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法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

役に立つ裁判例の紹介、法律の本の書評です。弁護士経験32年。第二東京弁護士会所属21770

動産の売渡担保契約と債権者の所有権取得の対抗力の有無

 

 

              動産引渡請求事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/昭和28年(オ)第952号

【判決日付】      昭和30年6月2日

【判示事項】      動産の売渡担保契約と債権者の所有権取得の対抗力の有無

【判決要旨】      債務者が動産を売渡担保に供し引つづきこれを占有する場合においては、債権者は、契約の成立と同時に占有改定によりその物の占有権を取得し、その所有権を取得をもつて第三者に対抗することができるものと解すべきである。

【参照条文】      民法178

             民法181

             民法183

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集9巻7号855頁

             判例タイムズ51号35頁

             判例時報53号15頁

【評釈論文】      金融法務事情78号5頁

             法学協会雑誌95巻1号234頁

 

 

民法

(動産に関する物権の譲渡の対抗要件)

第百七十八条 動産に関する物権の譲渡は、その動産の引渡しがなければ、第三者に対抗することができない。

 

(代理占有)

第百八十一条 占有権は、代理人によって取得することができる。

 

(占有改定)

第百八十三条 代理人が自己の占有物を以後本人のために占有する意思を表示したときは、本人は、これによって占有権を取得する。

 

 

 

トランプ類の商標につき外観類似と認定された事例

 

 

              商標登録出願拒絶査定に対する抗告審判の審決取消請求事件

【事件番号】      東京高等裁判所判決/昭和36年(行ナ)第175号

【判決日付】      昭和39年6月11日

【判示事項】      トランプ類の商標につき外観類似と認定された事例

【判決要旨】      トランプ類を指定商品とする商標であつて、Ⅰ標示のごとき構成を有するものは、Ⅱ表これのごとき構成を有するものと、たとえ、文字において「ALPINIST」と「CARAVAN」、図形においてアルプスを背景とする数人の登山者とピラミツドを背景とする隊商との差異があつても、いずれも黒地に白を以て印象の似た文字部分と図形部分とを同様に組み合せたもので、側面にもほゞ同じ位置にほゞ同じ大きさの文字が黒地に白であらわれる点で共通であり、時と所とを異にしてこれに接する世人に混同させるおそれのあるものであるから、外観類似のものと認めるのが相当である。

【参照条文】      旧商法2-1

【掲載誌】        行政事件裁判例集15巻6号1011頁

             判例タイムズ163号148頁

 

 

 本件は、観念においても、称呼においても類似の点がなく、ただ外観においてのみ似た印象を与える商標の事例として、典型的なものである。

そして、そういう外観を比較するときは、要旨にいうようないわゆる離隔的観察をもつてすべきこと、大審院大正13年7月15日の判決以来、古くから大審院の判例とするところである。

 

 

 

商標法

(定義等)

第二条 この法律で「商標」とは、人の知覚によつて認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの(以下「標章」という。)であつて、次に掲げるものをいう。

一 業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするもの

二 業として役務を提供し、又は証明する者がその役務について使用をするもの(前号に掲げるものを除く。)

2 前項第二号の役務には、小売及び卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供が含まれるものとする。

3 この法律で標章について「使用」とは、次に掲げる行為をいう。

一 商品又は商品の包装に標章を付する行為

二 商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為

三 役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物(譲渡し、又は貸し渡す物を含む。以下同じ。)に標章を付する行為

四 役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付したものを用いて役務を提供する行為

五 役務の提供の用に供する物(役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物を含む。以下同じ。)に標章を付したものを役務の提供のために展示する行為

六 役務の提供に当たりその提供を受ける者の当該役務の提供に係る物に標章を付する行為

七 電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によつて認識することができない方法をいう。次号及び第二十六条第三項第三号において同じ。)により行う映像面を介した役務の提供に当たりその映像面に標章を表示して役務を提供する行為

八 商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為

九 音の標章にあつては、前各号に掲げるもののほか、商品の譲渡若しくは引渡し又は役務の提供のために音の標章を発する行為

十 前各号に掲げるもののほか、政令で定める行為

4 前項において、商品その他の物に標章を付することには、次の各号に掲げる各標章については、それぞれ当該各号に掲げることが含まれるものとする。

一 文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合の標章 商品若しくは商品の包装、役務の提供の用に供する物又は商品若しくは役務に関する広告を標章の形状とすること。

二 音の標章 商品、役務の提供の用に供する物又は商品若しくは役務に関する広告に記録媒体が取り付けられている場合(商品、役務の提供の用に供する物又は商品若しくは役務に関する広告自体が記録媒体である場合を含む。)において、当該記録媒体に標章を記録すること。

5 この法律で「登録商標」とは、商標登録を受けている商標をいう。

6 この法律において、商品に類似するものの範囲には役務が含まれることがあるものとし、役務に類似するものの範囲には商品が含まれることがあるものとする。

7 この法律において、輸入する行為には、外国にある者が外国から日本国内に他人をして持ち込ませる行為が含まれるものとする。

 

 

 

    主   交

   原告の請求を棄却する。

   訴訟費用(参加によつて生じたものを含む。)は原告の負担とする。

 

       事   実

 

第一、双方の申立

 原告は、「昭和三五年抗告審判第三、二三八号事件につき、特許庁が昭和三六年一〇月二七日にした審決を取り消す。訴訟費用は被告の負担とする」との判決を求め、被告は、、「原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする」との判決を求めた。

第二、原告の請求の原因

 一、原告は、昭和三四年三月三一日旧類別(大正一〇年一二月一七日農商務省令第三六号商標施行規則第一五条所定)第六五類トランプ類その他本類に属する商品を指定商品とし、別紙Ⅰ表示の構成を有する商標につき、特許庁に商標登録出願をなし(同年商標登録願第九、八六一号)、同年一二月一五日出願公告の決定を受け、昭和三五年四月一一日その商標出願公告がなされたところ(同年商標出願公告第七、四四六号)、同年六月九日本件被告補助参加人(以下単に参加人という)。から商標登録異議の申立があって、同年一〇月三一日拒絶査定がなされたので、原告はこれに対し同年一二月二日抗告審判の請求をしたが(同年抗告審判第三、二三八号)、特許庁は昭和三六年一〇月二七日右請求は成り立たない旨の審決をなし、原告は同年一一月九日審決書謄本の送達を受けた。

 二、審決の要旨は次のとおりである。

 参加人は、別紙Ⅱ表示の構成から成り、旧類別第六五類骨牌を指定商品として昭和二六年五月一八日登録された登録第三九八、六六四号商標を有するところ、本願商標と右引用商標とは称呼、観念においては相異るにしても外観においては類似するというべきである。

 すなわち、両者を外観上から見るに、全体の形状並びに文字及び図形の細部の点には相異るものがあるといえるにしても、他面において、両商標はいずれも文字及び図形を黒地に白であらわしていること、個々の文字を抽出して見れば異なるにも拘らずこれを全体的に見ればいずれも相類似する特殊の態様で書かれているものとの印象を受けること、文字の配置が図形との関係において類似していること、白地であらわされている図形は、本願商標のものは雪におおわれているアルプスの山であり、引用商標のものはピラミツドであり、またそれらの前に描かれている図形は、前者のそれが数人の登山者をあらわし、後者のそれが□□をひく隊商をあらわしているにも拘らず、いずれの図形も三角形の前にシルエツトが描かれているという点で、その感じが相類似するものであること等多くの共通点を有する。

 そしてかような外観を有する両商標は、その指定商品との関係において見れば、いずれもそれらが使用される場合にはトランプ骨牌等の容器にあらわされるものであることは、両者がいずれもこの種容器の展開図であることを示していることから明らかである。

 それ故このような両商標の使用の態様をも勘案しつつ、それらの構成部分を総括した全体の構図から判断する場合には、両商標は以上の如く外観において共通ずる面が多いから、両者を対比して見る場合はともかく、時と所とを異にしてこれに接する場合には、世人が両商標を混同する事例は頻繁に発生するものと解するのが、取引の実際に照らし相当である。

 従つて両商標はその称呼、観念においては相異なるも、外観の点において相紛らわしい類似の商標であるといわざるを得ず、そして両商標が指定商品において相抵触するものであることは明らかであるから、本願商標は旧商標法(大正一〇年法律第九九号)第二条第一項第九号の規定により登録を拒否すべきものと認める。

 三、しかしながら、審決は次の理由によつて違法であるから、その取消を求める。

 すなわち審決は、本願商標と引用商標との外観上の観察における類似点ないし共通点を指摘して、

 (一)いずれも文字及び図形を黒地に白であらわしているというも、商標としては、かようなものはありふれた表示態様であつて、取引市場において常に見受けられるところであり、あえて引用商標のみの表示態様ではないものというべく、

 (二)文字がいずれも相類似する特殊の態様で書かれているものとの印象を受けるというも、その両者の要部とする文字「ALPINIST」及び「CARAVAN」の文字は書体が全く異なるのであり(例えばこれらに共通の文字である「A」、「N」を比較すればその相違は一目瞭然である。)

  (三)両者は、文字の配置が図形との関係において類似しているというも、その表示態様は特殊なものではなく、普通のごくありふれたものであつて、引用商標のみに見られる独特のものではないのであり、

 (四)いずれの図形も三角形の前にシルエツトが描かれている点で類似するというも、単に三角形と断定するのが誤りで、本願商標のものは雪におおわれた山岳であり、そして引用商標のものは正三角形であるが□□をひく隊商の図形からピラミツドを表示していることが直ちに理解されるのであり、そしてまた両者の図形共にその一部がシルエツトで描かれているにしても、本願商標のものは雪におおわれた山岳と登山者を、また引用商標のものはピラミツドを背景とする隊商を表示することが明白であるから、審決の右のような認定には全体的に観察しない誤りがある。

 要するに、本願商標は「ALPINIST」の文字と雪におおわれた山岳を背景とする登山者の図形から成り、引用商標は「CARAVAN」の文字とピラミツドを背景とする隊商の図形から成ることが明らかであり、右の文字及び図形がそれぞれ明確に観察されるから、両者は外観上離隔的観察においても相異なるものというべきである。かように両商標は本質的に相違する外観を有するのみならず、取引上の実際においても、卸商及び小売店では舶来トランプと国産トランプとを場所を異にして陳列し、各百貨店においては舶来品は国産品と場所を異にして別に、「舶来トランプ」と表示したケース内に陳列して販売しているのであつて、引用商標のトランプは舶来品であり、本願商標のトランプは国産品であつて、取引上の実際においては右のような取扱いをせられているものである。従つて両商標は取引上の実際における経験則に照らしても非類似の商標であるというべきである。

 

 

有罪認定に必要とされる立証の程度としての「合理的な疑いを差し挟む余地がない」の意義

 

 

爆発物取締罰則違反,殺人未遂被告事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷決定/平成19年(あ)第398号

【判決日付】      平成19年10月16日

【判示事項】      1 有罪認定に必要とされる立証の程度としての「合理的な疑いを差し挟む余地がない」の意義

             2 有罪認定に必要とされる立証の程度としての「合理的な疑いを差し挟む余地がない」の意義は,直接証拠によって事実認定をすべき場合と情況証拠によって事実認定をすべき場合とで異なるか

【判決要旨】      1 有罪認定に必要とされる立証の程度としての「合理的な疑いを差し挟む余地がない」というのは,反対事実が存在する疑いを全く残さない場合をいうものではなく,抽象的な可能性としては反対事実が存在するとの疑いをいれる余地があっても,健全な社会常識に照らしてその疑いに合理性がないと一般的に判断される場合には有罪認定を可能とする趣旨である。

             2 有罪認定に必要とされる立証の程度としての「合理的な疑いを差し挟む余地がない」の意義は,直接証拠によって事実認定をすべき場合と情況証拠によって事実認定をすべき場合とで異ならない。

【参照条文】      刑事訴訟法317

             刑事訴訟法318

             刑事訴訟法333-1

【掲載誌】        最高裁判所刑事判例集61巻7号677頁

 

 

刑事第四節 証拠

第三百十七条 事実の認定は、証拠による。

第三百十八条 証拠の証明力は、裁判官の自由な判断に委ねる。訴訟法

 

第三百三十三条 被告事件について犯罪の証明があつたときは、第三百三十四条の場合を除いては、判決で刑の言渡をしなければならない。

② 刑の執行猶予は、刑の言渡しと同時に、判決でその言渡しをしなければならない。猶予の期間中保護観察に付する場合も、同様とする。

 

 

 

 

       主   文

 

 本件上告を棄却する。

 

       理   由

 

 弁護人吉田茂,同桑城秀樹の上告趣意のうち,判例違反をいう点は,事案を異にする判例を引用するものであって,本件に適切でなく,その余は,憲法違反をいう点を含め,実質は事実誤認の主張であり,被告人本人の上告趣意は,事実誤認の主張であって,いずれも刑訴法405条の上告理由に当たらない。

 なお,所論にかんがみ,職権で判断する。

 1 本件は,離婚訴訟中であった被告人が,妻の実母甲野花子らを殺害する目的で,アセトン等から生成したトリアセトントリパーオキサイド(過酸化アセトン。以下「TATP」という。)相当量に,点火ヒーター,乾電池等を使用した起爆装置を接続して,これをファイルケースに収納し,更に同ケースを定形外郵便封筒内に収納するなどして,同封筒から同ケースを引き出すことにより上記起爆装置が作動して上記TATPが爆発する構造の爆発物1個(以下「本件爆発物」という。)を製造した上,定形外郵便物として甲野花子あてに投かんし,情を知らない郵便配達員をしてこれを高松市内の甲野花子方に配達させ,甲野花子をして同封筒から同ケースを引き出させてこれを爆発させ,もって,爆発物を使用するとともに,甲野花子らを殺害しようとしたが,甲野花子を含む3名の者に重軽傷を負わせたにとどまり,甲野花子らを殺害するに至らなかったとして,爆発物取締罰則違反,殺人未遂に問われた事案である。

 2 第1審判決は,(1)被告人は,本件爆発物の爆発事件(以下「本件爆発事件」という。)が発生する8日ほど前までに,自宅のパソコンからインターネットを利用して,TATPを含む爆発性物質の生成方法や起爆装置の製造方法等を記載したサイトにアクセスし,閲覧しており,実際にプラスチックケースに入った爆発性物質を取り扱っていた事実も推認できること,(2)被告人は,本件爆発事件発生前に,本件爆発物に使われたとみられる分量のTATPを生成し得るアセトン等を購入していたほか,本件爆発物に使用された起爆装置の起爆薬など多数の構成部品と同種又は類似の物を新たに購入し,あるいは以前から入手しており,被告人方からは,TATPの成分が付着した金属粉末も発見されていること,(3)本件爆発物を収納した封筒にちょう付されていた24枚の切手中9枚は,本件爆発事件発生の前日,長尾郵便局(香川県さぬき市所在)に設置された自動販売機から発行・発売されたものであるところ,被告人方から発見押収された切手3枚は,上記切手9枚の発行・発売の2分後に,同じ自動販売機から発行・発売されたものであること,(4)同封筒にちょう付されていた差出人を示す紙片は,クレジットカード会社のホームページの高松支店の地図付き案内ページを利用し,これをカラープリンターでラベルシートに印刷して作成されたものであるところ,被告人は,本件爆発事件発生の6日前に上記ホームページを閲覧していた上,被告人方からは上記印刷が可能なカラープリンター及び同種ラベルシートが発見されていること,(5)同封筒は,本件爆発事件発生の前日の一定の時間帯に高松南郵便局管内の投入口が比較的大きい郵便ポストに投かんされたものとみられるが,被告人は,上記の時間帯に,同郵便局管内の同封筒が投かん可能な郵便ポストの設置されている場所へ行っていることなどを総合すれば,被告人が本件爆発物を製造し,甲野花子あてに郵送したと認められるとした上で,本件爆発物の威力に関する被告人の認識や,本件爆発事件の発生当時,被告人には,妻との離婚訴訟をめぐって同女の実母である甲野花子らに対し殺意を抱き得る事情があったことなどに照らせば,被告人には,甲野花子に対する確定的な殺意及び本件爆発事件で負傷したその余の2名の者に対する未必的な殺意が認められるとした。そして,原判決も,第1審判決の上記判断を是認した。

 3 所論は,上記(2)の点に関し,被告人が,その購入したアセトン等を他の使途に費消した可能性や,上記(3)の点に関し,上記封筒にちょう付されていたその余の切手中,少なくとも10枚を被告人が購入し得なかった可能性等を指摘して,原判決は,情況証拠による間接事実に基づき事実認定をする際,反対事実の存在の可能性を許さないほどの確実性がないにもかかわらず,被告人の犯人性を認定したなどという。

 刑事裁判における有罪の認定に当たっては,合理的な疑いを差し挟む余地のない程度の立証が必要である。ここに合理的な疑いを差し挟む余地がないというのは,反対事実が存在する疑いを全く残さない場合をいうものではなく,抽象的な可能性としては反対事実が存在するとの疑いをいれる余地があっても,健全な社会常識に照らして,その疑いに合理性がないと一般的に判断される場合には,有罪認定を可能とする趣旨である。そして,このことは,直接証拠によって事実認定をすべき場合と,情況証拠によって事実認定をすべき場合とで,何ら異なるところはないというべきである。

 本件は,専ら情況証拠により事実認定をすべき事案であるが,原判決が是認する第1審判決は,前記の各情況証拠を総合して,被告人が本件を行ったことにつき,合理的な疑いを差し挟む余地のない程度に証明されたと判断したものであり,同判断は正当であると認められる。

 よって,刑訴法414条,386条1項3号により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。

 

 

「類似する標章」の使用および「類似する標章」を付した印刷物の販売頒布の禁止を求める訴の適否

 

 

商標使用禁止及損害賠償請求事件

【事件番号】      東京地方裁判所判決/昭和32年(ワ)第5278号

【判決日付】      昭和36年3月2日

【判示事項】      1、「類似する標章」の使用および「類似する標章」を付した印刷物の販売頒布の禁止を求める訴の適否

             2、印刷物等を指定商品として登録した商標を物品販売のための宣伝用印刷物に使用することと商標権侵害の成否

【参照条文】      商標法

             商標法37

【掲載誌】        下級裁判所民事裁判例集12巻3号410頁

【評釈論文】      別冊ジュリスト14号12頁

             ジュリスト318号107頁

 

商標法

(定義等)

第二条 この法律で「商標」とは、人の知覚によつて認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの(以下「標章」という。)であつて、次に掲げるものをいう。

一 業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするもの

二 業として役務を提供し、又は証明する者がその役務について使用をするもの(前号に掲げるものを除く。)

2 前項第二号の役務には、小売及び卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供が含まれるものとする。

3 この法律で標章について「使用」とは、次に掲げる行為をいう。

一 商品又は商品の包装に標章を付する行為

二 商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為

三 役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物(譲渡し、又は貸し渡す物を含む。以下同じ。)に標章を付する行為

四 役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付したものを用いて役務を提供する行為

五 役務の提供の用に供する物(役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物を含む。以下同じ。)に標章を付したものを役務の提供のために展示する行為

六 役務の提供に当たりその提供を受ける者の当該役務の提供に係る物に標章を付する行為

七 電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によつて認識することができない方法をいう。次号及び第二十六条第三項第三号において同じ。)により行う映像面を介した役務の提供に当たりその映像面に標章を表示して役務を提供する行為

八 商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為

九 音の標章にあつては、前各号に掲げるもののほか、商品の譲渡若しくは引渡し又は役務の提供のために音の標章を発する行為

十 前各号に掲げるもののほか、政令で定める行為

4 前項において、商品その他の物に標章を付することには、次の各号に掲げる各標章については、それぞれ当該各号に掲げることが含まれるものとする。

一 文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合の標章 商品若しくは商品の包装、役務の提供の用に供する物又は商品若しくは役務に関する広告を標章の形状とすること。

二 音の標章 商品、役務の提供の用に供する物又は商品若しくは役務に関する広告に記録媒体が取り付けられている場合(商品、役務の提供の用に供する物又は商品若しくは役務に関する広告自体が記録媒体である場合を含む。)において、当該記録媒体に標章を記録すること。

5 この法律で「登録商標」とは、商標登録を受けている商標をいう。

6 この法律において、商品に類似するものの範囲には役務が含まれることがあるものとし、役務に類似するものの範囲には商品が含まれることがあるものとする。

7 この法律において、輸入する行為には、外国にある者が外国から日本国内に他人をして持ち込ませる行為が含まれるものとする。

第二章 商標登録及び商標登録出願

(商標登録の要件)

第三条 自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標については、次に掲げる商標を除き、商標登録を受けることができる。

一 その商品又は役務の普通名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標

二 その商品又は役務について慣用されている商標

三 その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、形状(包装の形状を含む。第二十六条第一項第二号及び第三号において同じ。)、生産若しくは使用の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格又はその役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、態様、提供の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標

四 ありふれた氏又は名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標

五 極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標

六 前各号に掲げるもののほか、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標

2 前項第三号から第五号までに該当する商標であつても、使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるものについては、同項の規定にかかわらず、商標登録を受けることができる。

(商標登録を受けることができない商標)

第四条 次に掲げる商標については、前条の規定にかかわらず、商標登録を受けることができない。

一 国旗、菊花紋章、勲章、褒章又は外国の国旗と同一又は類似の商標

二 パリ条約(千九百年十二月十四日にブラッセルで、千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にヘーグで、千九百三十四年六月二日にロンドンで、千九百五十八年十月三十一日にリスボンで及び千九百六十七年七月十四日にストックホルムで改正された工業所有権の保護に関する千八百八十三年三月二十日のパリ条約をいう。以下同じ。)の同盟国、世界貿易機関の加盟国又は商標法条約の締約国の国の紋章その他の記章(パリ条約の同盟国、世界貿易機関の加盟国又は商標法条約の締約国の国旗を除く。)であつて、経済産業大臣が指定するものと同一又は類似の商標

三 国際連合その他の国際機関(ロにおいて「国際機関」という。)を表示する標章であつて経済産業大臣が指定するものと同一又は類似の商標(次に掲げるものを除く。)

イ 自己の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似するものであつて、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの

ロ 国際機関の略称を表示する標章と同一又は類似の標章からなる商標であつて、その国際機関と関係があるとの誤認を生ずるおそれがない商品又は役務について使用をするもの

四 赤十字の標章及び名称等の使用の制限に関する法律(昭和二十二年法律第百五十九号)第一条の標章若しくは名称又は武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律(平成十六年法律第百十二号)第百五十八条第一項の特殊標章と同一又は類似の商標

五 日本国又はパリ条約の同盟国、世界貿易機関の加盟国若しくは商標法条約の締約国の政府又は地方公共団体の監督用又は証明用の印章又は記号のうち経済産業大臣が指定するものと同一又は類似の標章を有する商標であつて、その印章又は記号が用いられている商品又は役務と同一又は類似の商品又は役務について使用をするもの

六 国若しくは地方公共団体若しくはこれらの機関、公益に関する団体であつて営利を目的としないもの又は公益に関する事業であつて営利を目的としないものを表示する標章であつて著名なものと同一又は類似の商標

七 公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標

八 他人の肖像又は他人の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を含む商標(その他人の承諾を得ているものを除く。)

九 政府若しくは地方公共団体(以下「政府等」という。)が開設する博覧会若しくは政府等以外の者が開設する博覧会であつて特許庁長官の定める基準に適合するもの又は外国でその政府等若しくはその許可を受けた者が開設する国際的な博覧会の賞と同一又は類似の標章を有する商標(その賞を受けた者が商標の一部としてその標章の使用をするものを除く。)

十 他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であつて、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの

十一 当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標又はこれに類似する商標であつて、その商標登録に係る指定商品若しくは指定役務(第六条第一項(第六十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定により指定した商品又は役務をいう。以下同じ。)又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの

十二 他人の登録防護標章(防護標章登録を受けている標章をいう。以下同じ。)と同一の商標であつて、その防護標章登録に係る指定商品又は指定役務について使用をするもの

十三 削除

十四 種苗法(平成十年法律第八十三号)第十八条第一項の規定による品種登録を受けた品種の名称と同一又は類似の商標であつて、その品種の種苗又はこれに類似する商品若しくは役務について使用をするもの

十五 他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標(第十号から前号までに掲げるものを除く。)

十六 商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれがある商標

十七 日本国のぶどう酒若しくは蒸留酒の産地のうち特許庁長官が指定するものを表示する標章又は世界貿易機関の加盟国のぶどう酒若しくは蒸留酒の産地を表示する標章のうち当該加盟国において当該産地以外の地域を産地とするぶどう酒若しくは蒸留酒について使用をすることが禁止されているものを有する商標であつて、当該産地以外の地域を産地とするぶどう酒又は蒸留酒について使用をするもの

十八 商品等(商品若しくは商品の包装又は役務をいう。第二十六条第一項第五号において同じ。)が当然に備える特徴のうち政令で定めるもののみからなる商標

十九 他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標であつて、不正の目的(不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的をいう。以下同じ。)をもつて使用をするもの(前各号に掲げるものを除く。)

2 国若しくは地方公共団体若しくはこれらの機関、公益に関する団体であつて営利を目的としないもの又は公益に関する事業であつて営利を目的としないものを行つている者が前項第六号の商標について商標登録出願をするときは、同号の規定は、適用しない。

3 第一項第八号、第十号、第十五号、第十七号又は第十九号に該当する商標であつても、商標登録出願の時に当該各号に該当しないものについては、これらの規定は、適用しない。

 

(侵害とみなす行為)

第三十七条 次に掲げる行為は、当該商標権又は専用使用権を侵害するものとみなす。

一 指定商品若しくは指定役務についての登録商標に類似する商標の使用又は指定商品若しくは指定役務に類似する商品若しくは役務についての登録商標若しくはこれに類似する商標の使用

二 指定商品又は指定商品若しくは指定役務に類似する商品であつて、その商品又はその商品の包装に登録商標又はこれに類似する商標を付したものを譲渡、引渡し又は輸出のために所持する行為

三 指定役務又は指定役務若しくは指定商品に類似する役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に登録商標又はこれに類似する商標を付したものを、これを用いて当該役務を提供するために所持し、又は輸入する行為

四 指定役務又は指定役務若しくは指定商品に類似する役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に登録商標又はこれに類似する商標を付したものを、これを用いて当該役務を提供させるために譲渡し、引き渡し、又は譲渡若しくは引渡しのために所持し、若しくは輸入する行為

五 指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について登録商標又はこれに類似する商標の使用をするために登録商標又はこれに類似する商標を表示する物を所持する行為

六 指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について登録商標又はこれに類似する商標の使用をさせるために登録商標又はこれに類似する商標を表示する物を譲渡し、引き渡し、又は譲渡若しくは引渡しのために所持する行為

七 指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について登録商標又はこれに類似する商標の使用をし、又は使用をさせるために登録商標又はこれに類似する商標を表示する物を製造し、又は輸入する行為

八 登録商標又はこれに類似する商標を表示する物を製造するためにのみ用いる物を業として製造し、譲渡し、引き渡し、又は輸入する行為

 

 

 

 

 

       主   文

 

 原告の請求のうち「類似する標章」の使用及び「類似する標章」を附した印刷物の販売、頒布の禁止を求める部分は却下する。

 原告のその余の請求はいずれも棄却する。

 訴訟費用は原告の負担とする。

 

       事   実

 

 原告訴訟代理人は、被告は、「趣味の会」、□、□「しゆみ」、及びこれらに類似する標章を使用し、または右の各標章及びこれに類似する標章を附した印刷物の販売、頒布をしてはならない。被告は原告に対して金三〇万円及びこれに対する昭和三二年八月一四日から完済に至るまで年五分の割合による金員の支払をせよ。訴訟費用は被告の負担とする。」との判決並びに仮執行の宣言を求め、その請求原因として、

一、原告は、昭和二九年一月二三日に設立され、全国銘菓、名物、民芸品、陶器、漆器、色紙、版画、写真等の製造販売等を目的とする会社で、次の方法によつてその販売を行つている。

 (1) 販売商品を、第一部全国銘菓、名物の部、第二部郷土人形百態の部、第三部趣味の器の部、第四部色紙と版画の部、第五部おくに名物の部、第六部こけし人形の部、第七部郷土玩具の部の七部に分類している。

 (2) 原告から物品を購入しようとする者は、前記第一乃至七部のうちの購入しようとする物品の属する部の会員となる。したがつて異る部に属する物品を購入しようとするものは、その物品の属する各部についてそれぞれ会員となる。原告は、会員に対して解約の申入がない限り、継続して毎月各部毎に一個宛商品を配布販売する。

 (3) 原告は、その会員の募集、販売商品の配布、販売代金の集金等の事務を委任する者を各地に置き、これを支部と称している。

二、原告の商品販売方法は右のようなものであり、現在原告の支部は全国各都道府県に三〇数個所あつて、会員数は、約七万名(東京都内約二万五千名)(この会員数は、一人で二つ以上の部の会員となつている者であるから会員となつている者の人員とは一致しない。)あり、なお増加しつつある。

三、原告は、設立以来販売商品の宣伝、販権の拡大の目的で会員または一般人に対して「趣味の会」□、趣味の会、□等の標章を印刷したちらし、パンフレツト等を商品と共に配布して商品の説明、宣伝をし、また、有名人の随筆等を記載した月刊パンフレツト「月刊趣味の会」を出版してきたのであるが、その販売する印刷物等(指定商品第六六類(旧商標法施行規則第一五条による))について次のとおり商標の登録を受けた。

 (1) 趣味の会、出願昭和三一年四月二一日、登録昭和三一年一二月一九日、登録番号第四九三六六一号、指定商品第六六類図画、写真及び印刷物類、書籍、新聞紙、雑誌、アルバム等の右商標の連合商標として、

 (2) □出願昭和三一年六月八日、登録昭和三二年三月三〇日登録番号第四九八九一七号、指定商品第六六類。

 (3) □出願昭和三一年六月一四日、登録昭和三二年三月三〇日登録番号第四九八九一八号、指定商品第六六類。

 (4) 趣味の会出願昭和三一年六月一四日、登録昭和三二年三月三〇日、登録番号第四九八九一九号、指定商品第六六類。

四、被告は静岡、愛知、岐阜の各県を中心として、原告と同様の目的、方法で営業を営むものであるが、原告が前記の各商標について商標権を有し、前記のとおりその販売、頒布する印刷物等にこれを使用していることを知りながら、昭和三一年末から原告と全く同様の目的、方法で□、□なる標章を印刷したちらし、パンフレツト等を被告の会員、一般人のみならず原告の会員にまで配布し、更に原告の発行する「月刊趣味の会」と全く同様の編集方法により「月刊しゆみ」なる標章を印刷した月刊パンフレツトを出版し、原告の商標権を侵害している。

五、原告は、全国各市に支部を設置するため、昭和三二年一月から全国的に支部希望者を募集し、同年三月三一日号週刊朝日をはじめ三大週刊誌、読売新聞、その他の日刊紙等に広告費一五〇万円を投じて、募集広告を掲載し、同年三月より六月にわたつて各商工会議所に支部希望者の推薦を依頼したが、愛知、静岡、岐阜の各県下においては、既に被告が原告と同様の名称を用いその販売、頒布する商品、印刷物に前記のとおり原告の商標に類似する標章を附し、同様の営業を行つていたため、右三県下の後記の各市においては、原告がした広告の効果がなく、また、商工会議所も被告の支部を原告のそれと誤認し、支部希望者の推薦をしないので、原告は、その支部を設置することができないでいる。

六、原告は、支部を設置することができなかつたために次のとおりの損害を蒙つた。

 (1) 原告が昭和三二年四月から前記のとおりの方法で支部を設置しようとした前記三県下の市は次のとおりである。

  (イ) 岐阜県人口一〇万以上岐阜市、人口十万以下高山、多治見、関、土岐、美濃市、

  (ロ) 静岡県人口一〇万以上、静岡、浜松、沼津、清水市、人口一〇万以下焼津、吉原、藤枝、三島、磐田、島田、伊東市

  (ハ) 愛知県人口一〇万以上、岡崎、一宮市、人口一〇万以下半田、瀬戸、豊川、蒲郡、安城、春日井、刈谷、津島市

 (2) 支部が設置された当初月は一支部について、人口一〇万以下の市は少くとも一〇〇名、人口一〇万以上の市は少くとも五〇〇名の会員が得られ、その後一月経過する毎に、その会員は増加して、少くとも次のとおりの会員数となる。

             人口一〇万以下の市  人口一〇万以上の市

    設置後二月目     二〇〇名      一、〇〇〇名

    同  三月目     三五〇名      一、六〇〇名

    同  四月目     五〇〇名      二、五〇〇名

 支部設置数は月平均最低五支部は可能であるので、昭和三二年四月に設置を開始したとすると、同年七月までに設置できたはずの支部数、およびこれによつて得られる延会員数は次のとおりとなる。

  (イ) 四月二一日から同月末日までの間に設置できたはずの支部、人口一〇万以上の市に一支部、会員数は前記の割合によると、少くとも四月五〇〇名、五月一、〇〇〇名、六月一、六〇〇名、七月二、五〇〇名となり、七月までのその累計(延会員数)は五、六〇〇名となる。

  (ロ) 五月中に設置できたはずの支部、人口一〇万以上の市に一支部、人口一〇万以下の市に四支部、七月までの会員数の累計は前記の割合によると、少くとも五、七〇〇名となる。

  (ハ) 六月中に設置できたはずの支部、人口一〇万以上の市に一支部、人口一〇万以下の市に四支部、七月までの会員数の累計は二、七〇〇名となる。

  (ニ) 七月一日から同月七日までに設置できたはずの支部、人口一〇万以下の市に二支部、七月中の会員数の累計は二〇〇名となる。

 すなわち四月二一日から七月七日までの間に人口一〇万以上の市三箇所、一〇万以下の市一〇箇所合計一三支部が設置され累計一四、二〇〇名の延会員が得られ、回数の配布品の販売ができたはずである。

 (3) 各部の配布品の平均価格は一箇について一五〇円となり、諸経費を控除した平均純利益は、販売価格の百分の二十であるから、右の販売によつて得らるべき純利益は四二万六千円となる。すなわち、原告は昭和三二年四月二一日から同年七月七日までの間に、愛知、静岡、岐阜の三県に設置できたはずの支部による、商品の販売によつて得られたはずの利益は四二万六千円を、失つたことになる。

七、原告は、被告が前記のとおり原告が商標権を有する商標に類似する商標を使用していたので、被告に対しその使用の停止を要求し、その交渉のため次のとおりの費用を支出した。

 (1) 昭和三一年一〇月一日から三日までの間に要した費用(イ)神田東京駅間往復自動車賃三〇〇円、(ロ)名古屋市内における自動車賃六回分一、〇五〇円、(ハ)車中食事代、電報料等二、二〇〇円、(ニ)名古屋駅入場料三名分三〇円、(ホ)香取旅館宿泊料八、八五二円、(ヘ)女中心附三四八円、(ト)東京、名古屋間特二急行往復料金二名分一一、九二〇円計二四、七〇〇円

 (2) 昭和三二年五月五日から一二日までに要した費用、(イ)東京、名古屋間特二往復料金五、九六〇円、(ロ)食事代外雑費三、五〇〇円、(ハ)名古屋市内における自動車賃一、九〇〇円、(ニ)湯の元、香取旅館宿泊料二、四三八円計一三、七九八円、

 すなわち、被告が原告の商標権の侵害をしたので、その停止を求めるため、原告は右の費用合計三八、四九八円を費しこれと同額の損害を蒙つた。

八、よつて原告は被告に対して、前記のとおりの原告の商標権にもとずいて、その侵害の排除、予防のため、被告に対して、その使用している原告の商標に類似した前記の各標章およびこれに類似した標章の使用の禁止を求めるとともに、商標権を侵害されたことによつて蒙つた損害の賠償として、前記七の三八、四九八円と、前記六のうち二六一、三〇二円との合計三〇万円およびこれに対する右損害発生の後である本訴状送達の日の翌日である昭和三二年八月一四日から完済に至るまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

九、予備的請求原因として、仮に、被告が前記四のとおり趣味の会その他の標章を使用していることが、原告の商標権を侵害するものではないとしても、原告は設立当初の昭和二九年一月頃から、その標章として「趣味の会」なる標章を使用し、その後その商標登録、および前記のとおりの連合商標の登録を受け、これを全国的に継続して使用し、原告の商標として広く認識されている。そして、被告が前記四のとおり趣味の会その他の標章を使用している方法は、原告の各商標の使用方法を模倣したものであつて、一般の第三者をして、その営業が原告の営業であるとの誤認を容易に生ぜしめるものである。よつて原告は不正競争防止法第一条第一号によつて、被告に対して前記八と同様に、標章使用の禁止、を求めるとともに、同法第一条の二によつて被告の行為によつて原告が蒙つた損害の賠償を求める。

 被告の答弁に対する再答弁として

 (一) 被告が、原告が主張する標章を附して配付しているパンフレツトは、交換価値のないものではない。それらのパンフレツトは、殆んどが会費を納めている被告の会員に配付されているのであるから、広義の対価を得て配付しているものであり、したがつて商品である。

 (二) 被告の行為が原告の商標権を侵害するものであるかどうかを判断するについては、商標法の基本理念である不正競争の防止という観点からなされなければならない。被告の「趣味の会」なる標章の使用方法は、全く原告の商標使用方法を模倣したものであつて、明らかに不正競争行為であるから、原告の商標権を侵害する行為である。

 (三) 被告が主張する「趣味の会」なる標章が被告の標章として周知のものとなつていたとの事実は否認する。仮に、被告が原告の商標出願前より右標章を使用していたとしても、右標章が被告の標章であることを知つていたのは、被告の住所附近の被告と取引関係のあるものに限られていたのであつて、取引者、需要者間において周知となつていたとはいえないと述べ、

 立証として、甲第一号証の一、二、同第二号証の一乃至三、同第三号証の一、二、同第四号証の一乃至四、同第五号証の一、二、同第六号証の一乃至四、同第七号証の一乃至五、同第八号証の一乃至三、同第九号証、同第一〇号証の一乃至三、同第一一号証の一乃至六、同第一二号証、同第一三号証の一乃至四を提出し、同第二乃至五号証はいずれも原告が、同第六乃至一〇号証はいずれも被告が作成したものであると述べ、証人高橋昭郎の証言及び原告代表者高桑誓治の本人尋問の結果を援用し、乙第四、五号証の各一乃至三の成立を認め、その余の同号各証はいずれも不知と述べた。

 被告訴訟代理人は、本案前の抗弁として、原告の請求のうち「類似する標章」の使用禁止を求める部分は却下するとの判決を求め、その理由として、単に「類似する標章」というのでは具体的に如何なる標章について使用禁止を求めるかを特定することができないから右請求は不特定であると述べ、

 本案につき、原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とするとの判決を求め、答弁として、

 原告主張の請求原因一、二、三は不知。同四のうち被告が静岡、愛知、岐阜の三県に亘つて「趣味の会」と印刷したちらし、パンフレツト等を被告の会員に配布し、また、「月刊しゆみ」を出版していることは認める。その余は不知。同五乃至九は否認する。

(一) 商標権者は、指定商品についてのみ登録商標の使用をする権利を専有するものであつて、指定商品以外については商標使用権を専有しないのであるから、仮に原告がその主張の如き商標権を有するとしても原告の請求のうち、被告に対して標章使用の禁止を求める商品を特定しないで、一般的に標章の使用禁止を求める部分は理由がない。

(二) 「しゆみ」という標章は、「趣味の会」という商標と外観、呼称、その表示する観念が全く異るものであつて、類似していないから、仮に、原告が「趣味の会」について商標権を有するとしても、「しゆみ」という標章について使用禁止を求めることはできない。

(三) 仮に、原告がその主張の如き商標権を有するとしても、商標権者が登録商標の使用をする権利を専有するのは、特定の種類の商品についてであり、商品とは交換価値のあるものである。しかるに、被告が配付している印刷物は、所謂ちらしといわれるもので、無料で配付するものであつて、交換価値のないものである。すなわち、被告が配付している印刷物は商品ではないのであるから原告の商標権の効力はこれには及ばない。

(四) 仮に、原告がその主張の如き商標権を有するとしても、原告がその主張の三県に支部を設置することができるかどうかということと被告がその配布する印刷物に原告主張の如き標章を使用していることは因果関係がない。したがつて、仮に、原告がその主張の如き市に支部を設置することができなかつたとしても、そのことについて被告が損害を賠償すべき理由はない。

(四) 「趣味の会」なる標章は、昭和二六年三月京都において全国銘菓名物趣味鑑賞会、別名趣味の会発足以来使用宣伝されたのみでなく、被告代表者である内藤重夫は、原告主張の商標登録出願日(昭和三一年四月二一日)以前である昭和二九年九月以来個人で「趣味の会」なる標章をパンフレツト等に善意で使用し、その宣伝周知に努めた結果、右昭和三一年四月二一日には既に同人の標章として周知となつていた。被告は、昭和三一年五月一日に設立され、内藤重夫が個人で行つていた営業を同人が使用していた「趣味の会」なる標章と共に承継したものである。したがつて、仮に原告がその主張の如き商標権を有するとしても、被告は、商標法第三二条によつて「趣味の会」なる商標を使用する権利を有すると述べ、立証として、

 乙第一号証、同第二号証の一乃至三、同第三号証、同第四、第五号証の各一乃至三、同第六号証の一乃至六、同第七号証、同第八号証、同第九号証の一乃至二一を提出し、証人江崎寛友の証言及び被告代表者内藤重夫の本人尋問の結果を援用し、甲第一号証の一、二、同第六号証の一乃至四、同第七号証の一乃至五、同第八号証の一乃至三、同第九号証、同第一〇号証の一乃至三、同第一二号証、同第一三号証の一乃至四はいずれも成立を認め、その余の同号各証はいずれも不知と述べた。

 

私製葉書業者の国に対する損害賠償請求事件・独占禁止法

 

 

              損害賠償請求控訴事件

【事件番号】      大阪高等裁判所判決/平成4年(ネ)第2131号

【判決日付】      平成6年10月14日

【判示事項】      いわゆる「お年玉付年賀葉書」、「さくらめーる」及び「かもめーる」の発行はいわゆる独占禁止法上の「不当取引」、「私的独占」及び「地位利用」にそれぞれ該当するか(いずれも消極)

【参照条文】      私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律

             私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律3

             私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律21

             郵便法22

             郵便法34

             お年玉付郵便葉書等に関する法律1

【掲載誌】        訟務月報42巻1号1頁

             判例時報1548号63頁

 

 

私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律

第二条 この法律において「事業者」とは、商業、工業、金融業その他の事業を行う者をいう。事業者の利益のためにする行為を行う役員、従業員、代理人その他の者は、次項又は第三章の規定の適用については、これを事業者とみなす。

② この法律において「事業者団体」とは、事業者としての共通の利益を増進することを主たる目的とする二以上の事業者の結合体又はその連合体をいい、次に掲げる形態のものを含む。ただし、二以上の事業者の結合体又はその連合体であつて、資本又は構成事業者の出資を有し、営利を目的として商業、工業、金融業その他の事業を営むことを主たる目的とし、かつ、現にその事業を営んでいるものを含まないものとする。

一 二以上の事業者が社員(社員に準ずるものを含む。)である社団法人その他の社団

二 二以上の事業者が理事又は管理人の任免、業務の執行又はその存立を支配している財団法人その他の財団

三 二以上の事業者を組合員とする組合又は契約による二以上の事業者の結合体

③ この法律において「役員」とは、理事、取締役、執行役、業務を執行する社員、監事若しくは監査役若しくはこれらに準ずる者、支配人又は本店若しくは支店の事業の主任者をいう。

④ この法律において「競争」とは、二以上の事業者がその通常の事業活動の範囲内において、かつ、当該事業活動の施設又は態様に重要な変更を加えることなく次に掲げる行為をし、又はすることができる状態をいう。

一 同一の需要者に同種又は類似の商品又は役務を供給すること

二 同一の供給者から同種又は類似の商品又は役務の供給を受けること

⑤ この法律において「私的独占」とは、事業者が、単独に、又は他の事業者と結合し、若しくは通謀し、その他いかなる方法をもつてするかを問わず、他の事業者の事業活動を排除し、又は支配することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限することをいう。

⑥ この法律において「不当な取引制限」とは、事業者が、契約、協定その他何らの名義をもつてするかを問わず、他の事業者と共同して対価を決定し、維持し、若しくは引き上げ、又は数量、技術、製品、設備若しくは取引の相手方を制限する等相互にその事業活動を拘束し、又は遂行することにより、公共の利益に反して、一定の取引分野における競争を実質的に制限することをいう。

⑦ この法律において「独占的状態」とは、同種の商品(当該同種の商品に係る通常の事業活動の施設又は態様に重要な変更を加えることなく供給することができる商品を含む。)(以下この項において「一定の商品」という。)並びにこれとその機能及び効用が著しく類似している他の商品で国内において供給されたもの(輸出されたものを除く。)の価額(当該商品に直接課される租税の額に相当する額を控除した額とする。)又は国内において供給された同種の役務の価額(当該役務の提供を受ける者に当該役務に関して課される租税の額に相当する額を控除した額とする。)の政令で定める最近の一年間における合計額が千億円を超える場合における当該一定の商品又は役務に係る一定の事業分野において、次に掲げる市場構造及び市場における弊害があることをいう。

一 当該一年間において、一の事業者の事業分野占拠率(当該一定の商品並びにこれとその機能及び効用が著しく類似している他の商品で国内において供給されたもの(輸出されたものを除く。)又は国内において供給された当該役務の数量(数量によることが適当でない場合にあつては、これらの価額とする。以下この号において同じ。)のうち当該事業者が供給した当該一定の商品並びにこれとその機能及び効用が著しく類似している他の商品又は役務の数量の占める割合をいう。以下この号において同じ。)が二分の一を超え、又は二の事業者のそれぞれの事業分野占拠率の合計が四分の三を超えていること。

二 他の事業者が当該事業分野に属する事業を新たに営むことを著しく困難にする事情があること。

三 当該事業者の供給する当該一定の商品又は役務につき、相当の期間、需給の変動及びその供給に要する費用の変動に照らして、価格の上昇が著しく、又はその低下がきん少であり、かつ、当該事業者がその期間次のいずれかに該当していること。

イ 当該事業者の属する政令で定める業種における標準的な政令で定める種類の利益率を著しく超える率の利益を得ていること。

ロ 当該事業者の属する事業分野における事業者の標準的な販売費及び一般管理費に比し著しく過大と認められる販売費及び一般管理費を支出していること。

⑧ 経済事情が変化して国内における生産業者の出荷の状況及び卸売物価に著しい変動が生じたときは、これらの事情を考慮して、前項の金額につき政令で別段の定めをするものとする。

⑨ この法律において「不公正な取引方法」とは、次の各号のいずれかに該当する行為をいう。

一 正当な理由がないのに、競争者と共同して、次のいずれかに該当する行為をすること。

イ ある事業者に対し、供給を拒絶し、又は供給に係る商品若しくは役務の数量若しくは内容を制限すること。

ロ 他の事業者に、ある事業者に対する供給を拒絶させ、又は供給に係る商品若しくは役務の数量若しくは内容を制限させること。

二 不当に、地域又は相手方により差別的な対価をもつて、商品又は役務を継続して供給することであつて、他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあるもの

三 正当な理由がないのに、商品又は役務をその供給に要する費用を著しく下回る対価で継続して供給することであつて、他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあるもの

四 自己の供給する商品を購入する相手方に、正当な理由がないのに、次のいずれかに掲げる拘束の条件を付けて、当該商品を供給すること。

イ 相手方に対しその販売する当該商品の販売価格を定めてこれを維持させることその他相手方の当該商品の販売価格の自由な決定を拘束すること。

ロ 相手方の販売する当該商品を購入する事業者の当該商品の販売価格を定めて相手方をして当該事業者にこれを維持させることその他相手方をして当該事業者の当該商品の販売価格の自由な決定を拘束させること。

五 自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して、正常な商慣習に照らして不当に、次のいずれかに該当する行為をすること。

イ 継続して取引する相手方(新たに継続して取引しようとする相手方を含む。ロにおいて同じ。)に対して、当該取引に係る商品又は役務以外の商品又は役務を購入させること。

ロ 継続して取引する相手方に対して、自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させること。

ハ 取引の相手方からの取引に係る商品の受領を拒み、取引の相手方から取引に係る商品を受領した後当該商品を当該取引の相手方に引き取らせ、取引の相手方に対して取引の対価の支払を遅らせ、若しくはその額を減じ、その他取引の相手方に不利益となるように取引の条件を設定し、若しくは変更し、又は取引を実施すること。

六 前各号に掲げるもののほか、次のいずれかに該当する行為であつて、公正な競争を阻害するおそれがあるもののうち、公正取引委員会が指定するもの

イ 不当に他の事業者を差別的に取り扱うこと。

ロ 不当な対価をもつて取引すること。

ハ 不当に競争者の顧客を自己と取引するように誘引し、又は強制すること。

ニ 相手方の事業活動を不当に拘束する条件をもつて取引すること。

ホ 自己の取引上の地位を不当に利用して相手方と取引すること。

ヘ 自己又は自己が株主若しくは役員である会社と国内において競争関係にある他の事業者とその取引の相手方との取引を不当に妨害し、又は当該事業者が会社である場合において、その会社の株主若しくは役員をその会社の不利益となる行為をするように、不当に誘引し、唆し、若しくは強制すること。

第二章 私的独占及び不当な取引制限

第二条の二 この章において「市場占有率」とは、一定の取引分野において一定の期間内に供給される商品若しくは役務の数量のうち一若しくは二以上の事業者が供給し、若しくは供給を受ける当該商品若しくは役務の数量の占める割合又は一定の取引分野において一定の期間内に供給される商品若しくは役務の価額のうち一若しくは二以上の事業者が供給し、若しくは供給を受ける当該商品若しくは役務の価額の占める割合をいう。

② この章において「子会社等」とは、事業者の子会社(法人がその総株主(総社員を含む。以下同じ。)の議決権(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株式についての議決権を除き、会社法(平成十七年法律第八十六号)第八百七十九条第三項の規定により議決権を有するものとみなされる株式についての議決権及び社債、株式等の振替に関する法律(平成十三年法律第七十五号)第百四十七条第一項又は第百四十八条第一項の規定により発行者に対抗することができない株式に係る議決権を含む。以下この項及び次項において同じ。)の過半数を有する他の会社をいう。この場合において、法人及びその一若しくは二以上の子会社又は法人の一若しくは二以上の子会社がその総株主の議決権の過半数を有する他の会社は、当該法人の子会社とみなす。以下この項において同じ。)若しくは親会社(会社を子会社とする他の会社をいう。以下この項において同じ。)又は当該事業者と親会社が同一である他の会社をいう。

③ この章において「完全子会社等」とは、事業者の完全子会社(法人がその総株主の議決権の全部を有する他の会社をいう。この場合において、法人及びその一若しくは二以上の完全子会社又は法人の一若しくは二以上の完全子会社がその総株主の議決権の全部を有する他の会社は、当該法人の完全子会社とみなす。以下この章及び第五章において同じ。)若しくは完全親会社(会社を完全子会社とする他の会社をいう。以下この項において同じ。)又は当該事業者と完全親会社が同一である他の会社をいう。

④ この章において「供給子会社等」とは、第七条の二第一項又は第七条の九第一項若しくは第二項に規定する違反行為のうちいずれかの違反行為(第十三項及び第十四項を除き、以下この条において単に「違反行為」という。)をした事業者の子会社等であつて、当該違反行為に係る一定の取引分野において当該違反行為に係る商品又は役務を供給したものをいう。

⑤ この章において「違反供給子会社等」とは、供給子会社等であつて、違反行為をした事業者の当該違反行為に係る一定の取引分野において当該違反行為をしたものをいう。

⑥ この章において「非違反供給子会社等」とは、供給子会社等であつて、違反行為をした事業者の当該違反行為に係る一定の取引分野において当該違反行為をしていないものをいう。

⑦ この章において「特定非違反供給子会社等」とは、非違反供給子会社等のうち、違反行為をした事業者と完全子会社等の関係にあるものであつて、他の者に当該違反行為に係る商品又は役務を供給することについて当該事業者から指示を受け、又は情報を得た上で、当該指示又は情報に基づき当該商品又は役務を供給したものをいう。

⑧ この章において「購入子会社等」とは、違反行為をした事業者の子会社等であつて、当該違反行為に係る一定の取引分野において当該違反行為に係る商品又は役務の供給を受けたものをいう。

⑨ この章において「違反購入子会社等」とは、購入子会社等であつて、違反行為をした事業者の当該違反行為に係る一定の取引分野において当該違反行為をしたものをいう。

⑩ この章において「非違反購入子会社等」とは、購入子会社等であつて、違反行為をした事業者の当該違反行為に係る一定の取引分野において当該違反行為をしていないものをいう。

⑪ この章において「特定非違反購入子会社等」とは、非違反購入子会社等のうち、違反行為をした事業者と完全子会社等の関係にあるものであつて、他の者から当該違反行為に係る商品又は役務の供給を受けることについて当該事業者から指示を受け、又は情報を得た上で、当該指示又は情報に基づき当該商品又は役務の供給を受けたものをいう。

⑫ この章において「事前通知」とは、第七条の二第一項又は第七条の九第一項若しくは第二項の規定により課徴金の納付を命ずる場合において、第六十二条第四項において読み替えて準用する第五十条第一項の規定により公正取引委員会が違反行為をした事業者に対してする通知をいう。

⑬ この章において「実行期間」とは、第七条の二第一項又は第七条の九第一項に規定する違反行為をした事業者に係る当該違反行為の実行としての事業活動を行つた日(当該事業者に対し当該違反行為について第四十七条第一項第一号、第三号若しくは第四号に掲げる処分、第百二条第一項若しくは第二項に規定する処分又は第百三条の三各号に掲げる処分が最初に行われた日(当該事業者に対し当該処分が行われなかつたときは、当該事業者が当該違反行為について事前通知を受けた日)の十年前の日前であるときは、同日)から当該違反行為の実行としての事業活動がなくなる日までの期間をいう。

⑭ この章において「違反行為期間」とは、第七条の九第二項に規定する違反行為をした事業者に係る当該違反行為をした日(当該事業者に対し当該違反行為について第四十七条第一項第一号、第三号若しくは第四号に掲げる処分、第百二条第一項若しくは第二項に規定する処分又は第百三条の三各号に掲げる処分が最初に行われた日(当該事業者に対し当該処分が行われなかつたときは、当該事業者が当該違反行為について事前通知を受けた日)の十年前の日前であるときは、同日)から当該違反行為がなくなる日までの期間をいう。

⑮ この章(第七条の四を除く。)において「調査開始日」とは、違反行為に係る事件について第四十七条第一項第一号、第三号若しくは第四号に掲げる処分、第百二条第一項若しくは第二項に規定する処分又は第百三条の三各号に掲げる処分が最初に行われた日(当該処分が行われなかつたときは、当該違反行為をした事業者が当該違反行為について事前通知を受けた日)をいう。

 

第三条 事業者は、私的独占又は不当な取引制限をしてはならない。

 

第六章 適用除外

第二十一条 この法律の規定は、著作権法、特許法、実用新案法、意匠法又は商標法による権利の行使と認められる行為にはこれを適用しない。

 

 

 

投資ジャーナル事件・東京高裁・詐欺罪の罪数は、共同の財産を対象としたような場合を除き、被害者の数と、構成要件を充足する行為及び結果が社会通念上同一と目されるか否かを基準にして決するのが相当である

 

 

              詐欺被告事件

【事件番号】      東京高等裁判所判決/昭和62年(う)第1613号

【判決日付】      昭和63年11月17日

【判示事項】      1 詐欺罪の罪数は、共同の財産を対象としたような場合を除き、被害者の数と、構成要件を充足する行為及び結果が社会通念上同一と目されるか否かを基準にして決するのが相当である

             2 株式買付金の融資、株式の売買、その取次を仮装して、株式投資家から株式買付資金の融資保証金又は株式買付資金名下に現金、株券等18億3000万円を騙取した事案につき、主犯を懲役8年に処する等した1審判決を破棄し、これを懲役6年に減刑する等した事例

【参照条文】      刑法246

【掲載誌】        判例時報1295号43頁

             刑事裁判資料261号130頁

【評釈論文】      ジュリスト1018号125頁

 

 

刑法

(詐欺)

第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

 

 

その後、預託法の改正により、預託商法が禁止された。

昭和六十一年法律第六十二号

預託等取引に関する法律

 

第三章 販売を伴う預託等取引の禁止等

第一節 勧誘等の禁止等

(勧誘等の禁止)

第九条 預託等取引業者等は、預託等取引業者又は密接関係者(預託等取引契約の対象とする物品又は特定権利の販売を行う者その他の預託等取引業者と密接な関係を有する者として内閣府令で定める者をいう。以下同じ。)が販売しようとする物品又は特定権利に係る売買契約(当該物品又は特定権利を預託等取引契約の対象とする売買契約に限る。以下同じ。)の締結及び当該物品又は特定権利を対象とする預託等取引契約の締結又は更新については、当該物品又は特定権利の種類ごとに、当該預託等取引業者若しくは密接関係者が当該売買契約を締結し、又は当該預託等取引業者が当該預託等取引契約を締結し、若しくは更新することにより、顧客の財産上の利益が不当に侵害されるおそれのないことにつき、あらかじめ、内閣総理大臣の確認を受けなければ、その勧誘等(勧誘又は広告その他これに類似するものとして内閣府令で定める行為をいう。以下同じ。)をしてはならない。預託等取引業者又は密接関係者が既に販売した物品又は特定権利を対象とする預託等取引契約の締結又は更新に係る勧誘等についても、同様とする。

2 前項の確認は、一年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によって、その効力を失う。

3 前項の更新の申請があった場合において、同項の期間(以下「確認の有効期間」という。)の満了の日までにその申請に対する処分がされないときは、従前の確認は、確認の有効期間の満了後もその処分がされるまでの間は、なおその効力を有する。

4 前項の場合において、確認の更新がされたときは、その確認の有効期間は、従前の確認の有効期間の満了の日の翌日から起算するものとする。

5 内閣総理大臣は、第一項の確認又はその更新に際し、顧客の財産上の利益の侵害を防止するために必要な条件を付することができる。この場合において、その条件は、当該確認又はその更新を受けた者に不当な義務を課するものであってはならない。

 

第二節 契約の締結等の禁止等

(契約の締結等の禁止)

第十四条 預託等取引業者は、第九条第一項の確認及び次項の確認を受けていない種類の物品又は特定権利については、自ら売主となる売買契約の締結及び自己又は密接関係者が販売しようとする当該物品又は特定権利を対象とする預託等取引契約の締結又は更新をしてはならない。預託等取引業者又は密接関係者が既に販売した物品又は特定権利を対象とする預託等取引契約の締結又は更新についても、同様とする。

2 第九条第一項の確認を受けた預託等取引業者は、同項の確認を受けた種類の物品若しくは特定権利に係る売買契約を締結しようとするとき及び当該物品若しくは特定権利であって自己若しくは密接関係者が販売しようとするものを対象とする預託等取引契約の締結若しくは更新をしようとするとき又は預託等取引業者若しくは密接関係者が既に販売した物品若しくは特定権利であって同項の確認を受けたものを対象とする預託等取引契約の締結若しくは更新をしようとするときは、その確認の有効期間内において、あらかじめ、次に掲げる事項について、内閣総理大臣の確認を受けなければならない。

一 当該売買契約又は預託等取引契約の内容が第九条第一項の確認の対象とされた売買契約又は預託等取引契約の内容(第十一条第一項第一号から第三号までに規定する事項に限る。)に適合すること。

二 顧客の知識、経験、財産の状況及び当該売買契約を締結し、又は当該預託等取引契約を締結し、若しくは更新する目的に照らして、当該売買契約の締結又は当該預託等取引契約の締結若しくは更新が顧客の財産上の利益を不当に侵害するものでないこと。

3 第九条第一項の確認及び前項の確認を受けないで締結した売買契約又はこれらの確認を受けないで締結し、若しくは更新した預託等取引契約は、その効力を生じない。

4 内閣総理大臣は、第二項の確認をしようとするときは、あらかじめ、消費者委員会の意見を聴くものとする。

 

第六章 罰則

第三十二条 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

一 第九条第一項の規定に違反して、同項の確認を受けないで勧誘等を行ったとき。

二 第十四条第一項の規定に違反して、第九条第一項の確認及び第十四条第二項の確認を受けないで売買契約の締結又は預託等取引契約の締結若しくは更新を行ったとき。

三 偽りその他不正の手段により第九条第一項の確認又は第十四条第二項の確認を受けたとき。

 

 

 

ドライブクラブと自動車損害賠償保障法第3条の適用

 

              損害賠償請求事件

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷判決/昭和38年(オ)第365号

【判決日付】      昭和39年12月4日

【判示事項】      ドライブクラブと自動車損害賠償保障法第3条の適用

【判決要旨】      いわゆるドライブクラブ方式による自動車賃貸業者は、借受人が当該自動車を運転使用中にひき起こした事故について、自動車損害賠償保障法第3条にいわゆる自己のために自動車を運行の用に供する者にあたらない。

【参照条文】      自動車損害賠償保障法

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集18巻10号2043頁

 

 

 

自動車損害賠償保障法

(自動車損害賠償責任)

第三条 自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずる。ただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかつたこと、被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があつたこと並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかつたことを証明したときは、この限りでない。

 

 

 

       主   文

 

 本件上告を棄却する。

 上告費用は上告人らの負担とする。

 

       理   由

 

 上告代理人原長一の上告理由について。

 論旨は、本件自動車による死亡事故につき、被上告会社が自動車損害賠償保障法三条にいわゆる自己のため自動車を運行の用に供した者にあたらないと判断した原判決には、同法条の解釈適用を誤まつた違法があるという。

 よつて案ずるに、上告人らは、ドラィブクラブを経営する被上告会社がその所有の本件自動車を訴外A(一審被告)に貸し付けたところ、同訴外人がこれを運転使用中に本件事故を起したものであり、被上告会社が自己のため自動車を運行の用に供した者にあたると主張して、前記法条に基づく損害賠償を被上告会社に求め、被上告会社は、原審において、本件自動車は被上告会社所有の自家用自動車であるが、これを民法上の組合である訴外杉並ドライブ倶楽部に無償で貸与し、同倶楽部がこれを訴外Aに貸し付け、同訴外人がこれを運転中に本件事故を起したものであると争つたのに対して、原審は、本件事故がドライブクラブ経営者の賃貸した自動車の運行によるものであることが明らかであり、このようなドライブクラブ方式の自動車賃貸業者に対しては右事故につき自動車損害賠償保障法三条の規定による責任を負わせることはできないとして、被上告会社に対する上告人らの本訴請求を棄却したことが明らかである。

 しかし、原審の認定によれば右のようないわゆるドライブクラブ方式による自動車賃貸業者から自動車を借り受けた者がこれを運転使用している場合には、自動車賃貸業者としては、借受人の運転使用についてなんら支配力を及ぼし得ないというのであり、このような場合には、右借受人のみが自己のため自動車を運行の用に供する者にあたるものというべく、従つて、右借受人が該自動車を運転使用中にひき起した事故については、自動車賃貸業者を以て前記法条にいわゆる自己のため自動車を運行の用に供した者にあたるとして、これに対し前記法条の定める損害賠償責任を負わせることはできないと解するのを相当とする。それゆえ、右と同趣旨の判断に立つて被上告会社に対する上告人らの本件損害賠償請求を理由がないとしてこれを棄却した原判決は正当であつて、これになんら所論の違法は存しない。

 論旨は、右と異なる独自の見解を主張して原審の判断を非難するものであつて、採用し得ない。

 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

     最高裁判所第二小法廷

被相続人が生前に提起して相続人が承継していた所得税更正処分等の取消訴訟において同処分等の取消判決が確定した場合,被相続人が同処分等に基づき納付していた所得税等に係る過納金の還付請求権は相続税の課税財産となるか

 

 

相続税更正処分取消請求事件

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷判決/平成21年(行ヒ)第65号

【判決日付】      平成22年10月15日

【判示事項】      被相続人が生前に提起して相続人が承継していた所得税更正処分等の取消訴訟において同処分等の取消判決が確定した場合,被相続人が同処分等に基づき納付していた所得税等に係る過納金の還付請求権は相続税の課税財産となるか

【判決要旨】      被相続人が所得税更正処分および過少申告加算税賦課決定処分に基づき所得税、過少申告加算税および延滞税を納付するとともに上記各処分の取消訴訟を提起していたところ、その係属中に被相続人が死亡したため相続人が同訴訟を承継し、上記各処分の取消判決が確定するに至ったときは、上記所得税等に係る過納金の還付請求権は、被相続人の相続財産を構成し、相続税の課税財産となる。

【参照条文】      国税通則法56-1

             相続税法(平成15年法律第8号による改正前のもの)2-1

             民法896

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集64巻7号1764頁

 

 

国税通則法

(還付)

第五十六条 国税局長、税務署長又は税関長は、還付金又は国税に係る過誤納金(以下「還付金等」という。)があるときは、遅滞なく、金銭で還付しなければならない。

2 国税局長は、必要があると認めるときは、その管轄区域内の地域を所轄する税務署長からその還付すべき還付金等について還付の引継ぎを受けることができる。

 

 

相続税法

(相続税の課税財産の範囲)

第二条 第一条の三第一項第一号又は第二号の規定に該当する者については、その者が相続又は遺贈により取得した財産の全部に対し、相続税を課する。

2 第一条の三第一項第三号又は第四号の規定に該当する者については、その者が相続又は遺贈により取得した財産でこの法律の施行地にあるものに対し、相続税を課する。

 

 

民法

(相続の一般的効力)

第八百九十六条 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

 

 

 

沖縄県知事署名等代行職務執行命令訴訟の最高裁大法廷判決・土地収用法36条5項所定の署名等代行事務の機関委任事務該当性

 

 

              地方自治法151条の2第3項の規定に基づく職務執行命令裁判請求事件

【事件番号】      最高裁判所大法廷判決/平成8年(行ツ)第90号

【判決日付】      平成8年8月28日

【判示事項】      土地収用法36条5項所定の署名等代行事務の機関委任事務該当性

             2 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法(以下「駐留軍用地特措法」という。)3条の規定による土地等の使用又は収用に関して適用される場合における土地収用法36条5項所定の署名等代行事務の主務大臣

             3 職務執行命令訴訟における司法審査の範囲

             4 駐留軍用地特措法と憲法前文、9条、13条、29条3項

             5 沖縄県における駐留軍用地特措法の適用と憲法前文、9条、13条、14条、29条3項、92条

             6 使用認定が無効である場合に駐留軍用地特措法14条、土地収用法36条5項に基づく署名等代行事務の執行を命ずることの適否

             7 使用認定に取り消し得べき瑕疵がある場合に駐留軍用地特措法14条、土地収用法36条5項に基づく署名等代行事務の執行を命ずることの適否

             8 沖縄県内の土地を駐留軍の用に供するためにされた使用認定にこれを当然に無効とするような瑕疵があるとはいえないとされた事例

             9 土地収用法36条2項が土地所有者等の立会いを求めている趣旨

             10 駐留軍用地特措法14条、土地収用法36条5項に基づく署名等代行事務の執行の懈怠を放置することにより著しく公益を害することが明らかであるとされた事例

【判決要旨】      1 土地収用法36条5項所定の署名等代行事務は、都道府県知事に機関委任された国の事務である。

             2 駐留軍用地特措法3条の規定による土地等の使用又は収用に関して適用される場合における土地収用法36条5項所定の署名等代行事務の主務大臣は、内閣総理大臣である。

             3 地方自治法151条の2第3項の規定による職務執行命令訴訟においては、裁判所は、主務大臣の発した職務執行命令がその適法用件を充足しているか否かを客観的に審理判断すべてきである。

             4 駐留軍用地特措法は、憲法前文、9条、13条、29条3項に違反しない。

             5 内閣総理大臣の適法な裁量判断の下に沖縄県内の土地に駐留軍用地特措法を適用することがすべて許されないとまでいうことはできず、同法の同県内での適用が憲法前文、9条、13条、14条、29条3項、92条に違反するということはできない。

             6 使用認定が無効である場合には、駐留軍用地特措法14条、土地収用法36条5項に基づく署名等代行事務の執行を命ずることは違法である。

             7 使用認定に取り消し得べき瑕疵があるとしても、駐留軍用地特措法14条、土地収用法36条5項に基づく署名等代行事務の執行を命ずることは適法である。

             8 駐留軍の用に供するためにされた使用認定の対象となった沖縄県内の土地が、沖縄復帰時において駐留軍の用に供することが日米両国間で合意された土地であり、その後における駐留軍の用に供された施設及び区域の整理縮小のための交渉によっても返還の合意に至らず、駐留軍基地の各種施設の敷地等として他の多くの土地と一体となって有機的に機能しており、駐留軍基地から派生する問題の軽減のための対策も講じられてきたなど判示の事実関係の下においては、同県に駐留軍基地が集中している現状や右各土地の使用状況等について沖縄県知事が主張する諸事情を考慮しても、右各土地の使用認定にこれを当然に無効とする瑕疵があるとはいえない。

             9 土地収用法36条2項は、土地調書及び物件調書が有効に成立する段階で、調書を土地所有者及び関係人に現実に提示し、記載事項の内容を周知させることを求めているものと解される。

             10 駐留軍用地特措法3条の規定により沖縄県内の土地を使用する手続において、沖縄県知事が同法14条、土地収用法36条5項に基づく署名等代行事務の執行を懈怠していることを放置することは、これにより著しく公益を害することが明らかである。(3、5、8につき補足意見がある。)

【参照条文】      土地収用法36-5

             地方自治法148-1

             地方自治法148-2

             地方自治法別表3

             日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法(以下「駐留軍用地特措法」という。)14

             地方自治法151の2-3

             行政事件訴訟法6

             駐留軍用地特措法3

             駐留軍用地特措法5

             駐留軍用地特措法1

             日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約

             憲法

             憲法13

             憲法29-3

             憲法14-1

             憲法92

             地方自治法151の2-1

             地方自治法151の2-2

             土地収用法36-2

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集50巻7号1952頁

 

 

事案の概要

 国は、沖縄返還以来、日米両国間において駐留軍用地としてアメリカ合衆国に提供することが合意された沖縄県内の土地を同国に提供してきたが、平成8年3月31日及び平成9年5月14日に使用期限が満了する本件各土地について、その所有者との合意による使用権原の取得が見込めない状況にあっため、駐留軍用地特措法に基づく使用権原取得の手続を進めることとして、Xの使用認定を受けた。

本件各土地につき使用裁決の申請をするためには、駐留軍用地特措法14条により同法3条に基づく土地等の使用又は収用に関して適用される土地収用法の定めるところに従い、土地調書及び物件調書(以下「土地・物件調書」という。)を作成して、これを裁決申請書に添付しなければならないものとされている(同法36条1項、40条)。

ところが、本件各土地の所有者らは、現地における立会いを求めるなどして、土地・物件調書の成立に必要とされる同法36条2項所定の立会い又は土地・物件調書への署名押印を拒否し、さらに、本件各土地の所在地の市町村長も同条4項所定の立会い及び土地・物件調書への署名押印を拒否したため、那覇防衛施設局長は、Yに対し、駐留軍用地特措法14条、土地収用法36条5項に基づき、立会い及び土地・物件調書への署名押印の代行を申請したが、被告は、署名等の代行には応じられない旨の回答をした。

そこで、Xは、Yに対し、地方自治法151条の2第1、2項に定めるところに従って、土地収用法36条5項所定の事務(以下「署名等代行事務」という。)を執行するように勧告し、次いで、その旨の職務執行命令を発したが、Yは、右勧告及び命令に従わなかったため、Xは、地方自治法151条の2第3項に基づき、署名等代行事務の執行を命ずる裁判を求めて本件訴えを提起したものである。

 

 

 

機関委任事務(きかんいにんじむ)は、地方公共団体の首長(都道府県知事、市町村長)等が法令に基いて国から委任され、「国の機関」として処理する事務のことである。1999年(平成11年)の「地方分権一括法」の制定により廃止された。

 

機関委任事務とされた事務は、法的にはあくまで委任した「国の事務」であって、「地方公共団体の事務」とは観念されない。このため当該事務に関しては地方公共団体の条例制定権が及ばず、地方議会の関与も制限されていた。機関委任事務について国は包括的な指揮監督権を有し(通達も参照)、これを制度的に担保するものとして職務執行命令訴訟が存在した。国は、都道府県知事が機関委任事務の管理執行について違法や怠慢があった場合に、職務執行命令訴訟を経て主務大臣による代執行を行うことができるうえ、最終的には内閣総理大臣による知事の罷免が可能であった。ただし、実際にこの制度に基づいて知事が罷免された例はなく、公選による知事の身分を奪うことは不適当であるから、知事罷免制度については1991年の地方自治法改正により廃止された。

 

 

土地収用法

(土地調書及び物件調書の作成)

第三十六条 第二十六条第一項の規定による事業の認定の告示があつた後、起業者は、土地調書及び物件調書を作成しなければならない。

2 前項の規定により土地調書及び物件調書を作成する場合において、起業者は、自ら土地調書及び物件調書に署名押印し、土地所有者及び関係人(起業者が過失がなくて知ることができない者を除く。以下この節において同じ。)を立ち会わせた上、土地調書及び物件調書に署名押印させなければならない。

3 前項の場合において、土地所有者及び関係人のうち、土地調書及び物件調書の記載事項が真実でない旨の異議を有する者は、その内容を当該調書に附記して署名押印することができる。

4 第二項の場合において、土地所有者及び関係人のうちに、同項の規定による署名押印を拒んだ者、同項の規定による署名押印を求められたにもかかわらず相当の期間内にその責めに帰すべき事由によりこれをしない者又は同項の規定による署名押印をすることができない者があるときは、起業者は、市町村長の立会い及び署名押印を求めなければならない。この場合において、市町村長は、当該市町村の職員を立ち会わせ、署名押印させることができる。

5 前項の場合において、市町村長が署名押印を拒んだときは、都道府県知事は、起業者の申請により、当該都道府県の職員のうちから立会人を指名し、署名押印させなければならない。

6 前二項の規定による立会人は、起業者又は起業者に対し第六十一条第一項第二号又は第三号の規定に該当する関係にある者であつてはならない。

 

 

地方自治法

第百四十八条 普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体の事務を管理し及びこれを執行する。

 

 

日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法

(この法律の目的)

第一条 この法律は、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定を実施するため、日本国に駐留するアメリカ合衆国の軍隊(以下「駐留軍」という。)の用に供する土地等の使用又は収用に関し規定することを目的とする。

 

(土地等の使用又は収用)

第三条 駐留軍の用に供するため土地等を必要とする場合において、その土地等を駐留軍の用に供することが適正且つ合理的であるときは、この法律の定めるところにより、これを使用し、又は収用することができる。

 

(土地等の使用又は収用の認定)

第五条 防衛大臣は、申請に係る土地等の使用又は収用が第三条に規定する要件に該当すると認めるときは、遅滞なく、土地等の使用又は収用の認定をしなければならない。

 

(土地収用法の適用)

第十四条 第三条の規定による土地等の使用又は収用に関しては、この法律に特別の定めのある場合を除くほか、「土地等の使用又は収用」を「土地収用法第三条各号の一に掲げる事業」と、「地方防衛局長」を「起業者」と、「土地等の使用又は収用の認定」を「国土交通大臣の行う事業の認定」と、「土地等の使用又は収用の認定の告示」を「国土交通大臣の行う事業の認定の告示」とみなして、土地収用法の規定(第一条から第三条まで、第五条から第七条まで、第八条第一項、第九条、第十五条の十四から第二十八条まで、第三十条、第三十条の二、第三章第二節、第三章の二、第三十六条第五項、第三十六条の二第四項、第四十二条第四項から第六項まで、第五章第一節、第八章第三節、第百二十五条第一項並びに第二項第二号、第四号及び第五号、第百三十九条から第百三十九条の三まで並びに第百四十三条第五号の規定を除く。)を適用する。

2 前項の規定による土地収用法の適用については、同法第十一条第一項、第三項及び第四項、第十四条第一項、第十五条の二第二項、第十五条の三、第十五条の五第一項、第十五条の八、第十五条の十一、第二十八条の三、第八十九条第一項及び第二項、第百二条の二第二項から第四項まで並びに第百四十三条中「都道府県知事」とあり、同法第十二条第一項及び第二項、第十四条第一項、第三十六条第四項、第三十六条の二第三項、第四十二条第二項及び第三項、第四十五条第二項、第四十七条の四第二項、第百二条の二第一項、第百十八条第二項及び第三項、第百二十八条並びに第百四十三条中「市町村長」とあり、同法第十四条第一項及び第三項中「当該障害物の所在地を管轄する市町村長」とあり、同法第十四条第一項中「当該土地の所在地を管轄する都道府県知事」とあり、同法第十五条第二項中「市町村長又は都道府県知事」とあり、同法第十五条の二第一項及び第十五条の七第一項中「当該紛争に係る土地等が所在する都道府県の知事」とあり、同法第三十六条の二第二項中「収用し、又は使用しようとする一筆の土地が所在する市町村の長」とあり、同法第四十二条第一項、第四十七条の四第一項及び第百十八条第一項中「当該市町村長」とあり、同法第四十五条第一項中「申請に係る土地が所在する市町村の長」とあり、並びに同法第百二十九条及び第百三十一条第二項中「国土交通大臣」とあるのは「防衛大臣」と、同法第十一条第四項及び第十二条第二項中「公告」とあるのは「官報で公告」と、同法第十五条の二第二項中「当該紛争」とあるのは「あらかじめ当該申請に係る土地等が所在する都道府県の知事の意見を聴いた上で、当該紛争」と、同法第十五条の三中「収用委員会」とあるのは「前条第二項に規定する都道府県の収用委員会」と、「推薦するものについて」とあるのは「推薦するものについて、あらかじめ当該都道府県の知事の意見を聴いた上で」と、同法第十五条の八中「収用委員会」とあるのは「当該申請に係る土地等が所在する都道府県の収用委員会」と、「推薦する者について」とあるのは「推薦する者について、あらかじめ当該都道府県の知事の意見を聴いた上で」と、同法第三十六条第四項中「当該市町村の職員」とあるのは「防衛大臣が指名する者」と、同条第六項中「起業者又は起業者に対し第六十一条第一項第二号又は第三号の規定に該当する関係にある者」とあるのは「当該地方防衛局の職員、防衛省本省において内部部局の官房長及び局長以上の職若しくはこれに準ずる職にある職員、防衛省本省の官房及び局で土地等の使用若しくは収用に関する事務を所掌するものの職員又はこれらの職員の配偶者、四親等内の親族、同居の親族、代理人、保佐人若しくは補助人」と、同法第三十六条の二第三項、第四十二条第二項及び第百十八条第二項中「公告し」とあるのは「官報で公告し、政令で定めるところにより」と、同法第四十五条第二項中「二週間公告」とあるのは「官報に掲載するほか、政令で定めるところにより二週間公告」と、同条第三項中「第四十二条第三項、第四項及び第六項」とあるのは「第四十二条第三項」と、同法第四十七条の四第二項中「第四十二条第二項から第六項まで及び」とあるのは「第四十二条第二項及び第三項並びに」とする。

3 前二項に定めるもののほか、第一項の規定による土地収用法の適用に関し必要な技術的読替えは、政令で定める。

 

 

行政事件訴訟法

(機関訴訟)

第六条 この法律において「機関訴訟」とは、国又は公共団体の機関相互間における権限の存否又はその行使に関する紛争についての訴訟をいう。

 

 

日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約

第六条

 日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。

 前記の施設及び区域の使用並びに日本国における合衆国軍隊の地位は、千九百五十二年二月二十八日に東京で署名された日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定(改正を含む。)に代わる別個の協定及び合意される他の取極により規律される。

 

 

 

 

憲法

第二章 戦争の放棄

第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

② 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

 

第十二条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。

 

第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

 

第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

② 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。

③ 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。

 

第二十九条 財産権は、これを侵してはならない。

② 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。

③ 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。

 

 

 

第八章 地方自治

第九十二条 地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。

 

 

コンビニエンスストア・フランチャイズ契約締結に際して,フランチャイザーにフランチャイジー候補者に対する情報提供義務違反があるとして,契約締結上の過失による損害賠償が認められた事例

 

 

 

              損害賠償・損害賠償(本訴),求償金等(反訴)請求控訴事件

【事件番号】      福岡高等裁判所判決/平成16年(ネ)第205号

【判決日付】      平成18年1月31日

【判示事項】      フランチャイズ契約締結に際して,フランチャイザーにフランチャイジー候補者に対する情報提供義務違反があるとして,契約締結上の過失による損害賠償が認められた事例

【参照条文】      民法415

【掲載誌】        判例タイムズ1235号217頁

             LLI/DB 判例秘書登載

【評釈論文】      愛知大学法学部法経論集181号29頁

             NBL835号12頁

             Lexis判例速報6号56頁

 

 

民法

(債務不履行による損害賠償)

第四百十五条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

2 前項の規定により損害賠償の請求をすることができる場合において、債権者は、次に掲げるときは、債務の履行に代わる損害賠償の請求をすることができる。

一 債務の履行が不能であるとき。

二 債務者がその債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。

三 債務が契約によって生じたものである場合において、その契約が解除され、又は債務の不履行による契約の解除権が発生したとき。

 

 

 

       主   文

 

 1 控訴人らの控訴に基づき,原判決主文第1項及び第2項を次のとおり変更する。

 (1)被控訴人は,控訴人X1に対し,856万7764円及びこれに対する平成14年5月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

 (2)被控訴人は,控訴人X2に対し,2053万7281円及びこれに対する平成14年5月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

 (3)控訴人X2は,被控訴人に対し,812万8734円及びこれに対する平成14年12月4日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

 (4)控訴人らのその余の各請求及び被控訴人のその余の反訴請求をいずれも棄却する。

 2 訴訟費用は,控訴人X1と被控訴人との関係では,第1,2審を通じて,これを4分し,その1を被控訴人の,その余を控訴人X1の負担とし,控訴人X2と被控訴人との関係では,第1,2審を通じ,かつ,本訴,反訴を通じて,これを3分し,その1を被控訴人の,その余を控訴人X2の負担とする。

 3 この判決は,第1項の(1)及び(2)に限り,仮に執行することができる。

 

       事実及び理由

 

第1 控訴の趣旨

 1 原判決中控訴人ら敗訴部分を取り消す。

 2 被控訴人は,控訴人X1に対し,2925万7379円及びこれに対する平成14年5月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

 3 被控訴人は,控訴人X2に対し,6897万2456円及びこれに対する平成14年5月8日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

 4 被控訴人の控訴人X2に対する反訴請求を棄却する。

 5 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。

 6 第2,3項につき仮執行宣言

第2 事案の概要等

 1 本件は,被控訴人(フランチャイザー)との間でフランチャイズ契約を結んでコンビニエンスストアを開店したものの,営業不振で閉店を余儀なくされた控訴人X2(以下「控訴人X2」という。)及び一審原告a(以下「a」という。)とその夫で連帯保証人である亡b(以下「b」という。)の相続人である控訴人X1(以下「控訴人X1」という。)及び一審原告c(以下「c」という。)が,被控訴人に対し,契約締結に先立って客観的かつ的確な情報を開示するなどの信義則上の保護義務を怠った(債務不履行又は不法行為)として,損害賠償(aは同人固有の損害とbの損害の相続分を併せて1億2461万9882円,控訴人X1及びcはbの損害の相続分各3084万6201円,控訴人X2は6897万2456円)及びこれに対する遅延損害金の支払いを求め(第1事件,第2事件本訴),他方,被控訴人が控訴人X2に対し,同契約に基づく未送付金のうちの仕入代金等314万7954円,保証委託契約に基づく求償金593万8186円,金銭消費貸借契約に基づく貸金219万0548円の支払い及びこれに対する附帯請求をした(第2事件反訴)ものである。なお,各附帯請求の起算日はいずれも訴状ないしは反訴状の送達の日の翌日である。

 2 原審は,a,控訴人X1及びcの第1事件請求及び控訴人X2の第2事件本訴請求をいずれも棄却し,被控訴人の第2事件反訴請求を全部認容した。

 これに対し,控訴人X2と,第1事件原告らのうちでは控訴人X1のみが控訴した。なお,控訴人X1は,当審において,前記第1の2のとおり請求を減縮した。