マイクと michi のブログ -12ページ目

マイクと michi のブログ

マイクはアメリカン・ショート・シルバー・タビーのメタボ猫。michi はマイクの「飼い主」兼「婆や」。大事なマイクを忘れて、イチローや高橋大輔に夢中になることがよくある。マイクの名前はマイケル・ジョーダンから。ネコとネコ的な男性アスリートに胸アツ。

5月9日

飼い主の michi、気乗りのしない翻訳をやっている
1センテンスを訳するたびに、ツイッターをチェックしたり、ピグのゲームをしたり
僕にちょっかい出したりネコ

僕の生活もかかってんだから、しっかりしてよビックリマーク  (←えらそうなネコ)

真剣にやれ


わーい、ボケた目

ぼけた



連日、錦織君の試合を見るものだから、また、昼夜が逆転してしまったテニス

爽やかな勝負を見るのはいいね
見てるものが納得できるグッド!  スポーツはこうありたいもの


飼い主はチーズの事を思う

チーズピザチーズ?  太るよ!!  ダイエットしないのはてなマーク

(チーズじゃないの。 Sean Cheesman よ、 ショーン・チーズマン)
チーズ屋さん?   (世界的なダンスの振付師よ!!

彼が「大輔君と話したよ」とツイッターで呟いてから、ファンの間でチーズマンの名が飛び交う音譜

カナダ出身で、フィギュアスケートの経験もあるチーズマンさん、大輔君が氷上で魅せる技術の凄さが理解できるはずですね

今年の2月、大輔君がスイスのアート・オン・アイスに出演した時に、辿り着いたチーズマンさんのビデオ

彼の作品というより、人柄が見えるビデオです

昔の人気映画「ダーティ・ダンシング」に魅せられた若者たちがダンス競技会に挑むという TVドラマがあって、チーズマンさんはジャッジの役で俳優として出演

目の表情と分かりやすい話し方で、彼のコミュニケーション力が見えてきます
チーズマンさんの英語、なかなかキレイですよ~


https://www.youtube.com/watch?v=XyutXB-ATf0

大輔君がどんな人々と関わり合いを持って、語学力を高めるか
ニューヨークは様々な異なる種類の英語が飛び交うところ

できれば偏りのない英語をと、お節介な心配をしてしまいます

スラングもね、使うのはとってもリスキー注意

sean cheesman


ふふ、僕、知ってるよネコ
マイケル・ジョーダン LOVEドキドキ の michi、こういうタイプが好きなんだよね

そうか、チーズマンも、アメリカン・ショートだべーっだ!   (←それ、意味が違うでしょパンチ!

5月5日

飼い主の michi、何でアメリカンとか言ってるのかな?
僕はアメリカンショートネコ  完全なアメリカンじゃんアメリカ

ゴールデンウィークも、飼い主の静かな生活に変化なし

それでも、昨日、高校時代のクラスメートと麻布台のアメリカンクラブで楽しく過ごした音譜
8時間も入り浸っていた麻雀

帰宅は僕の夕食時間をはるかに越えていた時計  お腹すいたよビックリマーク
行き倒れ状態の僕叫び

行き倒れ


飼い主はちょっとだけアメリカンの気分に浸れて嬉しかったらしい
アメリカンクラブは2010年に建て替えられた
以前は、仕事で何回も訪れていたけど、新しくなってからは初めて

でも、ロシア大使館の隣にアメリカンクラブって、これブラックジョークはてなマーク
スパイが暗躍しそうドクロ  地下トンネルとかね

ここに入ることのできるネコはアメリカン・ショートに限られるんだ (←のわけないでしょパンチ!

大輔君もアメリカンの雰囲気を楽しめるようになったかな~
と、無理やり話を続けてみるべーっだ!



お天気がいいのでベランダに晴れ

ベランダ


最近、散歩に連れて行って貰えない
ネコも外の空気が恋しい

お日様


せっかくのんびりしていたのに、始まった

始まった


にゃーん、こんなことで恍惚状態になるなんて
男の沽券に関わる  (←この昭和風フレーズ、どこで覚えたの)

恍惚


ブラッシングの後、飼い主は少しだけしんみり

抜け毛の季節、以前はうんざりする毛の量だったけどね

やっぱり、少なくなってきた

お互い様ですよ (←ネコに言われたくないわいパンチ!

アイスショーの話題がないゴールデンウイーク
LINEでは大輔スタンプが飛び交っていますが

イチロー君がヤンキースを離れてからストップしていた New York Times
また、読み始めました

もう一度、フルトンマーケットのデッキでビール飲みたいなぁビールラブラブ
飼い主の夢はつつましいね~

4月30日

しばらく高橋大輔に奪われていた主役の座を奪還したいビックリマーク

このブログは僕のブログのはずだネコ

主役の座


飼い主の michi、僕のことを書いてくれるかなはてなマーク


ワクワクしていたら彼女は午前中に外出してしまった
いいお天気だしね晴れ

michi、どこに行ったの?


麻布十番で餃子と冷やし中華割り箸バナナ  餃子は7個

ぎょうざ


冷やし中華


餃子はね、不味い餃子より美味しい餃子の方が美味しいの音譜

人間って、よく訳の分からないことを言葉にする
ネコの世界には不可解

そして、目黒のたこ焼タコさん
サインがあったドキドキ

たこやき


路上で食べる目  7人の妙齢(?)の女性が歩道のベンチを囲んでたこ焼をフーフー

路上で


この後はファミレスで3時間以上、おしゃべり放題ラブラブ テーマはたった1つ、というか1人
女性って、いいね

僕も女性だったら仲間に入れて貰えたのだろうか

ねぇ、michi 僕の立ち位置はどの辺はてなマーク  主役にはなれないの

もちろん、あなたが一番よラブラブ
わーい、ササミだ音譜

ささみのじゅる


うーん、何だかごまかれされた気分だけど
ま、いいか。ライバルは日本を離れたし 

これしかない


大輔君、ニューヨークで楽しい時間を過ごすんだよアメリカ

ホントにたくさんの人たちが応援し続けているんだからねクラッカー
ネコもね、応援してるよネコ
4月26日

飼い主の michi にブログを乗っ取られたまま、ひたすら眠り続ける僕ネコ

乗っ取られた


でも、これが最後なんだって

胸の中のモヤモヤは吐き出せないけど、素敵なものはブログに残してと
主役のマイク、次回は戻ってくるからね合格


☆☆☆☆彡

5.番外編:記憶の外のスケーター達

好きなのに記録に残らなかった選手と、記憶から無理やり消し去った選手がいる。

「好きなのに」は、チェコのトマシュ・ベルネルとアメリカのジェレミー・アボット
手足が長くバランスの取れた身体。美しいスケーティングと音楽に合った動き。氷上で優雅に舞う姿に見とれることも多かったのに。鮮明な記憶がとても少ない。

ベルネル


トマシュの輝いている記憶は2007年の東京ワールドまでさかのぼる。フリーは衣装も含めて美しかった。
2007年冬のNHK杯は会場で見ることができたが、この時は高橋大輔初生観戦で記憶容量がパンク。素晴らしい演技だったのに残念なことをしてしまった。
期待された2008年のワールドがボロボロで、それ以降、見ては記憶を消し、見ては記憶を消しの状態。キスクラで点数を待つ時の、なげやり感漂う諦めの表情を見るのが辛かった。

ジェレミーの場合も似ている。氷上でのポーズの美しさと音楽表現の素晴らしさに、これぞフィギュアの魅力を伝えるMr. スケーターと感じたものだ。
しかし、遅咲きの彼は、どこかで諦めていたのかもしれない。アメリカではジョニー・ウィアーエヴァン・ライサチェックの2強に打ち勝つことができなかった。優しい性格が競技に向かないのか。
そして納得のいかない採点の連続で、見ている方も「あ、またか」と、ジャッジへの不信感を高めてしまう。

NHK杯表彰台


これは2010年のNHK杯。背の高いジェレミーが高橋大輔とフローラン・アモディオのために見せた楽しいパフォーマンス。明るい表情で表彰台に立つジェレミーの姿をもっと見たかった。

トマシュはヨーロッパチャンピオン、ジェレミーは四大陸チャンピオン。オリンピックやワールドのメダルには手が届かなかったが、これから活躍するための切符は手にしている。フィギュアの醍醐味、美しいスケートを存分に見せて欲しい。
2人で洒落たナンバーをぜひ。小芝居を入れたり、ボケと突っ込みのような楽しい振りを入れたりと、色々想像してしまう。スケートに表情のあるトマシュとジェレミーは、これからの方が輝くに違いないと信じている。


私の記憶にあるフィギュアスケートは1つ1つのピースが異色できらめくモザイク絵のようなもの。ひときわ大きい高橋大輔は、2次元の世界に1つだけ3次元のピースが浮き出ているように異彩を放っているが。

記憶の中には消えない小さなピースもある。例えば、南里康晴の『カルメン』、郡山智之の『リバーダンス』、ハビエル・フェルナンデスの『パイレーツ・オブ・カリビアン』など。無良崇人の『オペラ座の怪人』も気持ちが伝わってきた。

そして、1ピースだけ自分でそぎ落としたものがある。その跡が消えずに黒く残ってしまった。

ブルガリアのマキシム・スタヴィスキー、2007年東京ワールドでアイスダンスのチャンピオン。男性の技術の高さとパワフルさをアッピールできる最高のダンサーだったが、2007年夏に彼の犯した罪を許すことができない。もっと時間がたてば、動画巡りができるようになるのだろうか。


私は軸のしっかりした強い動きが好きなので、女性的な柔らかさにあまり心惹かれない。歌舞伎が好きで、バレエでも男性の動きばかり目で追ってしまう。語感は悪いが、男好き。長い文章の中に女性がほとんど出てこないのはそのせいである。

数多い観戦の中で声をあげて泣いたのはたった1回だけ。ソチのフリー演技 by 浅田真央。モザイクの中に納まらない宝石と思っている。


高橋大輔が日本を離れ、いつスケートの世界に戻るか分からない今、記憶をスナップショットのように残したかった。
これから会場に足を運ぶのはもちろん、テレビで競技会を見ることもないだろう。
スケートのモザイク絵が少しずつ色褪せていくのか、別の絵に姿を変えていくのか分からないが、それでも感謝の気持ちが薄れることはない。

スケーター達、有難う。そして、大輔、帰って来てね。

4月24日

飼い主の michi、まだ続けるんだフィギュア・スケート
皆さん、僕のことも忘れないでねネコ  グスン


☆☆☆☆彡


4.生き方で印象付ける:ブライアン・ジュベール、ケビン・ヴァン・デル・ペレン、そして………

意味不明なタイトル目

長く競技を見ていると、その滑りが好みでもないのに気になるスケーターが出てくる。彼らの生きざまが心に響く。どこがいいの?ときかれると、うまく言葉にできる答えがないけれど。ただスケートをしてくれて有難うと、感謝の想いが浮かび上がる。

フランスのブライアン・ジュベールもそのひとり。彼が偉大なスケーターであることは、その成績からも明らかなのに、受ける印象がなぜかドンくさい。発言が俺様だったり、4回転を跳ばないスケーターを批判したりと、憎める性格なのに憎めない。イケメンなのにダサいと、まぁ色々あった。

ジュベ東京


2007年の東京ワールドでは圧倒的な強さを持っていた。が、勝ちを信じ込み、フリーの後半を手抜き。後から滑った高橋大輔の怒涛の追い上げにあい、モニターを見る顔がみるみるこわばっていったのは可笑しかった。今思えば、この時にワールドチャンピオンのタイトルを取っておいて良かった。

同様のことが2008年のワールドでも。対抗馬の大輔が不調で、ジュベールの連覇が確実と誰もが思っていた。フリーで見事に4回転を決めるが、また後半に手を抜いたようなレベルの低いジャンプやスピンをしてしまう。それなのに、勝利を信じて派手にガッツポーズ。

ジュベイエーテボリ


後から滑るジェフリー・バトルが逆転優勝。ジュベールは、プログラム構成点でジェフを上回っていたのに技術点で負けるという、これは完全に失態。勝ち切ることへの周到さや計算高さが、彼には少しだけ足りなかったのかもしれない。

駆け引きが苦手で、強いけどツメが甘い。途方もないアスリートなのに凡人くさい。フランスのスケート連盟とのギクシャクした関係も、器用に立ち回れない彼の純朴さを示している。
もっとも、仏スケ連は汚職で追放された者が会長に返り咲くような、日本スケ連以上に政治的にドロドロした組織。ここに気に入られるようになったら人としての魅力に疑問符が付くけれども。

ルールがどんなに不利であっても、4回転へのこだわりを貫き通した“勇者”ジュベール。シーズン最後の試合で音楽の減点を受けたり、ゆらぐレベル判定とか、不信感を誘う採点も数多くあったが、彼はジュベールの闘い方を貫いていた。ワールド12回連続出場、ユーロ13回連続出場、この25回のチャンピオンシップ大会で16回表彰台に立つ。

ジュベラストシーズン


ベテランになってからは愛おしいものを受け取るようにファンからの歓声を喜んでいた。勝者への歓声は一時のこと。スケートへの姿勢に敬意を表する歓声こそがベテランアスリートの価値を決める。そして、彼は本当にいい男になった。今は迷うことなくスタンディングオベーションを贈っている。

2012年自国でのワールド、表彰台に相応しかったのは彼。仏スケ連と日本スケ連。何があって何がなかったのか、「ジュベールと大輔は自国のスケ連がバックにつかなかった」というタラソワコーチの発言をどう読み取るべきなのだろう。


同じくジャンプ馬鹿とも言えるベルギーのケビン・ヴァン・デル・ペレン。彼の名前を知らないスケートファンも多いだろうが、2002年世界ジュニアの銀メダリスト。表彰台で隣にいた金メダリストが高橋大輔だった。ただし、年齢は4歳上、ジェフリー・バトルと同世代のスケーターである。ケビンもブライアン・ジュベールと同じくジャンプに優れた人。4回転ジャンパーであり、コンビネーションを付けるのが上手だった。

2010年トリノ開催のワールドで4回転トウ3回転トウ3回転トウのコンビネーションジャンプに成功。男子の試合はリアルタイムでたくさん見てきたが、4-3-3はこの1回のみしか記憶にない。この成功は衝撃的だった。
4回転技術の最高峰と言える4-3-3。現行ルールでは点数的にうまみがないため、点数を意識する選手はまずチャレンジしない大技である。4-3-3は彼の矜持。フィニッシュを決め、直後に見せた少年のような表情が忘れられない。

4回転不要と言われた時代に、こうやって最高レベルの技術を見せた選手がいたことを忘れるべきではない。4回転時代と言われる現在、挑戦する若者が現れてくれるだろうか。

KDVP


ケビンはジャンプと、それ以外の技との差が目立った。スピンやステップに対しての印象が残念ながらノロノロ。見ていて、後ろから押してあげたくなる。当然ながら、プログラム構成点も伸びない。ジャンプが成功し興奮気味の表情と、点数が発表された後の落胆した表情との差に、こちらも共に落ち込んでいた。
それでも、現役最後の数年は、スピン、ステップにも格段の上達を見せる。その真摯な姿勢に、あぁスポーツっていいなと感銘を受けたものである。ユーロのメダリストにも2回。故国ベルギーの期待を一身に背負って世界で闘う姿は、漢らしくすがすがしかった。


そしてもう一人。生きざまの魅力的なスケーターを。高橋大輔を語りたいがブログが永遠に終わらなくなるので、ここは別の名前を。ジュニア時代から歯ぎしりしながら見続けていた町田樹である。

大事な試合になると僅差で敗れる。ジュニアシーズン最後の全日本ジュニア。優勝が確実視されていた樹はショートで大差をつけてトップ。ところが、ショートで4位につけていたジュニア初参戦、14歳の選手が優勝してしまう。12点以上の差があったのに、フリーが終ると1.26の差で逆転負け。この少年、ショートからフリーにかけてプログラム構成点がぐっと上がり、ジャッジにあの人の名前が、と今から見るとスケ連の押しはこの頃から始まっていたのか。
この年、世界ジュニアの枠は1つだけ。優勝者しか派遣してもらえない。樹は、ジュニアチャンピオンになれる力がありながら国内で敗れ、最後の機会を失ってしまった。18歳、すでに世代交代の圧力を受けていたのである。

シニアにあがってからも、歯がゆい状態は続く。魅力あるスケートを見せるので、もう少し勝って欲しいと思って見守るファンも多かった。バンクーバー前の全日本で4位となり五輪代表の補欠となったが、この補欠のポジションが似合ってしまうのが町田樹という選手だった。そして、いつからか己を削るような自己啓発をスタート。

なぜ、いつ、彼の心に火が付いたのか、私は知らない。気付いたのは、バンクーバー後、高橋大輔に憧れていると自分から発言することが減ってきたこと。大輔を真似た動きが少なくなってきたこと。日本人男子初のオリンピックメダリストを見て、かえって憧れの気持ちを封印し、自らの道を進もうとしたのかと、これは全くの想像だけれども。

早いうちから、樹はエキシビションナンバーで個性を発揮する。大人しく内気な青年、でも表現したい欲望が押えきれないというように。今から思うと、町田樹劇場の前触れだったのかもしれない。

黒い瞳


忘れられないプログラムは2010年からの『黒い瞳』。彼にとって何かが見えたプログラムだったのではないだろうか。2011年のNHK杯、スピンで大きなミスがあったにもかかわらず、この時の『黒い瞳』には痺れた。いつも陰にいた樹が、光を発するようになった頃である。

2012年の中国杯。ここで記憶に残っているのは試合後の上海蟹。
樹はグランプリシリーズ初優勝で嬉しさ半分、戸惑い半分の様子だった。無理もない。世間は高橋大輔の不調による番狂わせとしか受け取っていないし、女子の優勝は浅田真央。メディアの注目は真央と大輔。樹は試合後の番組に邪魔にならないよう姿を見せていれば良かった。

上海蟹


上海蟹が用意された部屋に向かう廊下の3人。真央を先導するように大輔が先頭を、そして樹が2人の後ろを歩く。
ドアを開け部屋に入る時、大輔は真央にレディファースト。そして、足が止まった樹の背中にさりげなく手をあて、先に入室させる。優勝したのは君なのだから、さあと、語りかけるように。

高橋大輔が良識ある行動をとる男であることは充分知っていたが、思わず有難うと口に出したくなった。ジュニア時代から選手を見ていると保護者気分でいる自分に気付く。憧れの先輩の心配りに、樹はきっと嬉しかったに違いないと、勝手に思い込んでいる。

そして、その翌年、町田劇場哲学者編がスタートするが、無理をしているようで、それほど心を動かされなかった。自分を追い込まなければ勝てないと分かっていても、見ているのが辛かったのである。
強烈な印象と素晴らしい結果を残したが、樹はとうとうチャンピオンにはなれなかった。ジュニアワールド、四大陸、ワールド、全日本。

2014年さいたまワールド。ショートを完璧に滑り、トップに躍り出る。しかし7点ほどの差で3位につけていた選手に逆転される。差はわずか0.33。そう、全日本ジュニアの時と同じ選手に。ジャッジ席にはあの時と同じ人もいた。
様々な憶測もあったが、私は陰謀論より運命論を取る。その方が挑戦者の彼に似合っているようで。

彼の心の中で、町田劇場はこの試合で終わっていたのではないかな。アンコールに応えて『第九』を滑り、彼は舞台を去って行った。

保護者気分の抜けない私は、突然の引退を耳にして正直ほっとした。彼は元来の町田樹に戻り、賢く充実した時間を過ごすだろう。
競技生活を振り返れば、勝ちきれなかった辛さが込み上げてくるかもしれないが、あの上海蟹の夜だけは何の曇りもなく楽しく思い出せるのではないだろうか。

☆★☆★

記憶の中にいるスケーターを書き連ねるのは、ここで終了
次回、番外編として、記憶の外のスケーター達の事を、少し書かせて下さい。
ネコの呆れる顔を眺めつつ
4月22日

飼い主の michi、彼女のスケート愛フィギュア・スケート、まだまだ叫び足りないらしい叫び
仕方がない  エクササイズをやめたマットレス  僕が使おうネコ  おやすみぐぅぐぅ

エクサはしない



3.動きで魅せる:デニス・テン、ジェイソン・ブラウン、そして……

簡単に言えば、踊れるスケーター。リズムに合わせて、もしくはリズムを先取りして動けること。音を動きで表現できること。印象的なポジションをとれること。そして、最も大切なことは、見ている者に何かを伝えること。
動きやポーズを見せかけるスケーターはそれなりにいるが、そこに求めるものの浅さが見えると、見る側の心のシャッターが閉じる。点数のためにポーズをとるなら観客の感情はいらないからである。

身体の堅さを軸の美しさに変え、記憶に残るスケートをするのがデニス・テン。端正なとか、ノーブルなとかの形容で語られることが多いスケーターである。まだまだ若いのに、心構えの違いなのか風格と気品を兼ね備えているのは見事。振付師のローリー・ニコルのお眼鏡にかなうはずだと納得してしまう。

ten sp


基本に忠実で、スケートに真摯に取り組んでいる姿が見て取れる。話はとんでしまうが、日本の宮原知子選手に同じ色合いを感じている。これから作品を完成する力をさらに身につけ、北米のコーチ、振付師に囲まれてはいるが、最終的にステファン・ランビエールの域に達するのではないかと期待している。
ステファンもデニスの事を自分のタイプと感じ肩入れしているように見える。劇場型というか、しっかりした台本のある舞台パフォーマンスというか。己を制御する力がある。

ten fp


印象に残っているのは2012-2013シーズンに披露した『アーティスト』。作品として仕上げたいという意志が見えたプログラム。不調のシーズンが終わり、演じる楽しさを観客に伝える動きが見えた。気持ちの余裕が生まれたのだろう。これから、怪我や病気に煩わされることなく成熟期を迎えて欲しい。

さらに演技の幅を広げていかなければならないデニスにとり、課題は端正な表情かもしれない。顔の筋肉にもう一つ動きが欲しい。リズム感の良さからラテン系の音楽も充分滑る力があるが、濃い表情が作れるかどうか。マンボで「ウッ!」と恥ずかしげもなくアッピールするデニスの姿も見てみたい。高橋大輔とのマンボ対決とか。次のカザフショーで、どうだろう。自国ではやりにくいかな。


踊るスケーターと言ったら、アメリカの新エース、ジェイソン・ブラウンの名があがる。メジャー大会のメダルが期待できるパワーもあるので、アメリカ男子復活の旗頭になるかも。こちらも怪我をせずに伸びて行って欲しい。

ジェイソンの身体の柔らかさと体幹の強さ、リズム感とバネのある躍動感溢れる動きは見ている者を間違いなく演技に惹きこむ。作品としての成熟はこれからの課題であっても、ひとつひとつの動きに動物的な美しさがあるので、何度でも見たいと思える。
理屈より感覚で動いている部分が多いのではないのだろうか。子供の時に楽しくスケートをし、その純な気持ちを持ち続けている、そんな印象を持つ。だから、こちらも見ていて楽しい。

プログラムを壊す危険を冒してまで無理に難度の高いジャンプを跳ぶ必要があるのだろうか。ルールは毎年、選手の努力を弄ぶかのように変わる。ジェイソンのようなスケーターは、点数や順位よりもっと価値あるものに夢中になって欲しい。髙橋大輔がヒップホップでフィギュア界の新しい幕を開けたように。身体能力なら大輔を超えるものを持っているのだし。

jason


ジェイソンのプログラムで驚いたのはシニア1年目で滑った『The Question of U 』。プリンスの曲にこれほど相応しいスケーターはいないと思えるほど、ビートの効いたパワフルな動きを見せてくれた。
思いつく言葉を並べると、ネコ的で、肉厚で、ギラギラで、点滅していて、うっとうしくて、汗臭くて、中性的。最後のは、多分にキスクラでの印象に影響を受けているのかもしれないが。これからも様々な分野の曲に挑戦してくれると期待。

そして、今シーズン、ワーグナーの『トリスタンとイゾルデ』を選んだ事に乾杯!といっても、どこがワーグナーで、どこが『トリスタンとイゾルデ』なのかが不明な編曲。途中、これは『死の舞踏』か、と思える部分もあり、クラシックファンには困惑でしかなかったが。

従来、ワーグナー作品をフィギュアスケートでタブー視するというのはあまりにも残念。今回、この作曲家の名前が挙がっただけでも前進なのかもしれない。気力の点でハードな曲だったが、ジェイソンの動きはクラッシクの重さを表現できていたと思う。

プログラム決定の際、同じ曲ばかりで観客をうんざりさせるより、手垢のついていない名曲にチャレンジする気概が欲しい。その点、ジェイソン陣営の選択は、これからも楽しみである。

jason kisscry


ジェイソンには、いつか、『ワルキューレ』を演じてもらいたい。女性的なものを表現できるジェイソンならではのプログラム。アメリカでは映画「地獄の黙示録」のイメージが強くて難しいだろうか。全米チャンピオンにはふさわしくないとの声があがるだろうか。


ここで、もう一人、動きの魅力的なスケーターをあげよう。高橋大輔と言いたいところだが、ぐっと我慢して(えっ?)、別の名前を。宇野昌磨である。

彼の動きにはスケートを大事にする思いが溢れている。2013年さいたまアリーナでの全日本。フリーの演技を最上階、最後列の席から観戦した。表情も細かな動きも全く見えない。それでも、緩急ある滑り、リンク全体を使う滑りの大きさ、全身を使った動きはかえって遠くからの方が比較できるし、スケーターからの気迫は充分に伝わってくる。
ジュニアの昌磨が滑り出した時、おそらく女子ファンと思われる近くの男性が、「こいつの方がうまいじゃん」と連れの人に話しかけていた。前に滑ったシニアの選手より伝わるものがあったのだろう。

shoma dai


小さいころから魅せるスケーターとして評価を得ていた昌磨を、メディアは大輔2世と呼んでいた。ライバルで煽るか、2世呼びで似た者同士にするか、おきまりのアプローチ。
2013年の全日本、昌磨の頑張りで、フリーを同じグループで闘うことになる。昌磨と大輔の6分間練習は奇跡のような時間だったが、それを楽しむ心の余裕は私にはなかった。
昌磨が目指すのは、見ている人を惹きこむ気迫ある滑り。彼が憧れ手本とするスケーターと、また一緒に滑れる機会が来ますように。

少し前、大輔が昌磨の腕の動きが好き、"力が抜けている”ので好きだ、と話していた。そう言えば、昌磨の手の動きにバレエよりも日本舞踊の雰囲気を感じたことがある。彼の内向的な気持ちの表れかもしれない。
ストイックにスケートに取り組むだけでなく、遊びの心も大事かな。はじけるパワーがこれから絶対に必要となってくる。

shoma



印象的だったのは今シーズンのフリー『ドンファン』の冒頭の動きである。手の一振りで、彼の本気が見えてくる。これから、他の振付師のプログラムや海外でのトレーニングなどを経験し、おとなの魅惑的なスケーターになって欲しいとかなり真剣に願ってしまう。


デニス、ジェイソン、昌磨に共通していることは、体型に弱点があること。デニスと昌磨は小柄であるし、ジェイソンはバランスに恵まれていない。氷の上に立っただけで、絵になる身体ではない。それだからこそ、彼らは工夫し努力し、オーディエンスの視線を気にしながら演技を行い、その結果、観客とのコミュニケーションが取れるようになっている。
記憶に残る動きとは相互作用の産物だと思う。独りよがりで自己満足の滑りは観客の心に残ることはない。

彼らが、断片的に見せている魅力的な動きを、最初から最後まで連続できるようになるのはいつだろうか。デニスはできつつある。ジェイソンもすぐ追いつくだろう。昌磨は無理をしないで。でも少しずつ、スケートで綴る芸術作品を氷上に広げ、大輔ロス症候群の私達を慰めて欲しい。

この3人が、それぞれ高橋大輔を好きなスケーターとして挙げていてくれるのは嬉しい。観客に伝えることを大事に思う選手なら、大輔は無視できないメルクマールであるのは当然だけれども。動きを真似る必要は全くないが、競技の場で彼の心意気を継承していって欲しいと願う。


記憶は夢に繋げたい。デニス、ジェイソン、昌磨が大輔の下に集い、一つの作品を滑る。テーマは共通ながら個性溢れる構成で。群舞などもったいないことは絶対にしないこと。
交響曲が楽章ごとに異なる色合いとテンポを持つように。そう、アレグロ、アンダンテ、メヌエット、そして最終楽章へと昇華していくように。

昌磨、ジェイソン、デニスの順番かな。いや、ジェイソンとデニスは入れ替えた方がいいかなと、夢で模様替えをしてみる。最終楽章の大輔はどう滑るのだろう。3人の個性的な動きにはそれぞれ大輔色が見えるのに、大輔は誰にも似ていない。誰にでもなれるけど、誰の色にも染まらない。

モーツァルトフリークの私は、最終楽章を見終えたとき、交響曲41番『ジュピター』で味わう感動を得るに違いない。天才が地上に降りたことに感謝しつつラブラブ        (続く)



4月20日

飼い主の michi、スケートについての掲載を続けたいらしい
残念ですが、ブログ主の猫は今日も睡眠休業中ネコぐぅぐぅ マイクは出ませんm(_ _ )m


☆☆☆☆彡

2.スケートで魅せる:パトリック・チャン、小塚崇彦、高橋大輔

競技会のスコアの中で、スケーティング・スキルの点数ほど不可解なものはない。定義されている要件は簡潔で、上手か下手かは会場で見ていれば一目瞭然にもかかわらず。スピード、スピードのコントロール、深いエッジ、巧みなエッジさばき。ジャッジはジャッジ席で何をしているのだろう。予め決められた点数を打ち込んでいるだけなのだろか。

パトリック・チャン小塚崇彦の演技を見る時、上体の腕、首、頭の動きから自然と目をそらしてしている時がある。見たくないというより、ウエストより下の部分の動きを見逃がしたくないから。緩急のついた滑り、あっという間にトップスピードに達する爽快感、これがスケートの魅力の基本にあるもの。

パトリック

スポーツであるという原点に立てば、パトリックの滑りは別格である。グイーンと弧を描きながら加速していく時の力強さは他の追随を許さない。深い傾斜とぶれない体の軸。これを見せてくれるだけで満腹、もうデザートはいらないくらい。
なぜ倒れないのだろう、なぜ加速できるのだろうと、人体の構造の限界を超えた技への驚きはスリリングでもある。たゆまぬ練習で磨き上げたスキルと筋力を、ほら凄いだろうと得意そうに見せるパトリック。滑る時にガシガシと氷を削る音が聞こえてくるが、これも効果音か、と思えるほど。

崇彦のスケーティングはパトリックに比べれば薄味になる。それだけ洗練されていると言えるかもしれない。よくツルツルという言葉で形容されるが、氷の表面を鋭利な刃物で削っていくような、制御する者の優越感が伝わる滑りである。バランスもエッジの角度も、計算通りに滑らせているからねと、こちらも得意げなスケーティング。さすがにサラブレッド、滑りに職人技が伝わっている。
振付師は自己満足のためでなく、崇彦の滑りために振付けて欲しい。音楽やリズムの方を彼のスケートに合わせて欲しい。ゲーム感覚と言ったらいいのだろうか。うまく支配できた達成感のような喜びを感じる滑りである。

パトリックも崇彦も北米型のスケーティングと言われている。驀進力と職人芸。受ける印象は異なるが、確かにカート・ブラウニングの姿が浮かんでくる。
勝者になり切れなかったパトリックの滑りに、憂い、哀愁のようなものが加わっていくかと思うと、心が躍る。勝者でなく覇者の滑りを。

崇彦、カート、ジェフ

史上最高の滑りの技術を持つと言われるカート・ブラウニング、さらにジェフリー・バトル。アイスショーではあるが、この2人とグループナンバーを滑り、スケーティングの技術の高さを見せた崇彦。玄人(くろうと)受けのする滑りと評されることが多いが、専門家であるはずのジャッジには分からないらしい。

パトリックと崇彦、共に腕、肩、首の動きにぎごちなさが見られたが、ここ1,2シーズンは素晴らしく良くなった。大変な努力を重ねただろうと思う。天性のリズム感に欠け、柔らかな手の動きに難があり、プログラムの表現の部分で不消化な感覚が残っていたはず。20代の大人になり感性に磨きをかけた成果なのかもしれない。拍手を送りたい。

記憶に残る滑りは、パトリックの『タンゴ・デ・ロス・エクシラドス』。バンクーバー五輪のシーズンに滑っていたので、まだまだ上体の動きがギクシャクしていた頃。ジョニー・ウィアーがパトリックの手はヒトデみたいと評していた時代のプログラム。でも、滑りの上手さは強烈な印象を残した。

崇彦

崇彦の滑りでは2012-2013シーズンの『栄光への脱出のテーマ』。上体の動きが格段に良くなったこのプログラムで、心安らかに彼の滑りを楽しんだ。スコアはもっと出るべきだった。

そして、高橋大輔。ここでも彼の才能は異なっている。エッジと氷の接触を巧みにコントロールするパトリックと崇彦の滑りでは、抵抗する対象を制御するといったテクニックを楽しめる。しかし、大輔の滑りでは氷と一体になり、対象物との境界が消えてしまっている。氷から浮いているようだと形容されることも多いが、時には熱いトーストにバターを塗るようにとか、ここでは氷が変質すらしてしまう。
高い技術があるからこそ到達したレベルと理解していても、彼には技術とは異なる何か特殊な能力があるのだろうか。音との一体感、氷との一体感。西洋音楽中心でありながら、日本的なものが潜んでいるのを感じる。道端の石にまで神を宿してしまう渾然一体の世界感。他者とは次元が異なる滑り。上手下手を論じるのは浅はかな行為かもしれない。

氷を削る音がしないのも大輔の滑りの特徴。「音をたてたら、氷のささやきが聞こえなくなるから。ほら、耳を澄まして!」とポエムりたくなるので自重、自重。

バッククロスで滑る時のフリーレッグの置き方も柔らかく氷に優しい。乱暴に踏んだら氷の花を傷つけてしまうから。あ、再度、自重。

大輔のチャイコン

虜になった大輔のプログラムは2005年の『ロクサーヌ』。手の動きが”やばかった”。スケーティングにみとれたのは次のシーズン『チャイコフスキー/ヴァイオリンコンチェルト』。氷面との接点が霞んでいる。20歳でこのエッジワークを見せるのは反則。滑りのスピードが速いとフェンスの広告が飛んで見えにくい。CM撮りには向かないかもと思ったのは余談。


パトリック、崇彦、大輔の滑りを同時に楽しむ機会はあまり多くない。ショーのフィナーレで、派手な腕の動きがないままスケーターが列をなして滑る時がある。そのような時、この3人の滑りは鮮やかに際立つ。ぼんやりした色の世界に、赤、青、オレンジの光がともっているようで。

モスクワワールド

画像は2011年モスクワワールド。フリー前の6分間練習。手前の2人が大輔と崇彦。奥にパトリックがいる。何と贅沢な時間。

提案がある。3人で6分間練習というのはどうだろう。スターズ・オン・アイスでいいかな、後半が開始する製氷直後のリンクで彼らが自由に滑るのをただ見ていたい。ライバル視線をチラチラ飛ばしながら、3人でその滑りを見せびらかして欲しい。至福の6分間になること間違いなし。
タイトルは「力と技と氷のささやき」。ダメだ、やっぱりポエムが出てくる。





4月19日

国別対抗戦が終了。今季シーズンのメインイベントが終わったねフィギュア・スケート
次から次へとたくさんのものを "失った" シーズン泣ハートブレイク

飼い主の michi、ブログに載せたいことがあるらしい
ささみのジュルジュルと交換に、しばらく僕は寝ていることにするネコぐぅぐぅ

えっはてなマーク 連続で載せたいの!? 何か溜まっているんだな、彼女の心

☆☆☆☆☆彡

フィギュアスケートは随分と長く見てきた。はるか昔の幕張ワールド、フランスのボナリー選手が表彰台に乗るのを拒んだ光景も心の痛みと共に覚えている。

競技をかかさず見るようになったのは2005年から。会場に足を運ぶようになったのは2007年。素晴らしいスケーターと魅力的なプログラムの思い出が満載、豊かな時間を経験できた。今、高橋大輔が彼のスケート人生に区切りをつけるこの機会に、自らの記憶を整理してみたい。なぜ、これらのスケーターが私の記憶の中で輝いているのか。

記録より記憶。この言葉はフィギュアにこそ相応しい。皆が納得いくジャッジはあり得ないし、採点競技は常に裏取引の噂から逃れられない。見ている者の記憶が順位の優位性を上書きし、その時の優勝者の名前も演技も頭の中からすっかり消えているのに驚く。色あせない記憶を4つのグループに分けて辿ることにする。主に競技プログラムから。

1.作品を完成させる:ステファン・ランビエール、ジェフリー・バトル、高橋大輔
2.スケートで魅せる:パトリック・チャン、小塚崇彦、高橋大輔
3.動きで魅せる:デニス・テン、ジェイソン・ブラウン、そして……
4.生き方で印象付ける:ブライアン・ジュベール、ケビン・ヴァン・デル・ペレン、そして…
5.番外編:


1.作品を完成させる:ステファン・ランビエール、ジェフリー・バトル、高橋大輔

勝つために滑る競技プログラム。それを舞台芸術の一作品のように完成させる力を持つスケーターは稀だ。ヨーロッパのステファン・ランビエール、北米のジェフリー・バトル、個性と背負うものは異なっていても、この2人は観客に自らが創り上げた作品を届ける。振付の枠を超え、プログラムのデッサンに色と味わいを加え、氷上の主役は自分等であることを示す。
ジャンプ、スピン、ステップなど、各エレメンツの評価が高いのは言うまでもないが、フィギュアにはその上の世界がある。音楽とプログラムを理解する知性と、構成を積み上げていく客観性とが作り上げる世界感は格別、良質の芸術作品を鑑賞したような感覚を与えてくれる。
代表作品として一つ挙げれば、ステファンの『ポエタ』、ジェフの『アララトの聖母』。好みで言うと、『ポエタ』よりなぜか私は『ブラッドダイヤモンド』だけれど。

ステファン


ステファンが体現するヨーロッパ的なもの。舞台劇のようにクライマックスまでの道筋を明確に表していく。ここから盛り上がればいいのだなと、結末の分かったドラマを見ている安心感がある。変衣装を着ることがあっても、プログラムの王道は外れない。ヨーロッパ芸術の特徴ともいえるが、堅固な伝統の上に罠をしかけて崩すことを楽しむような、でも基盤は壊しきれないような。
歌舞伎で言うところの「かぶく」。ハチャメチャなことをしているようで、プログラムの選曲と構成はステファンらしいものが続く。期待を裏切らない、高いクオリティの作品を氷上に展開し続ける強靭な精神は驚異的である。ロングランの舞台で主役を演じ続ける超一流のアーティストと共通した、熱さと冷静さのインテグレーション。

一方、ジェフのプログラムには旋律の選択に斬新さが目立つ。不協和音を聴かされた時のように、心がざらつく事も。コンテンポラリーダンスの意外性を楽しむ器量が求められる。ジャズにしてもブルースにしても、従来のリズムを覆す音楽を生み出した北米。奇をてらうことなくとも、そもそもが斬新。振付師、デイヴィット・ウイルソンの個性なのかもしれないが。

ジェフ


2007年東京ワールドで演じた『アララトの聖母』では、この音を選ぶのか、この滑りを組み合わせるのかと、新鮮な驚きを感じた。ただジェフの演技からは人の情念が伝わってこない。言い換えれば無機質。嫉妬とか劣等感とかドロドロしたものを演ずるジェフには違和感がある。彼はストーカーのような愚かな行為はぜったいしないだろうなという、実態は知らないものの、妙な安心感がある。宝塚の舞台を見ているようなというと語弊があるだろうか。

ジェフが『道化師』を滑った際、嫉妬に狂い殺人を犯す男の姿はそこになかった。競技プロとして評判が良くないためシーズン途中に他の曲に変更。彼は諦め切れずに、この作品をエキシビションで披露していたが、ライト効果のあるリンクでも人の心の闇は演じられていなかったと思う。その点、ステファンは人間臭い男になれる。ヨーロッパvs.北米とするのは単純化し過ぎだろうが、でもその視点から見ると面白い比較になるのも事実である。

ステファンはジェフより戦略的で、時にはあざとさも見えてくる。バンクーバーで披露した『ウィリアム・テル』は芸術作品というより顔見世興行に近かったが、ジェフには出来ない俺様アッピールだったと感じた。

この2人が、現在振付に携わり、ともに大きなショーのプロデュースに関わっていることはむべなるかな。彼等には操る側のしたたかさがある。フィギュア界を支える屋台骨がヨーロッパに1本、北米に1本。競技者としての彼らをリアルに見ることができた幸せに感謝し、これからの活躍を楽しみたい。

ステファンとジェフが知性と客観性なら、高橋大輔は感性と主観性の人かもしれない。彼等とは異なる天賦の才に恵まれた大輔にとり、音楽との一体性こそがプログラム完成の原動力。あえて言えば憑依と言えるくらい、氷上で何かが彼に降りてきて観客を翻弄する。プログラムはあっという間に終わり、私達は夢からうつつに投げ出されて我に返るような感覚を味わうことになる。凄いものを見たんだけど、なぜか記憶が飛んでいるといったふうに。見ている者が熱く反応しているだけで、滑る本人は意外と冷静なのかもしれないが。
彼はあえてプログラムの内容を頭に入れず、音楽から受ける感じのみで滑る時があると言っていた。これでは引退後の仕事として振付師は難しいかな。振付けされるスケーターの困惑する表情が容易に思い浮かぶ。自ら表現者として氷に立つこと、これが大輔の天職だと強く思う。

eye


大輔の代表作品にバンクーバーの『eye』と『道』をあげておこう。異なるジャンルの作品を、並行して、これほど高質で完成させる才能は稀有である。例えばジェフが『eye』を滑るところを想像してみる。タメで動くジェフに違和感ありまくり。同じくステファンが滑る『道』。軽みのある無邪気なステップを踏む姿にいたたまれなくなりそうだ。ヨーロッパの作品である『道』なのに。

道1


道2


ふと、タンゴの熱苦しさと、ジェルソミーナの少女的な純真さの両方を演じきる器量は狂気に近い領域の気がしてきた。多重人格とか、分裂症とか。演じる大輔の精神は無事だったのだろうか。他者には見えない部分で、ひびの入った己の人格を抱き、粉々に砕け散るのを必死に守り続けていたのかもしれない。

オーラの色を変幻できる大輔。彼が滑る『ポエタ』、『アララトの聖母』は充分に想像ができ、彼の演技で見てみたいとさえ思える。色濃い個性を持ちながら、プログラムに同化できる大輔は不思議な存在のスケーターでもある。カメレンゴが大輔に振付けるのは振付師の夢と語ったのはリップサービスではないだろう。
クラシック、タンゴ、ラテン系、ジャズ、ブルース、ポップス、ヒップホップ、声楽曲、ありとあらゆる分野の音楽と一体化するスケーターに、音楽なしで滑らせたいというのは究極の夢なのか。
雅楽と言うのはどうだろう。もしくは、黒澤明『乱』の冒頭部分で使われていた和楽器と疾駆する馬の蹄の音とか、武満徹の世界とか。『思い出のマーニー』のせいで、大輔が演じる事の出来ない世界を想像するのがさらに難しくなってしまった。

この3人が、ただアイスショーで共演するのでなく、新しい企画を共に立ち上げ、火花を散らして欲しい。やり合うのはステファンとジェフだけで、大輔は間に挟まれてオロオロしながら、実は一番美味しいポジションをちゃっかり占めているような気もするが。操る2人、でも場を支配していたのは入魂の操り人形の方だったとか。大輔が日本を離れることで人脈に変化が生まれ、新世界が誕生することを夢見ている。ビッグバンドンッの目撃者になりたい。(続く)

4月15日

飼い主の michi、久しぶりの青空を見たら、今日、大輔君が旅立つ飛行機ような気がして急に辛くなってしまった

困ったものだ。僕と言う存在があるのにネコ
そもそも、飼い主は、自分が30歳になる頃、それまで日本で築き上げたものを置いて
一人、アメリカに旅立った人。ビザを提供する職場を決めただけで、知り合いは全くいない異国へ

大輔君の覚悟を一番応援できるのは、michi でしょビックリマーク
(でも、でも、寂しいもん泣

幸い、大輔ファンのお友達からランチのお誘い音譜
そうか、僕を置いて行くんだね

僕を置いてきぼり


(いや、そこまで深刻に考えないで欲しいんだけどsei

追っても追いつけぬ、僕の michiハートブレイク

追いつけない


(まいったなぁ)

彼女が出かけたのは神田にある津軽下北半島のお店

海鮮丼


ランチの海鮮丼。これで1,000円合格美味しかったです。得した~って気分クラッカー
今度は居酒屋風になる夜に行きたいなお酒

そして駅に向かって歩いていたら、ドイツ料理のお店"フランツィスカーナ"が
ビールが美味しそうだねビール ふらふらっと立ち寄ってしまった


ランチ用の軽めの白ビール  香りのきいたドラフトビールです

ドイツビール


大好きなザワークラウトと白ソーセージ。白ビールとの相性抜群グッド!
本物のザワークラウトを久しぶりに食べることができました

ザワークラウト


そしておかわりはボック(ストロング)スタイルのビール。これぞドイツビールドイツ国旗

これこそドイツビール


ドイツで半年過ごしたことのある michi には、懐かしい味と思い出が一気に込み上げてきた
素敵な午後に音譜

その後、お友達がぜひ行きたいというフランスのパン屋さんへ
麻布台のMaison Landemaine(何度聞いても覚えられない名前。フランス語は10日で挫折した経験あり)

フランスのパン屋さん


ところが、このお店、本日早じまいということで、入店できず
仕方なく、六本木駅近くの中国コーヒー店へコーヒー

津軽→ドイツ→フランス(振られる)→中国と世界を巡りながら、2人でずーっと大輔君を語り合うラブラブ

michi、少し元気になった?

(あのね、まだダメみたい汗。私も行きたい!!

僕、飼い主のアメリカ行きをかなりマジで阻止しないとNG  あぶないかも
ビールだけ飲ませておけばって訳には、いかないらしいネコ

ペット受難の季節
大輔のせいだビックリマーク  大輔コノヤロパンチ!




4月12日

飼い主の michi、パワー不足ダウン
春だからという理由だけではないらしい  どうしたのはてなマーク

1.神戸のチャリティ演技会で大輔君滑り納め 次がいつになるか不明

2.僕が体調を崩してしまったことネコ

3.中村小三山さんが旅立たれたこと

4.ファイルのフォーマットが異なるため、終わらせた仕事が無駄になりそうなこと

それと、

5.タケノコをゆがいたけど、皮をむいたら食べられる部分がほんとうに少なかったことたけのこ☆


うーん、ネコの僕としては、2番目以外は何も手伝えないな
美味しいごはんをたくさん食べる事しか協力できないし

起きろよビックリマーク  朝ごはんの支度してよ!!  ベッドの足元からにらんでみる目

起きてよ


まったく、ウチのばあやは朝が弱いんだから

中村屋の小三山さん、94歳まで現役で舞台に立ち続け
最後が1月の歌舞伎座「一本刀土俵入り」。茅ヶ崎の奥様とこの舞台を見ることができました

小三山さんには、中村屋!ではなく、小三山!と大向こうから声がかかります
全ての歌舞伎ファンにとって大切な存在だった小三山さん

先代の勘三郎が、俺が死んだら小三山を棺桶に入れてくれと言ったのは有名なエピソード
中村屋を長きにわたって支えた柱でしたね
勘九郎の長男(七緒八君、4歳)が、葬儀で小三山さんの位牌を抱いていました
中村屋の親子4代を世話し、最後に4代目の腕の中に  見事な役者人生合格 感謝です


落ち込んでいる飼い主に春の癒しポーズを提供

春の癒し



寒い日が続くのもパワー不足の原因でしょうか

大輔君が2月にスイスで滑った、アート・オン・アイスのテレビ放送がありました
ヨーロッパで最高のアイス・ショーに、東洋人としてただ一人参加

で、濃い顔の大輔君、まったく違和感なしフィギュア・スケート
北米のスターズ・オン・アイスと欧州のアート・オン・アイスを融合して
ラスベガスあたりでショーをやらないかなクラッカー

大輔、ランビエール、バトルのそろい踏みで
そんな事を夢見て、乗り切らないとね

そういえば、michi は記憶に残るスケーターの事をまとめて書きたいらしい
その時は、僕の出番がなくなるかネコ

寒い春。でも床でごろりとする事が多くなったよ

みじんこ


(ネコというより水膨れしたミジンコみたい叫び

ひどい!?  飼い主のこと、心配してあげてるのに