぼさない、従つて、その刑事上の責任を問うものでない非常上告手続は許される。)また、同一の犯罪について、同一人を二重に処罰してはならないが、その犯罪について確定判決があつても、他の共犯者を罰し若しくは同一被告人の利益たると不利益たるとを問わず、非常手続を以て本来負担すべき相当の刑事上の責任を問うことは妨げないとするにある。従つて、わが新立法において、被告人の利益のための再審手続を維持したのは当然であるが、被告人の不利益のための再審手続規定(無罪を有罪とする場合を除く。)並びに刑法五八条を廃止したのは、全く条理に背く、明白な誤解であり、極めて顯著な「行過ぎ」の一例である。

 そして、新刑訴における控訴制度は、同一事件の続審手続であつて、もとより、同一犯罪について、重ねて刑事上の責任を問うものではない。それ故、検事上訴制度を認めた刑事訴訟は、何等憲法三九条に違反するところない。

 論旨第一点に対する裁判官藤田八郎の少数意見は次のとおりである。

 憲法三九条は「何人も………………既に無罪とされた行為については、刑事上の責任は問われない。又同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問われない」と規定している。

 即ち一旦無罪とされた行為に対し後に有罪の裁判をすることを禁じ一旦有罪として処罰された行為に対しては重ねて処罰すること(二重処罰)を禁ずる趣旨を明らかにしているのであるが、その一旦無罪とされ、若しくは有罪として処罰されたことは、確定の裁判によつてその有罪無罪なることが終局的に確定した場合をいうのであつて、事件が訴訟手続進行の中途にあつて、有罪無罪の裁判が宣告されてもその効力が未確定浮動の状態にある場合のごときはこれを含まないと解すべきである。従つて、かかる裁判に対して検事が上訴してさらに、上級審の裁判を求めるがごときことは、何ら右憲法の条規に触れるところはないのである。

 論旨第一点に関する裁判官栗山茂の意見は次のとおりである。

 憲法三九条末段の何人も同一の犯罪について重ねて刑事上の責任を問はれないという規定を、既に有罪とされた行為について二重に処罰されない趣旨と解するだけでは狹きに失する。公訴の取消後同一事件について公訴を提起することも(刑訴三四〇条参照)この保障によつて阻止さるべきものであるから、右末段の趣旨は同一の犯罪について二重に訴追(Second Prosecution)されないことに対する保障と解すべきものと思う。

 憲法三九条末段の規定が普通法の二重危険の原則を踏襲したものとしても、(実は二重危険の原則を踏襲したものとすれば三九条末段ばかりでなく、後段全部に及ぶべきものである)、これが日本国憲法に移植されて、それを一事不再理の法諺に還元するだけでは憲法上の保障としてはその意義不明瞭であり、殊にそれを多数意見のように解するとすれば狹きに失すると思う。

 まず最初に、我刑事訴訟手続の建前から、右三九条末段の問責がどの段階で始まるかが問題である。元来本件の人権も、三七条、三八条等の人権と等しくなるべく刑事被告人に有利に解釈するのが憲法本来の趣旨に合するものであるから、之を二重追訴に対する保障と解すべきこと前に述べたとおりである。従つて公訴が裁判所に繋属したとき(單に公訴が提起されたときではない。)に右問責の状態が始まつたものと解すべきであろう。論旨は米法流の二重危険の原則がそのまま適用されるとすれば上訴を以て一つの継続した訴訟ではないということになるという主張に帰する。しかし我刑事訴訟手続では上訴少くとも控訴審を以て非常救済の手段としていないのであつて、一連の訴訟手続の一部としているのである。控訴審が一連の訴訟手続の一部である以上は、同一問責の状態は継続するものであるから、第一審の判決に対し検事が被告人に不利益な上訴をしても二重問責の問題を生じないのである。

 前記憲法三九条末段の権利は、刑事被告人に対し保障された権利であつて、憲法三七条、三八条一項の権利のように被告人が抛棄しうる権利であるから、再審は被告人としては重ねて責任を問はれることになるけれども、被告人にとつて有利な場合は被告人は右権利を抛棄したものとして、立法者は新法において被告人に不利益な再審の請求を認めないことにしたものと解する。憲法三九条保障の当然の結果である。卑見によれば、新法においては、上告は非常救済の手段たる性格を多分に帶びるに至つたものであるから、再審同様に被告人に不利益な検事上告は認むべきものでないと思う。尤もこれも憲法三九条末段の解釈の問題ではないから敢て憲法適否の問題を生ずるものではない。

 以上の理由で論旨の採用すべからざることは明である。

 

 

所得税法59条1項1号の規定の趣旨(原審判決引用)


課税処分取消請求控訴事件
【事件番号】    東京高等裁判所判決/平成13年(行コ)第99号
【判決日付】    平成13年8月8日
【判示事項】    (1) 所得税法59条1項1号の規定の趣旨(原審判決引用)
          (2) 所得税法59条1項1号(贈与等の場合の譲渡所得等の特例)は、限定承認の場合において相続財産が相続債務を超えることが判明した場合に超過分の財産についても課税されることになり、単純承認した場合よりも限定承認をしたために課税額が増加するなど、相続人に不利益を生じさせているから、相続財産が相続債務を超える場合に、相続人に不利益を生じさせるときには、同規定を適用するべきではないとの納税者の主張が、民法は、相続人によって得た財産の限度でのみ責任を負えば足り、残債務を自己の固有財産で弁済する必要がないこととするために限定承認制度を設けたものであるところ、所得税法59条1項1号が適用されることによって、相続人は相続により取得した財産の範囲内で、みなし譲渡所得課税により課税された所得税を含めた相続債務を弁済する義務を負うにすぎないこととなり、相続財産が相続債務を超えるか否かにかかわらず、限定承認をした相続人が相続財産の限度を超えて負担することはなくなるのであるから、同規定が民法の趣旨に反して相続人に不利益を課すものとまではいえないことは明らかであるとして排斥された事例(原審判決引用)
          (3) 相続財産が相続債務を超えた場合に、単純承認に係る相続であるとして計算した相続人の相続税額と所得税額の合計額が、限定承認に係る相続であるとして所得税法59条1項1号を適用して計算した相続人の納付すべき相続税額と所得税額の合計額よりも低廉になる場合には、単純承認に係る相続であるとして課税すべきであるという納税者の主張がそのように解すべき根拠となる法令上の規定は存在せず、また、同規定を適用した結果、相続人が相続財産の限度額を超えて相続債務を負担することとならない限り、限定承認制度の趣旨に反するものとも解されないとして排斥された事例(原審判決引用)
          (4) 民法921条3号は、相続人が限定承認した後でも,相続財産の全部又は一部を隠匿したとき、私に相続財産を消費したとき又は悪意で相続財産を財産目録中に記載しないときは、単純承認とみなすことを規定するが、右の趣旨は、右の各行為は、相続債権者等に対する背信的行為であって、そのような行為をした不誠実な相続人には限定承認の利益を与える必要はないとの趣旨に基づいて設けられたものと解されるとされた事例(原審判決引用)
          (5) 納税者が行った限定承認は、相続債権者への催告もせず、また相続財産の一部を自己のために消費しているから「私にこれ消費し(民法921条3号)」ている場合に該当し、限定承認は成立せず単純承認したものとみなされることから、所得税法59条1項1号にもとづくみなし譲渡課税は違法であるとの納税者の主張が、催告の手続違反は限度承認自体の効力に影響を及ぼすものではなく、みだりに相続財産を消費したものではないから「私にこれを消費し」た場合に骸当しないなどとして排斥された事例(原審判決引用)
【判決要旨】    (1) 所得税法59条1項1号の規定は、限定承認制度が設けられた趣旨を尊重し、被相続人の所有期間中における資産の値上がり益を被相続人の所得として課税し、これに係る所得税額を被相続人の債務として清算するために、当該財産のうち、譲渡所得の基因となる資産については相続開始時点におけるその価額に相当する金額による譲渡があったものとみなして被相続人に対する譲渡所得課税を行うこととし、これにより、相続人は、右によって課税された所得税を含めた相続債務を弁済する義務を負うものの、相続財産が相続債務を超えるか否かにかかわらず、相続財産の限度を超えて被相続人の債務を負担することはないこととしている(国税通則法5条1項後段)。
          (2)~(5) 省略
【掲載誌】     税務訴訟資料251号順号8957


所得税法
(贈与等の場合の譲渡所得等の特例)
第五十九条 次に掲げる事由により居住者の有する山林(事業所得の基因となるものを除く。)又は譲渡所得の基因となる資産の移転があつた場合には、その者の山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、その事由が生じた時に、その時における価額に相当する金額により、これらの資産の譲渡があつたものとみなす。
一 贈与(法人に対するものに限る。)又は相続(限定承認に係るものに限る。)若しくは遺贈(法人に対するもの及び個人に対する包括遺贈のうち限定承認に係るものに限る。)
二 著しく低い価額の対価として政令で定める額による譲渡(法人に対するものに限る。)
2 居住者が前項に規定する資産を個人に対し同項第二号に規定する対価の額により譲渡した場合において、当該対価の額が当該資産の譲渡に係る山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算上控除する必要経費又は取得費及び譲渡に要した費用の額の合計額に満たないときは、その不足額は、その山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算上、なかつたものとみなす。


国税通則法
(相続による国税の納付義務の承継)
第五条1項 相続(包括遺贈を含む。以下同じ。)があつた場合には、相続人(包括受遺者を含む。以下同じ。)又は民法(明治二十九年法律第八十九号)第九百五十一条(相続財産法人の成立)の法人は、その被相続人(包括遺贈者を含む。以下同じ。)に課されるべき、又はその被相続人が納付し、若しくは徴収されるべき国税(その滞納処分費を含む。次章、第三章第一節(国税の納付)、第六章(附帯税)、第七章第一節(国税の更正、決定等の期間制限)、第七章の二(国税の調査)及び第十一章(犯則事件の調査及び処分)を除き、以下同じ。)を納める義務を承継する。この場合において、相続人が限定承認をしたときは、その相続人は、相続によつて得た財産の限度においてのみその国税を納付する責めに任ずる。

 

他人の権利を譲り受けて訴訟等の手段によってその権利の実行をすることを業とする行為が弁護士法七三条に違反するとはいえない場合

 

 

預託金返還請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/平成12年(受)第828号

【判決日付】      平成14年1月22日

【判示事項】      他人の権利を譲り受けて訴訟等の手段によってその権利の実行をすることを業とする行為が弁護士法七三条に違反するとはいえない場合

【判決要旨】      他人の権利を譲り受けて訴訟等の手段によってその権利の実行をすることを業とする行為であっても、みだりに訴訟を誘発するなど国民の法律生活上の利益に対する弊害が生ずるおそれがなく、社会的経済的に正当な業務の範囲内にあると認められる場合には、弁護士法七三条に違反するものではない。

【参照条文】      弁護士法73

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集56巻1号123頁

 

 

弁護士法

(譲り受けた権利の実行を業とすることの禁止)

第七十三条 何人も、他人の権利を譲り受けて、訴訟、調停、和解その他の手段によつて、その権利の実行をすることを業とすることができない。

 

 

 

       主   文

 

 原判決を破棄する。

 本件を東京高等裁判所に差し戻す。

 

       理   由

 

 上告代理人高山征治郎の上告受理申立て理由について

 1 原審の確定した事実関係は,次のとおりである。

 (1) Aは,昭和60年4月,被上告人との間で被上告人の経営するゴルフクラブである埼玉ゴルフクラブ(以下「本件クラブ」という。)への入会契約を締結し,預託金900万円を支払って,本件クラブの個人正会員権(以下「本件会員権」という。)を取得した。

 本件クラブの会則により,預託金は,ゴルフ場の正式開場の日から10年間据え置き,その後,退会の際に返還する旨定められていたが,平成11年6月までに据置期間は経過した。

 (2) Aは,平成11年6月2日ないし4日ころ,本件会員権を株式会社住地ゴルフに700万円で譲渡し,名義書換えに関係する一件書類として,会員資格保証金預り証,印鑑登録証明書並びにいずれもAの署名押印のあるゴルフ会員権譲渡通知書及び退会届等を交付した。その際,Aは,本件会員権の最終譲受人に対し,Aに代わってゴルフ会員権譲渡通知書及び退会届を被上告人に提出する権限を与えた。

 株式会社住地ゴルフは,同月4日,株式会社アルテックに対し,本件会員権を725万円で譲渡して前記一件書類を交付し,同社は,同日,上告人に対し,本件会員権を800万円で譲渡して同書類を交付した。

 (3) 本件クラブの会則には,会員権の譲渡には,本件クラブの理事会の承認を受けるなどの手続を要すると規定されているが,上告人はこの手続を経ていない。

 (4) 上告人は,Aに代わって,被上告人に対し,平成11年6月5日ころ,前記退会届を提出し,同月7日ころ,前記ゴルフ会員権譲渡通知書により,Aが上告人に本件会員権を譲渡した旨を通知した。

上告人は,被上告人に対して,同月10日に到達した内容証明郵便をもって預託金の返還を請求し,同年7月5日,預託金の返還を求める本件訴訟を提起した。

 (5) 上告人は,ゴルフ会員権の売買等を業とする会社であるが,利益を得る目的で,預託金の額を下回る価格でゴルフ会員権を譲り受け,ゴルフ場経営会社を被告として預託金の返還を求める訴訟を提起するという行為を反復継続の意思の下に行っており,東京地方裁判所に提起したものだけでも,本件以外に4,5件の同種訴訟がある。本件会員権の購入も同様の行為の一環としてされたものである。

 2 原審は,上記事実関係の下において,次のとおり判示し,上告人の請求を棄却すべきものとした。

 (1) 上告人は,会員権の譲渡について本件クラブの理事会の承認を受けていないから,会員権に基づく権利を行使することができず,自ら被上告人に対して預託金の返還請求をすることはできない。また,ゴルフ会員権は契約上の地位であって,預託金返還請求権のみを分離して譲渡することはできないから,上告人は,預託金返還請求権のみを取得することができない。上告人がA作成に係る退会届を被上告人に送付したことは,上記の結論を左右しない。

 (2) 上告人は,上記1(5)のとおり,ゴルフ会員権を譲り受け,訴訟によって預託金の返還を求めることを業としており,本件会員権の購入もその一環としてされたものであるから,上告人による本件会員権の譲受けは,弁護士法73条に違反し無効である。

 3 しかしながら,原審の上記各判断はいずれも是認することができない。その理由は,次のとおりである。

 (1) 原審の上記2(1)の判断について

 上記事実関係によれば,本件会員権は,いわゆる預託金会員制ゴルフクラブの会員契約に基づく契約上の地位として,会則に従ってゴルフ場を利用し得る権利及び年会費納入等の義務と共に,会則に定める据置期間の経過後は,退会に伴って入会時に預託した預託金の返還を請求することができる権利を内容とするものと解される。したがって,会則に定める据置期間の経過後に,会員が被上告人に対して退会の意思表示をした場合には,退会によって会員契約が終了し,会員は,被上告人に対して預託金の返還を請求することができる。そして,本件クラブの会則には会員権の譲渡について理事会の承認等の手続を要するとの定めがあるが,これは会員契約が継続している場合の規定であるから,退会した会員が預託金返還請求権を譲渡することについて,この承認等の手続が必要となるものではない。

 そうすると,Aから上告人に至る本件会員権の譲渡は,本件クラブの理事会の承認等の手続を経ていないから,譲渡後においても,被上告人との関係では本件会員権を有する者はAであったというべきであるところ,上告人が前記A作成名義の退会届を同人に代わって被上告人に提出したことによって当該会員契約は終了し,Aは被上告人に対して預託金の返還を請求することができることになる。そして,本件の事実関係の下においては,退会によって行使が可能となる預託金返還請求権は,上記1(2)の各譲渡契約によって上告人に順次譲渡され,退会届の提出後,上記1(4)の譲渡通知によって,被上告人に譲渡の通知がされたものと解するのが相当である。したがって,上告人は,預託金返還請求権の取得を被上告人に対抗することができるものというべきである。

 以上によれば,原審の上記2(1)の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。

 (2) 原審の上記2(2)の判断について

 弁護士法73条の趣旨は,主として弁護士でない者が,権利の譲渡を受けることによって,みだりに訴訟を誘発したり,紛議を助長したりするほか,同法72条本文の禁止を潜脱する行為をして,国民の法律生活上の利益に対する弊害が生ずることを防止するところにあるものと解される。このような立法趣旨に照らすと,形式的には,他人の権利を譲り受けて訴訟等の手段によってその権利の実行をすることを業とする行為であっても,上記の弊害が生ずるおそれがなく,社会的経済的に正当な業務の範囲内にあると認められる場合には,同法73条に違反するものではないと解するのが相当である。

 これを本件についてみるに,ゴルフ会員権の売買には,ゴルフ会員権市場ともいうべき市場が存在し,その市場において多数の会員権の売買が日常的に行われていることは公知の事実である。そして,ゴルフ会員権の売買等を業とする者が,業として,上記市場から,会員権取引における通常の方法と価格で会員権を購入した上,ゴルフ場経営会社に対して社会通念上相当な方法で預託金の返還を求めたものであれば(記録によれば,上告人は,自己の行為がそのようなものであると主張していることが明らかである。),利益を得る目的で会員権を購入していたとしても,上記の見地から同条に違反するものではないと解される場合もあるというべきである。そうすると,上記1(5)の事実関係のみから,上告人の行為が同条に違反するものと即断することは許されず,さらに,上告人による本件会員権を含むゴルフ会員権の譲受けの方法・態様,権利実行の方法・態様,上告人の業務内容やその実態等を審理して,上告人の行為が濫訴を招いたり紛議を助長したりするおそれがないかどうかや同法72条本文が禁止する預託金の取立て代行業務等の潜脱行為に当たらないかどうかなどを含め,社会的経済的に正当な業務の範囲内の行為であるかどうかを判断する必要があるというべきである。

 以上によれば,原審の上記2(2)の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。

 4 以上のとおり,論旨は理由があり,原判決は破棄を免れない。

 そして,上告人の行為が弁護士法73条に違反するものであるかどうかについてさらに審理判断させるため,本件を原審に差し戻すこととする。

 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。

自動車内で死亡した人の死体を同車両で運搬する行為について隠匿による死体遺棄罪が成立する場合

 

 

死体遺棄,恐喝未遂被告事件

【事件番号】      福岡高等裁判所判決/令和3年(う)第65号

【判決日付】      令和3年6月25日

【判示事項】      1 自動車内で死亡した人の死体を同車両で運搬する行為について隠匿による死体遺棄罪が成立する場合

             2 自動車内で死亡した人の死体を積載したまま自動車を走行させて運搬した行為が死体遺棄罪に該当しないとされた事例

【判決要旨】      1 自動車内で死亡した人の死体を同車両で運搬する行為について隠匿による死体遺棄罪が成立するには,当該行為により,それ以前の状態に比較して単に死体発見が容易でなくなったというだけでは足りず,死体発見の困難さが,その程度においても,時間的にも,死者を悼み適時適切に埋葬することを妨げるに足りるものであることが必要である。

             2 A及びBが,従前からCに対し継続的に暴行を加えていたところ,Aが自動車を運転し,Bを迎えに行く最中に,同乗していたCが後部座席に座った状態で死亡した後,A及びBは,Cの死体を自動車に積載したまま,被告人と死体の処理について電話で相談しながら,約1時間後に119番通報をするまで運搬したという事案において,A及びBが,Cの死亡の経緯について口裏合わせをする時間稼ぎをするとともに,その間,Cの死体発見を免れることも含めて,Cの死亡に係る事件性が発覚しないようにする意思であったが,死亡後短時間のうちに死亡の事実を公にしており,この間,死体の状況を変容させるような作為はなされず,本件行為による場所の移動及び時間の経過により,身元が不明になったり,死体が腐敗変質するなど宗教風俗上許されない事態も発生していないなどの判示の状況の下においては,A及びBがCの死体を運搬した行為は,死体遺棄罪にいう遺棄に当たらない。

【掲載誌】        高等裁判所刑事判例集73巻1号6頁

             LLI/DB 判例秘書登載

 

 

刑法

(殺人)

第百九十九条 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。

 

(死体損壊等)

第百九十条 死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三年以下の懲役に処する。

 

 

売買契約の目的物である土地の土壌に,上記売買契約締結後に法令に基づく規制の対象となったふっ素が基準値を超えて含まれていたことが,民法570条にいう瑕疵に当たらないとされた事例

 

 

              損害賠償請求,民訴法260条2項の申立て事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/平成21年(受)第17号、平成21年(オ)第17号

【判決日付】      平成22年6月1日

【判示事項】      売買契約の目的物である土地の土壌に,上記売買契約締結後に法令に基づく規制の対象となったふっ素が基準値を超えて含まれていたことが,民法570条にいう瑕疵に当たらないとされた事例

【判決要旨】      売買契約の目的物である土地の土壌に,上記売買契約締結後に法令に基づく規制の対象となったふっ素が基準値を超えて含まれていたことは,①上記売買契約締結当時の取引観念上,ふっ素が土壌に含まれることに起因して人の健康に係る被害を生ずるおそれがあるとは認識されておらず,②上記売買契約の当事者間において,上記土地が備えるべき属性として,その土壌に,ふっ素が含まれていないことや,上記売買契約締結当時に有害性が認識されていたか否かにかかわらず,人の健康に係る被害を生ずるおそれのある一切の物質が含まれていないことが,特に予定されていたとみるべき事情もうかがわれないなど判示の事情の下においては,民法570条にいう瑕疵に当たらない。

【参照条文】      民法570

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集64巻4号953頁

 

 

民法

(買主の代金減額請求権)

第五百六十三条 前条第一項本文に規定する場合において、買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる。

2 前項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、買主は、同項の催告をすることなく、直ちに代金の減額を請求することができる。

一 履行の追完が不能であるとき。

二 売主が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示したとき。

三 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、売主が履行の追完をしないでその時期を経過したとき。

四 前三号に掲げる場合のほか、買主が前項の催告をしても履行の追完を受ける見込みがないことが明らかであるとき。

3 第一項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、前二項の規定による代金の減額の請求をすることができない。

(買主の損害賠償請求及び解除権の行使)

第五百六十四条 前二条の規定は、第四百十五条の規定による損害賠償の請求並びに第五百四十一条及び第五百四十二条の規定による解除権の行使を妨げない。

 

タックス・ヘイブン対策税制である租税特別措置法(平成12年改正前)66条の6第1項は,日星租税条約7条1項に違反するか

 

 

法人税更正処分取消等請求事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/平成20年(行ヒ)第91号

【判決日付】      平成21年10月29日

【判示事項】      いわゆるタックス・ヘイブン対策税制である租税特別措置法(平成12年法律第97号による改正前のもの)66条の6第1項は,日星(シンガポール)。租税条約7条1項に違反するか

【判決要旨】      いわゆるタックス・ヘイブン対策税制である租税特別措置法(平成12年法律第97号による改正前のもの)66条の6第1項は,日星租税条約7条1項に違反しない。

【参照条文】      租税特別措置法(平12法97号改正前)66の6

             租税特別措置法(平12法97号改正前)66の7

             所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とシンガポール共和国政府との間の協定7-1

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集63巻8号1881頁

 

 

 

租税特別措置法

第七節の四 内国法人の外国関係会社に係る所得等の課税の特例

第一款 内国法人の外国関係会社に係る所得の課税の特例

第六十六条の六 次に掲げる内国法人に係る外国関係会社のうち、特定外国関係会社又は対象外国関係会社に該当するものが、昭和五十三年四月一日以後に開始する各事業年度において適用対象金額を有する場合には、その適用対象金額のうちその内国法人が直接及び間接に有する当該特定外国関係会社又は対象外国関係会社の株式等(株式又は出資をいう。以下この条において同じ。)の数又は金額につきその請求権(剰余金の配当等(法人税法第二十三条第一項第一号に規定する剰余金の配当、利益の配当又は剰余金の分配をいう。以下この項及び次項において同じ。)を請求する権利をいう。以下この条において同じ。)の内容を勘案した数又は金額並びにその内国法人と当該特定外国関係会社又は対象外国関係会社との間の実質支配関係の状況を勘案して政令で定めるところにより計算した金額(次条及び第六十六条の八において「課税対象金額」という。)に相当する金額は、その内国法人の収益の額とみなして当該各事業年度終了の日の翌日から二月を経過する日を含むその内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入する。

一 内国法人の外国関係会社に係る次に掲げる割合のいずれかが百分の十以上である場合における当該内国法人

イ その有する外国関係会社の株式等の数又は金額(当該外国関係会社と居住者(第二条第一項第一号の二に規定する居住者をいう。以下この項及び次項において同じ。)又は内国法人との間に実質支配関係がある場合には、零)及び他の外国法人を通じて間接に有するものとして政令で定める当該外国関係会社の株式等の数又は金額の合計数又は合計額が当該外国関係会社の発行済株式又は出資(自己が有する自己の株式等を除く。同項、第六項及び第八項において「発行済株式等」という。)の総数又は総額のうちに占める割合

ロ その有する外国関係会社の議決権(剰余金の配当等に関する決議に係るものに限る。ロ及び次項第一号イ(2)において同じ。)の数(当該外国関係会社と居住者又は内国法人との間に実質支配関係がある場合には、零)及び他の外国法人を通じて間接に有するものとして政令で定める当該外国関係会社の議決権の数の合計数が当該外国関係会社の議決権の総数のうちに占める割合

ハ その有する外国関係会社の株式等の請求権に基づき受けることができる剰余金の配当等の額(当該外国関係会社と居住者又は内国法人との間に実質支配関係がある場合には、零)及び他の外国法人を通じて間接に有する当該外国関係会社の株式等の請求権に基づき受けることができる剰余金の配当等の額として政令で定めるものの合計額が当該外国関係会社の株式等の請求権に基づき受けることができる剰余金の配当等の総額のうちに占める割合

二 外国関係会社との間に実質支配関係がある内国法人

三 外国関係会社(内国法人との間に実質支配関係があるものに限る。)の他の外国関係会社に係る第一号イからハまでに掲げる割合のいずれかが百分の十以上である場合における当該内国法人(同号に掲げる内国法人を除く。)

四 外国関係会社に係る第一号イからハまでに掲げる割合のいずれかが百分の十以上である一の同族株主グループ(外国関係会社の株式等を直接又は間接に有する者及び当該株式等を直接又は間接に有する者との間に実質支配関係がある者(当該株式等を直接又は間接に有する者を除く。)のうち、一の居住者又は内国法人、当該一の居住者又は内国法人との間に実質支配関係がある者及び当該一の居住者又は内国法人と政令で定める特殊の関係のある者(外国法人を除く。)をいう。)に属する内国法人(外国関係会社に係る同号イからハまでに掲げる割合又は他の外国関係会社(内国法人との間に実質支配関係があるものに限る。)の当該外国関係会社に係る同号イからハまでに掲げる割合のいずれかが零を超えるものに限るものとし、同号及び前号に掲げる内国法人を除く。)

2 この条において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

一 外国関係会社 次に掲げる外国法人をいう。

イ 居住者及び内国法人並びに特殊関係非居住者(居住者又は内国法人と政令で定める特殊の関係のある第二条第一項第一号の二に規定する非居住者をいう。)及びロに掲げる外国法人(イにおいて「居住者等株主等」という。)の外国法人に係る次に掲げる割合のいずれかが百分の五十を超える場合における当該外国法人

(1) 居住者等株主等の外国法人(ロに掲げる外国法人を除く。)に係る直接保有株式等保有割合(居住者等株主等の有する当該外国法人の株式等の数又は金額がその発行済株式等の総数又は総額のうちに占める割合をいう。)及び居住者等株主等の当該外国法人に係る間接保有株式等保有割合(居住者等株主等の他の外国法人を通じて間接に有する当該外国法人の株式等の数又は金額がその発行済株式等の総数又は総額のうちに占める割合として政令で定める割合をいう。)を合計した割合

(2) 居住者等株主等の外国法人(ロに掲げる外国法人を除く。)に係る直接保有議決権保有割合(居住者等株主等の有する当該外国法人の議決権の数がその総数のうちに占める割合をいう。)及び居住者等株主等の当該外国法人に係る間接保有議決権保有割合(居住者等株主等の他の外国法人を通じて間接に有する当該外国法人の議決権の数がその総数のうちに占める割合として政令で定める割合をいう。)を合計した割合

(3) 居住者等株主等の外国法人(ロに掲げる外国法人を除く。)に係る直接保有請求権保有割合(居住者等株主等の有する当該外国法人の株式等の請求権に基づき受けることができる剰余金の配当等の額がその総額のうちに占める割合をいう。)及び居住者等株主等の当該外国法人に係る間接保有請求権保有割合(居住者等株主等の他の外国法人を通じて間接に有する当該外国法人の株式等の請求権に基づき受けることができる剰余金の配当等の額がその総額のうちに占める割合として政令で定める割合をいう。)を合計した割合

ロ 居住者又は内国法人との間に実質支配関係がある外国法人

ハ 第六号中「外国関係会社(特定外国関係会社に該当するものを除く。)」とあるのを「外国法人」として同号及び第七号の規定を適用した場合に同号に規定する外国金融機関に該当することとなる外国法人で、同号に規定する外国金融機関に準ずるものとして政令で定める部分対象外国関係会社との間に、当該部分対象外国関係会社が当該外国法人の経営管理を行つている関係その他の特殊の関係がある外国法人として政令で定める外国法人

二 特定外国関係会社 次に掲げる外国関係会社をいう。

イ 次のいずれにも該当しない外国関係会社

(1) その主たる事業を行うに必要と認められる事務所、店舗、工場その他の固定施設を有している外国関係会社(これらを有している外国関係会社と同様の状況にあるものとして政令で定める外国関係会社を含む。)

(2) その本店又は主たる事務所の所在する国又は地域(以下この項、第六項及び第八項において「本店所在地国」という。)においてその事業の管理、支配及び運営を自ら行つている外国関係会社(これらを自ら行つている外国関係会社と同様の状況にあるものとして政令で定める外国関係会社を含む。)

(3) 外国子会社(当該外国関係会社とその本店所在地国を同じくする外国法人で、当該外国関係会社の有する当該外国法人の株式等の数又は金額のその発行済株式等の総数又は総額のうちに占める割合が百分の二十五以上であることその他の政令で定める要件に該当するものをいう。)の株式等の保有を主たる事業とする外国関係会社で、その収入金額のうちに占める当該株式等に係る剰余金の配当等の額の割合が著しく高いことその他の政令で定める要件に該当するもの

(4) 特定子会社(前項各号に掲げる内国法人に係る他の外国関係会社で、部分対象外国関係会社に該当するものその他の政令で定めるものをいう。)の株式等の保有を主たる事業とする外国関係会社で、その本店所在地国を同じくする管理支配会社(当該内国法人に係る他の外国関係会社のうち、部分対象外国関係会社に該当するもので、その本店所在地国において、その役員(法人税法第二条第十五号に規定する役員をいう。次号及び第七号並びに第六項において同じ。)又は使用人がその主たる事業を的確に遂行するために通常必要と認められる業務の全てに従事しているものをいう。(4)及び(5)において同じ。)によつてその事業の管理、支配及び運営が行われていること、当該管理支配会社がその本店所在地国で行う事業の遂行上欠くことのできない機能を果たしていること、その収入金額のうちに占める当該株式等に係る剰余金の配当等の額及び当該株式等の譲渡に係る対価の額の割合が著しく高いことその他の政令で定める要件に該当するもの

(5) その本店所在地国にある不動産の保有、その本店所在地国における石油その他の天然資源の探鉱、開発若しくは採取又はその本店所在地国の社会資本の整備に関する事業の遂行上欠くことのできない機能を果たしている外国関係会社で、その本店所在地国を同じくする管理支配会社によつてその事業の管理、支配及び運営が行われていることその他の政令で定める要件に該当するもの

ロ その総資産の額として政令で定める金額(ロにおいて「総資産額」という。)に対する第六項第一号から第七号まで及び第八号から第十号までに掲げる金額に相当する金額の合計額の割合(第六号中「外国関係会社(特定外国関係会社に該当するものを除く。)」とあるのを「外国関係会社」として同号及び第七号の規定を適用した場合に外国金融子会社等に該当することとなる外国関係会社にあつては総資産額に対する第八項第一号に掲げる金額に相当する金額又は同項第二号から第四号までに掲げる金額に相当する金額の合計額のうちいずれか多い金額の割合とし、第六号中「外国関係会社(特定外国関係会社に該当するものを除く。)」とあるのを「外国関係会社」として同号及び第六項の規定を適用した場合に同項に規定する清算外国金融子会社等に該当することとなる外国関係会社の同項に規定する特定清算事業年度にあつては総資産額に対する同項に規定する特定金融所得金額がないものとした場合の同項第一号から第七号まで及び第八号から第十号までに掲げる金額に相当する金額の合計額の割合とする。)が百分の三十を超える外国関係会社(総資産額に対する有価証券(法人税法第二条第二十一号に規定する有価証券をいう。同項において同じ。)、貸付金その他政令で定める資産の額の合計額として政令で定める金額の割合が百分の五十を超える外国関係会社に限る。)

ハ 次に掲げる要件のいずれにも該当する外国関係会社

(1) 各事業年度の非関連者等収入保険料(関連者(当該外国関係会社に係る第四十条の四第一項各号に掲げる居住者、前項各号に掲げる内国法人その他これらの者に準ずる者として政令で定めるものをいう。(2)において同じ。)以外の者から収入するものとして政令で定める収入保険料をいう。(2)において同じ。)の合計額の収入保険料の合計額に対する割合として政令で定めるところにより計算した割合が百分の十未満であること。

(2) 各事業年度の非関連者等支払再保険料合計額(関連者以外の者に支払う再保険料の合計額を関連者等収入保険料(非関連者等収入保険料以外の収入保険料をいう。(2)において同じ。)の合計額の収入保険料の合計額に対する割合で按あん分した金額として政令で定める金額をいう。)の関連者等収入保険料の合計額に対する割合として政令で定めるところにより計算した割合が百分の五十未満であること。

ニ 租税に関する情報の交換に関する国際的な取組への協力が著しく不十分な国又は地域として財務大臣が指定する国又は地域に本店又は主たる事務所を有する外国関係会社

三 対象外国関係会社 次に掲げる要件のいずれかに該当しない外国関係会社(特定外国関係会社に該当するものを除く。)をいう。

イ 株式等若しくは債券の保有、工業所有権その他の技術に関する権利、特別の技術による生産方式若しくはこれらに準ずるもの(これらの権利に関する使用権を含む。)若しくは著作権(出版権及び著作隣接権その他これに準ずるものを含む。)の提供又は船舶若しくは航空機の貸付けを主たる事業とするもの(次に掲げるものを除く。)でないこと。

(1) 株式等の保有を主たる事業とする外国関係会社のうち当該外国関係会社が他の法人の事業活動の総合的な管理及び調整を通じてその収益性の向上に資する業務として政令で定めるもの(ロにおいて「統括業務」という。)を行う場合における当該他の法人として政令で定めるものの株式等の保有を行うものとして政令で定めるもの

(2) 株式等の保有を主たる事業とする外国関係会社のうち第七号中「部分対象外国関係会社」とあるのを「外国関係会社」として同号の規定を適用した場合に外国金融子会社等に該当することとなるもの(同号に規定する外国金融機関に該当することとなるもの及び(1)に掲げるものを除く。)

(3) 航空機の貸付けを主たる事業とする外国関係会社のうちその役員又は使用人がその本店所在地国において航空機の貸付けを的確に遂行するために通常必要と認められる業務の全てに従事していることその他の政令で定める要件を満たすもの

ロ その本店所在地国においてその主たる事業(イ(1)に掲げる外国関係会社にあつては統括業務とし、イ(2)に掲げる外国関係会社にあつては政令で定める経営管理とする。ハにおいて同じ。)を行うに必要と認められる事務所、店舗、工場その他の固定施設を有していること(これらを有していることと同様の状況にあるものとして政令で定める状況にあることを含む。)並びにその本店所在地国においてその事業の管理、支配及び運営を自ら行つていること(これらを自ら行つていることと同様の状況にあるものとして政令で定める状況にあることを含む。)のいずれにも該当すること。

ハ 各事業年度においてその行う主たる事業が次に掲げる事業のいずれに該当するかに応じそれぞれ次に定める場合に該当すること。

(1) 卸売業、銀行業、信託業、金融商品取引業、保険業、水運業、航空運送業又は物品賃貸業(航空機の貸付けを主たる事業とするものに限る。) その事業を主として当該外国関係会社に係る第四十条の四第一項各号に掲げる居住者、前項各号に掲げる内国法人その他これらの者に準ずる者として政令で定めるもの以外の者との間で行つている場合として政令で定める場合

(2) (1)に掲げる事業以外の事業 その事業を主としてその本店所在地国(当該本店所在地国に係る水域で政令で定めるものを含む。)において行つている場合として政令で定める場合

四 適用対象金額 特定外国関係会社又は対象外国関係会社の各事業年度の決算に基づく所得の金額につき法人税法及びこの法律による各事業年度の所得の金額の計算に準ずるものとして政令で定める基準により計算した金額(以下この号において「基準所得金額」という。)を基礎として、政令で定めるところにより、当該各事業年度開始の日前七年以内に開始した各事業年度において生じた欠損の金額及び当該基準所得金額に係る税額に関する調整を加えた金額をいう。

五 実質支配関係 居住者又は内国法人が外国法人の残余財産のおおむね全部を請求する権利を有している場合における当該居住者又は内国法人と当該外国法人との間の関係その他の政令で定める関係をいう。

六 部分対象外国関係会社 第三号イからハまでに掲げる要件の全てに該当する外国関係会社(特定外国関係会社に該当するものを除く。)をいう。

七 外国金融子会社等 その本店所在地国の法令に準拠して銀行業、金融商品取引業(金融商品取引法第二十八条第一項に規定する第一種金融商品取引業と同種類の業務に限る。)又は保険業を行う部分対象外国関係会社(これらの事業を行う部分対象外国関係会社と同様の状況にあるものとして政令で定める部分対象外国関係会社を含む。)でその本店所在地国においてその役員又は使用人がこれらの事業を的確に遂行するために通常必要と認められる業務の全てに従事しているもの(その本店所在地国においてその役員又は使用人が当該業務の全てに従事している部分対象外国関係会社と同様の状況にあるものとして政令で定めるものを含む。)(以下この号において「外国金融機関」という。)及び外国金融機関に準ずるものとして政令で定める部分対象外国関係会社をいう。

3 国税庁の当該職員又は内国法人の納税地の所轄税務署若しくは所轄国税局の当該職員は、内国法人に係る外国関係会社が前項第二号イ(1)から(5)までのいずれかに該当するかどうかを判定するために必要があるときは、当該内国法人に対し、期間を定めて、当該外国関係会社が同号イ(1)から(5)までに該当することを明らかにする書類その他の資料の提示又は提出を求めることができる。この場合において、当該書類その他の資料の提示又は提出がないときは、同項(同号イに係る部分に限る。)の規定の適用については、当該外国関係会社は同号イ(1)から(5)までに該当しないものと推定する。

4 国税庁の当該職員又は内国法人の納税地の所轄税務署若しくは所轄国税局の当該職員は、内国法人に係る外国関係会社が第二項第三号イからハまでに掲げる要件に該当するかどうかを判定するために必要があるときは、当該内国法人に対し、期間を定めて、当該外国関係会社が同号イからハまでに掲げる要件に該当することを明らかにする書類その他の資料の提示又は提出を求めることができる。この場合において、当該書類その他の資料の提示又は提出がないときは、同項(同号又は第六号に係る部分に限る。)の規定の適用については、当該外国関係会社は同項第三号イからハまでに掲げる要件に該当しないものと推定する。

5 第一項の規定は、同項各号に掲げる内国法人に係る次の各号に掲げる外国関係会社につき当該各号に定める場合に該当する事実があるときは、当該各号に掲げる外国関係会社のその該当する事業年度に係る適用対象金額については、適用しない。

一 特定外国関係会社 特定外国関係会社の各事業年度の租税負担割合(外国関係会社の各事業年度の所得に対して課される租税の額の当該所得の金額に対する割合として政令で定めるところにより計算した割合をいう。次号、第十項及び第十一項において同じ。)が百分の三十以上である場合

二 対象外国関係会社 対象外国関係会社の各事業年度の租税負担割合が百分の二十以上である場合

6 第一項各号に掲げる内国法人に係る部分対象外国関係会社(外国金融子会社等に該当するものを除く。以下この項及び次項において同じ。)が、平成二十二年四月一日以後に開始する各事業年度において、当該各事業年度に係る次に掲げる金額(解散により外国金融子会社等に該当しないこととなつた部分対象外国関係会社(以下この項及び次項において「清算外国金融子会社等」という。)のその該当しないこととなつた日から同日以後三年を経過する日(当該清算外国金融子会社等の残余財産の確定の日が当該三年を経過する日前である場合には当該残余財産の確定の日とし、その本店所在地国の法令又は慣行その他やむを得ない理由により当該残余財産の確定の日が当該三年を経過する日後である場合には政令で定める日とする。)までの期間内の日を含む事業年度(次項において「特定清算事業年度」という。)にあつては、第一号から第七号の二までに掲げる金額のうち政令で定める金額(次項において「特定金融所得金額」という。)がないものとした場合の次に掲げる金額。以下この項において「特定所得の金額」という。)を有する場合には、当該各事業年度の特定所得の金額に係る部分適用対象金額のうちその内国法人が直接及び間接に有する当該部分対象外国関係会社の株式等の数又は金額につきその請求権の内容を勘案した数又は金額並びにその内国法人と当該部分対象外国関係会社との間の実質支配関係の状況を勘案して政令で定めるところにより計算した金額(次条及び第六十六条の八において「部分課税対象金額」という。)に相当する金額は、その内国法人の収益の額とみなして当該各事業年度終了の日の翌日から二月を経過する日を含むその内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入する。

一 剰余金の配当等(第一項に規定する剰余金の配当等をいい、法人税法第二十三条第一項第二号に規定する金銭の分配を含む。以下この号及び第十一号イにおいて同じ。)の額(次に掲げる法人から受ける剰余金の配当等の額(当該法人の所得の金額の計算上損金の額に算入することとされている剰余金の配当等の額として政令で定める剰余金の配当等の額を除く。)を除く。以下この号において同じ。)の合計額から当該剰余金の配当等の額を得るために直接要した費用の額の合計額及び当該剰余金の配当等の額に係る費用の額として政令で定めるところにより計算した金額を控除した残額

イ 当該部分対象外国関係会社の有する他の法人の株式等の数又は金額のその発行済株式等の総数又は総額のうちに占める割合が百分の二十五以上であることその他の政令で定める要件に該当する場合における当該他の法人(ロに掲げる外国法人を除く。)

ロ 当該部分対象外国関係会社の有する他の外国法人(原油、石油ガス、可燃性天然ガス又は石炭(ロにおいて「化石燃料」という。)を採取する事業(自ら採取した化石燃料に密接に関連する事業を含む。)を主たる事業とする外国法人のうち政令で定めるものに限る。)の株式等の数又は金額のその発行済株式等の総数又は総額のうちに占める割合が百分の十以上であることその他の政令で定める要件に該当する場合における当該他の外国法人

二 受取利子等(その支払を受ける利子(これに準ずるものとして政令で定めるものを含む。以下この号において同じ。)をいう。以下この号及び第十一号ロにおいて同じ。)の額(その行う事業に係る業務の通常の過程において生ずる預金又は貯金(所得税法第二条第一項第十号に規定する政令で定めるものに相当するものを含む。)の利子の額、金銭の貸付けを主たる事業とする部分対象外国関係会社(金銭の貸付けを業として行うことにつきその本店所在地国の法令の規定によりその本店所在地国において免許又は登録その他これらに類する処分を受けているものに限る。)でその本店所在地国においてその役員又は使用人がその行う金銭の貸付けの事業を的確に遂行するために通常必要と認められる業務の全てに従事しているものが行う金銭の貸付けに係る利子の額その他政令で定める利子の額を除く。以下この号において同じ。)の合計額から当該受取利子等の額を得るために直接要した費用の額の合計額を控除した残額

三 有価証券の貸付けによる対価の額の合計額から当該対価の額を得るために直接要した費用の額の合計額を控除した残額

四 有価証券の譲渡に係る対価の額(当該部分対象外国関係会社の有する他の法人の株式等の数又は金額のその発行済株式等の総数又は総額のうちに占める割合が、当該譲渡の直前において、百分の二十五以上である場合における当該他の法人の株式等の譲渡に係る対価の額を除く。以下この号において同じ。)の合計額から当該有価証券の譲渡に係る原価の額として政令で定めるところにより計算した金額の合計額及び当該対価の額を得るために直接要した費用の額の合計額を減算した金額

五 デリバティブ取引(法人税法第六十一条の五第一項に規定するデリバティブ取引をいう。以下この号及び第十一号ホにおいて同じ。)に係る利益の額又は損失の額として財務省令で定めるところにより計算した金額(同法第六十一条の六第一項各号に掲げる損失を減少させるために行つたデリバティブ取引として財務省令で定めるデリバティブ取引に係る利益の額又は損失の額、その本店所在地国の法令に準拠して商品先物取引法第二条第二十二項各号に掲げる行為に相当する行為を業として行う部分対象外国関係会社(その本店所在地国においてその役員又は使用人がその行う当該行為に係る事業を的確に遂行するために通常必要と認められる業務の全てに従事しているものに限る。)が行う財務省令で定めるデリバティブ取引に係る利益の額又は損失の額その他財務省令で定めるデリバティブ取引に係る利益の額又は損失の額を除く。)

六 その行う取引又はその有する資産若しくは負債につき外国為替の売買相場の変動に伴つて生ずる利益の額又は損失の額として財務省令で定めるところにより計算した金額(その行う事業(政令で定める取引を行う事業を除く。)に係る業務の通常の過程において生ずる利益の額又は損失の額を除く。)

七 前各号に掲げる金額に係る利益の額又は損失の額(これらに類する利益の額又は損失の額を含む。)を生じさせる資産の運用、保有、譲渡、貸付けその他の行為により生ずる利益の額又は損失の額(当該各号に掲げる金額に係る利益の額又は損失の額及び法人税法第六十一条の六第一項各号に掲げる損失を減少させるために行つた取引として財務省令で定める取引に係る利益の額又は損失の額を除く。)

七の二 イに掲げる金額からロに掲げる金額を減算した金額

イ 収入保険料の合計額から支払つた再保険料の合計額を控除した残額に相当するものとして政令で定める金額

ロ 支払保険金の額の合計額から収入した再保険金の額の合計額を控除した残額に相当するものとして政令で定める金額

八 固定資産(政令で定めるものを除く。以下この号及び第十一号リにおいて同じ。)の貸付け(不動産又は不動産の上に存する権利を使用させる行為を含む。)による対価の額(主としてその本店所在地国において使用に供される固定資産(不動産及び不動産の上に存する権利を除く。)の貸付けによる対価の額、その本店所在地国にある不動産又は不動産の上に存する権利の貸付け(これらを使用させる行為を含む。)による対価の額及びその本店所在地国においてその役員又は使用人が固定資産の貸付け(不動産又は不動産の上に存する権利を使用させる行為を含む。以下この号及び第十一号リにおいて同じ。)を的確に遂行するために通常必要と認められる業務の全てに従事していることその他の政令で定める要件に該当する部分対象外国関係会社が行う固定資産の貸付けによる対価の額を除く。以下この号において同じ。)の合計額から当該対価の額を得るために直接要した費用の額(その有する固定資産に係る償却費の額として政令で定めるところにより計算した金額を含む。)の合計額を控除した残額

九 工業所有権その他の技術に関する権利、特別の技術による生産方式若しくはこれらに準ずるもの(これらの権利に関する使用権を含む。)又は著作権(出版権及び著作隣接権その他これに準ずるものを含む。)(以下この項において「無形資産等」という。)の使用料(自ら行つた研究開発の成果に係る無形資産等の使用料その他の政令で定めるものを除く。以下この号において同じ。)の合計額から当該使用料を得るために直接要した費用の額(その有する無形資産等に係る償却費の額として政令で定めるところにより計算した金額を含む。)の合計額を控除した残額

十 無形資産等の譲渡に係る対価の額(自ら行つた研究開発の成果に係る無形資産等の譲渡に係る対価の額その他の政令で定める対価の額を除く。以下この号において同じ。)の合計額から当該無形資産等の譲渡に係る原価の額の合計額及び当該対価の額を得るために直接要した費用の額の合計額を減算した金額

十一 イからルまでに掲げる金額がないものとした場合の当該部分対象外国関係会社の各事業年度の所得の金額として政令で定める金額から当該各事業年度に係るヲに掲げる金額を控除した残額

イ 支払を受ける剰余金の配当等の額

ロ 受取利子等の額

ハ 有価証券の貸付けによる対価の額

ニ 有価証券の譲渡に係る対価の額の合計額から当該有価証券の譲渡に係る原価の額として政令で定めるところにより計算した金額の合計額を減算した金額

ホ デリバティブ取引に係る利益の額又は損失の額として財務省令で定めるところにより計算した金額

ヘ その行う取引又はその有する資産若しくは負債につき外国為替の売買相場の変動に伴つて生ずる利益の額又は損失の額として財務省令で定めるところにより計算した金額

ト 第一号から第六号までに掲げる金額に係る利益の額又は損失の額(これらに類する利益の額又は損失の額を含む。)を生じさせる資産の運用、保有、譲渡、貸付けその他の行為により生ずる利益の額又は損失の額(当該各号に掲げる金額に係る利益の額又は損失の額を除く。)

チ 第七号の二に掲げる金額

リ 固定資産の貸付けによる対価の額

ヌ 支払を受ける無形資産等の使用料

ル 無形資産等の譲渡に係る対価の額の合計額から当該無形資産等の譲渡に係る原価の額の合計額を減算した金額

ヲ 総資産の額として政令で定める金額に人件費その他の政令で定める費用の額を加算した金額に百分の五十を乗じて計算した金額

7 前項に規定する部分適用対象金額とは、部分対象外国関係会社の各事業年度の同項第一号から第三号まで、第八号、第九号及び第十一号に掲げる金額の合計額(清算外国金融子会社等の特定清算事業年度にあつては、特定金融所得金額がないものとした場合の当該各号に掲げる金額の合計額)と、当該各事業年度の同項第四号から第七号の二まで及び第十号に掲げる金額の合計額(当該合計額が零を下回る場合には零とし、清算外国金融子会社等の特定清算事業年度にあつては特定金融所得金額がないものとした場合の当該各号に掲げる金額の合計額(当該合計額が零を下回る場合には、零)とする。)を基礎として当該各事業年度開始の日前七年以内に開始した各事業年度において生じた同項第四号から第七号の二まで及び第十号に掲げる金額の合計額(当該各事業年度のうち特定清算事業年度に該当する事業年度にあつては、特定金融所得金額がないものとした場合の当該各号に掲げる金額の合計額)が零を下回る部分の金額につき政令で定めるところにより調整を加えた金額とを合計した金額をいう。

8 第一項各号に掲げる内国法人に係る部分対象外国関係会社(外国金融子会社等に該当するものに限る。以下この項及び次項において同じ。)が、平成二十二年四月一日以後に開始する各事業年度において、当該各事業年度に係る次に掲げる金額(以下この項において「特定所得の金額」という。)を有する場合には、当該各事業年度の特定所得の金額に係る金融子会社等部分適用対象金額のうちその内国法人が直接及び間接に有する当該部分対象外国関係会社の株式等の数又は金額につきその請求権の内容を勘案した数又は金額並びにその内国法人と当該部分対象外国関係会社との間の実質支配関係の状況を勘案して政令で定めるところにより計算した金額(次条及び第六十六条の八において「金融子会社等部分課税対象金額」という。)に相当する金額は、その内国法人の収益の額とみなして当該各事業年度終了の日の翌日から二月を経過する日を含むその内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入する。

一 一の内国法人及び当該一の内国法人との間に特定資本関係(いずれか一方の法人が他方の法人の発行済株式等の全部を直接又は間接に保有する関係その他の政令で定める関係をいう。)のある内国法人によつてその発行済株式等の全部を直接又は間接に保有されている部分対象外国関係会社で政令で定める要件を満たすもの(その純資産につき剰余金その他に関する調整を加えた金額として政令で定める金額(以下この号において「親会社等資本持分相当額」という。)の総資産の額として政令で定める金額に対する割合が百分の七十を超えるものに限る。)の親会社等資本持分相当額がその本店所在地国の法令に基づき下回ることができない資本の額を勘案して政令で定める金額を超える場合におけるその超える部分に相当する資本に係る利益の額として政令で定めるところにより計算した金額

二 部分対象外国関係会社について第六項第八号の規定に準じて計算した場合に算出される同号に掲げる金額に相当する金額

三 部分対象外国関係会社について第六項第九号の規定に準じて計算した場合に算出される同号に掲げる金額に相当する金額

四 部分対象外国関係会社について第六項第十号の規定に準じて計算した場合に算出される同号に掲げる金額に相当する金額

五 部分対象外国関係会社について第六項第十一号の規定に準じて計算した場合に算出される同号に掲げる金額に相当する金額

9 前項に規定する金融子会社等部分適用対象金額とは、部分対象外国関係会社の各事業年度の次に掲げる金額のうちいずれか多い金額をいう。

一 前項第一号に掲げる金額

二 前項第二号、第三号及び第五号に掲げる金額の合計額と、同項第四号に掲げる金額(当該金額が零を下回る場合には、零)を基礎として当該各事業年度開始の日前七年以内に開始した各事業年度において生じた同号に掲げる金額が零を下回る部分の金額につき政令で定めるところにより調整を加えた金額とを合計した金額

10 第六項及び第八項の規定は、第一項各号に掲げる内国法人に係る部分対象外国関係会社につき次のいずれかに該当する事実がある場合には、当該部分対象外国関係会社のその該当する事業年度に係る部分適用対象金額(第七項に規定する部分適用対象金額をいう。以下この項において同じ。)又は金融子会社等部分適用対象金額(前項に規定する金融子会社等部分適用対象金額をいう。以下この項において同じ。)については、適用しない。

一 各事業年度の租税負担割合が百分の二十以上であること。

二 各事業年度における部分適用対象金額又は金融子会社等部分適用対象金額が二千万円以下であること。

三 各事業年度の決算に基づく所得の金額に相当する金額として政令で定める金額のうちに当該各事業年度における部分適用対象金額又は金融子会社等部分適用対象金額の占める割合が百分の五以下であること。

11 第一項各号に掲げる内国法人は、当該内国法人に係る次に掲げる外国関係会社の各事業年度の貸借対照表及び損益計算書その他の財務省令で定める書類を当該各事業年度終了の日の翌日から二月を経過する日を含む各事業年度の法人税法第二条第三十一号に規定する確定申告書に添付しなければならない。

一 当該各事業年度の租税負担割合が百分の二十未満である外国関係会社(特定外国関係会社を除く。)

二 当該各事業年度の租税負担割合が百分の三十未満である特定外国関係会社

12 内国法人が外国信託(投資信託及び投資法人に関する法律第二条第二十四項に規定する外国投資信託のうち第六十八条の三の三第一項に規定する特定投資信託に類するものをいう。以下この項において同じ。)の受益権を直接又は間接に有する場合(当該内国法人に係る第二項第一号ロに掲げる外国法人を通じて間接に有する場合を含む。)及び当該外国信託との間に実質支配関係がある場合には、当該外国信託の受託者は、当該外国信託の信託資産等(信託財産に属する資産及び負債並びに当該信託財産に帰せられる収益及び費用をいう。以下この項において同じ。)及び固有資産等(外国信託の信託資産等以外の資産及び負債並びに収益及び費用をいう。)ごとに、それぞれ別の者とみなして、この条から第六十六条の九までの規定を適用する。

13 法人税法第四条の二第二項及び第四条の三の規定は、前項の規定を適用する場合について準用する。

14 財務大臣は、第二項第二号ニの規定により国又は地域を指定したときは、これを告示する。

 

第六十六条の七 前条第一項各号に掲げる内国法人(資産の流動化に関する法律第二条第三項に規定する特定目的会社、投資信託及び投資法人に関する法律第二条第十二項に規定する投資法人、法人税法第二条第二十九号の二ホに掲げる特定目的信託に係る同法第四条の三に規定する受託法人又は特定投資信託(投資信託及び投資法人に関する法律第二条第三項に規定する投資信託のうち、法人課税信託に該当するものをいう。)に係る法人税法第四条の三に規定する受託法人(第三項において「特定目的会社等」という。)を除く。以下この項及び次項において同じ。)が、前条第一項、第六項又は第八項の規定の適用を受ける場合には、当該内国法人に係る外国関係会社(同条第二項第一号に規定する外国関係会社をいう。以下この条において同じ。)の所得に対して課される外国法人税(同法第六十九条第一項に規定する外国法人税をいう。以下この項及び第三項において同じ。)の額(政令で定める外国法人税にあつては、政令で定める金額)のうち、当該外国関係会社の課税対象金額に対応するものとして政令で定めるところにより計算した金額(当該金額が当該課税対象金額を超える場合には、当該課税対象金額に相当する金額)、当該外国関係会社の部分課税対象金額に対応するものとして政令で定めるところにより計算した金額(当該金額が当該部分課税対象金額を超える場合には、当該部分課税対象金額に相当する金額)又は当該外国関係会社の金融子会社等部分課税対象金額に対応するものとして政令で定めるところにより計算した金額(当該金額が当該金融子会社等部分課税対象金額を超える場合には、当該金融子会社等部分課税対象金額に相当する金額)は、政令で定めるところにより、当該内国法人が納付する控除対象外国法人税の額(同法第六十九条第一項に規定する控除対象外国法人税の額をいう。次項において同じ。)とみなして、同法第六十九条及び地方法人税法第十二条の規定を適用する。この場合において、法人税法第六十九条第十二項中「外国法人税の額につき」とあるのは、「外国法人税の額(租税特別措置法第六十六条の七第一項(内国法人の外国関係会社に係る所得の課税の特例)に規定する外国関係会社の所得に対して課される外国法人税の額のうち同項の規定により当該内国法人が納付するものとみなされる部分の金額を含む。以下この項において同じ。)につき」とする。

2 前条第一項各号に掲げる内国法人が、同項の規定の適用に係る外国関係会社の課税対象金額に相当する金額につき同項の規定の適用を受ける場合、同条第六項の規定の適用に係る外国関係会社の部分課税対象金額に相当する金額につき同項の規定の適用を受ける場合又は同条第八項の規定の適用に係る外国関係会社の金融子会社等部分課税対象金額に相当する金額につき同項の規定の適用を受ける場合において、前項の規定により法人税法第六十九条第一項から第三項まで又は第十八項(同条第二十三項又は第二十四項において準用する場合を含む。第四項において同じ。)の規定の適用を受けるときは、前項の規定により控除対象外国法人税の額とみなされた金額は、当該内国法人の政令で定める事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入する。

3 前条第一項各号に掲げる内国法人(特定目的会社等に限る。以下この項において同じ。)が、同条第一項又は第六項の規定の適用を受ける場合には、当該内国法人に係る外国関係会社の所得に対して課される外国法人税の額(第一項に規定する政令で定める外国法人税にあつては、政令で定める金額)のうち、当該外国関係会社の課税対象金額に対応するものとして政令で定めるところにより計算した金額(当該金額が当該課税対象金額を超える場合には、当該課税対象金額に相当する金額)又は当該外国関係会社の部分課税対象金額に対応するものとして政令で定めるところにより計算した金額(当該金額が当該部分課税対象金額を超える場合には、当該部分課税対象金額に相当する金額)は、政令で定めるところにより、当該内国法人が納付した外国法人税の額(第九条の三の二第三項第二号又は第九条の六第一項に規定する外国法人税の額をいう。)とみなして、第九条の三の二及び第九条の六から第九条の六の四までの規定を適用する。

4 前条第一項各号に掲げる内国法人が、同項又は同条第六項若しくは第八項の規定の適用を受ける場合には、次に掲げる金額の合計額(次項及び第十一項において「所得税等の額」という。)のうち、当該内国法人に係る外国関係会社の課税対象金額に対応するものとして政令で定めるところにより計算した金額に相当する金額、当該外国関係会社の部分課税対象金額に対応するものとして政令で定めるところにより計算した金額に相当する金額又は当該外国関係会社の金融子会社等部分課税対象金額に対応するものとして政令で定めるところにより計算した金額に相当する金額(第六項及び第十項において「控除対象所得税額等相当額」という。)は、当該内国法人の政令で定める事業年度の所得に対する法人税の額(この項並びに法人税法第六十八条、第六十九条第一項から第三項まで及び第十八項並びに第七十条の規定を適用しないで計算した場合の法人税の額とし、附帯税(国税通則法第二条第四号に規定する附帯税をいう。第一号において同じ。)の額を除く。第十項において同じ。)から控除する。

一 当該外国関係会社に対して課される所得税の額(附帯税の額を除く。)、法人税(退職年金等積立金に対する法人税を除く。)の額(附帯税の額を除く。)及び地方法人税(地方法人税法第六条第三号に定める基準法人税額に対する地方法人税を除く。)の額(附帯税の額を除く。)

二 当該外国関係会社に対して課される地方税法第二十三条第一項第三号に掲げる法人税割(同法第一条第二項において準用する同法第四条第二項(第一号に係る部分に限る。)又は同法第七百三十四条第二項(第二号に係る部分に限る。)の規定により都が課するものを含むものとし、退職年金等積立金に対する法人税に係るものを除く。)の額及び同法第二百九十二条第一項第三号に掲げる法人税割(同法第七百三十四条第二項(第二号に係る部分に限る。)の規定により都が課するものを含むものとし、退職年金等積立金に対する法人税に係るものを除く。)の額

5 前項の規定は、確定申告書等、修正申告書又は更正請求書に同項の規定による控除の対象となる所得税等の額、控除を受ける金額及び当該金額の計算に関する明細を記載した書類の添付がある場合に限り、適用する。この場合において、同項の規定により控除される金額の計算の基礎となる所得税等の額は、当該書類に当該所得税等の額として記載された金額を限度とする。

6 前条第一項各号に掲げる内国法人が、同項の規定の適用に係る外国関係会社の課税対象金額に相当する金額につき同項の規定の適用を受ける場合、同条第六項の規定の適用に係る外国関係会社の部分課税対象金額に相当する金額につき同項の規定の適用を受ける場合又は同条第八項の規定の適用に係る外国関係会社の金融子会社等部分課税対象金額に相当する金額につき同項の規定の適用を受ける場合において、第四項の規定の適用を受けるときは、当該内国法人に係る外国関係会社に係る控除対象所得税額等相当額は、当該内国法人の政令で定める事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入する。

7 第四項の規定の適用がある場合には、法人税法第二編第一章第二節第二款の規定による法人税の額からの控除及び同項の規定による法人税の額からの控除については、同項の規定による控除は、同法第六十九条の二の規定による控除をした後に、かつ、同法第七十条の規定による控除をする前に行うものとする。

8 第四項の規定の適用がある場合における法人税法第二編第一章(第二節第二款を除く。)の規定の適用については、次に定めるところによる。

一 法人税法第六十七条第三項に規定する計算した金額の合計額は、当該計算した金額の合計額から第四項の規定による控除をされるべき金額を控除した金額とする。

二 法人税法第七十二条第一項第二号に掲げる金額は、同項に規定する期間(通算子法人にあつては、同条第五項第一号に規定する期間)を一事業年度とみなして同条第一項第一号に掲げる所得の金額につき同法第二編第一章第二節(第六十七条、第六十八条第三項及び第七十条を除く。)の規定及び第四項の規定を適用するものとした場合に計算される法人税の額とする。

三 法人税法第七十四条第一項第二号に掲げる金額は、同項第一号に掲げる所得の金額につき同法第二編第一章第二節の規定及び第四項の規定を適用して計算した法人税の額とする。

9 第四項の規定の適用がある場合における第四十二条の四第二十二項(第四十二条の六第九項、第四十二条の九第六項、第四十二条の十第六項、第四十二条の十一第七項、第四十二条の十一の二第六項、第四十二条の十一の三第六項、第四十二条の十二第十一項、第四十二条の十二の二第三項、第四十二条の十二の四第九項、第四十二条の十二の五第七項、第四十二条の十二の六第六項又は第四十二条の十二の七第十一項において準用する場合を含む。)及び地方法人税法の規定の適用については、第四十二条の四第二十二項中「又は第三編第二章第二節(第百四十三条を除く。)の規定」とあるのは「の規定」と、「控除及び」とあるのは「控除、」と、「控除に」とあるのは「控除及び第六十六条の七第四項の規定による法人税の額からの控除に」と、「同法第七十条の二又は第百四十四条の二の三」とあるのは「同条第七項及び同法第七十条の二」と、「法人税法税額控除規定に」とあるのは「第六十六条の七第四項の規定及び法人税法税額控除規定に」と、同法第六条第一号中「まで」とあるのは「まで及び租税特別措置法第六十六条の七第四項」とする。

10 内国法人が各課税事業年度(地方法人税法第七条に規定する課税事業年度をいう。以下この項において同じ。)において第四項の規定の適用を受ける場合において、当該課税事業年度の控除対象所得税額等相当額が同項に規定する政令で定める事業年度の所得に対する法人税の額を超えるときは、その超える金額を当該課税事業年度の所得地方法人税額(同法第十一条に規定する所得地方法人税額をいう。第十二項において同じ。)から控除する。

11 前項の規定は、地方法人税法第二条第十四号に規定する地方法人税中間申告書で同法第十七条第一項各号に掲げる事項を記載したもの、同法第二条第十五号に規定する地方法人税確定申告書、修正申告書又は更正請求書に前項の規定による控除の対象となる所得税等の額、控除を受ける金額及び当該金額の計算に関する明細を記載した書類の添付がある場合に限り、適用する。この場合において、同項の規定により控除される金額の計算の基礎となる所得税等の額は、当該書類に当該所得税等の額として記載された金額を限度とする。

12 第十項の規定の適用がある場合には、地方法人税法第十二条から第十四条までの規定による所得地方法人税額からの控除及び同項の規定による所得地方法人税額からの控除については、同項の規定による控除は、同法第十二条の二の規定による控除をした後に、かつ、同法第十三条の規定による控除をする前に行うものとする。

13 第十項の規定の適用がある場合における地方法人税法の規定の適用については、次に定めるところによる。

一 地方法人税法第十七条第一項第二号に掲げる金額は、同項第一号に掲げる課税標準法人税額につき同法第三章(第十一条及び第十三条を除く。)の規定及び第十項の規定を適用して計算した地方法人税の額とする。

二 地方法人税法第十九条第一項第二号に掲げる金額は、同項第一号に掲げる課税標準法人税額につき同法第三章の規定及び第十項の規定を適用して計算した地方法人税の額とする。

第六十六条の八 内国法人が外国法人(法人税法第二十三条の二第一項に規定する外国子会社に該当するものを除く。以下この項において同じ。)から受ける同法第二十三条第一項第一号に掲げる金額(以下この条において「剰余金の配当等の額」という。)がある場合には、当該剰余金の配当等の額のうち当該外国法人に係る特定課税対象金額に達するまでの金額は、当該内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入しない。

2 内国法人が外国法人から受ける剰余金の配当等の額(法人税法第二十三条の二第一項の規定の適用を受ける部分の金額に限る。以下この項において同じ。)がある場合には、当該剰余金の配当等の額のうち当該外国法人に係る特定課税対象金額に達するまでの金額についての同条第一項の規定の適用については、同項中「剰余金の配当等の額から当該剰余金の配当等の額に係る費用の額に相当するものとして政令で定めるところにより計算した金額を控除した金額」とあるのは、「剰余金の配当等の額」とする。

3 内国法人が外国法人から受ける剰余金の配当等の額(法人税法第二十三条の二第二項の規定の適用を受ける部分の金額に限る。以下この項において同じ。)がある場合には、当該剰余金の配当等の額のうち当該外国法人に係る特定課税対象金額に達するまでの金額は、当該内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入しない。

4 前三項に規定する特定課税対象金額とは、次に掲げる金額の合計額をいう。

一 外国法人に係る課税対象金額、部分課税対象金額又は金融子会社等部分課税対象金額で、内国法人が当該外国法人から剰余金の配当等の額を受ける日を含む事業年度において第六十六条の六第一項、第六項又は第八項の規定により当該事業年度の所得の金額の計算上益金の額に算入されるもののうち、当該内国法人の有する当該外国法人の直接保有の株式等の数(内国法人が有する外国法人の株式の数又は出資の金額をいう。次号、次項及び第十項において同じ。)及び当該内国法人と当該外国法人との間の実質支配関係(同条第二項第五号に規定する実質支配関係をいう。次号及び第十項第二号において同じ。)の状況を勘案して政令で定めるところにより計算した金額

二 外国法人に係る課税対象金額、部分課税対象金額又は金融子会社等部分課税対象金額で、内国法人が当該外国法人から剰余金の配当等の額を受ける日を含む事業年度開始の日前十年以内に開始した各事業年度(以下この条において「前十年以内の各事業年度」という。)において第六十六条の六第一項、第六項又は第八項の規定により前十年以内の各事業年度の所得の金額の計算上益金の額に算入されたもののうち、当該内国法人の有する当該外国法人の直接保有の株式等の数及び当該内国法人と当該外国法人との間の実質支配関係の状況を勘案して政令で定めるところにより計算した金額(前十年以内の各事業年度において当該外国法人から受けた剰余金の配当等の額(前三項の規定の適用を受けた部分の金額に限る。以下この号において同じ。)がある場合には、当該剰余金の配当等の額に相当する金額を控除した残額。以下この条において「課税済金額」という。)

5 内国法人が適格合併、適格分割、適格現物出資又は適格現物分配(以下この項において「適格組織再編成」という。)により被合併法人、分割法人、現物出資法人又は現物分配法人からその有する外国法人の直接保有の株式等の数の全部又は一部の移転を受けた場合には、当該内国法人の当該適格組織再編成の日(当該適格組織再編成が残余財産の全部の分配である場合には、その残余財産の確定の日の翌日)を含む事業年度以後の各事業年度における前項の規定の適用については、次の各号に掲げる適格組織再編成の区分に応じ当該各号に定める金額は、政令で定めるところにより、当該内国法人の前十年以内の各事業年度の課税済金額とみなす。

一 適格合併又は適格現物分配(適格現物分配にあつては、残余財産の全部の分配に限る。以下この号において「適格合併等」という。) 当該適格合併等に係る被合併法人又は現物分配法人の合併等前十年内事業年度(適格合併等の日(当該適格合併等が残余財産の全部の分配である場合には、その残余財産の確定の日の翌日)前十年以内に開始した各事業年度をいう。)の課税済金額

二 適格分割、適格現物出資又は適格現物分配(適格現物分配にあつては、残余財産の全部の分配を除く。以下この号及び次項において「適格分割等」という。) 当該適格分割等に係る分割法人、現物出資法人又は現物分配法人(同項において「分割法人等」という。)の分割等前十年内事業年度(適格分割等の日を含む事業年度開始の日前十年以内に開始した各事業年度をいう。同項において同じ。)の課税済金額のうち、当該適格分割等により当該内国法人が移転を受けた当該外国法人の直接保有の株式等の数に対応する部分の金額として第六十六条の六第一項に規定する請求権の内容を勘案して政令で定めるところにより計算した金額

6 適格分割等に係る分割承継法人、被現物出資法人又は被現物分配法人(以下この項において「分割承継法人等」という。)が前項の規定の適用を受ける場合には、当該適格分割等に係る分割法人等の当該適格分割等の日を含む事業年度以後の各事業年度における第四項の規定の適用については、当該分割法人等の分割等前十年内事業年度の課税済金額のうち、前項の規定により当該分割承継法人等の前十年以内の各事業年度の課税済金額とみなされる金額は、ないものとする。

7 内国法人が外国法人(法人税法第二十三条の二第一項に規定する外国子会社に該当するものを除く。以下この項において同じ。)から受ける剰余金の配当等の額がある場合には、当該剰余金の配当等の額(第一項の規定の適用を受ける部分の金額を除く。)のうち当該外国法人に係る間接特定課税対象金額に達するまでの金額は、当該内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入しない。

8 内国法人が外国法人から受ける剰余金の配当等の額(法人税法第二十三条の二第一項の規定の適用を受ける部分の金額に限る。以下この項において同じ。)がある場合には、当該剰余金の配当等の額(第二項の規定の適用を受ける部分の金額を除く。)のうち当該外国法人に係る間接特定課税対象金額に達するまでの金額についての同条第一項の規定の適用については、同項中「剰余金の配当等の額から当該剰余金の配当等の額に係る費用の額に相当するものとして政令で定めるところにより計算した金額を控除した金額」とあるのは、「剰余金の配当等の額」とする。

9 内国法人が外国法人から受ける剰余金の配当等の額(法人税法第二十三条の二第二項の規定の適用を受ける部分の金額に限る。以下この項において同じ。)がある場合には、当該剰余金の配当等の額(第三項の規定の適用を受ける部分の金額を除く。)のうち当該外国法人に係る間接特定課税対象金額に達するまでの金額は、当該内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入しない。

10 前三項に規定する間接特定課税対象金額とは、次に掲げる金額のうちいずれか少ない金額をいう。

一 内国法人が外国法人から剰余金の配当等の額を受ける日を含む当該内国法人の事業年度(以下この項において「配当事業年度」という。)開始の日前二年以内に開始した各事業年度(以下この項において「前二年以内の各事業年度」という。)のうち最も古い事業年度開始の日から配当事業年度終了の日までの期間において、当該外国法人が他の外国法人から受けた剰余金の配当等の額(当該他の外国法人の第六十六条の六第一項、第六項又は第八項の規定の適用に係る事業年度開始の日前に受けた剰余金の配当等の額として政令で定めるものを除く。)のうち、当該内国法人の有する当該外国法人の直接保有の株式等の数に対応する部分の金額として政令で定める金額(前二年以内の各事業年度において当該外国法人から受けた剰余金の配当等の額(前三項の規定の適用を受けた金額のうち、当該外国法人が当該他の外国法人から受けた剰余金の配当等の額に対応する部分の金額に限る。以下この号において同じ。)がある場合には、当該剰余金の配当等の額に相当する金額を控除した残額。第十二項において「間接配当等」という。)

二 次に掲げる金額の合計額

イ 前号の他の外国法人に係る課税対象金額、部分課税対象金額又は金融子会社等部分課税対象金額で、配当事業年度において第六十六条の六第一項、第六項又は第八項の規定により配当事業年度の所得の金額の計算上益金の額に算入されるもののうち、同号の内国法人の有する当該他の外国法人の間接保有の株式等の数(内国法人が外国法人を通じて間接に有するものとして政令で定める他の外国法人の株式の数又は出資の金額をいう。ロにおいて同じ。)及び当該内国法人と当該他の外国法人との間の実質支配関係の状況を勘案して政令で定めるところにより計算した金額

ロ 前号の他の外国法人に係る課税対象金額、部分課税対象金額又は金融子会社等部分課税対象金額で、前二年以内の各事業年度において第六十六条の六第一項、第六項又は第八項の規定により前二年以内の各事業年度の所得の金額の計算上益金の額に算入されたもののうち、同号の内国法人の有する当該他の外国法人の間接保有の株式等の数及び当該内国法人と当該他の外国法人との間の実質支配関係の状況を勘案して政令で定めるところにより計算した金額(前二年以内の各事業年度において同号の外国法人から受けた剰余金の配当等の額(前三項の規定の適用を受けた金額のうち、当該外国法人が当該他の外国法人から受けた剰余金の配当等の額に対応する部分の金額に限る。以下この号において同じ。)がある場合には、当該剰余金の配当等の額に相当する金額を控除した残額。第十二項において「間接課税済金額」という。)

11 第五項及び第六項の規定は、第七項から前項までの規定を適用する場合について準用する。この場合において、次の表の上欄に掲げる規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。

 

 

 

 

 

 

 

破産会社が破産手続開始前に同社の所有する土地・建物について賃貸借契約を締結した場合と破産管財人の当該賃貸借契約に対する否認権行使の可否(積極)

 

 

              否認請求認容決定に対する異議請求事件

【事件番号】      金沢地方裁判所判決/平成24年(ワ)第443号

【判決日付】      平成25年1月29日

【判示事項】      1 破産会社が破産手続開始前に同社の所有する土地・建物について賃貸借契約を締結した場合と破産管財人の当該賃貸借契約に対する否認権行使の可否(積極)

             2 破産会社が破産手続開始前に同社の所有する従業員寮について締結した賃貸借契約に対する破産管財人の否認権行使が認められるが、当該従業員寮の賃借権の譲受人から雇用された従業員が当該従業員寮に居住している場合と当該譲受人に対する当該従業員寮の明渡請求の可否(積極)

【判決要旨】      1 破産会社が破産手続開始前に同社の所有する土地・建物について賃貸借契約を締結した場合において、当該賃借権の存在は、当該不動産を任意売却するに際し、買受希望者が、賃借権の解除や賃借人からの占有の移転が円滑に行われないことを危惧して、買受けを断念したり、買受希望価格を減額することが十分に想定され、任意売却の不成立や、売却価格の低下などの原因になるところ、賃借人が、当該賃貸借契約の締結当時、破産会社の責任財産となるべき当該不動産に賃借権を設定する契約が破産債権者を害する行為であることを認識していたものと認められるほか、当該賃借権の譲受人も、その譲渡の当時、賃借人に対する否認の原因があることを認識していたものと認められる以上、破産管財人は、当該賃貸借契約に対する否認権を行使することができる。

             2 破産会社が破産手続開始前に同社の所有する従業員寮について締結した賃貸借契約に対する破産管財人の否認権行使が認められるが、当該従業員寮の賃借権の譲受人から雇用された従業員が当該従業員寮に居住している場合において、当該譲受人の占有権原である賃借権が否認権の行使によって破産手続との関係で効力を失うことになる以上、当該従業員が譲受人との間の賃貸借契約に基づいてこれを独立して占有しているとしても、破産管財人は、当該譲受人に対し当該従業員寮の明渡しを求めることができる。

【参照条文】      破産法160-1

             破産法170-1

             民法601

             民法612

             民法181

             民事執行法168

             民事執行法170

【掲載誌】        金融・商事判例1420号52頁

 

 

破産法

(破産債権者を害する行為の否認)

第百六十条 次に掲げる行為(担保の供与又は債務の消滅に関する行為を除く。)は、破産手続開始後、破産財団のために否認することができる。

一 破産者が破産債権者を害することを知ってした行為。ただし、これによって利益を受けた者が、その行為の当時、破産債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。

二 破産者が支払の停止又は破産手続開始の申立て(以下この節において「支払の停止等」という。)があった後にした破産債権者を害する行為。ただし、これによって利益を受けた者が、その行為の当時、支払の停止等があったこと及び破産債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。

2 破産者がした債務の消滅に関する行為であって、債権者の受けた給付の価額が当該行為によって消滅した債務の額より過大であるものは、前項各号に掲げる要件のいずれかに該当するときは、破産手続開始後、その消滅した債務の額に相当する部分以外の部分に限り、破産財団のために否認することができる。

3 破産者が支払の停止等があった後又はその前六月以内にした無償行為及びこれと同視すべき有償行為は、破産手続開始後、破産財団のために否認することができる。

 

(転得者に対する否認権)

第百七十条 次の各号に掲げる場合において、否認しようとする行為の相手方に対して否認の原因があるときは、否認権は、当該各号に規定する転得者に対しても、行使することができる。ただし、当該転得者が他の転得者から転得した者である場合においては、当該転得者の前に転得した全ての転得者に対しても否認の原因があるときに限る。

一 転得者が転得の当時、破産者がした行為が破産債権者を害することを知っていたとき。

二 転得者が第百六十一条第二項各号に掲げる者のいずれかであるとき。ただし、転得の当時、破産者がした行為が破産債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。

三 転得者が無償行為又はこれと同視すべき有償行為によって転得した者であるとき。

2 第百六十七条第二項の規定は、前項第三号の規定により否認権の行使があった場合について準用する。

 

 

民法

(賃貸借)

第六百一条 賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる。

 

(賃借権の譲渡及び転貸の制限)

第六百十二条 賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。

2 賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。

 

(代理占有)

第百八十一条 占有権は、代理人によって取得することができる。

 

 

民事執行法

(不動産の引渡し等の強制執行)

第百六十八条 不動産等(不動産又は人の居住する船舶等をいう。以下この条及び次条において同じ。)の引渡し又は明渡しの強制執行は、執行官が債務者の不動産等に対する占有を解いて債権者にその占有を取得させる方法により行う。

2 執行官は、前項の強制執行をするため同項の不動産等の占有者を特定する必要があるときは、当該不動産等に在る者に対し、当該不動産等又はこれに近接する場所において、質問をし、又は文書の提示を求めることができる。

3 第一項の強制執行は、債権者又はその代理人が執行の場所に出頭したときに限り、することができる。

4 執行官は、第一項の強制執行をするに際し、債務者の占有する不動産等に立ち入り、必要があるときは、閉鎖した戸を開くため必要な処分をすることができる。

5 執行官は、第一項の強制執行においては、その目的物でない動産を取り除いて、債務者、その代理人又は同居の親族若しくは使用人その他の従業者で相当のわきまえのあるものに引き渡さなければならない。この場合において、その動産をこれらの者に引き渡すことができないときは、執行官は、最高裁判所規則で定めるところにより、これを売却することができる。

6 執行官は、前項の動産のうちに同項の規定による引渡し又は売却をしなかつたものがあるときは、これを保管しなければならない。この場合においては、前項後段の規定を準用する。

7 前項の規定による保管の費用は、執行費用とする。

8 第五項(第六項後段において準用する場合を含む。)の規定により動産を売却したときは、執行官は、その売得金から売却及び保管に要した費用を控除し、その残余を供託しなければならない。

9 第五十七条第五項の規定は、第一項の強制執行について準用する。

 

(目的物を第三者が占有する場合の引渡しの強制執行)

第百七十条 第三者が強制執行の目的物を占有している場合においてその物を債務者に引き渡すべき義務を負つているときは、物の引渡しの強制執行は、執行裁判所が、債務者の第三者に対する引渡請求権を差し押さえ、請求権の行使を債権者に許す旨の命令を発する方法により行う。

2 第百四十四条、第百四十五条(第四項を除く。)、第百四十七条、第百四十八条、第百五十五条第一項及び第三項並びに第百五十八条の規定は、前項の強制執行について準用する。

 

 

明治大学の入学選抜試験/替え玉受験事件

 

 

              有印私文書偽造、同行使被告事件

【事件番号】      東京地方裁判所判決/平成3年(刑わ)第1128号、平成3年(刑わ)第1295号、平成3年(刑わ)第1394号

【判決日付】      平成4年5月28日

【判示事項】      替え玉受験生らが志願者本人になりすまして入学選抜試験を受験し、答案を作成・提出した行為につき、有印私文書偽造・同行使罪の成立を認めた事例

【参照条文】      刑法159-1

             刑法161-1

【掲載誌】        判例タイムズ806号230頁

             判例時報1425号140頁

【評釈論文】      ジュリスト臨時増刊1024号180頁

             捜査研究42巻1号87頁

             判例評論410号50頁

 

 

刑法

(私文書偽造等)

第百五十九条 行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造した者は、三月以上五年以下の懲役に処する。

2 他人が押印し又は署名した権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を変造した者も、前項と同様とする。

3 前二項に規定するもののほか、権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を偽造し、又は変造した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

 

(偽造私文書等行使)

第百六十一条 前二条の文書又は図画を行使した者は、その文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、又は虚偽の記載をした者と同一の刑に処する。

2 前項の罪の未遂は、罰する。

 

 

       主   文

 

 被告人甲及び被告人丙をいずれも懲役一年六か月に、被告人乙を懲役二年にそれぞれ処する。

 被告人甲及び被告人乙に対し、未決勾留日数中各三〇日をそれぞれの刑に算入する。

 この裁判確定の日から、被告人丙に対し五年間その刑の執行を猶予する。

 

四日市ぜん息損害賠償請求事件

 

 

損害賠償請求事件

【事件番号】      津地方裁判所四日市支部判決/昭和42年(ワ)第138号

【判決日付】      昭和47年7月24日

【判示事項】      1、コンビナート公害と共同不法行為の成立要件

             2、法的因果関係と疫学の諸方法

             3、コンビナートによる大気汚染公害につき立地上および操業上の過失を認めた事例

             4、生命、身体という重大な法益侵害と違法性

             5、最善の防止措置の法的位置づけ

             6、賠償額の定型化

【判決要旨】      1、共同不法行為が成立するためには、行為の関連共同性のほか、各自の行為が一般不法行為の成立要件をそなえなければならないが、被害者が関連共同の関係にある共同行為によつて損害を受けたことを主張、立証すれば、加害者の各自の行為と損害との間の因果関係の存在が法律上推定される。そして、強い関連共同の関係にあるかぎり、たとい当該行為と損害との間の個別的因果関係が認められなくても、その行為者は免責されない。

             共同不法行為の関連共同性の有無は具体的結合関係に即して判断されるべきであり、コンビナートに所属することは、その判断のための一つの指標にすぎない。

             2、疫学的諸方法の活用は、法的因果関係の認定に必要にして十分な範囲に限定される。

             3、コンビナートによる大気汚染公害につき、予見可能性および立地上、操業上の注意義務違反があるとして過失を認めた事例。

             4、加害行為の公共性(社会的相当性)、公法上の基準の厳守、場所的慣行性、被害者の特殊事情、先住関係はいずれも、生命、身体という重大な法益侵害の場合には違法性阻却ないし減殺の事由になりえない。

             加害行為の作用の程度が軽微であることは、強い関連共同性の関係にある場合には考慮されるべきではない。

             5、最善の防止措置をとつたか否かは受忍限度判定の要素となると解すべきである。

             6、労働能力喪失は、それ自体が損害であると解すべきであり、かつ、被害者の被害の態様に同一環境下で同一加害行為により被害を受けたなど平等の関係があるときは、賠償額の算定は定型化されると解すべきである。

【参照条文】      民法709

             民法710

             民法711

             民法719-1

【掲載誌】        判例タイムズ280号100頁

             判例時報672号30頁

 

 

民法

(不法行為による損害賠償)

第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

(財産以外の損害の賠償)

第七百十条 他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。

 

(共同不法行為者の責任)

第七百十九条 数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。共同行為者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも、同様とする。

2 行為者を教唆した者及び幇ほう助した者は、共同行為者とみなして、前項の規定を適用する。

 

 

書面によらない贈与を認める判決が確定した後の民法第550条による右贈与の取消の可否

 

 

              不動産所有権移転登記手続等請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/昭和35年(オ)第1017号

【判決日付】      昭和36年12月12日

【判示事項】      書面によらない贈与を認める判決が確定した後の民法第550条による右贈与の取消の可否

【判決要旨】      書面によらない贈与による権利の移転を認める判決が確定した後は、既判力の効果として民法第550条による取消権を行使して右贈与による権利の存否を争うことは許されない。

【参照条文】      民法550

             民事訴訟法199

             民事訴訟法201

             民事訴訟法545-1

             民事訴訟法545-2

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集15巻11号2778頁

 

 

民法

(書面によらない贈与の解除)

第五百五十条 書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。

 

 

民事訴訟法

(既判力の範囲)

第百十四条 確定判決は、主文に包含するものに限り、既判力を有する。

2 相殺のために主張した請求の成立又は不成立の判断は、相殺をもって対抗した額について既判力を有する。